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2011年6月7日(火)

法務委員会

  • 警察の取り調べにおける暴行や供述強要が相次いでいる問題を取り上げる。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 私からもまず布川事件の問題についてお聞きいたします。

 桜井さんと杉山さん、警察の取調べで自白を強要され、そしてそれが根拠に無期懲役の判決を受け、二十九年間を刑務所にとらわれたわけですね。人生台なしになりました。そして、証拠の隠蔽ということもあった。今日が控訴期限、まさか控訴があるとは思っておりませんが、やはりこういう判決があり、こういう事態をつくり出したことに対する大臣の受け止めをまずお聞きしたいと思います。

国務大臣(法務大臣 江田五月君)

 まさに今日が控訴期限で、まだ控訴するかどうかについての結論を得ているところではございませんということで、個別事件ですのでそれ以上のことを述べるのは差し控えておきますが、委員御指摘のとおり、いろいろな言われるようなことがあって、お二人に長い長い大変な困難を与えたということは、これは遺憾なことだと思います。

井上哲士君

 これは過去の問題ではありませんで、この間も志布志事件、富山事件、そして村木さんの無罪事件など、様々捜査当局の取調べが問題になってまいりました。

 昨年、大阪東署の警察官が取調べのときに大変な暴言を吐いたということは、当時の録音テープも公開をされまして衝撃を与えましたし、この委員会でも質疑がありました。この警察官には四月の二十八日に大阪地裁で罰金三十万円の有罪判決が下りました。

 ところが、この判決から僅か五日後の五月の三日に大阪でまた事件が起きているんですね。関西空港署の巡査部長が逮捕したウガンダ国籍の容疑者の男に対して取調べ中に暴行を加えたということが、男の弁護士の苦情申立書で発覚をいたしました。それによりますと、巡査部長は耳を引っ張ったり足をけったりして、さらにペンケースを口に押し付けて、覚醒剤をのみ込んだのならこれものんでみろと迫ったとされております。

 今、大阪府警はこの巡査部長を特別公務員暴行陵虐容疑で事情聴取していると承知しておりますけれども、なぜあの東署の事件を起こして一番襟を正さなくちゃいけない大阪でこういう事件が続いているのか、いかがでしょうか。

政府参考人(警察庁刑事局長 金高雅仁君)

 大阪東警察署事案の発生を受けて、警察捜査への国民の信頼を回復するということで全国警察で努力をしているさなかに、関西空港警察署の捜査員が取調べ中の被疑者に対し暴行を加えたという事実が発生したことは、誠に遺憾でございます。

 現在、大阪府警で特別公務員暴行陵虐の容疑でこの警察官に対して捜査をしているところでございますが、現在までのところ、覚醒剤を袋に入れたものを大量にのみ込み体内に隠匿して密輸をしたという事案、大変重大な事案でありながら、否認をした、あるいはその態度につい腹を立てて手を出してしまったというようなことを供述しているというふうに報告を受けておりますけれども、いずれにいたしましても、徹底した捜査で原因、動機を明らかにした上で、それを踏まえて厳正に対処すべきだというふうに考えております。

井上哲士君

 この巡査部長本人も、取調べに同席していた部下の巡査長も、そして通訳の人も暴行を認めていると報道されておりますけれども、それで事実でしょうか。

政府参考人(金高雅仁君)

 そのとおりでございます。

井上哲士君

 申立書によりますと、別の日の取調べでは、平手で額を押して、たたく権利がある、おまえには人権がないと、こういうふうに暴言を吐いたとしているわけで、極めて重大な取調べだったわけですね。

 取調べの問題はこれだけじゃありません。先ほども議論がありましたけれども、四月の二十八日には、福岡県の川崎町議会の議長が公選法違反の事件に絡んだ取調べの中で自殺をするという事件が起きました。そして、取調べ中に口を上下に引き裂くような暴行、暴力的なことがあったというメモがあったという事実も先ほど認められました。そして、埼玉県の深谷の市議選でも供応買収容疑で市議らが逮捕された。この事件で取調べを受けた支持者二十人から、様々な自白の強要があったと、こういうことも言われているわけですね。

 私は、この一連の大阪の問題、そしてこういう深谷市の問題、川崎町議会の問題、それぞれ事実調査をしているというお話がありましたけれども、やはり様々な問題があったと、だからこそこれだけ集中して出てきていると、こういうふうに思うんですね。

 志布志事件、そしてあの富山事件で深刻な反省をしたはずであります。それがそうなっていない、こういうことが続いていると、こういうことについては警察庁はどうお考えなんでしょうか。

政府参考人(金高雅仁君)

 福岡の事案と埼玉の事案につきましてはまだ現在調査中ということで御理解いただきたいと思いますけれども、東署の問題それから関空警察署の事案につきましては、誠に遺憾なことというふうに警察庁としても重く受け止めておるところでございます。

