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2004年11月9日(火)

法務委員会
「民法の一部改正案」と「債権譲渡の対抗要件に関する民法の特例等に関する法律の一部改正案」(質疑終局まで)

  • 不動産に加えて生産設備や在庫品など会社の動産を担保とし、さらに入居者未定ビルの将来の賃料なども債権譲渡担保とすることは、倒産時に労働者への配当原資として残る財産がなくなることや金融機関が財産を根こそぎ回収する手段となりかねないと批判。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 法案に入る前に、大臣に一点、一言お聞きしたいことがございます。先日、千葉委員からも強い指摘のありました学生無年金障害の訴訟の問題です。

 二十八日に新潟地裁で国に責任があるという厳しい判決が下りました。昨日も原告の方が国会を回っておられまして、私も直接お会いをいたしました。もうこれ以上苦しめてほしくないと、是非控訴しないでほしい、そして一刻も早い救済の法律を作ってほしいという要請がありました。

 千葉委員からの要請があって数日たちましたし、期日はあと二日後に迫っております。相当前向きの検討が進んでいると私は確信をしておるんですけれども、大臣から一言お願いをいたします。

国務大臣(南野知惠子君)

 御指摘のとおり、千葉委員からも御報告をお聞きし、私もいろいろと考えたりいたしておりましたが、今お尋ねの控訴するかどうかということにつきましては、関係機関と協議を重ねております。そして、協議の結果を踏まえて適切に判断していきたいということが御返事でございます。


委員長(渡辺孝男君)

 委員の異動について御報告いたします。

 本日、尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として秋元司君が選任されました。


井上哲士君

 是非前向きな結果が出ることを強く期待をしておきます。

 では、債権譲渡特例法について質問をいたします。

 先ほど、登記についてどの程度まで特定する必要があるのかということについては答弁がございました。この特例法ができてから政府系の金融機関が実際登記を行った例を見ましても、店頭在庫のすべてを動産譲渡担保の目的にしたというようなケースもあります。こういうものまで登記が認めることになりますと、債務者の財産がほとんど際限なく根こそぎ担保に取られるという事例が相次ぎかねないと思うんですね。

 法制審の議論の、あっ、失礼しました、中間試案の補足説明で、動産譲渡登記制度における動産の特定の仕方によっては、債務者の財産が広く担保権者によって捕捉されてしまうこととなり、労働債権を始めとする無担保債権の引当財産を圧迫し、あるいは過剰担保としての動産の担保価値の有効利用を阻害するおそれがあると、こういう指摘がされているわけですが、こういう懸念、指摘というものが、この動産の特定の仕方を定めるに当たり、どういうふうに考慮をされていくんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 例えば特定ということだけで言いますと、譲渡人の持っている動産一切ということでも特定はできてしまうわけですね。正にそういう包括的な特定を許しますと、その持っているものすべてがなってしまう。すべてといったときにその評価が適切にされるかというと、これもまた心配でございます。したがいまして、やはりそういった過度に包括的な譲渡担保の設定あるいは過剰担保になりかねないという、そういうことを避けるためには、集合動産として登記をするにしても、それなりの特定の仕方を要求する必要があると。

 こういうことから、今回の集合動産の登記事項といたしましては、動産の名称、種類、それから保管場所の所在地及び名称と、こういったものを要求することによりまして、それなりの固まりのものに限ると。債務者、あっ、失礼、債務者といいますか譲渡人が持っている動産一切だというような、過度に広範な譲渡登記は許さないと。こういうこととしたわけでございます。

井上哲士君

 今日も朝から繰り返し、根こそぎ譲渡登記によって財産が取られて労働債権の原資がなくなるんじゃないかという、こういう懸念の声が出ました。

 例えば、少なくとも会社財産に軽微とは言えない影響を与えるような登記をする場合には、労働組合なり労働者の代表の同意を必要とすると、こういうことも考えられるんではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 先ほど来お答え申し上げておりますように、確かに労働債権に影響を与えるということは否定し難いわけではございますが、ただ同時に、融資等というのは企業にとって極めて重要な事項で、しかも迅速に行わなければならない場合があるということを考えますと、そういったものにつきまして労働組合等の同意を要求するということはなかなか困難ではないかと。

 例えば、ぎりぎりの状況になった破産法等においても、営業譲渡等について労働組合の意見を聴くというような制度は設けておりますが、更にそれより進んで、個々の財産の譲渡についてそういう制度は設けておりませんし、やはりそれは難しいのではないかと、こう思っております。

井上哲士君

 倒産した企業が再生をしていくという局面を考えますと、例えば小売業では、この在庫を切らさないようにして商売を続けて日銭を稼いでいくと。中には経営者がいなくなって労働組合が自主管理をして再建をしていくというようなこともあるわけです。

 今回の法案で、しかし在庫であるとか様々な機械、こういうものが動産譲渡担保として取られていくということになりますと、そういう企業再生というのは非常に困難になっていくんではないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 実際に企業再生に携わっている方々に聞きますと、譲渡担保に取られ、例えば在庫商品等を譲渡担保に取られている場合、現状においては、譲渡担保に取った人にとっても必ずしも有利に換価できる流通市場が整備されていないということもあって、その譲渡担保権者も、再生の試みがなされるのであればそれに協力をしてその収益の中から弁済を受けるという方が最終的に有利になると。こういうことを踏まえて、別除権協定のようなものを結びまして、それでその自己が譲渡担保に取った在庫品等を利用して再生のための企業活動を行うことを認めると。こういうことが一般的だと。こういう具合に言われておりますので、御指摘のような場合は、よほど特殊な事情がなければそういう形で協力をしてもらえるのではないかと、こう思っております。

