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2009年5月28日(木)

外交防衛委員会

  • ソマリアにむけて初めて出発した哨戒機P3Cに関して質問。対テロ戦争を任務とするアメリカ軍とも情報を共有し、軍事支援となることを質す。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 海賊対策の海上警備行動として既に自衛隊が派遣をされております。今日の午前中にはP3Cが出発をしました。P3Cが実際の任務を持って海外に派遣されるのはこれが初めてです。そして、その警備のために派遣をされた最新鋭の部隊である陸自の中央即応連隊ももちろん海外任務は初めて、そして今度の法案で武器使用基準の大幅な緩和が行われます。つまり、この海賊対策は警察活動だということでこれまでの自衛隊の海外活動の枠を大きく超えた活動が展開をされているわけですね。

 今日は、その中で本日派遣をされたP3Cの問題に絞ってお聞きをしたいと思います。まず、このP3C派遣の目的と任務について確認をしたいと思います。

防衛大臣(浜田靖一君)

 先ほど来御説明しておりますように、アデン湾地域の大変非常に広大な地域、そしてまたそこを通航する我が国関係の船舶の通航等を考えますと、これはもう安全確保をより効果的に行うためには、護衛艦による護衛任務に加えてP3Cによるアデン湾内の警戒監視、そして情報の収集及び提供等が必要だと考えているところであります。

 このような観点から、今月十五日、私から自衛艦隊司令官等に対して海上警備行動を発令し、P3C二機を派遣し、我が国に関係する船舶を海賊行為から防護するために必要な行動を取ることといたしました。今回のP3Cの派遣によって、護衛艦による護衛対象船舶の護衛と相まって、日本国民の人命、財産を保護するという政府の重要な責務をより効果的に果たすことができると考えているところでございます。

井上哲士君

 我が国以外にこの哨戒機を派遣している国はどこがあるんでしょうか。

外務副大臣(橋本聖子君)

 必ずしもすべてを把握している、網羅的に把握しているわけではありませんが、米国のP3C、フランスのアトランティック、スペインのP3C、ドイツ、P3Cといった国が哨戒機を派遣していると承知をしております。

井上哲士君

 アメリカ以外には今三か国が挙げられましたが、一機ずつだと承知をしております。にもかかわらず、日本は二機を派遣し、しかも初めての海外任務のわけですね。

 東京新聞で三月十二日付けでありますけれども、今年の二月に与党のプロジェクトチームがジブチを訪問した際に、現地の駐留のアメリカ・アフリカ軍のカーター司令官からP3Cの哨戒機の派遣を求められたと、こういう報道があります。米軍はアフガンの陸上偵察に海軍の哨戒機を回し、海賊船を見付ける目が足りないと、こういう訴えがあったということでありますが、こういうアメリカの要請があったんでしょうか。

防衛大臣(浜田靖一君)

 その件に関しましては、御指摘のような米国からの要請はございません。今回のP3Cの派遣については我々日本として判断をしたものでございます。

井上哲士君

 今年の五月五日のアメリカの上院の軍事委員会の公聴会でも、これはステファン・マル国務次官付けの上級顧問がこういう発言をしておりますが、軍事パートナーと協力して海上の警戒防護区域を設定したと。この区域は軍を派遣することにより、より組織的に哨戒活動が行われると。我々は国際的なパートナーに対し、もっと軍を派遣してこれを引き受けるように説得を行ってきたと。こういう発言もありまして、報道と私は合致しているんじゃないかと思うんですが。

 その上で、この哨戒の手法についてお聞きをいたしますが、日本の船団を護衛するときにその周辺を哨戒するのか、それとも、それとかかわりなくこのアデン湾全体を哨戒をするんでしょうか。どういう手法でしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 今回派遣をされますP3Cによる具体的な活動内容につきましては、保護対象船舶の航行情報、あるいはその時々の海賊の発生状況等を基にいたしまして、保護対象船舶を防護するために、護衛艦によって護衛活動を行っている海域を中心といたしましてアデン湾の海域を広域的に飛行をいたしまして警戒監視あるいは情報の収集、提供等というものを行うと、こういうことが基本になると考えております。

井上哲士君

 つまり、護衛艦が護衛するその前後ということですか、それとも、それと直接かかわりなくアデン湾全域を定期的にやるということですか、どちらですか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 お答えいたします。

 今回派遣されますP3Cにつきましては、これは海上警備行動に基づく派遣でございます。自衛隊法八十二条におきます海上における人命又は財産の保護ということで、日本関係船舶の防護ということのために必要な警戒監視あるいは情報収集ということを空から広域的に行うと、こういうものでございます。

 そして、飛行機でございますので、当然のことながら船舶とは航行のスピード等も違いますので、常にその飛行機が船舶と同じようなスピードで同じところを航行すると、そういうことはそもそも不可能なわけでございますし、それから、その船に対して近寄ってくるいろいろな周りの船、他の船舶の動向といったようなものをできるだけその前方において遠いところから把握するということも必要になりますので、護衛艦の活動と全く同一にということではありませんけれども、当然のことながら保護対象船舶の防護に必要な限りにおいて警戒監視等を行うと、こういうことになると考えております。

井上哲士君

 このP3Cが収集する情報の対象は何になるんでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 P3Cは自衛隊法第八十二条に基づきまして海上警備行動の一環として派遣をされるわけでございますので、海上における人命、財産の保護ということに必要な情報の収集というものを行うと、そのための活動をするということでございます。

井上哲士君

 日本関係船舶の防護に必要な情報ということでよろしいんでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 具体的な活動内容ということでございますけれども、当然、保護対象船舶が実際どういうところをどういうふうに航行しているかというようなことについての情報とか、あるいは海賊の発生状況ということを基にいたしまして、その保護対象船舶を防護するためにそれに関係するような必要な情報をできるだけ広く収集するということでございます。

