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井上哲士ONLINE
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2009年11月27日(金)

外交防衛委員会

  • 午前中の質疑は、米軍レンタカーの有料道路料金肩代わり問題を質した。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 私からもまず委員会運営の問題について申し上げておきたいと思います。

 政権交代後、最初の閣法の審議が野党第一党欠席のままで行われております。これは当委員会だけではありませんで、このまま行きますと今度の国会で、参議院で閣法の審議、採決はすべて野党第一党欠席のままという本当に異常な事態になるわけで、私はやっぱり国会、参議院の存在意義すら問われるようなことになりかねないと思っております。こういう事態を、我々は審議拒否ということはしませんが、やはり事態をつくり出したのは与党の乱暴な運営が出発点にあるわけでありますから、私は午後にかけてからも更にしっかり努力をしていただきたいということを強く申し上げておきます。

 法案でありますけれども、これは自公政権の総人件費抑制政策の下に政治的な圧力の力で出された人事院の給与引下げ勧告をまともな検証もせずにそのまま実施をするものでありまして、その結果、国家公務員に過去最大規模の減収を押し付けて、連動して五百八十万人の労働者に大きな影響を与え、個人消費をも冷え込ませるものになります。その点で私どもは反対であります。

 その上で、思いやり予算の問題について質問をいたしますが、この思いやり予算を含む日本の米軍駐留経費の負担は世界でも突出をしております。二〇〇四年のアメリカ国防総省の報告でも、日本の負担はアメリカの同盟国二十七か国の中で二位のドイツ以下二十六か国の合計を上回る非常に突出した負担になっているわけですね。

 まず、認識を聞きますが、こういう日本の米軍の駐留経費負担が国際的に見ても非常に高い、是正をすべきだと、こういう認識は新政権はお持ちでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 まず、在日米軍駐留経費負担につきましては、現行特別協定が有効な二〇一一年三月末までの間により効率的で効果的な在日米軍駐留経費負担とするために日米間で包括的見直しを行うということになっております。これから本格的にその見直し作業を行っていくことになります。

 ただ、各国との比較の問題ですが、それはそれぞれの国が置かれた安全保障環境あるいは役割分担、そういったことにも左右されるもので、単純に比較をするということはなかなか難しいと思います。端的に言えば、日本の場合には憲法九条があり、そして自衛隊の役割というのは他の国々の軍隊とは違うわけでありますので、そういったことも反映されているのではないかというふうに思っております。

 いずれにしましても、この在日米軍駐留経費の負担問題につきましては、日米関係には影響が生じないように配慮をしながら、透明性を確保して包括的な見直しに取り組んでまいりたい、国民の理解を得てまいりたいというふうに考えています。

井上哲士君

 いろいろな環境とかということも言われましたが、前政権下との答弁、説明と変わりがないなという思いをして今聞いていたんですね。アメリカの国務省の報告でも、日本の接受国援助はアメリカ同盟国の中でも最も気前のいいものだと、こういう報告すら行われているわけで、やはりここにメスを入れる必要があると思うんですね。

 思いやり予算は、本来、地位協定上も日本の負担する義務がないにもかかわらず、思いやりということで始まって、金額的にも費目もどんどん増えました。財政制度審議会でも、平成十九年の審議会でも、従来どおりの負担の継続は適当でない、これを放置していては国民の理解を得ることができないと、こういう指摘もされました。昨日の事業仕分でも日本人従業員の給与水準というのは問題になったわけでありますが、そもそもゴルフ場やバーのバーテンダー、ゴルフ場の職員の給与まで日本が負担していること自体、国民の理解も得られません。

 今のこの特別協定については、民主党も反対をされ、参議院では否決をされたわけでありますが、そもそもこういう支払義務がないものである思いやり予算について、根本的な、聖域としない見直しが必要かと思いますが、改めていかがでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 先ほど答弁したことに重なるわけではありますが、全体的な見直しということを行っていきたいと思いますけれども、しかし、それが日米同盟というものに悪い影響を及ぼすようなものであってはならないと。国民の理解とそして日米同盟、このバランスを取りながらしっかりと議論していきたいというふうに考えております。

