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井上哲士ONLINE
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2009年11月27日(金)

外交防衛委員会

  • 午後の質疑は、在沖縄海兵隊のグアム移転の問題で新政権の立場をただした。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 提案されています三つの条約はいずれも必要な措置でありますので、承認に賛成であります。

 その上で、先日の質疑の際にも指摘をいたしました核兵器の維持強化に関するアメリカへの工作という問題についてお聞きをいたします。

 アメリカ議会の戦略諮問委員会に対して前の政権が、在米大使館を通じてトマホークの退役の反対であるとか地中貫通型の小型核兵器の保有を働きかけていたということを先日質問いたしました。その後、二十四日の共同通信で、この米議会の戦略諮問委員会の複数の関係者が明らかにしたということで、私が指摘したような事実を再び報道をしております。この報道当日、二十四日の記者会見で岡田外務大臣は、事実関係を調べる意図はあるかという記者の問いに、あると、私は大臣ですから私なりにどういうことを述べたか把握したいというふうに表明をされました。

 是非調べていただきたいわけでありますが、どういう点をどういう方法で把握されようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

外務大臣(岡田克也君)

 今御指摘の件は、前政権時代の出来事ではあります。ただ、事実関係、報道されることが事実であるのかどうかということについて、まず外務省内、しっかりとその事実関係を把握をしたいというふうに考えております。今そのための調査中であります。

井上哲士君

 意見を述べたとされる在米日本大使館の公使の名前は明らかになっておりますし、それから、先日紹介した報道でもまた共同通信のニュースでも、日本側が維持すべき核兵器の内容などを書いた文書をアメリカに提示をしていると、共同のニュースでいいますと三枚の紙だというふうに言われているわけですが、こういう具体的に名前が挙がっている方への聞き取りや、そしてこの文書の有無についても是非調べていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 しっかりとどういう事実があったのか把握をしたいというふうに考えております。

 ただ、それをどこまで出すかというのはまた別の判断であるということも申し上げておきたいと思います。

井上哲士君

 唯一の被爆国でありながら、国民に隠れてアメリカ側にそういう工作をしていたということは非常に重大な問題なんですね。この間、国連のNGOの総会でも、日本がこういう工作をしているということが基調報告で言われているということも紹介をしたわけです。

 核兵器の廃絶の問題というのは、政府間交渉ももちろん重要でありますけれども、特に日本の場合は、様々な市民団体、NGO、そして被爆者の皆さんが世界にもアメリカにも働きかけるという幅広い運動があって、これが大きな力になっているわけですね。来年のNPTの再検討会議に向けていこうじゃないかというような運動も広がっているわけですから、にもかかわらず、そのNGOの総会で、国連総会でああいう報告がされている。

 やはり日本のそういう市民団体の皆さんが、かつての政権がどういうことを言ってきたのかという事実をしっかり把握をして、そして今の日本政府はこういう立場なんだと、日本の運動はこういう立場なんだということをできるような状況にしてこそ、私はやっぱり幅広い運動が進み、核兵器廃絶への道が前進をしていくと思うんですね。そういう点で、つかんでいただいた事実はしっかり明らかにしていただきたいと改めて求めますが、いかがでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 政府の中での出来事をどこまで明らかにするかというのは、一つの判断の問題だというふうに考えております。

 そして、いずれにしても、まず事実関係をしっかり把握をするということが先ですから、私としてはそのことに全力を挙げたいと考えております。

   

 〔委員長退席、理事山根隆治君着席〕

井上哲士君

 この間も申し上げましたように、既にアメリカでは上院の委員会で、日本側からこういう要請があったという証言が委員会の場でされているんですね。そして、副座長であるシュレジンジャー氏がマスコミのインタビューに答えて、かなり具体的な中身まで言っているという状況があります。様々な国と国同士の合意などでも表に出せないものがあるということは外交上あるかもしれません。しかし、この問題は相手の了解を得るというのではなくて、日本が出している問題でありますし、その中身については向こうである程度出されているわけですから、私は、これは日本政府の判断でこういうことだということをしっかりやっぱり国民の前に明らかにすることが、日本国民全体が核兵器廃絶に向かって様々な声を上げていくという点でも重要だと思います。

 もう一度、お願いしたいと思います。

外務大臣(岡田克也君)

 事実関係を把握することがまず先だと思います。報道によれば、本来機密扱いのペーパーについてその一部が報道されているということも言われておりますので、まずそういう事実があったのかどうかも定かでない段階でその扱いについてこういう場で申し上げるのは適切でないというふうに考えています。

