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2012年12月1日(木)

法務委員会

  1. 再審決定の福井中学生殺人事件で「検察の取り調べや証拠隠しが問われている。全面可視化と手持ち証拠の全面開示が必要だ」と迫りました
  2. 刑の一部執行猶予など刑法等改正案--保護観察官などの体制強化や薬物犯の治療を促す施策推進などを求めました

委員長(西田実仁君)

 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。

 刑法等の一部を改正する法律案及び薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局組織犯罪対策部長小谷渉君、法務省保護局長青沼隆之君、厚生労働大臣官房審議官唐澤剛君及び厚生労働省社会・援護局長山崎史郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。

  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 法案に入る前に、昨日あった再審開始決定に関連して大臣にお聞きいたします。

 一九八六年に福井市で発生した女子中学生殺人事件で殺人罪が確定して服役した前川さんが行った再審請求に対し、昨日、名古屋高裁金沢支部が、判決に合理的な疑いが生じたとして再審開始を決定いたしました。

 決定的だったのは、この再審請求審で、検察官が隠していた手持ち証拠が弁護団の努力もあって多数出てきた。それを見ますと、この検察ストーリーに合わせて関係者の目撃供述を変えさせたことが浮き彫りになっておりますし、また、この検察が開示した遺体の解剖写真からも凶器の判断に合理的疑問があるとされております。

 改めて検察の取調べの在り方を問いただしているわけでありますが、検察が反省をして、この異議申立てを行うことなく、速やかに再審が開始されることを強く求めておきます。

 その上で、大臣、やはりこれは全過程の可視化と証拠の全面開示ということの必要性を改めて浮き彫りにしたと思うんですね。先日、国民救援会、自由法曹団、全労連の皆さんと申入れもしたわけでありますけれども、改めて、この取調べの全過程の可視化、そして証拠の全面開示の問題、私はこのことが改めて必要性が浮き彫りになっていると思いますが、まず大臣の所見をお聞きしたいと思います。

国務大臣(平岡秀夫君=法務大臣)

 個別の事件の問題についてはちょっとコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思いますけれども、従来から取調べの可視化については、我々もその必要性については十分認識しているつもりでございます。しっかりと取り組んでいきたいというふうに思いますし、証拠の開示の問題も、せんだって井上委員の方からも御指摘がございました。法令にのっとって適切に証拠の開示が行われるということも、検察の基本規程の中で法令の遵守ということを明記させていただいておりますので、その趣旨にのっとって適切に対応するということを私としては期待をしております。

井上哲士君

 公判前整理手続が行われるようになって証拠がかなり出るようになったということは、ここでも議論がありました。それでも極めて不十分だということをいろいろお聞きするんですが、少なくとも、今この再審が問題になっている事件というのはそういうことが行われる前のことなんですね。再審請求をしても、なかなか弁護団が言っても証拠が出てこないということで、大変困っているわけですよ。少なくとも、こういう事件についてはもう証拠隠滅のおそれもないわけですから、再審請求のものについてはこれ速やかに全面的に開示をするということが、これはもう直ちに行われてもいいと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

国務大臣(平岡秀夫君)

 あくまでも法令に基づいて適切に対処していくということを私としては期待いたしたいと思いますけれども、個々の案件についてこれはどうだああだということについては、私の方からはコメントは差し控えさせていただきたいというふうに思います。

井上哲士君

 この間、同じようなことが繰り返されているわけでありまして、少なくとも、繰り返しますが、再審請求のものについては速やかに出させていくと。それがあれば、もう十年、二十年なんということを繰り返す必要ないんですね。まさに人権が懸かっているわけでありますから、この点強く求めておきます。

 そこで、法案に入りますけれども、まず前回質問の答弁に関連してお聞きします。

 一部執行猶予制度の下でも仮釈放制度の運用は変えないという答弁がありました。ちょっと意味が分かりにくかったんですが、この一部執行猶予中の者が例えば特別遵守事項を守らなかったというような理由でそれが取消しになって実刑に戻ったという場合であっても、その実刑期間中に仮釈放がされることはあり得ると、こういうことで理解してよろしいでしょうか。