井上哲士君

 国民の理解の得られないものには大胆にメスを入れると、こういうことでよろしいですか。

外務大臣(岡田克也君)

 国民の理解が得られるように努力してまいりたいと思います。

井上哲士君

 いろんな報道の中でも、先ほど挙げたような娯楽施設の従業員の問題などは本当に大きな怒りがあるわけですね。私は、その目線でちゃんとメスを入れるということを改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で、第二の思いやり予算とも呼ばれる米軍車両の有料道路の料金の肩代わりについてお聞きいたします。

 これは、十月の二十三日に会計検査院が防衛省に対して改善処置要求もしております。昨年の通常国会で私取り上げたんですが、在日米軍が軍用車両の運転手に対して通行証明書を発行すれば無料になって、後からその金額を日本政府が税金で補てんをすると、こういう仕組みなわけですね。公務とはとても言えないようなレジャー用のレンタカーなどにも通行証が発行されているということを指摘をしました。当時の高村大臣は、事実があれば、なぜ公務に当たるかアメリカと話してみたいと、こういう答弁だったわけですが、その後具体的な改善が見られないまま今回の会計検査院からの処置要求ということになったわけですね。

 その調査を見ますと、土日を利用して、八王子から京都、大阪、兵庫、奈良の各有料道路を経由して八王子に戻って、十一枚の通行証を使ったと。もう明らかにレジャーというようなものもあるわけですね。

 まず、私が指摘して以来の政府の対応、それからこの検査院の改善要求の対応について、前政権のことですから局長にお聞きいたします。

防衛省地方協力局長(井上源三君)

 今お尋ねの有料道路の損失補償についてでございますけれども、御指摘のように、昨年の四月以降、国会の場におきましてこの問題の御指摘をいただいたところでございます。

 それを受けまして、私ども、在日米軍に対しましてその使用の実態につきまして照会をいたしたところでございます。また、在日米軍司令部に対しまして、通行証明書の記載に遺漏なきを期することなどにつきまして文書で申入れをしたところでございます。

 しかしながら、それに加えまして、本年の十月二十三日に会計検査院より、平成二十年度の駐留軍の軍用車両によりますこの有料道路の損失補償につきまして改善の措置要求がなされたわけであります。これを受けまして、改めて在日米軍にはこの会計検査院の指摘内容をお伝えをいたしました。また、記載事項に不備のある通行証明書、また使用目的に疑義のある通行証明書が使用されることがないように効果的な調査確認体制を整備することについて申入れを行っておりまして、現在、米側と調整を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、この有料道路損失補償に疑義を持たれることのないように適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。

井上哲士君

 私、質問してから一年半たっているんですが、つまり、いろいろやったけれども具体的改善はないと、こういうことでよろしいですか。

防衛省地方協力局長(井上源三君)

 まず、実態の調査についての照会を行っていたところでございます。また、それに対しまして米側からの回答があったわけでございますけれども、適切な使用がなされますように、例えば通行証明書につきまして記載されるべき事項が適切に記載されるよう更に関係部隊に周知徹底をさせるようにいたしたところでございます。また、細かくなりますけれども、車両番号の記載は手書きではなくてタイプ、スタンプ等で行うこと、さらに、通行証を発行している各部隊から関係の地方防衛局に対しまして証明書の氏名と官職のリストを提供することなどにつきまして申入れを行っておりまして、そういう対応を取っていただいているところでございます。

 しかし、いずれにいたしましても、先ほどのような会計検査院の指摘があったわけでございますので、更に効果的な調査確認体制が取れるように引き続き努力をいたしてまいりたいと考えているところでございます。

井上哲士君

 形式が整えばいいというものじゃないですね。問題は、全く公務とは言えないものに使われていると。これは最近のまだ横田基地のホームページを見ましても、日本を探検したくありませんか、私たちがお手伝いします、レンタカーを借り外に出て日本を発見しようと、こういうキャンペーンがやられております。

