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2012年7月10日(火)

予算委員会

  • 大飯はじめほとんどの原発が07年の新潟中越沖地震級の揺れが来ると炉心溶融に至ることを示し追及。専門家が指摘する大飯原発内の破砕帯の活断層調査を求めました。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 空前の規模になった官邸前での毎週金曜日の原発再稼働反対のデモについて、今総理は受け止めなければならないと答えられました。しかし、問題はどうこたえるかなんですね。総理、どうこたえるんですか、あの声に。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 官邸周辺におけるデモをされている皆様の声もあります。そのほか様々な多様な声を私どもいただいております。

 そういう国民の声も踏まえながら、再稼働の問題についてはもう一定の判断をさせていただきましたけれども、これから、いわゆるエネ環において三つの選択肢、二〇三〇年までに原発の依存度をどれぐらいにするかという議論、そういうものを含めて国民的な議論というものを注視をしていきたいと思いますし、むしろ喚起をしながら方向性を導き出していきたいと考えております。

井上哲士君

 官邸前の再稼働をやめろという声にはこたえるという言葉はありませんでした。

 総理は、福島原発事故について地震による損傷はなかったという立場で大飯の原発の再稼働を進めてこられました。ところが、国会の事故調は、具体的例を列挙して、福島で安全上重要な機器の地震による損傷がないとは確定的には言えないと、こう書いたわけですね。そうすると、まさに再稼働の根拠が崩れたんじゃないですか。総理。

国務大臣(枝野幸男君=経済産業大臣)

 先ほどもお答えをしましたが、地震による損傷がないという認識をしているものではありません。安全上重要な主要な設備について、地震及び地震直後において微少な漏えいが生じるような損傷が主要な設備に生じたかについてまでは現時点で確かなことは言えないが、安全機能を保持できる状態にあったものと推定をしているというのが政府のこれまでの見解でございますが、先ほども申しましたとおり、安全にこれで絶対という上限はありません。

 今回、事故調査委員会から提言がなされております。これは技術的なことでございますので、政治家が一義的にまずどうこう判断するよりも、今回の提言を、専門的にどういう具体的な提起をされているのか調査分析をさせていただき、必要があればしっかりと取り入れてまいりたいと考えております。

井上哲士君

 そういう津波主因論自身をこの報告書は批判しているんです。そして、なぜそういう声が出るのかと。東電に既設炉への、他の原発への影響を最小化しようという考えがあるように見えると、こう指摘しているんですね。私、こういう立場に政府も立っているから地震対策が非常にいいかげんになっていると思うんですね。

 三・一一を受けて、大飯原発で予想される最大の地震の揺れ、基準地震動というのは見直したんでしょうか。

国務大臣(枝野幸男君)

 大飯原発についての設置当初の基準地震動は四百五ガルでございました。平成十八年九月の耐震設計審査指針の改訂を受けて、これを六百ガルに引き上げました。それから、その後耐震バックチェックを経て、平成二十一年三月、七百ガル、これは断層の連動も考慮すべきということで七百ガルに見直しております。

 そして、東日本大震災によって得られた知見を踏まえ、今年一月に全ての原子力発電所に対して、これまで連動する可能性がないと判定した全原子力発電所周辺の活断層について再評価するよう求め、これに基づき評価をしたところでございますが、これによって見直す必要はないというのが、これ公開の専門家による意見聴取会において評価を受けているところでございます。

井上哲士君

 つまり、福島の事故を受けても基準地震動は見直しておらぬということなんですね。福島原発並みの地震が来ても大丈夫だと言いますけれども、三・一一を踏まえたら、一体どういう地震が起き得るのかということが今求められているわけですね。

 福井の県知事が大飯原発の再稼働容認に際して八項目の要求しておりますが、その中に日本海側の地震、津波の調査というのがありますが、これはいつからどのように行うんでしょうか。

国務大臣(平野博文君=文部科学大臣)

 六月に福井県知事の方から御要請がございました。今日まで、特に海域断層の調査を含む日本海側における地震、津波と、こういうことでの要請を受けておりまして、文科省としても、東日本大震災を踏まえて、日本海溝や南海トラフにおける調査の観測の充実を今行っております。特に今回そういう御要請を受けましたので、二十五年度の予算から実施をしてまいりたいと、かように思っております。特に、日本海、西の領域と、こういうこともございましたので、そういう観点でそういう対応をいたしたいと思っております。