政府参考人(青沼隆之君=法務省保護局長)

 委員お尋ねの、一部執行猶予期間中に再犯をするなどで執行猶予が取り消されて矯正施設に再び収容がなされた場合におきましても、仮釈放の要件を満たせば仮釈放は許されると、こういうことでございます。

井上哲士君

 はい、分かりました。

 次に、更生保護の体制強化の問題です。

 各委員からも繰り返しこの問題が出てきたわけですが、この間の答弁で、大体、一部執行猶予制度の導入で年間三千人前後増える可能性があると、保護観察対象者が、そういう答弁がありました。

 現在の全部執行猶予と比較してより刑責が重くて処遇の必要性が高い対象者が増えるということもありますし、薬物犯などに必ずしも専門的知識のあるわけでない保護司の方が対応するのも困難な事例が多いと思います。それから、薬物プログラムの対象者などは観察官が個別に対応する必要もある。それから、この観察期間が非常に長い、最長五年ということになりますと、更に人が増えていく。それからあと、社会貢献活動の対応にもこれ大変人手が要るんですね。水戸の保護観察所で試行していますけれども、ここは社会貢献担当官というのを保護観察官の中に置いているということをお聞きしました。そういう点でも相当の増員が必要かと思います。

 それぞれ各会派からもこの求めがあったんですが、二〇〇六年の更生保護のあり方を考える有識者会議の提言でも、現場の第一線において保護観察事件を担当する保護観察官の数を少なくとも倍増する必要があると、こういう提言がされているわけですね。にもかかわらず少ないわけですから、私は、今回、この制度導入でいいますと、これまで以上の決意を持ってやらなければ必要な人員確保はできないと思うんですが、そこの御決意と計画について、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(平岡秀夫君)

 この保護観察官の増員の問題については、この委員会でもいろいろと御議論、御指摘をいただきました。私たちも、できる限りの増員を図っていかなければ今の状況に対応するということについてはかなりの困難があるという思いで増員に取り組んでいきたいというふうに思っております。

 実は、これまでも保護観察所の組織体制を変えていく、この前もちょっと申し上げましたけれども、課制を専門官制にするというようなことで、既存の職員ができる限り保護観察の処遇業務にも従事できるようにするというような工夫も行ってまいりました。その結果としましては、平成十八年当時の保護観察官数が六百五十人であったものが、平成二十三年度には管理職を除きまして九百五十人というふうにかなり増加をしてきているということでございますし、平成二十三年度もたしか六十余名ぐらいの増員を実現し、そして平成二十四年度の概算要求では六十二人の増員を要求しているということでございます。

 ただ、これ残念ながら純増ということじゃなくて、これに計画定員削減というものがかぶさってまいりますものですから、かなりまた純増という意味では減ってくるわけでございますけれども、我々としてもできる限りの増員を図ってまいりたいというふうに思っております。

 せんだって、たしか魚住委員からだったと思いますけれども、今後どうするんだ、計画が何もないじゃないかというようなこともありましたものですから、ちょっと部内に持ち帰りまして、そういう御指摘を踏まえてどんなことが考えられるのかということで、いろいろ議論をさせていただいております。

 ただ、こういう厳しい財政事情、定員状況でございますので、向こう三年間、四年間の計画的な増員ということを言える状況ではございませんけれども、我々としては、そういう状況もにらみながら、しっかりと計画的に増員が図れるように努力をしてまいりたいというふうに思っております。

井上哲士君

 この有識者会議の提言は、制度を動かすのは人であり、いかに制度が完備していても、運用に人を得なければ十分には機能せず、死せる制度になってしまう、その意味で、保護観察官の採用及び育成は極めて重大な課題であるということを強調しているわけでありまして、是非これに基づいて一層の増員に努力をしていただきたいと思います。

 かつ、専門性の向上ということも必要になると思うんですね。これまで覚せい剤事犯の処遇プログラムは五回だけでありますけれども、今後これ五年間の保護観察期間ということになりますと、相当長期のプログラムも薬物犯用に必要になってくると思います。そういうことも含めた新しいプログラムをどのように検討をしていくのか、そしてそれを実施する保護観察官の専門性の向上についてどのようにお考えでしょうか。

