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2001年11月27日

法務委員会
「刑法」「刑事訴訟法」で参考人質問、質問

  • 交通事故被害者遺族の方などに参考人質問。人と車の分離信号設置の拡充、ドクターヘリの推進、運転者に対する交通安全教育の徹底をもとめる。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 きょうは、三人の参考人の皆さん、本当にありがとうございます。

 井上参考人が、みんなの声で法は変えることができるんだと、役人や国会議員だけではないんだということを述べられました。そして、国会中継などもよく見るようになったということを言われました。

 私もまだ国会に籍を置いて三カ月にしかならないわけですが、今いろんな政治不信が叫ばれる中で、その言葉を本当に初心としてみずからのものとしていきたいということをお話を聞きながら思いました。

 その上で、まず井上参考人に質問をさせていただきますが、大変つらい思いをされながら裁判も行われたわけですが、その中で、先ほども御主人に早く診断書を出してくれというお話であるとか、それから処罰感情の面でも情報開示が大変おくれているというふうなことも述べられましたが、事件から裁判を行われる過程の中で、被害者の立場からそういう問題でもっと改善をすべきことが多々あるかと思うんですが、その点、幾つかお話をいただきたいと思います。

参考人(井上郁美君)

 やはり、一番疑問に思いますのは、加害者と被害者の直接の接触が余りにも少な過ぎるのではないか。加害者に関する情報が私たちには、公判になってからほんの冒頭陳述で読み上げられるわずかなもの、あるいは本人が証言するわずかなことを手がかりに想像していくしかないというようなことが非常につらい気持ちになります。ほかの方々でもなかなか加害者の、どのような環境に育ったのか、どうしてそういう事故を起こしてしまったのかという一番知りたいことが全然明らかにされないというのが一番の問題ではないか。

 実況見分調書や図面の開示というのも確かに大事なんです。それも客観的な証拠として非常に大事なんですが、実は、被害者遺族の方が一番知りたがっているのは、どうして自分の大切な家族が亡くならないといけなかったのか、どうしてそのような事故が起きてしまったのかということのまず第一義的な原因者である加害者についての情報をなるべく多く、決してプライバシーの問題を軽く見てくださいというふうには言いませんが、ある程度それは例えば守秘義務契約を守らせていただくとか、そのような条件のもとでせめて必要最小限のものを被害者や遺族には開示していただけないかというふうに思っております。

井上哲士君

 笠井参考人にお伺いをいたします。

 冒頭で、死人に口なし、捜査をきちょうめんにしていただきたいということを述べられました。加害者、被害者両方の弁護を続けてこられた上でのお言葉かと思うんですが、実際に捜査の不十分さで大変困難などを来した例など、その弁護活動の中でおありになったら御紹介いただきたいのと、必要最小限ここは押さえるべきだと、今の捜査活動などについての改善の御意見がありましたらお願いをしたいと思います。

参考人(笠井治君)

 今御紹介する事例は、弁護というよりも、死亡事故の被害者の代理人という立場でかかわった事案について申し上げます。

 この事案というのは、見通しのよい広い道路でトラックの運転手が主婦をはねた。その主婦が自転車に乗っていたかどうかというところも問題にはなるんですけれども、点滅信号の赤信号の場面を横断したのかということが問題になったケースであります。

 警察捜査によりますと、信号の点滅間隔等を調べまして、被害者は赤信号で渡った、被害者側が赤信号で渡った可能性が非常に高いという結論を引き出したわけですけれども、しかし実際に現場に行きますと、その前にボタンを押して待ち切れずに渡ってしまう横断者がいる、その後に青くなって、横断するということがあったりしまして、そこら辺の捜査官の想像力というだけではなくて、やはり忙しさの余りいろんなことを考えることができないということの捜査の不十分というようなことがあり得るんじゃないかというふうに思った事案がございます。

 それから、もう一つは何でございましたか。

井上哲士君

 今のそういう警察の捜査活動などで改善をすべき点、これだけは最低限押さえるべきだということが落ちたりしていることがないかと思うんですが、その点いかがかという点です。

参考人(笠井治君)

 必ずしも的確にお答えできないんですが、これは事実関係そのものにつきましては本当に客観的に目撃状況とか現場の痕跡とかさまざまなことによって知るしかないんですが、被害者像というのをよくよく確かめていただきたいというところがあります。

井上哲士君

 川本参考人にお伺いをいたします。

 重罰化というのは万能薬ではないんだということも繰り返しお話がありました。参考人の「京都学園法学」の論文も読ませていただいたんですが、この中でイギリスとの比較をいろんな形でされていらっしゃいます。特に、先ほど来、安全教育が大変重要だという指摘がありました。イギリスの場合に、違反者講習とか、それから保護観察の段階でも交通安全教育が活発に行われているということがこの中でも述べられておりますけれども、その辺のイギリスの状況と、そして日本の交通安全講習で改善をすべきとお考えの点をお話しいただきたいと思います。