井上哲士君

 来年度予算から始めるということなんですね。

 じゃ、これまでどんな地震が一体あったのか。二〇〇七年の中越沖地震では、柏崎刈羽原発の基準地震動の四百五十ガルの四倍近い千六百九十九ガルもの揺れを観測をいたしました。幸い、これ、炉心溶融には至りませんでしたけれども、三千七百件を超える事故や故障が発生をしました。この地震のマグニチュードは六・八でありますから、マグニチュード九・〇の三・一一の地震の数千分の一なんですね。それでも震源によるとこれだけの大きな揺れができるわけであります。

 気象庁、来ていただいておりますが、マグニチュード六から七・九クラスの地震というのは、日本とその周辺ではどのぐらい発生しているんでしょうか。

政府参考人(羽鳥光彦君=気象庁)

 お答えします。

 日本とその周辺の地域における最近の地震の発生状況でございますが、平成十三年から平成二十二年度までの十年間について見ますと、年平均して約十九回、マグニチュード六以上の地震は発生してございます。

 一方、平成二十三年におきましては、三月十一日の東日本大震災、東北地方太平洋沖地震が発生してございまして、これに伴う余震活動あるいは周辺における活動が活発化しておりまして、一年間のマグニチュード六以上の地震の回数は百十六回ということになってございます。

 以上でございます。

井上哲士君

 平均でも約年二十回。そして、昨年は百十六回ということでありました。

 では、日本では、この場所は大きな地震が絶対に起きないと言える場所はあるんでしょうか。

政府参考人(羽鳥光彦君)

 お答えをいたします。

 日本は、プレート境界やその周辺で地震が発生しやすい地理的環境にございます。このため、小さな地震も含めれば、一般論としては全国どこでも地震が発生するものと考えてございます。

 以上でございます。

井上哲士君

 この場所は大きな地震が絶対ありませんと、そういうことが言えますか。

政府参考人(羽鳥光彦君)

 そのようなことを言うことは、科学技術的には難しいと考えてございます。日本の場合は、どこで発生してもというところで、日ごろから気象庁では一般の方々に注意を喚起し、常日ごろの備えをお願いしているところでございます。

 以上です。

井上哲士君

 どこでも大きな地震が発生し得る、これが地震大国日本なんですね。そういう中で原発の安全をどう考えるのかと。

 国会事故調委員を務めた石橋克彦神戸大名誉教授は、過去に原発で観測された最大加速度、つまり柏崎刈羽で発生した千六百九十九ガルを考慮すべきだと、こう言われております。

 そこで、この揺れでほかの原発がどうなるのか調べてみました。(資料提示)

 ストレステスト提出済みの原発で調べますと、全ての原発で炉心溶融に至る限界点を超えるんですね、千六百九十九ガル。大飯原発三、四号機でいいますと、柏崎刈羽の一号機が受けた四分の三の揺れ、千二百六十ガルで限界点を超えてしまいます。

 大飯原発でこういう地震がないと断言できるんでしょうか。

国務大臣(枝野幸男君)

 まさに技術的な問題でございますので、私が御答弁申し上げるのが適切かどうかはともかくとして、現時点の私どもが認識をしている見解としては、施設の耐震設計の基準となる基準地震動は、発電所ごとに敷地周辺の活断層などの地下構造の特性や過去に起きた地震の規模など、地域ごとの条件を踏まえて策定をされております。

 そして、柏崎刈羽の地下構造は、発電所直下の浅い部分の堆積層が、これ褶曲というそうですが、複雑に曲がっており、周辺の地下構造が厚い堆積層、これは軟らかい岩に覆われていると。一方、大飯原発の地下構造は、発電所直下には柏崎刈羽のような褶曲、複雑に曲がっているという地層が見られない、敷地周辺の地下構造も火山岩という硬い岩に覆われていると。

 こうしたことを専門家の皆さんが分析をされて、なおかつ中越沖地震の知見も踏まえて、七百ガルが基準地震動であり、これを一・八倍超える千二百六十ガルまで耐えられるということになっております。

 ただ、今せっかくの御指摘でございますので、今の御指摘については保安院の専門家のところにしっかりと伝えまして、今のような見解をどのように受け止めて、対応する必要があるのかないのか、これはしっかりとチェックをさせたいと思います。

井上哲士君

 柏崎刈羽の場合も、中越沖地震の後で、こういう断層があったとか、これは過小評価だったと、次々と分かったんですよ、地震が起きた後で。これはほかの、今全国の原発の周辺でも直下の活断層などが次々と明らかになっております。そして、日本海側については来年度から研究を始めるという文部科学省の答弁があったわけですね。