 年間百六十数万件の取調べが行われておりますけれども、それに当たる一人一人の警察官の意識改革、これに引き続き努力をする必要があるというふうに受け止めております。

井上哲士君

 先ほど、反省をしているふりしかなかったんだという声も上がりました。

 富山事件と志布志事件の警察捜査の問題点について、警察庁は二〇〇八年の一月に報告書とそして取調べの適正化指針を出しております。各警察署に取調べ調査官を置くことにしたわけですね、監督官を置いたと。この監督官は、警察署で行われる取調べの状況を取調べ室の外から随時視認をして、体に接触したり人の尊厳を著しく害するような言動をすることなどの監督対象行為があれば、その中止を求めることができると、こうされております。

 まずお聞きしますけれども、この大阪の二つの事件、そして福岡、埼玉の各事件では監督官による取調べの視認はされていたのかどうか、そしてその際にこういう問題のある監督対象行為というのが認められていたのかどうか、お答えください。

政府参考人(警察庁長官官房審議官 栗生俊一君)

 お答えいたします。

 御指摘のあった事案の取調べにつきまして、いずれも監督官又は監督補助員による視認はなされておりました。しかしながら、大阪の東署の事案については視認をするということはできなかったわけでございます。その他の、その余の事件につきましては、現在調査をしているところでございます。

井上哲士君

 監督対象行為は認められたんですか。

政府参考人(栗生俊一君)

 お尋ねが監督官による視認によって監督対象行為を発見することができたかというふうに私、理解いたしましたので、視認という行為は行いましたけれども発見することはできなかったという意味でございます。

井上哲士君

 二〇一〇年の全国の被疑者取調べの件数と視認の回数、それから取調べにかかわる苦情の申出件数、そして監督対象行為というのはそれぞれ何件になっているでしょうか。

政府参考人(栗生俊一君)

 お答えいたします。

 まず、二十二年中の被疑者取調べの件数は約百六十七万八千件でございます。次に、取調べ室の視認の回数は約二百五十一万一千回でございます。また、被疑者取調べに係る苦情の申出の件数は四百七十四件でございます。最後に、監督対象行為の件数は三十件でございました。

井上哲士君

 つまり、百六十七万八千件の取調べで問題が発見されたのは三十件と、つまり〇・〇〇一八%なんですね。誰がこういう数字を信じるのかということなんですね。実際、関空の事件では巡査部長本人も同席した部下も通訳も認めているわけですね。その認めているような行為すら発見できなかったと。

 これは視認ですけれども、特に問題がないと認めた場合には十数秒ぐらいしか見ないことがあるとお聞きしていますけれども、そういうこともあるんですか。

政府参考人(栗生俊一君)

 具体的な秒数ということはちょっと私、今直ちにここでお答えすることはできませんが、警察署内の調べ室が複数ございまして、それを、通常警察署の警務部門にいる監督官などが順次回ってまいりますので、大体一、二分ぐらいではないかと思われます。

井上哲士君

 つまり、本当にちらっと見るだけなんですよ。ですから、先ほど言ったように、〇・〇〇一八%というようなことになっていると。結局、身内による監督という形では、こういう暴行とか脅迫的取調べはなくせないということを見事に示していると思うんですね。

 大体あのときの警察庁の適正化指針自身が、なぜああいう富山事件とか志布志事件が起きたのかと、その一番の問題、なぜ無実の者が虚偽の自白を余儀なくされたのかと、ここに踏み込んでないんですね、検証してない。形だけそういう身内の検証というやり方を取った、ここに私は事件が続いている一番の問題があると思うんですね。やはりこれは外部の目を入れる必要があると、やはり警察においても取調べの全過程の可視化ということをする必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(金高雅仁君)

 取調べの可視化、全過程の可視化につきましては、取調べの検証機能があるということは、先ほど申し上げました国家公安委員長主催の研究会の中でもそういう御意見が出ております。

 ただ一方で、その真相解明機能に及ぼす影響でありますとかプライバシーの保護という問題も指摘をされているところでございまして、この研究会で今後可視化の在り方について更に具体的な検討が行われるものというふうに承知をしております。

 警察庁としては、その議論を踏まえまして、一線における捜査の実情を勘案しながら対応したいというふうに思っております。

井上哲士君

 真相解明機能と言われましたけれども、大阪東署の取調べは、おまえの人生めちゃくちゃにしたるぞとか、殴るぞ、おまえなめとったらあかんぞとか、こういう暴言を吐いているんですよ。密室の中でやっているから、こういう本当に稚拙で暴力的な取調べしかしない。何でこれで真相解明ができるんですか。結局、密室における取調べというところにつかっているから、私は、結局こういう真相解明機能自身を警察が失っていると、こういう事態だと思いますよ。

 法務大臣にお聞きしますけれども、私は、こういう警察の脅迫的な取調べを許してきた検察の責任も大きいと思います。

 この大阪東署の暴言による取調べの事件は、大阪地検は、特別公務員の暴行陵虐事件ではなくて脅迫罪で起訴しました。そして、しかも、略式起訴、非公開のにしたんですね。ところが、簡易裁判所が異例の略式不相当という決定を出して正式の裁判になりました。かつ、検察は罰金二十万円しか求刑しなかった。裁判所は三十万という判決を下したわけですね。