参考人(川本哲郎君)

 五年前にイギリスに一年間いまして、それでいろんなものを見てきたわけですが、やはりイギリスの方がそういうところはきめ細かにやっているんじゃないかという気がいたしております。日本でもされているわけですけれども、もう少し踏み込んだ講習をされてもいいのかなと、その保護観察の段階とかですね。

 あるいは、日本でもだんだん改善はされていまして、現在、免許の停止者に対する社会奉仕処分とかそういうものも導入されていますので、今後に期待したいわけですけれども、そういう教育活動を十分に行ってほしいということでございます。

井上哲士君

 それから、イギリスの場合の交通犯罪者に対する刑罰についても述べられているかと思うんですが、いわゆる社会奉仕命令という制度が導入をされていると書かれておりましたが、この詳しい中身と、そして日本でこれを導入する点についての御意見をお願いします。

参考人(川本哲郎君)

 イギリスでは社会奉仕命令という形で刑罰の一つとして科しているわけですが、日本ではそういう処分はございません。イギリスも三十年ぐらい前からそういう処分を導入して、今では協力する会社とかそういうところも非常に多くなっているわけですが、日本はそういう取り組みが一切なかったと。

 ちょっとこれは距離がありますので、私個人としてはそういう、刑事制裁の多様化といいまして、軽い犯罪を犯した人にいろんなオプションを用意するのがいいと思っておりますけれども、なかなかこれは一朝一夕ではできることではございませんので、今提案してもすぐに実現する可能性は低いのかなという気はいたしておりますが、将来の課題としては非常に重要だろう。

 ただ、日本でも、少年院での老人ホームの慰問とか、先ほど申し上げたような免許の停止者に対する、これは極めて短時間ですけれども、そういう交通安全にかかわるようなボランティアをしてもらうというのは二、三年前に導入されたわけですので、今後、やはりそういう取り組みが広がっていくことを期待したいと思っております。

井上哲士君

 もう一点、川本参考人にお伺いしますが、やはりイギリスの刑罰として運転免許剥奪というのが行われているということも論文で書かれておりましたが、この内容と効果、それから日本で導入するとすれば、その功罪あたりについてお話をお願いします。

参考人(川本哲郎君)

 これも、我が国とイギリスの大きな違いは、やはり運転資格の剥奪が刑事罰であるということです。先ほど申し上げたように、我が国の場合の運転資格の剥奪は、これは行政処分ですので、そこが非常に大きな違いだろうということです。

 私個人としてはもう随分以前から、運転資格の剥奪を刑事罰として取り入れて運用してはどうかと。実際に運転者の方も、免許の剥奪というのは非常に威嚇効果があると。免許の剥奪と罰金を比べても、威嚇効果というのはむしろ運転資格の剥奪の方が大きいかもわからないという結果も出ておりますので、それは検討に値するのではないかと思っておりますし、さらに一つつけ加えますと、イギリスではいろんな提案が出てくるわけですけれども、車両の使用禁止とか、そういうような処分というのもあり得るわけでして、つまり自分の自宅のガレージに車を置いている場合でもチェーンとかをつけて運転させないようにする、そういうようなことも考えられるので、もう少し、私個人としたら、制裁の幅を広げるというか、多様性というのを考えていただきたいと思っております。

井上哲士君

 再び井上参考人にお伺いしますが、今、川本参考人からも交通安全教育のことが述べられましたけれども、この法改正されるであろうことを受けまして、交通安全教育の面で強化、改善をすべき方向についてお考えがありましたらお願いをします。

参考人(井上郁美君)

 もはや、子供たちだけに対して交通安全教育を施す時代はもう終わっていると思うんです。私たちの事故の場合でもそうでしたが、近年はやはり大人が悪意を持って重大なルール違反をしてしまったあげくに重大な結果を引き起こす、死傷事故に至っているという、そういうケースが多くなっているのではないかと。何十年も車の運転をしているがゆえに生じてしまった、そういう甘い認識、そういうふうなものに対して、単に五年に一度、三年に一度の運転免許の更新の際のビデオを三十分見る、そのような教育では全然不十分ではないかと思うんです。

 やはり、つらいことではありますが、例えば私たち被害者や遺族の話を直接、そういう重大な事故を起こした人たちに対して直接話をさせて、真摯に聞いていただくとか、あるいは、やはりいろいろな痛みを伴った処罰がなければ今後も、たとえ受刑した後再びハンドルを握ったとしても、やはり交通事故というものを甘く見続けてしまうんではないか、再犯をしてしまうのではないかというおそれがぬぐえません。

井上哲士君

 ありがとうございました。

 終わります。


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