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2011年 7 月 15 日

答弁書第二二三号
内閣参質一七七第二二三号

在日米軍軍人軍属の刑事事件に係る裁判権と検察審査会の議決の効力に関する質問に対する答弁書

 平成二十三年七月十五日

内閣総理大臣 菅 直人

参議院議長 西岡 武夫 殿


 参議院議員井上哲士君提出在日米軍軍人軍属の刑事事件に係る裁判権と検察審査会の議決の効力に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 参議院議員井上哲士君提出在日米軍軍人軍属の刑事事件に係る裁判権と検察審査会の議決の効力に関する質問に対する答弁書

一について

 お尋ねについて網羅的かつ確定的にお答えすることは困難であるが、例えば、昭和四十九年七月十日発生の沖縄県伊江村におけるアメリカ合衆国(以下「合衆国」という。)軍隊の構成員二名による傷害事件について、日本国から御指摘の提案がなされた。

二について

 御指摘の「「裁判権なし」と判断した場合」の意味するところが必ずしも明らかでないが、検察当局は、日本国が第一次の裁判権を有しているか否かにかかわらず、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号。以下「日米地位協定」という。)第十七条1(b)に規定する犯罪について、捜査をすることができると考えている。

三について

 日米地位協定第十七条6(a)において、日本国の当局及び合衆国の軍当局は、犯罪についての全ての必要な捜査の実施等について、相互に援助しなければならないとされている。

四について

 検察審査会法(昭和二十三年法律第百四十七号)第四十一条の六第一項に規定する起訴議決に基づいて公訴の提起がされた場合には、これについて裁判が行われることになると理解している。

五について

 日米地位協定第十七条6(b)において、日本国の当局及び合衆国の軍当局は、裁判権を行使する権利が競合する全ての事件の処理について、相互に通告しなければならないとされており、昭和二十八年十月の刑事裁判管轄権に関する事項についての日米合同委員会合意において、一方の国が第一次の裁判権を行使した犯罪で他方の国又はその国民に対して犯されたものに係る事件の最終の裁判結果の通報については、同委員会を通じて一月ごとに行うとされている。また、日本国の当局においては、御指摘の点について、必要に応じ、合衆国の軍当局に照会して適切に把握していると承知している。

六について

 御指摘の答弁における「課題」については、現在検討中である。

七について

 お尋ねの「被害者等から検察審査会に不服申立てが行われた実績(件数)」については、把握していないが、「在日米軍軍人軍属の刑事事件」について検察審査会において起訴相当又は不起訴不当の議決がされた件数は、法務省に保存されている資料により確認することができた平成十八年以降では、平成二十三年にされた一件である。


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