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2002 年 6 月 28 日

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
あっせん利得処罰法改正案を批判

  • あっせん利得処罰法改正案が政党支部など第三者への見返りを処罰しないとしている点を批判。
  • 野党提案を受け、第三者供与に処罰規定を設けるよう要求。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 鈴木宗男議員の逮捕という新しい事態の下で本院にこの法案が回ってまいりました。そして、本院では、その長であった井上元議員の秘書にかかわる疑獄による辞職という憲政史上初めての事態も起きているわけでありまして、この政治と金をめぐる問題にどう国会が自浄能力を発揮をするのか、口利きをめぐるすさまじい金の動きにどうメスを入れるのか、大きな国民の関心が、注目が集まっている。もし小手先の対応で終わって同じような事件を繰り返すようなことがありますと、これは本当に政治への信頼がいよいよ根底から崩れると思います。そういう点で、このあっせん利得処罰法の強化について本当に実効ある改正をする、そのための審議が本委員会に求められていると思っております。

 その上で、まず与党提案者にお聞きをいたします。

 現行法ができたときに与党は、百点満点の法案だと言われておりました。成立したときの公明新聞を見ておりますと、「公明が与党をリード」と書きまして、神崎代表は、日本の政治の質を変える画期的法律と言われております。そして、冬柴幹事長は、完璧と言える法案だ、必ず政治浄化につながっていくと力説をされております。しかし、その後、この法律の適用は一件のみでありますし、一連の不祥事に国民の批判が集まっていると。

 公明党の提案者にお聞きいたしますが、この一年間で政治の質が変わり政治浄化が進んだと、こういう認識でしょうか。

衆議院議員(西博義君)

 お答え申し上げます。

 本法が施行されて約一年余りですか、一年余り、適用が少ないと。確かに、先ほどから御議論のとおり、私の地元、和歌山県の橋本市の市会議員の一件ということでございます。そういうことから、あっせん行為を行うことについて一定の私は抑止効果があるんではないかというふうに認識をしております。

 以前の議論のときにも、この法律ができることによって一件もないことを祈ると、こういう質問者のお話もありましたが、どう見るかということは双方の考え方だと思います。そういう意味で、政治の質を変える、政界浄化につながる、こういう流れを作るための一定の役割をこの法律は果たしてきたと、こう考えております。

 一方、適用事例がわずかながらあったと。これは、それもまたいろいろ評価があると思いますが、全く実効性がないというふうに先ほどから野党側の皆さん方おっしゃっているように見受けられますけれども、その実効性が担保されているからこそ適用もされるわけでございまして、今回の改正と相まって今後更に政治の質が変化し、また政治の浄化に大きな役割を果たしていくものだと、こういうふうに考えるものでございます。

井上哲士君

 国民の皆さんが今、このすさまじいばかりのこの間の金と政治の問題をめぐるまなざしと今の御答弁は随分差があるなということを思いながら私は聞きました。

 ただ、衆議院でこのあっせん利得法改正案が通過をしたときの公明新聞を見ておりますと、「「政治とカネ」改革の第一歩」という見出しが付いております。新たな一歩じゃないんですね、第一歩。ということは、この一年間、ずっと足踏みをしていたということを図らずも認められたのかなと思って私はこの見出しを読みました。結局、足踏みをせざるを得なかったような法律であったと私は思うんです。

 今回の与党の改正案で私設秘書をその対象に加えた、そのこと自体は当然だと思います。ただ、当時、例えばこの私設秘書を加えない理由として、構成要件を明確にしなければ日本の国家の基本が崩れてしまうと、こう述べられましたし、私設秘書を除外した理念は、これは憲法上の要請だと、こういう答弁もされました。与党の皆さんの憲法というのは実に軽いんだなと思って私、聞いたんですが、今回、私設秘書を対象に加える、これは結構ですが、また同じように、先ほど来ありますように、言わば改正をまた近日中にやるというようなことを繰り返してはならぬと思うんです。

 本当に国民の信頼を得るということであるならば、今回野党が提案している法案にも、そして国民の声に真摯に耳を傾けて修正にも応じていくべきだと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

衆議院議員(亀井久興君)