 私は、起訴の在り方、そしてこの刑、罰金についても、二度にわたって裁判所も検察の甘い姿勢について厳しい警告をしたと思うんですが、まずこういう略式起訴が正式起訴に裁判所の判断でなったということや、そして、判決が求刑よりも上回ったということが重なったような例がほかにあるのかどうか、そして、こういう甘い姿勢が警察の様々な問題の取調べを許しているという指摘についてどうお考えか、いかがでしょうか。

国務大臣(江田五月君)

 個別の事件についての言及は差し控えておきたいと思いますが、一般に申し上げて、略式請求をしたら不相当ということで正式裁判になったというようなケースは、これはもちろんございます。また、求刑を上回る判決になったということも、これもございます。

 その上で、確かに検察の公訴の提起の仕方、略式という、あるいは求刑、これが裁判所でそのまま認められなかったという事例が幾つかあるのは事実でございますが、しかし、私はやはり個別の事件について、その評価というのが様々な角度があるんだろうと。検察において法と証拠に照らして適切と思ったけれども裁判所の判断が違ったと、これは裁判というものがきっちり機能しているということであって、そうした一つ一つのことについて、検察として事後的な反省はしなければいけませんが、そういうことがあったから検察けしからぬということに必ずしもなるかといいますと、それは場合によるんだろうと思っております。

井上哲士君

 大阪地検特捜部がああいうフロッピーディスクの改ざん事件を行って、そして非常に問題な自白強要の取調べをしていた。その地検が大阪府警の行ったことにこういう甘い対応をしたということを、やっぱり府民は厳しく見ていますよ。

 さらに、これだけじゃないんですね。二〇〇二年四月の平野区マンション母子殺害事件で、現場付近の灰皿から採取したたばこの吸い殻七十二本のうち七十一本を警察が紛失をしていたということが最近明らかになりました。この七十二本のうち一本から被告人と同一のDNAが検出されたということを根拠にして被告人を有罪として、二審は死刑判決までしていたんですね。ところが、最高裁が、残りの七十一本の吸い殻も鑑定が必要だということで判決を破棄をして、弁護側が証拠開示請求をしたことによって実はなくなっていたということが分かったという大変なことですよ。

 警察は、この起訴直後の二〇〇二年十二月に吸い殻を紛失をしていて、そのことを二〇〇四年一月に大阪地検に報告しております。ところが、検察は、弁護側の証拠開示請求に対してもずっとこの紛失の事実を隠したままにしておりました。

 なぜ隠していたんですか。

国務大臣(江田五月君)

 この事件は、これももちろん現在公判係属中でございますから、詳細についてお答えをすることは差し控えますが、検察当局においては、一審の段階で証拠開示すべき具体的な必要性等が弁護人から明らかにされなかったということで、吸い殻を証拠として開示しなかったというものだと承知をしております。

 ただ、もちろん、それがその後、様々な経過を経て、今委員が御指摘のようなてんまつになってきていることはそのとおりで、ただ、あくまでも具体的な事件、今生きている事件でございますので、それ以上のことは差し控えます。

井上哲士君

 私は、問題なのは、捜査機関がこの収集した証拠を私物のように扱って、自分たちに有利なものだけ使うということだと思うんですね。この大阪の場合は、残りの七十一本は証拠品ではなくて採取物という取扱いで、いつの間にか誤って廃棄をしてしまったと、こういうことになっているんですね。

 ですから、捜査側に有利な証拠以外は価値を認めないということをやっていた、同じことを私は検察は追認をしたと、開示の必要がないということで追認をしたということだと思うんですね。

 今日の議論でも、大臣は証拠開示についてはこの間の法改正でうまくいっているかのように言われましたけれども、やはりこういうことが起きているんです。やはり、きちっと全面的に開示をするということを制度化するということが必要だと思いますけれども、最後、答弁をお願いします。

国務大臣(江田五月君)

 繰り返すようになりますが、この委員御指摘の事件は、これは十六年の刑事訴訟法の施行の前のことだったと思います。十六年刑訴法施行の際に、施行といいますか、その刑訴法改正の際にいろんな議論が行われまして、全ての証拠を開示すべきだという意見もありましたが、しかし証拠にいろんなものがあるので、そこは一定の限度で、しかし最大限この開示をして、さらに弁護側と議論になるときには裁判所が裁定という、そういう仕組みにして今日まで来ておりますし、今現に私はかなりの程度の証拠開示が行われているものと思っておりますが、もちろん、まだまだこれは、議論について御指摘ありましたら、当然、よりいいものにする検討はいたさなきゃいかぬものだと思っております。

委員長(浜田昌良君)

 井上哲士君、おまとめください。

井上哲士君

 終わりますが、これ、最高裁判決で残りの吸い殻も鑑定が必要だということを言ってから、弁護側が証拠開示請求をするまで一年間、地検は紛失したことを更に隠していたんです。ですから、全く改善されていないということを申し上げまして、終わります。


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