 そういう下で、なぜそういうことが大飯では起きないと言えるのか。これは新しい、総理、安全神話じゃないですか。総理、いかがですか。

国務大臣(枝野幸男君)

 この間、三・一一の原発事故を受けて、様々な可能性を想定しながら、それについて専門家の皆さんに検証をいただき、そしてストレステストによってそれに耐え得るのかということについての検証を進めてきたところでございます。

 同時に、安全神話に陥ってはいけないということで、先ほど来申し上げておりますように、新たな知見の可能性のある御指摘を受けたことについては、全てしっかりと真摯に、新しい知見として取り組む必要があるのかどうかはできるだけ公開の場でチェックをさせていただきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 来年度から研究を始めると言っているのに、なぜ判断ができるのかと。それを受けて判断するべきじゃないですか、それでなければ安全神話じゃないですかと。総理、答えてください。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 これまでの安全対策や知見踏まえた中での今のレベルの中では、一番知恵を尽くした中での安全性のチェックをするということであって、新たな知見が生まれれば、それをしっかりとまた踏まえた対応をしていくということで乗り越えていきたいというふうに思います。

井上哲士君

 三・一一でこれまでの想定をはるかに超えた地震が起きたんです。そして、それによって日本列島の地殻が変わっていると言っているんですよ。それを全然踏まえていないじゃないですか。どこが新たな知見なんですか。

 私は、そういう態度が、地震対策のいいかげんさが、今この大飯原発の敷地内にあるこの断層、F―6破砕帯の問題でも表れていると思うんですね。この断層は、重要構造物である非常用水の取水路を横切っております。もし活断層であるならば、地震で地表にずれが生じると、施設に重大な影響を与える危険があって、稼働などとてもできないはずでありますが、専門家がその調査をしろと言ったのを無視して再稼働いたしました。今からでも再稼働を中止して、調査すべきじゃないですか。

国務大臣(枝野幸男君)

 これは何度も御説明申し上げてきているんですけれども、今回、渡辺先生とおっしゃるようですが、御指摘をされているのは、昭和六十二年にこの大飯原発を設置をするときに地質について調査をしたときの残っているスケッチを基に、破砕帯が活断層である可能性があるのではないかという指摘をされているわけでありますが、当時、昭和六十二年の時点からそのスケッチを使って、それも踏まえて活断層であるかどうかということをチェックをして、そして活断層ではないということを評価をして現在に至っているものでございまして、そうした意味では何か新しい知見が出てきたということではなくて、かつてしっかりと確認したことについて改めて指摘を受けているということでございますが、せっかくの御指摘をいただいておりますので、次回には当時の資料、前回は残念ながら間に合いませんでしたので、関西電力からも最大限全部提出させた上で、公開の場での意見聴取会において、果たして本当に新たな知見と言えないのかどうかということについてはしっかりと確認をさせていただきたいと思っております。

井上哲士君

 新しい知見かどうかではなくて、活断層かどうかが問題なんですよ。当時のその評価が間違っていたんじゃないかということを専門家が具体的根拠を持って示しているのに、何で再調査しないんですか。再調査すればすぐできるじゃないですか。なぜできないんですか。

国務大臣(枝野幸男君)

 当時のものが間違っていたということの具体的な根拠を示して指摘をされているのかどうかは、これは専門家ではないので私評価できません。したがって、専門家による公開の場においてそれについて確認をさせていただくことは、これはしっかりとやらせていただくということを申し上げております。

井上哲士君

 あの敦賀原発でも二〇〇八年にこの研究者の皆さんがこの活断層の可能性を指摘しておりました。そして、結局今になってこれを保安院が調査しているんですね。ですから、私は、こういう指摘がある以上、きちっとまず再調査をするべきだと、それなしに再稼働などはあるべきでないと思うんですね。福島の事故の収束も尽くされない、そして三・一一を踏まえて大飯がどのような地震が襲うかという根本的な見直しもない、そして事故の際の避難の計画もないと、こういう下で絶対に再稼働があるべきではなかった。私は、今からでも中止をして、そしてこういう断層の再調査すべきだと思いますが、最後、総理、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(野田佳彦君)

 先ほどの新たな活断層かどうかという話については、これは公開の場で専門家の議論を待つということでございまして、私はその大臣の姿勢でいいかと思います。それを踏まえての議論はあるかもしれませんが、現時点において再稼働について再考するということは考えておりません。

井上哲士君

 調査が終わるまで再稼働を止めるべきだと思います。

 終わります。


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