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2002 6 月 29 日付 米軍機関紙「星条旗」太平洋版

ステーキが大問題に 横須賀刑務所の米兵受刑者
―他の受刑者より食事優遇―日本憤慨
日本の役人 米兵受刑者のぜいたくな食事にうんざり

2002 年 6 月 27 日 星条旗太平洋版記者
千田ひろし ウェイン・スペット記

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 横須賀刑務所の米兵受刑者の食事の厚遇問題がまた国会で論議になっている。

 戦後、合衆国と日本は協定を結び、横須賀海軍基地近隣の神奈川県にある施設の米国人受刑者は基本的な福利は保証されることになっている。

 同協定は、在日米軍が米兵受刑者に食事を提供することとしており、米兵へのこの長期の慣行が特別扱いと非難の的となっている。

 5 年前に、日本共産党の参議院議員緒方靖夫氏が、米国人受刑者が食事を厚遇されている問題を批判した際、法務省は改善を約束した。

 今回は、同じく日本共産党の井上哲士参議院議員が同問題を取り上げ、法務大臣に質問した。井上議員は、米国人受刑者が日本人受刑者より 1 日あたりの摂取カロリーが高い食事をとっていると批判した。

 「米兵受刑者は、基地で食べている食事と同じ物を刑務所でも食べている」

 井上議員はステーキ、ケーキ、果物、コーヒー、牛乳などを例に挙げた。

 「日本の受刑者には、ステーキは与えられないし、お菓子は祝日のみ、果物は 10 日に一度だ」

 法務省矯正局の松村けんいち氏によると、監獄法では、受刑者が同一の食事をとるという規定はないという。松村氏は「しかしながら、どの国の受刑者も一般的には、同じ食事を与えるのが普通。日本の刑務所で、外国人受刑者が日本人受刑者よりランクが高い食事が与えられるのは正当ではない」と言う。

 法務省矯正局局長の鶴田六郎氏は、法務省が在日米軍に対し、受刑者への食事の量や種類を減らすように伝えていると述べた。「法務省はこれを最終的には廃止するよう求めているが、いまだ決着していない」

 森山真弓法務大臣も、井上議員へ転換を求めると答弁した。

 「在日米軍の米軍関係受刑者に対する補充食料の提供は最終的には廃止するのが望ましい。しかしながら、これは何十年も続いてきた制度なので、即座に廃止はむずかしい。日本政府は、米国と交渉して問題の改善をはかりたい」

 この問題での政府間交渉は予定されていない。

 先月、外務省北米局長の藤崎一郎氏は、「米国人受刑者は 1950 年の日米合同委員会の合意により、食事の提供を受けることができる」と言った。

 「協定では、拘禁中の軍人に対しては、習慣の違いなど特別に配慮する点を日米双方合意している」藤崎氏は、米兵受刑者への特別の取扱いは適切だと述べた。

 横須賀基地の海軍中佐クリストファー・モーリン氏は、地位協定に言及しながら次のように述べた。「米海軍は 1955 年以降、日本の地方刑務所で受刑している米兵受刑者に対して、食事を提供してきた。どの受刑者も 1 日 3 食、1 週間毎日食事が提供されている」

 「地位協定の下で、受刑者は食事を提供されているし、横須賀海軍基地として米兵受刑者の食事、健康などに責任を持たねばならない。」

 モーリン氏によれば、受刑者の食事は横須賀基地の食糧供給部から提供されるもので、法的には一定の条件の下で、刑務所の管理者を通じて受刑者へ直接支給することは許可されていると言う。

 法務省矯正局の青山じゅん氏は、横須賀刑務所以外では、数少ないイスラム教やヒンズー教徒の受刑者がいる刑務所もあるが、日本政府が準備した食事をとっていると述べ、

 在日米軍が受刑者に食事を提供できない場合、日本側が刑務所の予算内で適切な食事を準備せねばならないとのことである。

 また、青山氏によれば、横須賀刑務所の受刑者約 200 人中 20 人は米軍要員であり、同刑務所は重罪の米兵受刑者が監禁される日本唯一の施設であるという。

 同刑務所の米軍受刑者の 1 人は、殺人罪で終身刑を受け、約 10 年間拘禁されている。

 また、他にも 12 歳の沖縄の少女を暴行した 3 人の海兵隊員も服役している。同事件は 95 年に沖縄で起こり、日本列島を激怒させ、大きな反米運動へと駆り立てた。

 刑務所監督責任者の小野田悟氏は、米国人受刑者への特別扱いに関して、日本人受刑者から不満の声は上がっていないという。在日米軍は隔週ごとに受刑者へ食事を提供する。米国人受刑者は日本人とは別の場所で食事をとっている。

 米側の刑務所関係者との月に一度の会合では、必ず食事の厚遇問題が議題に上がるが、

 毎回、研究課題として棚上げにされるという。

 外務省地位協定課の次長、山路ひであき氏は、先月こう述べた。「日本と米側の政府関係者は外交レベルではまだ(米兵受刑者の厚遇問題を)議論していない」

 小野田氏は、今週の水曜日(6 月 26 日)にこう述べた「受刑者の食事の問題は、4 月と 5 月の間に米軍関係者の代表との話の中で触れられたが、打開は困難なようだ。結論を出すのは難しい。米軍の意向をくんだり、他の刑務所と比較すると問題は複雑になる。横須賀刑務所だけが例外ではないはずだ。」



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