井上哲士君

 哨戒をするその頻度、定期的にということになっています。それはどのぐらいやるんでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 今回、二機派遣をされるわけでございます。この二機と申しますのは、常時一機はオンステーションして空からの警戒監視を行うことができるようにということで二機ということになっておるわけでございますので、その時々の状況、つまり保護対象船舶の航行状況とか、あるいは海賊の発生状況、あるいはその場その場における気象、海象といったような、いろんな状況によって違ってくるとは思いますけれども、あえて言えば一日一回程度ということになるのではないかというふうに思っておりますが、あくまでその時々の状況いかんだと思っております。

井上哲士君

 現在は海上警備活動としての派遣でありますが、法案が成立しますとどういう変化があるんでしょうか。例えば、哨戒の対象はアデン湾以外にも広がることがあるのか、それから日本関係船舶の防護に必要な情報という答弁がこれまでもありましたが、それの対象が広がるのか、それから情報を提供する対象も広がるのか、この点、どうでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 法案が成立をして、実際にP3Cがまさにその新法に基づいて活動をする場合にどういうような具体的な活動の内容になるかということ、あるいは情報収集、それからあるいは情報交換の態様、内容がどういうふうになるかということについては、今後とも引き続きよく検討していく必要があるのではないかというふうに思っておりますが、いずれにしましても、今回の法案に基づいて自衛隊が現場で対処をするということになりますれば、法律上は当然日本関係船舶だけではなくて、それ以外の外国船舶についても海賊行為から防護をするということが可能になるわけでございまして、したがいまして、P3Cなりで空から警戒監視、情報収集をするということになれば、当然、その今申し上げたような活動に必要な関連の情報を幅広く収集するということになると思いますし、それからまた、それに必要な情報交換をいろいろな組織と行うということが十分にあり得ると考えております。

井上哲士君

 幅広く収集すると、事実上この海域のあらゆる情報を収集するということになると思うんですが、その対象が海賊船かどうかというのは哨戒の前に分かるわけでありませんから、ピンポイントでできるわけではないわけですね。広く海上にいる船の情報を集めることになるわけで、例えばその中にテロリストへの武器提供船とか、それから反政府勢力へのそういう提供であるとかなど、いわゆる対テロ戦争等に関する情報があった場合に、その情報というのはどういう取扱いになるんでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 P3Cの派遣につきましては、海上警備行動であれば我が国関係船舶の海賊行為からの防護ということになりますし、また、新法を根拠としてP3Cが活動するということになれば、当然、新法に基づく海賊対処行動のための警戒監視というものを行うということになるわけでございまして、したがいまして、そのような海賊に対する対処活動に必要な情報と、そういう意味でその現場海域における様々な船舶の航行等のいろいろな情報を集めるということにはなると思いますけれども、ただ、それはあくまで海賊に対処をするということに必要な情報を集めるということでございまして、それ以外の目的で活動するということではございません。

井上哲士君

 結果として、例えばテロリストへの武器提供船という疑いがあったような、海賊ではないけれどもそういうものだという情報があった場合、結果として、それも海賊対処に資するものとして取り扱われるということでよろしいんですか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 現場海域においていろいろな船舶が航行をしていて、そこのところを護衛対象の船舶も航行しているということですから、当然のことながら、海賊対処をするという場合においてもいろいろな関連の情報を集めるということは必要であると思っております。

井上哲士君

 そういうことも広く情報を集めるんだということでありますが、そうしますとこれをどう提供していくのかと。この間の答弁では、外国艦艇にその情報を提供することがあり得ますというふうに言われていました。それから、アメリカのCTF150や151への情報提供についてもいろんなところと情報交換することはあり得るというふうにお答えですが、具体的にこのCTF150との情報交換というのは行われるんでしょうか。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 P3Cが収集する情報につきましては、海賊行為から日本関係船舶というようなものを防護するために必要な情報を収集すると、こういうことでございます。そして、我が方といたしましては、できる限りその防護対象船舶の防護に必要な情報を集めるということが必要でございますので、そのために関係国、関係機関と幅広く情報交換をして、そういうところを通じても我が方独自では得られないような情報というものを得まして、それで我々の海賊対策に役立てるということが必要であるというふうに思っております。

 したがいまして、それに必要な限りにおいて、関係国、関係機関との情報交換というものは行うということは十分にあり得ることだと考えております。

井上哲士君

 CTF150との情報交換も否定はされません。

 日本は警察活動だということで派遣をしておりますけれども、アメリカは軍事行動として位置付けているわけですね。先ほど紹介したアメリカの上院の軍事委員会での公聴会での発言でも、安保理の決議について、この地域における軍事行動に着手するための追加的な権限を付与したと、こういう表現をしているわけですね。これまでもアメリカは対テロ戦争の一環としてソマリアに空爆をしたこともありますし、そして今回の安保理決議でも空爆は排除していないわけですね。

 日本の行う情報活動がこうした軍事活動と一体化をするのではないかと、こういうおそれが私はあると思いますけれども、その点はいかがでしょうか。

委員長(榛葉賀津也君)

 徳地運用局長、時間が来ておりますので、簡潔に答弁願います。

防衛省運用企画局長(徳地秀士君)

 自衛隊が現場において収集した情報というものは、当然、我が方の活動に必要な情報収集活動の一環といたしまして関係機関と情報交換をすると、こういうことは十分あり得るところではございますが、これはあくまで自衛隊としての海賊対処に必要な限りでそういうことを行うということでございます。

井上哲士君

 時間ですので終わりますが、やはり私は、こういう問題が起こるようなやり方を日本が憲法九条を持つ国としてやるべきでないと申し上げて、終わります。


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