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2010年11月17日(水)

予算委員会

  • 外交・防衛集中審議。アフガニスタンへの自衛隊医療部隊派遣の問題を質す。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 総理は、十三日の日米首脳会談でオバマ大統領に、アフガニスタンに自衛隊の医療部隊を派遣を検討する方針を表明をされました。これは憲法上の重大問題であります。多くの無辜の市民の命を奪ったアメリカのアフガン戦争、自公政権はこれをインド洋上の給油活動への支援という形で支援しました。しかし、そのアフガン本土への自衛隊の派遣はできなかった。憲法上の問題があったからであります。ですから、総理の方針というのは、初めてアフガニスタンの本土に自衛隊を送るということになる。

 一体、どういう法的根拠でこれをやろうとされているんでしょうか。

国務大臣(北澤俊美君)

 お答えいたします。

 総理が日米首脳会談でそういうことを発言されたということは私も承知をしておりますが、現在アフガニスタンの治安権限を同国政府に移譲するということが極めて重要な今段階に来ておるわけでありまして、同国におけるNATO訓練ミッション分野での人材育成が重要な課題となっておるということを防衛省としては承知をいたしております。

 そこで、現時点において自衛隊の医療要員をアフガニスタンに派遣し、アフガニスタン国軍の医療関連施設において、各国から派遣された教官とともにアフガニスタン国軍の医療・衛生要員に対して教育を実施することを検討をいたしておるわけでありまして、派遣の法的根拠を含めて現在検討をいたしておるというふうな状況であります。

井上哲士君

 NATOの訓練ミッションの教官になるという方向だそうでありますが、そうなりますとどうなるのかと。

 今アフガンではNATO軍などによる国際治安支援部隊ISAFが活動しておりますが、衆議院の安保委員会で防衛大臣は、この自衛隊の医官が派遣をされますと、当然ISAFのプログラムに入る、こういうふうに言われております。そして、安住副大臣は、ISAFがキャッチャーになる、傘の下の指揮権には入りますけれども、限定したミッションによる派遣ということで、かつ防衛大臣の指揮下で行うという取決めを行うと、こういう答弁をされておりますが、これ、何らかの取決めを行えばこのISAFのプログラムに入る、その指揮の傘下に入ると。

 これは、一体どういう法的根拠があるんでしょうか。

国務大臣(北澤俊美君)

 国連決議に基づいて今ISAFが活動をしておるわけでありますが、その主要な部分はNATOがこれを行っておるということでありますから、現在NATOが行っておるプログラムの中に我々も組み込まれて、そこで、建物の中で学校の授業のような形のものを今想定しておるわけでありまして、一方で、NATO軍等からもたしかあらゆる国に対して、その友好国等に対してこのようなミッションに参加するような要請は、我々もNATOの友好国という立場で受けておるわけであります。

井上哲士君

 衆議院の委員会では当然ISAFのプログラムに入ると言われているわけですから、ISAFの活動の一環に派遣された自衛官が入ると、こういうふうに聞いてよろしいですね。

国務大臣(北澤俊美君)

 ここのところは、これからNATOあるいはISAFと密接な連携を取ってどういう形になるかということを今検討中でありまして、今たまたま武官がこちらへ帰国しておりましたから、ちょうど総理が首脳会談をしたころにまた任務に就いておりますので、その調整を我々が聴取するように今待機をしておるということであります。

井上哲士君

 ISAFはタリバンの掃討活動を遂行しているまさに軍事部隊でありまして、現に空爆をして多くの民間の人たちの命が奪われております。そのISAFの活動の一環としてということになりますと、まさに武力行使と一体化をするということになるわけですね。しかも、医師の派遣、これ別に一般人の医療活動をするわけじゃありません。このISAFのプレスリリースを見ますと、どういう訓練をするのかと。八週間の集中的なカリキュラムは戦場での初期治療に焦点を当てると。生徒は、止血、呼吸チューブ及び静脈ラインの挿入、負傷者をより高いレベルの治療を行う場所への輸送する方法などを学ぶと。つまり、まさに現場、戦場での医療活動の訓練を派遣された医官は行うんです。まさに戦闘行為と密接に結び付いた訓練活動を日本の医官が行うということになるんですね。これは私は憲法上認められないと。