 先ほど他の委員に対する御答弁にもあったことでございますけれども、今回、私どもいろいろな検討を十分にいたした中で特に留意いたしました最大のポイント、今、委員は憲法上の要請ということを前回述べたではないかということでございましたけれども、憲法上の要請という意味は、私どもが推察をいたしますのに、罪刑法定主義という、それが憲法上の要請であろうという、そういう趣旨で前回の審議の際に御答弁があったのではないかと、そのように考えているところでございまして、そのことについては何ら今回基本的な考え方が変わっているものではございません。

 したがいまして、犯罪の構成要件を明確にしていくという、そのことについて十分な議論をいたしたところでございまして、公設秘書に前回は限定をしていたわけでございますが、それはやはり公設秘書の身分というものが法律上明確にされているという、そのことから公設秘書に限定をしたところでございまして、私ども、現在においてもやはりその犯罪主体の中核が公設秘書であるという、その基本的な考え方は変わっていないわけでございます。

 さはさりながら、先ほど来の御議論にありますように、現在の政治に対する国民の不信が増大をし、著しいそうした国民の不信の下で政治が揺らいでいるというその状況を考えてみましたときに、公設秘書と私設秘書との区別というものが国民の側から見てみればなかなか明確ではないという、そういうこともあるわけでございますし、また政治活動を補佐をしているという、そうした点から申しましても同様であろうということで私設秘書に拡大をすべきではないかという、そういう結論に達したわけでございますが、あくまでも基本的な考え方というものは現在においても変わっていないということでございます。

 したがいまして、野党の皆様方から様々な御提案があること、十分に承知をいたしておりますし、そのことについても十分な検討は議論の中でいたしたところでございますけれども、私どもといたしましては、今申し上げました考え方に沿って改正案を提案をさせていただいた、かようなことでございます。

井上哲士君

 前回、私設秘書を野党が入れることを主張しながら入れなかったことへの反省は聞こえてまいりませんでした。反省ないところに改革はないと私は思います。

 今回、与党は法案の趣旨説明で、最近の国会議員の私設秘書等による一連の不祥事に端を発する政治不信を最大限に受け止め、政治に対する国民の信頼を回復するためと述べられております。じゃ、その私設秘書を対象に加えるというだけで本当に金権政治の根絶につながり国民の信頼回復ができるのか、このことが今問われていると思います。

 そこで、第三者供与の問題についてお聞きをいたします。

 鈴木宗男氏が逮捕されまして、政治献金として届けられた資金であっても賄賂として認定をされた、非常に画期的だということで注目をされておりますが、逆に言いますと、この政治献金として届けられたものを認定するのには様々な困難があるということの裏返しかと思います。

 今、政治資金規正法が変わりまして、企業からの献金を受けることができるのは、もう政党だけということになりました。ですから、企業からあっせんの依頼を受けてその企業から政治献金を受け取ったとしますと、すべて政党に入るということになるわけです。ところが、現行法には、この第三者供与の処罰する規定がありませんですから、請託も立証されている、そしてあっせんの対価だということもはっきりしている、そういうお金であっても、例えば政党支部に献金として入ったということになりますと、非常に処罰が困難ということになるかと思うんです。第三者供与規定を設けるべきだと思うんですが、その点いかがでしょうか。

衆議院議員(亀井久興君)

 公職にある者の政治活動の廉潔性とこれに対する国民の信頼という本法の保護法益を保護するためには、国民の政治不信を招くような行為、すなわち実質的に公職にある者など、本人があっせん行為の報酬たる財産上の利益を収受した場合、そういった場合にのみ処罰をすれば十分ではないかというように考えておるところでございますが、今御指摘になりました政党支部のように、外形的には本人以外の者があっせん行為との間に対価性があると認められる財産上の利益を受け取ったとされる場合でも、当該財産上の利益に対して本人が事実上の支配力、実質的処分権を有する者と認定できる場合には、本人が収受したものとして本人に本法所定の罪が成立する可能性があるわけでございますから、あえて第三者供与の処罰規定を設けなくても本法の保護法益というものは十分に保護されるのではないかというように考えているところでございます。

 また、逆に、本人が形式的にも実質的にも財産上の利益を収受していない、そういった場合まで処罰範囲を広げるということは、あっせんを受けた公務員に正当な職務行為をさせたり、あるいは不当な職務行為をさせない場合にも犯罪が成立する可能性があるわけでございますから、不当に処罰範囲を拡大するということは適当ではないというように判断をいたしまして、第三者処罰規定を設けないということにいたしたわけでございます。