井上哲士君

 あらゆる面で国民に開かれたという方向、公開というのがやっぱり新政権の一つのコンセプトだと思うんです。そういう点で、この問題も是非しっかり調査をしていただいて明らかにしていただきたいということを重ねて申し上げておきます。

 その上で、グアム移転、在沖米海兵隊のグアム移転の問題についてお聞きいたします。

 そもそも、この米軍再編はアメリカの世界的な軍事戦略から出された計画で、グアムには米本土も含む地域から陸海そして海兵隊などの様々な戦力が移転をいたします。沖縄からの海兵隊移転というのはその一部なわけですね。大体、アメリカの領土内のアメリカの基地に他国が費用の負担をするということ自体が前代未聞だということは前政権も認めていたことなわけですね。

 今年の通常国会でこの移転協定には民主党も反対をされたわけでありますが、この移転協定に対する新政権の基本的立場ということはどういうことなんでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 旧政権の時代に我が党がこの移転協定に反対をしたのは事実であります。そのときの理由として、情報開示が、あるいは政府の説明責任が果たされていないということがその理由として挙げられました。その協定の賛否を決めるときの話と、既にでき上がった協定についてこれをどうするかというのは、そこは全くイコールではないということも委員御理解いただけることだと思います。

井上哲士君

 先日、沖縄の問題で防衛政務官のところに申入れに行った際も、前政権のあらゆる政策などはレビューするんだと、検証するんだということを言われておりました。大臣自身、普天間の移転問題でもなぜこういう決着になっているのかと、前政権の下で、これは検証したいということで今それぞれやられているわけですね。そうすると、このグアム協定自身もそういう検証の対象になると、それは確認してよろしいですか。

外務大臣(岡田克也君)

 私は、八千人のグアムへの移転の問題、そのことは沖縄の負担軽減という観点からは評価できる面もあるというふうに思っております。

 ただ、そのことに関しての日本の国民の税金を使っての負担の問題、そういうところについては今後、これは今回の検証とは別の話というふうに私は理解しておりますけれども、国民の税金が無駄に使われることのないようにしっかりと検証していきたいというふうに思っております。それは今後の話です。

井上哲士君

 この委員会でこの協定が議論された際にも、沖縄の負担軽減ということが前政権からも何度も繰り返されました。しかし、議論の中で明らかになったのは、八千人沖縄から減ると言うけれども、それは定員にすぎないと。実際に減るのは二、三千人ぐらいの実数ではないかということが明らかになって、地元沖縄の首長さんからも、話が違うじゃないかという声も随分出たわけですね。

 沖縄の負担軽減には程遠いという声も随分出されたわけでありますが、この問題についてはどういうお考えでしょうか。

防衛大臣(北澤俊美君)

 今、八千人が二、三千人というような御認識を言われましたが、実はこの八千人についても、つい先ごろの米側のグアムに対する環境影響評価の中では八千五百五十二名というふうに記載されておりまして、大ざっぱなことを言いますと、まだどこからどういうふうな人員が行くかというのは必ずしも確定をしていないわけでありまして、あわせて、委員がおっしゃるその二、三千人ということも明らかになったと、こういうふうに言われておりますが、私どももそこのところまではまだ承知をしておりません。

井上哲士君

 つまり、全体が明らかになっていないのに日本の負担金額が先に決められていっているということが問題になったと思うんですね。

 今、環境影響調査のお話が出ましたが、二十日にアメリカ海軍省の総合グアム計画室が環境影響調査の素案を発表しておりますが、その中で日本政府の財政支出で造られる海兵隊施設の概要が初めて示されておりまして、これによりますと、司令部庁舎百六、基地管理施設十七、士官用施設七、学校・児童館九、生活関連施設二十七、ロッジ一、下士官兵舎十三と、こういうふうになっておりますが、この数字は日米政府間で基本的に合意をされた数字だという認識でいいんでしょうか。

防衛副大臣(榛葉賀津也君)

 井上委員にお答えいたします。

 委員御指摘のとおり、十一月二十日に米国は、在沖米海兵隊のグアム移転にかかわる環境影響評価書の素案を発表をいたしました。同素案においては、在沖米海兵隊のグアム移転事業を含むグアム全島の軍事開発事業について、米環境評価法に基づいて環境への影響が分析されていると承知をしているところでございます。

 御指摘のグアムに整備を予定している施設については、同環境影響評価書の素案において施設の類型と施設の数等について記述をされているものと承知をしておりまして、一方で、同素案に記載をされている施設所要は、環境影響評価を実施する米海軍省があくまでグアム全島での軍事開発事業が環境へ与える影響を検討するに当たっての前提として想定しているものでございまして、在沖米海兵隊のグアム移転に伴う施設整備計画については、現在も米側において検討しているというふうに承知をしているところでございます。