井上哲士君

 そうしますと、朝からの議論で、そういう動産などを売り払ういろんなマーケットなどが今後整備をされていくだろうと、こういうお話でしたよね。それが可能になりますと、今の御答弁とは違うようなむしろ事態が出てくるんじゃないですか。

政府参考人(房村精一君)

 それは正に再生計画の内容いかんによるのではないかと。流通市場で処分するよりも、通常は在庫品等はその商品ルートに乗っている場合の方が価値が高いのが一般でございます。

 したがいまして、適切な再生計画が策定されて、その再生のために在庫品等が利用されるのであれば、それを、流通市場が他に整備されたとしても、別途の流通過程に乗せるよりも普通は譲渡担保権者にとっても利益が多いのではないか、また、そういうその適切な再生計画の策定ができなければ企業の再生そのものが難しいのではないかと、こういう具合には思います。

井上哲士君

 そうしますと、この間の一連の倒産法制の改正の流れにどう位置付けるかということになるわけですが、この間のこの整備というのは、やはり再生可能なものをどう応援をするかということがテーマだったと思うんですね。

 そのことの関係と今回のこの法案というのはどう位置付けられるんでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 この倒産法制を見直すに当たりまして心掛けてまいりましたのは、再生可能なものはできる限り早期に再生に着手していただいて、企業価値を存続させるということでございます。

 そういう観点からいたしますと、例えば今回の動産譲渡担保等について見ますと、まず再生に着手したときに再生企業が最も難しいと思っているのは新たな融資を得ることでございます。DIPファイナンスということでそれが重視されておりますけれども、なかなか融資が得られない。その担保として、現在やはり比較的利用されていない在庫商品等を再生のためにまず使いたいと、そのための枠組みが欲しいということは、実は企業再生の研究会等でも提言をされておりまして、そういう意味でいいますと、早期に企業再生を図るという観点からしますと、このような新たな融資制度を設けるということは、再生のための武器を一つ増やすことになるだろうと、こう思っております。

 それからもう一つは、先ほども申し上げましたが、動産等についての融資ということになりますと、融資する側も絶えずその収益状況を着目していなければなりません。したがいまして、企業に変調が生じた場合には直ちにその再建のための方策を、融資をした者と融資を受けた者とで協議ができると、こういうメリットがあります。従来の抵当権等の不動産融資あるいは保証人融資ですと、いよいよ企業が駄目になってしまってからおもむろにということが多かったように言われておりますけれども、その点が、そういう意味では早くからの再生に資するという機能もこの動産融資というのは果たすのではないかと、こういう指摘が研究会等でされております。

井上哲士君

 法律が可決したとすれば、その下で労働組合がどう権利を守っていくのかといういろんな知恵を出すことも必要かと思うんですが、例えば労働債権に基づいて労働組合の側がこの動産譲渡登記をしたり債権譲渡登記をすると、これは可能だということですかね。

政府参考人(房村精一君)

 労働債権を持っている側が、者がこの動産譲渡登記を利用することはもちろん可能でございます。

井上哲士君

 それから、これは滋賀県のある労働組合が債権譲渡登記や破産を乗り越えて退職金一三〇%確保したというレポートを読んだんですが、この場合はですね、既に債権譲渡登記がされていたと、その下でその先取特権に基づいて労働組合が差押えをして、その下で交渉をして、その結果、そういう退職金一三〇%確保したということなわけですが、こういうやり方ということはですね、この法改正後も引き続き可能になっていくと、これはよろしいでしょうか。

政府参考人(房村精一君)

 それは、もちろん譲渡登記がされた後でも差押えは可能でございますし、またその譲渡が詐害行為取消しあるいは否認権で否定される可能性も十分あるわけでございますので、そういう実益もあるのではないかと、こう思っています。

井上哲士君

 以上、質問は終わりますけれども、既に朝から再三指摘がありましたように、やはり今の本当に厳しい状況の中で労働債権というものがしっかり確保されていくということについては、早急に研究会も立ち上げるという御答弁でありましたけれども、是非早めの検討を強く求めまして、質問を終わります。


井上哲士君

 債権譲渡特例法改正案に反対の討論を行います。

 反対の第一の理由は、本法案が、会社が倒産した場合に一定の責任を負うべき金融機関の融資回収可能性を高める一方で、担保を取ることのできない労働者などの利益を害することになるからです。

 本法案は、不動産等これまで担保とされたものに加え、動産や債務者の特定しない将来債権の担保提供の促進を目的とするものです。これでは、倒産時に労働者などへの配当原資として会社に残る財産はほとんどなくなり、特に賃金以外に収入を持たない労働者にとって過酷な結果となります。担保権に優先するスーパー先取特権などと一緒でなければ認められません。

 反対の第二の理由は、本法案が新たな融資提供の促進どころか、資金回収・保全の手段として使われ、金融機関が財産を根こそぎ回収する手段として使われかねないからです。債権譲渡登記制度は、倒産し掛けた企業からの資金回収手段として乱用されていると指摘されていますが、本法案によってこのようなやり方が拡大しかねません。また、一部の企業で融資の可能性が広がる可能性もありますが、全体として貸し渋りに苦しむ中小企業への新規・追加融資につながるとは言えないからであります。

 反対の第三の理由は、本法案によって事業用動産の担保提供が広がりますが、倒産時に会社が経営を続けるために活用できるものがなくなってしまい、民事再生、会社更生など、再生型倒産処理の支障になりかねないからであります。

 民法改正案は、極度額の決め方のルールがない、保証人からの元本確定請求権、貸手の説明義務がないなど不十分な面はありますが、包括根保証を禁止するなど根保証について全く規制のない現状を前進させるものであり、賛成であります。

 以上です。


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