井上哲士君

 不当に拡大するというお言葉がありました。本当に不当なのかと思うんですね。この間、いわゆるあっせん収賄罪にもこれがない、それとのバランスだということの御答弁もありました。

 そこで法務省にお聞きするんですが、現在、刑法に第三者供賄というものがありますけれども、これが追加されたときの立法目的はどういうことでしょうか。

政府参考人(河村博君)

 お答え申し上げます。

 この第三者供賄罪につきましては、公務の公正さとそれに対します社会の信頼を損なう行為の中には、公務員が自らその職務に関して賄賂を収受しないで第三者に賄賂を提供させる態様があるということから、当時の改正前の単純収賄罪のみによってはそのような行為を処罰し得ないということでこの第三者供賄罪が新設されたものでございます。

井上哲士君

 「大コンメンタール」などを読みますと、脱法的手段を断つことをねらいとしていると、こう書いてありますが、こういうことでよろしいですか。

政府参考人(河村博君)

 お答え申し上げます。

 当時の政府の提案理由説明の中で例として挙げられておりますのが、第三者でございます団体又は法人に寄附等の名目をもって提供せしむるような場合について、従来の規定の不備を補った規定である旨の説明がなされております。

井上哲士君

 どんないろんな刑法の解説書を見ましても、この第三者供賄罪を作るのが脱法的手段を断つことだということが盛んに強調されております。

 かつ、この第三者供賄の場合は、公務員等が事実上、本人が全く利益を受けない場合であっても第三者に対する賄賂の提供も本罪の対象にしておりますけれども、その理由はどういうことでしょうか。

政府参考人(河村博君)

 その公務員がその職務に関しまして、請託を受けて第三者に賄賂を供与させる行為は、それ自体が当該公務員の職務の公正さでございますとか、それに対する社会一般の信頼を害するものでありますために、公務員が直接利益を受けたか否かは問わないこととされたものと承知しております。

井上哲士君

 今お聞きのように、この第三者供賄は、脱法的行為を絶つということ、そして公務員本人のところに利益が来なくても、そういう第三者に提供させるだけでも公務員としての職務の公正さや社会の一般の信頼を害するからだということになっているわけですね。

 そうしますと、この法律が、公職にある者の政治活動の廉潔性、清廉潔白性を保持し、これによって国民の信頼を得るということを目的として提案をされているわけです。一般公務員は大体自分の後援会とか資金管理団体を持っていないんです。政治家の方は様々な受皿を持っておりまして、第三者供与という言わば脱法的手段をたくさん持っていると。そして、一般公務員は、第三者に利益を提供させることだけでもその職務の公正さや社会一般の信頼を害するということで、利益の享受いかんにかかわらず、これは罰せられるわけですね。

 そうしますと、一般公務員よりも高い廉潔性が求められる政治公務員に当然、第三者供与を罰してこそ、そういう点ではバランスが取れると私は思うんですが、その点いかがでしょうか。

衆議院議員(亀井久興君)

 前回の御審議の際にもこの点はかなり議論のポイントであったように承知をしておりますけれども、刑法のあっせん収賄罪の場合のいわゆる保護法益が公務員の職務の公正さを確保する、そういうことにある一方におきまして、このあっせん利得処罰法につきましては、公職にある者の廉潔性とそれに対する国民の信頼ということでございますので、その保護法益も厳密に言えば多少違いがあるように思っておるところでございまして、私どもといたしますれば、そのあっせん利得処罰法の保護法益を保護するということのためには、国民の政治不信を招くような行為、すなわち実質的に公職にある者など本人があっせん行為の報酬たる財産上の利益を収受した場合のみ処罰をすればそれで十分ではないか、かように考えて、私どもの提案をさせていただいている、かようなことでございます。

井上哲士君

 ですから、一般公務員は自分のところに利益が来なくても第三者に提供させただけで罪になるのに、政治家は第三者に供与させてはならぬということで、どうして今の政治に対する国民の信頼感を回復をすることができるのか、保護法益のことからいっても、私は全く理由になっていないと思うんです。