政府参考人(青沼隆之君)

 委員御指摘のとおり、一部猶予制度の導入によりまして保護観察期間が長期化するということが見込まれるため、それに応じた専門的な処遇プログラムを開発するということとともに、実施後のフォローアップにも配慮する必要があると考えております。

 今回の審議でも出てまいりましたけれども、ただいま薬物処遇研究会というのを開催しておりまして、これに対応できるような専門的な処遇プログラムの開発とフォローアップも含めた地域支援の在り方について検討、協議を現在続けております。今年度中にはある程度の案を作り、来年度以降、新たなプログラムと地域支援の連携方策についての試行、検証を行った上で、施行までの間に更なる検討をしてまいりたいというふうに考えております。

 それから、専門性の向上という点についてでございますけれども、従来から、当局の方では保護観察所で覚せい剤事犯者の処遇プログラムを現実に行っておりまして、その過程で必要な処遇技法に関する研修を実施するなどして、処遇に当たる保護観察官について一定の専門性は確保してきたところでありますけれども、さらに、二十四年度からは国家公務員採用試験の専門職試験の一つとして法務省専門職員(人間科学)採用試験が新設されることになっておりまして、今後、保護観察所職員はこの専門職試験の保護観察官区分の合格者を中心に採用することを予定しております。

 この合格者は、関連する心理学、教育学、福祉及び社会学といった分野において一定の専門的知識を有する者でありますから、これによって保護観察官の更なる専門性の向上が図られるものと、こういうふうに考えております。

井上哲士君

 次に、薬物犯、特に初犯の人の対策についてお聞きします。

 薬物依存症の家族連合会からお話聞きますと、少しでも早い時期に治療の機会が必要だと、初犯の段階から対応してほしいというお声なんですね。日本ダルクの近藤恒夫さんも、やめるというモチベーションが全くないという人たちが実は初犯で、これは執行猶予になっていると。この対策の必要性を繰り返しておられます。やはり治療を促す、それからリハビリシステムにつなげていくということで、いろいろできることがあると思うんですが、警察庁、来ていただいていますが、東京でこういう執行猶予者を対象とした薬物再乱用防止モデル事業を実施されたと思いますが、その内容と、それから課題についてどうお考えでしょうか。

政府参考人(小谷渉君=警察庁刑事局組織犯罪対策部長)

 議員お尋ねの事業は、薬物事犯により検挙され、即決裁判手続により執行猶予となった人を対象とする薬物再乱用防止プログラムを民間団体に委託して行うものでございまして、平成十九年度及び平成二十年度においてモデル事業として警視庁で実施したものでございます。

 その内容は、乱用者に対し、起訴されてから公判までの間にこのプログラムの内容を教示をいたしまして、プログラムに参加しようとする意思を示した人に対して、民間団体がカウンセリングや医師等、専門家による薬物依存からの脱却のための講習等を行うものでございます。

 この事業の問題点でございますが、このプログラムに参加した人は、警察がプログラムの内容を教示した乱用者のうちの残念ながら約一割にすぎなかったということでございます。これは、この事業があくまで乱用者自身の薬物依存をやめる意欲とプログラムへの自主的な参加の意思を前提条件として、これらの条件を満たした方に対してのみ実施することとしたためであるというふうに考えております。

井上哲士君

 強制ができないわけですからなかなか御苦労が多いと思うんですが、いろんなやはり知恵を使ってつなげていくことが必要だと思うんですね。

 地方自治体との連携もしてそういうこともやっていらっしゃると思うんですが、そういう点はいかがでしょうか。

政府参考人(小谷渉君)

 警察におきましては、執行猶予判決が見込まれる薬物乱用者やその御家族等に対して、再乱用防止のためのパンフレットを閲覧あるいは配付をいたしまして、地方公共団体や民間団体の相談窓口を紹介するなどの情報提供を実施をいたしております。また、栃木県警察及び京都府警察においては、このような乱用者に対しまして、府県の薬務当局が民間団体に委託して実施をしております薬物再乱用防止のための教育事業の内容を紹介するなどの協力を実施いたしております。