 しかも、今アフガンどうなっているかと。国連の報告では、アフガニスタンの今年上半期の紛争による民間人の死傷者は三千二百六十八人、そのうち死者は千二百七十一人で、前年同時期比の三一%増加だというふうに言われております。まさに戦地と言われるような状況ですが、このアフガンの現在の情勢に対しての総理の認識はいかがでしょうか。総理、総理に、日米首脳会談の話だから、総理、総理、答弁して。

内閣総理大臣(菅直人君)

 現在の議論そのものは、今防衛大臣からお話がありましたように、まだその派遣を決めているということではなくて、派遣の形態や法的根拠について検討していると、そういう報告をいただいております。

 アフガンの現状、今御指摘もありましたし、私も、カルザイ大統領、何か月か前でしたか、いろいろお話を聞いたり、間接的には若干の情報をいただいています。そういう中では、米軍ができるだけこのアフガニスタンに対して主権といいましょうかいろんなものを移したいと思っておりますようですけれども、なかなかそれが可能なのかどうか、御指摘がありましたように、いろんな形での戦闘といいますか、あるいはテロといいますか、そういうものがまだまだ頻発している状況にあると、そう認識しております。

井上哲士君

 戦闘が頻発しているという認識でありますね。

 民主党が二年前に出した法案では、アフガニスタンに自衛隊を送る場合はその地域を極めて限定をしております。いわゆる抗争停止合意が成立している地域ないしは住民の生命若しくは身体に被害が生じることがないと認められる地域、ここに限定しているんですね。そして、民主党は当時、じゃ、そこ、今アフガニスタンにそういう地域があるかという問いに対して、ないと。つまり、自衛隊を送れるような条件のある地域はないというふうに二年前答弁しているんです。そして、今のアフガニスタンの状況というのは、今総理が、戦闘がまだまだ続いているというような状況があるわけですね。

 じゃ、何で、どういう状況で、この民主党がかつて出された法案からいっても、どうしてこんなところに自衛隊を送ることが可能なんですか。

国務大臣(北澤俊美君)

 先ほど総理の答弁の前にちょっと詳細なことを申し上げようと思ったわけでありますが、要するに、派遣される自衛隊の医療要員にその能力を十分に発揮できる環境をまず整備する一環として、当該医療要員のアフガニスタン国内における法的地位をまず確保する必要があるというふうに考えておりまして、また、アフガニスタンに要員を派遣しているほかの国はNATOとの取決めを作成し、同国における自国の活動の円滑化及び要員の法的地位を確保していると、そのように承知をいたしております。

 したがって、我々もそういう意味でこれから協議を進めていくわけでありますから、その際、自衛隊の活動が憲法の範囲内で行われるというふうに我々が承知をしていることはもう当然のことであります。

井上哲士君

 全然答えてないんですよ。ですから、あなた方が出した法案でも自衛隊を送る条件のある地域はないと二年前に言っていた。今も戦闘行為が起きているんです。そこにどうして送ること自身を検討ができるのかと。これ、今首都カブールだって、今月十二日に自爆テロがあって二人兵士が負傷していますよ。そういうところに送られた自衛隊、自衛官というのはテロの対象になる可能性もあるんです。

 そして、それだけじゃないんですね。日本が自衛隊を送るということが、現に今現地で民生支援をしている皆さんにとってもテロなどのターゲットになると。だから、今現地に行っている日本国際ボランティア協会もJICAの皆さんも、自衛隊を送ることは反対だと、こういうふうに言っているんですね。

委員長(前田武志君)

 時間が過ぎましたので簡潔にお願いいたします。

井上哲士君

 ですから、私は、こういうやり方はアフガンの真の支援にも逆行するし、憲法にも反するものだと、検討を撤回をするように強く求めまして、質問を終わります。


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