 それで、先ほど、政党に入った財産についても、当該財産上の利益に対して本人が事実上の支配力あるいは実質的な処分権を有したらこれは処罰できるから差し支えないということがありましたが、これは具体的にはどういうことを言うのか、是非ちょっとかみ砕いてお話しを願います。

衆議院議員(亀井久興君)

 なかなか個々の具体例を申し上げるということ、大変難しいわけでございますけれども、第三者に対して、実質的にその本人がその第三者を、自由に操れると言いますと妙な言い方かもしれませんけれども、実質的に支配をできるというそういう関係にある、そういう場合には、当然のことながらこの対象になるということでございまして、個々の具体例ということになりますと、正にケース・バイ・ケースで、それが果たして当たるのかどうかということは厳密に検討してみないと、今の時点でこういう場合だということを明確に申し上げるということは差し控えさせていただきたいと思います。

井上哲士君

 しかし、これによって処罰されていくわけですから、具体的にしてもらわないと私は困ると思うんです。

 そもそも政党に入った財産が、そんな個人の自由になるようなことが想定されているのかと思うんですね。我々は政党助成金、憲法違反としていただいておりませんが、公的なものだということで政党助成金を投入をされていた、その政党の支部が事実上、個人の自由に操れるようなものということが、自民党内にはそういうことがあるのかなということを今、聞いておりました。

 具体的にならないということですので、ちょっとお聞きをいたしますが、衆議院の議論の中で、町村さんが自分のことで言われております。自分の北海道自民党第五支部というのは、好き勝手で、資金の使い道について、勝手に私がこれ使え、あれ使えという仕組みになってない、役員会やいろんな委員会の議を経てすべて使い道が決まるということを言われておりますが、少し官報などを見せていただきましたけれども、二〇〇〇年の政治資金の届出によりますと、この小選挙区第五支部は収入八千五百五十四万円、九九年を見ますと、企業献金の中で建設関係と思われるものが約三割程度かなと思って見ておりました。

 問題は支出なわけでありますが、この政党支部の経常費用が年間二千百八十二万、組織活動三百四十八万、選挙関係費七百三十五万、そして寄附・交付金が四千六百五十九万、大変多いんですね。調査研究費はゼロということでありますから、どういう政治活動なのかなと思ったんですが、先ほどの衆議院での御答弁との関係でいいますと、全部コントロールできるようになっておりませんと言われておりますが、じゃ、支部長として具体的にどこまでコントロールをされているのか、そういう金の出入りを管理するような委員会には出席をされているのか、そしてまた具体的に何か指示を出しておられるのか、その辺、ちょっと具体的にお願いいたします。

衆議院議員(町村信孝君)

 北海道自民党第五支部の実情をお調べをいただいて大変恐縮をしておりますが、実際、第五支部の、年によって若干違いがありますけれども、年に一回の総会には必ず出席をいたします。それから、役員会というのがございまして、それには、そうですね、年に二回ないし三回でしょうか、出席をいたします。それからあと、いろいろな広報の委員会とか総務の委員会とか組織の委員会とかいうのがございますが、これには私は出席はいたしません。

 したがいまして、どこにどういうふうに使うのかというのは、あらかじめ年度の予算で大枠を総会で承認をしてもらって、大体その範囲内で各委員会がそれを使っていくということでございまして、一々、どこに幾ら出したらいいというようなことを、これは私の場合ですよ、私の場合ではそういう指示をするということはございません。

 よほど何か、選挙の対策か何かがあって、あそこの市長選挙は是非勝ちたいなあといって、少し広報宣伝物をたくさん投入しようとか、あそこにたくさん政党ビラを立てようというようなことで、そういう一般的な対処方針みたいなのを示すことはありますが、じゃ、具体的に幾ら、ビラを何本立てて、幾ら投入してというようなことまで指示をすることはございません。

井上哲士君

 通常のいろんな事務所の経費など、あれこれ細かいことに当然、議員本人が指示することは確かにないと思うんですね。今ありましたように、例えばそういう大きな選挙のときなどのこともあるでしょう。金額的にいいましても寄附・交付金というのが四千五百六十九万円と非常に大きいわけですが、こういうものの使い道についても支部長として町村議員自身が指示を出したり、またその指示が議を経て覆るようなそんなことも起こることはあり得るんですか、ありましたか。