 報道では、米側はこの地位協定の解釈として、レンタカーは福利厚生機関の運用するもので軍に属しており、その使用はすべて公務に当たると、こういうふうに報道で言っているんですね。福利厚生機関のレンタカーを使えばどんな個人的レジャーでも公務だというのはとても受け入れ難いわけでありますが、この地位協定の解釈は日本はアメリカと同一だと。違うんでしょうか、いかがでしょう。

外務大臣(岡田克也君)

 委員御指摘のように、米軍人などが私的な旅行のために米軍関係機関が貸し出すレンタカーを使用し有料道路を通行した場合に、その通行料金が日米地位協定上認められる免除の対象になるのか否かについては日米間で解釈の相違があり、現在協議を行っているところです。

 政府としては、米軍人等の私的な旅行のために使用される車両による有料道路の通行については通行料金の免除の対象とはならないと解しており、引き続き米側と協議をしていく考えです。

井上哲士君

 私的なものについてはならないということでありましたが、そうしますと、例えば観光バスの問題も私は指摘をいたしました。横田基地でヨコタツアーズと称して米兵用に運行している観光バスも、これは公務として通行料金が免除されているわけでありますが、レンタカーにとどまらずこの問題も是正を図るべきだと思いますが、それでよろしいでしょうか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 観光バスについての御指摘をいただきました。お答えをさせていただきますと、この点につきましても、今、効果的な調査確認体制の整備などを図る必要があると考えておりまして、米側と必要な調整を行っているところであります。

 防衛省といたしましては、車種にかかわらずこの通行証明書の個別具体的な使用状況を踏まえて適切な使用がなされるように対応していくという点で、先ほどの外務大臣の答弁と同じということであります。

井上哲士君

 かつての答弁では、米軍が日本の文化に対する理解を深め、軍隊の構成員の士気の高揚を図る目的で観光地に行く場合は、これは軍隊の活動の一環として認められるものであると、場合があると、こういうふうに答弁がありましたが、それでは、こういうことは、この答弁ではなくて、私的なものについては認めないと、こういう立場でよろしいんですね。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 お答えをさせていただきます。

 今回のそのヨコタツアーのバス等の使用実態についてこれを照会をしたところ、アメリカ側からもまず、先ほど委員も申されましたように、軍が主催するプログラムであって、米軍の構成員及び軍属並びにそれらの家族に対して日本の文化、歴史及び社会を紹介し、日本の人々との間の文化や言語の壁を乗り越える手助けをする一つの手段ということで答えが来ております。

 これについては、我が省としましては、再度この答えに対して今検討を重ねているところでありまして、確実にこれを先ほどのように同じとみなすわけではございません。

井上哲士君

 ヨコタツアーズの案内が毎月毎月更新されて出ていますけれども、例えば東京ディズニーランドというのが毎月あるんですね。何で東京ディズニーランドに行くことが日本の文化に親しむことになるのかと。それから、十一月号と十二月号を見ますと、十一月は横須賀ショッピングツアーというのがあるんですよ。十二月はイケアファニチャーストア、イケアの家具を買いに行く、そういうツアーもあるんです。買物ツアーがおよそ日本の文化に親しむということは全くありませんし、これが軍隊の士気高揚にどう関係するのかと。こういうことまで組まれているわけですね、私指摘した後も。

 これは、やっぱり大臣、こういうことはしっかりメスを入れてもらわなくちゃいけないと思いますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(北澤俊美君)

 文化という表現をもってすれば、様々な文化はそれぞれの国に存在するわけでありまして、しかし、今回のこの問題は、合衆国政府の目的というものは地位協定に書かれておるわけでありまして、合衆国政府の目的というのは、日本国の安全に寄与しと、こう書かれておるわけでありますから、そういう観点から改めて見直すという意味での問題提起としては大変貴重な問題提起をされておりますので、鋭意米側と折衝をしているところでありまして、国民の理解が得られるような解決をしたいと、こういうふうに思っております。

井上哲士君

 本来、前政権で解決すべき問題だったわけでありますが、新政権の下で一刻も早く是正をしていただきたいと強く求めまして、終わります。


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