 したがいまして、同環境影響評価書案において想定されている施設所要は、グアム等における将来的な施設整備計画について日米両政府で合意を示したものではないということでございます。

井上哲士君

 日米間で何が必要かということを積み上げた上で総額が出てきたんだということが前政権の下で繰り返し答弁がありまして、その中で、日本は二十八億ドルを上限とする真水の財政支出を含む六十億ドルの経費を負担をするというのがあの協定だったわけですね。しかし、審議の中でも、例えばグアムの海軍基地での司令部棟とかアンダーセン基地での基盤整備など、海兵隊だけではなくて海軍や空軍の増強にも使われるものに資金が流れていくということも質疑で明らかになったわけですね。

 つまり、その施設や事業を積み上げたとされる総額というものが、果たして本当に沖縄の海兵隊の移転に伴うものだけなのか。家族住宅の建設件数などは三千五百件ということになっていますけれども、そもそも沖縄にある海兵隊の日本が提供した住宅というのは二千二百戸しかないわけですね。定員でも半分しか行かないのに造るのは三千五百戸、これも摩訶不思議なわけでありまして、本当にふさわしいものかということを、そもそもその全体の積み上げ自身を検証し直す必要があると思うんですけれども、そういうおつもりはありませんか。

防衛副大臣(榛葉賀津也君)

 今、二十八億ドルの上限にロードマップの合意の時点で今は決まっているわけでございますが、これは委員御承知のとおり、あくまでもその司令部庁舎であるとか教場であるとか隊舎等々、学校等の生活関連施設に着目をして概算をつくったと。これからそれぞれ毎年度、今後詳しい事業が出てまいりますから、それを国会で審議をしてもらうわけでございまして、毎年これは当然交換公文で決めていくわけでございますから、今後それはいずれ明らかになってくるものと思います。

井上哲士君

 それはまさに前政権時代からの答弁でありまして、この場の審議の中でも民主党の皆さんも、そういう毎年毎年の小出しじゃなくて、そもそも日米間の積み上げで百二億ドルというのが出てきて、そのうち二十八億ドルとなったのだから、全体を検証する上でもその積み上げの積算根拠を明らかにしろと、全体像を、これ繰り返し民主党の皆さんも要求されていたことなんですよ。ですから、それを前政権と同じ答弁をされたら困るわけでありまして、是非、少なくともあの協定の根拠になった積み上げの根拠を国民の前に明らかにしていただきたいと思いますが、これは大臣から答弁をいただきたいと思います。

防衛大臣(北澤俊美君)

 この委員会でかねてからそういう議論がありまして、私もそのことは承知しておりますが、今検証作業をしたり、また日米間で協議もしておりまして、この積算根拠はそんなに日にちを経ずにこういう場でお示しをすることができるというふうに思っております。

井上哲士君

 確認ですが、毎年ごとじゃなくて、全体像について示していただけるということでよろしいですか。

防衛大臣(北澤俊美君)

 中身について今限定的に申し上げることはできませんが、おおよそ御要請に従ったような資料を出していきたいと思っています。

井上哲士君

 早急にお願いしたいと思います。

 先ほど申し上げましたこの環境影響調査の中には、娯楽関連施設として映画館、ボウリング場、フィットネスジム、プール、レストランと、こういう施設が少なくとも八棟含まれております、日本が費用を出す施設として。思いやり予算でも、こういうものへの批判が高まる中で、二〇〇六年当時に、当時の麻生外務大臣が、こういうレクリエーションや娯楽施設については今後の新規工事を控えるようにしたいという答弁がありましてそうなっているわけでありますが、にもかかわらず向こうの環境影響調査にはこういう娯楽施設が含まれておりますが、こういうもの、元々米国領内のアメリカの基地に他国が財政負担することが前代未聞なわけで、こうした娯楽施設に日本の負担はないということはよろしいでしょうか。

防衛副大臣(榛葉賀津也君)

 平成十二年度以降、委員御承知のとおり、提供施設整備の案件採択基準というものがございまして、娯楽性又は収益性の高い施設については新規採択を控えるというような基本的なルールもございます。こういうことから、グアムにおける我が国の真水事業の選定等々もこういったものをしっかりと念頭に置いてやる必要があると思います。

 いずれにせよ、今は庁舎であるとか教場であるとか隊舎等々の施設が前提でございますから、そういった細かい点についても今後の予算審議で議論をしていただきたいと思います。

井上哲士君

 終わります。


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