衆議院議員(町村信孝君)

 今ちょっと手元にその資料もございませんし、詳細な内訳もございませんので、余り記憶が今、確実なことを申し上げる材料はございませんが、寄附・交付金というのは、一つは、北海道第五選挙区支部から各市町村あるいは札幌市厚別区、それぞれに自民党の支部がございますので、そういうところの活動を活発にしてもらうために交付金、寄附金という形で支出をする場合がございます。それは定例的に大体その地域の党員数に応じて私どもの方としては大体出すというようなのが一般的な支出先かなということでありますが、じゃ、どこの支部に幾ら出すというところまで私が指示することもございません。

井上哲士君

 今のような例えば第五支部の形態の場合は、これは事実上の支配力、処分権があるということにはなるんでしょうか、ならないんでしょうか。時には指示を出すというようなことでありましたが、いかがですか。

衆議院議員(亀井久興君)

 これも中身がどういうことであったのか、政党支部というのは当然のことながらそれぞれの政党の本来の政治活動をそれぞれの地域あるいは職域において展開をするという、そのことのために作られているわけでございますから、その正当な政治活動に対して支部長がそれなりの影響力を持つということは私はこれは当然のことではないかと思っておりますが、その支部長ないし公職にある者、その支部の幹部、そうした者と相談の上でそうした政治活動を展開しているということもこれまた当然のことでございますけれども、その公職にある者が自分の利益のためにその第三者たる政党支部を自由に動かす、事実上の支配力を有するという、そういうことで判断をされるということになればそれは先ほど来御答弁申し上げているとおり対象になるということであろうかと思いますけれども、これまたそれぞれの場合によっていろいろな検討をした上でないとなかなか今明確にこのことがどうだということは申し上げにくいところでございます。

井上哲士君

 先ほども言いましたけれども、元々政党というのがそんな個人の私物でないというのが前提のわけでありまして、何らかの形でこういう会計の仕組みはあると思うんですね。ですから、そういうことが整っておりますと、結局、例えば町村さんの場合はないでありましょうか、同じような形態を取っているところで、幾ら請託を受けて幾らあっせんの対価のお金を受けても、この支部にお金が入った場合には処罰の対象にならないということになってしまうわけですね。これは正に私はざる法と言われても仕方がないと思うんです。

 野党案はこの点での供与を入れておりますけれども、その趣旨について簡潔によろしくお願いします。

池田幹幸君

 今までのやり取りでもう既にその答えは出ているのかとは思いますけれども、あえてのお尋ねですのでお話し申し上げますが、要するに、現行法で第三者供与を処罰の対象としないということで、そのことによってどういうことが起こるのかということなんですけれども、結局はあっせんの対価を受け入れる際に政治献金という名目でそれを受け入れることができるという、その脱法的なやり方が公職にある者の場合にはできるということですね。これ一般公務員と大きな違いがそこにあると思うんです。

 要するに、政党や政党支部、あるいは資金管理団体、あるいは後援団体というのがあるわけですけれども、そういったところがもう政治献金としてそれを受け入れる。そういうものが定型的に存在しているわけですから、だから、あっせんをして口利きをして賄賂をもらうと、それをここの支部に入れておいてくれということでやった場合にはそれが可能になっちゃうわけですね。そうすると、この法律の目的、一体何だったんだろうかということになっちゃいます。

 公職にある者の廉潔性、清廉潔白性というものを保持して国民の信頼を得るということがこの法律の目的であるとすれば、そうすると、賄賂が政治献金に化けるというそういった抜け道を残しておいたんではこれはもう法律の目的達成できない、そういったところからこういった第三者供与を処罰の対象としたわけなんですが、一つ付け加えますと、現実の問題として、自民党の二〇〇〇年以後の動きをちょっと見れば非常にはっきりするんじゃないかなと思うんです。

 といいますのは、二〇〇〇年に企業・団体献金、これが禁止されました。そのときに、それ以後の動きを見てみますと、自民党の政党支部は物すごく増えているんですね。既に七千を超えているということですから、これは実態からいって政党支部の存在がどういうものかということをここに表しているんじゃないかなというふうに思います。

井上哲士君

 終わります。


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