 警察といたしましては、このような取組をより効果的に推進し、今後も薬務当局等との連携強化を図りながら、再乱用防止対策を推進してまいる所存でございます。

井上哲士君

 希望する場合は直接面接もするというふうに伺っているんですが、そういうことでしょうか。

政府参考人(小谷渉君)

 そうでございます。

井上哲士君

 ダルクなども、そこにたどり着くのにはもう十年、二十年掛かるというお話がありますし、やはり近藤さんの書いたものを読みますと、刑務所にいるときなどにも紹介はされるけれども、どこに、誰に行けとか、もっと詳しいことがあればつながっていくんじゃないかというお話があるんですね。これは是非、やっぱり早い段階でしていくということが大事であります。

 今、即決裁判のお話がありましたけれども、これは事案が明白かつ軽微な事件で、被告人自らが有罪と述べるということで即決裁判と決まるわけで、必ず執行猶予になるわけですね。これは起訴から公判期日まで十四日以内と決まっていますから、大半が逮捕から一か月以内で言わば自由の身になってしまって、少なくない人は助かったということでなかなか治療に行かないというお話があります。

 二〇〇八年でいいますと、この即決裁判の地裁判決の四〇%が薬物事犯なんですね。ですから、こういう皆さんが初犯でとどまるのか、再犯に進むかというのは決定的だと思うんです。そういう点で、初犯の段階で治療にアクセスするということを、法務省独自でも、また各省庁とも協力して進めることが大事だと思うんですが、この点、法務大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(平岡秀夫君)

 法務省では、薬物事犯の再乱用防止に向けた取組というのは重要な課題であるということで、未決拘禁の段階においても、薬物犯罪の被害者、被告人に対しましては、希望に応じてということではございますけれども、再乱用防止に資する資料を貸与したり、あるいは未決拘禁者を収容する刑事施設に関連書籍を整備するといったような、再乱用防止に関する効果的な情報提供等の取組を行っているということでございます。

 しかしながら、先ほど委員も御指摘になられたように、これは強制してやるということではございませんし、なかなか、利用という面から見たときには十分な効果が上がっているかということについてはしっかりと検証しなければいけないというふうに思いますけれども、いずれにしても、警察とかあるいは法務当局とかいったような、薬物の使用が犯罪であるということを前提として物事に取り組んでいるというところについては、やはり強制的な処分をしていくためにはそれなりの手続がまた必要になってくるということでございます。

 この問題については、そうした司法当局のみならず、やはり医療関係者あるいは地方自治体といったような関係者がやっぱりお互いに連携しながら、協力しながら取り組んでいくという必要があろうかというふうに思いますので、そういう問題提起を我々法務省の方からも関係するところには投げかけていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 最後一点。更生保護法の改正で、地域貢献活動が少年犯にも適用されることになります。これまでは任意にやった社会参加活動が遵守義務となる、そうなるとかえって少年などは反発するという場合もあるんじゃないかという、かえって効果がなくなるんじゃないかという懸念も関係者から出されております。

 これまでの任意による社会参加活動を中心にするなど、少年法に配慮した運用が必要かと思いますが、その点をお聞きしたいと思います。

政府参考人(青沼隆之君)

 御指摘ありましたとおり、少年の保護観察対象者に対して任意の社会参加活動を実施するのか、あるいは特別遵守事項として義務付ける社会貢献活動を実施するのかといった点については考慮の余地があるというふうに考えておりまして、対象者の特性、問題性に対応して個別具体的に判断していきたいというふうに考えております。

 具体的には、少年の保護観察対象者に対しましては、健全育成を重視してレクリエーション活動を含む任意の社会活動を実施することが適当である、あるいは善良な社会の一員としての意識と規範意識の涵養を重視して特別遵守事項として義務付ける社会貢献活動を実施することのいずれが適当であるのかを事案に応じて適切に判断し、運用してまいりたい、こういうふうに思っております。

井上哲士君

 終わります。


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