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2002 年 6 月 28 日

政治倫理の確立及び選挙制度に関する特別委員会
与党のあっせん利得処罰法改正案を批判

  • 与党のあっせん利得処罰法改正案が依然として政治家の「権限に基づく影響力の行使」を要件としているのは、結局、犯罪の立証を困難とし法の適用を免れると批判。野党の修正を受入れ、対象からはずすよう要求。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 帝京大学の入試の口利き問題で宮路厚生労働副大臣が辞職をいたしました。口利きを依頼をした後援会の幹部関係者の医療法人から宮路氏に政治献金が渡されていたということも明らかになっております。国民の多くは、往々にしてあることというこの宮路氏の発言や、こんなことで辞職したら副大臣できる人などいない、こういう自民党内の言葉の報道に触れるにつきまして、大変怒りの声を上げております。宮路氏の辞任に当たっても、国会審議に迷惑を掛けたというだけで、この口利き問題そのものには、総理からも反省の声は出ませんでした。

 今国会の会期を通じまして、公共事業から、こういう教育、命にかかわる問題まで口利き政治が蔓延をしているということが明らかになったわけで、逆に言いますと、この口利き政治からどう抜け出していくのかと、それが今国会に問われておりますし、本委員会の結論に注目があると思うんです。真剣に政治への国民の信頼回復というものを考えるならば、参考人質疑でも強調されたように、このあっせん利得処罰法が使いやすく、実効性のあるものにしていくということが求められていると思います。

 全員の参考人が削るべきだと主張されました、権限に基づく影響力の行使の問題について、まずお聞きをいたします。

 本院にとって一番重大な問題は、井上前参議院議長の元秘書半田好雄氏が逮捕された事件だと思います。この事件は、新東建設の元社長中村功等が、さわやかプラザ軽井沢の建設入札に絡んで入札価格を事前に手に入れたものであります。その際、半田元秘書が、鎌ケ谷市の皆川前市長等に三千万円を渡しております。半田元秘書は、この三千万を含めまして六千四百万円をその成功報酬として中村元社長からもらっていると、こういう構図であります。

 この半田元秘書の行為は、本法律で処罰をしたい典型的なものだと私は思うんです。請託はあった、それからあっせんの見返りとしての財産上の利益もあると。問題は、この権限に基づく影響力の行使ということであります。

 国会議員の公設秘書が地元自治体の公共工事に関して口利きをしたという構図でありますが、一般論として、国会議員又はその秘書が地方自治体の公務員に対して権限に基づく影響力の行使をするというのは、具体的にはどういう事例になるのか、まず確認のためにお聞きをいたします。

衆議院議員(町村信孝君)

 先ほど口利きのお話がありました。個別の地元からのいろいろな案件についてどう対応するか、なかなか悩ましい問題が率直に言ってございます。時折、地元でも耳にする話ですけれども、共産党の皆さん方も、それは対価を受け取っているのかどうか私は知りませんが、個別に例えば民生委員さんが生活保護世帯として認定しない場合を、これは是非認定すべきであるという形で共産党の市会議員さん等が市の理事者に働き掛けをするというケースもあるというような話を地元では耳にするのでありまして、それもある意味では口利き政治なんですね、言葉の定義の問題ですよ。ですから、そうした個別のいろいろな陳情、要請にどう対応するのかというのは、これは何も自民党だけの問題ではなくて、それは共産党さんにもどの政党にもある問題だという前提でお考えをいただければと思っております。

 その上で、今、地方公共団体に対する権限に基づく影響力の行使、どういうような場面が想定されるかということでありますけれども、例えば、国会議員又はその秘書がある県の職員に対して、その県のやっている公共事業に対する国の補助金は多過ぎるのじゃないかとか不適正に使われているんじゃないかというようなことを所管委員会で質問をするぞと、あるいは国会議員に質問をするようにその秘書が伝えますよと、などと言いながら特定の業者との間で物品納入契約を締結するように働き掛ける場合というようなのが考えられますし、あるいは国会議員又はその秘書がある県の職員に対して、その地域の地域振興立法というのがございますけれども、そうした法律の一部改正案に反対すると、あるいは国会議員に反対するように伝えると秘書が言う、こういうようなケースで特定の業者を指名競争入札に参加させるように働き掛ける場合というようなことが考えられるのではなかろうかと思います。

井上哲士君

 私たちは、国民の皆さんの様々な要求を行政の側に反映をさせていく、こういう活動は大いにそれぞれの党がやろうと。問題は、それに対価として賄賂などをもらうと、この言わば口利きビジネスという問題が問題にされているんだということを言っておきたいと思いまして、そのことをまず明確にしておきたいと思います。

 その上で、今お答えがありましたけれども、いわゆる国の補助金を削るぞというお話がありました。そういう補助金がない地方自治体の単独事業に対して口利きをするという場合もかなりあるわけですね。そういう単独事業の場合も今おっしゃったような権限に基づく影響力の行使をするということは、当然これは認められるということでいいわけですね。

衆議院議員(町村信孝君)

 単独事業の場合であっても、先ほども申し上げた、例えば半島振興法とか、あるいは北海道開発法ですか、北海道という例がいいかどうか分かりませんが、例えばこういう法律があって、それに私は反対するということを言いながら、その地域、その県がやる単独事業、単独の公共事業について例えばこれこれの業者を使えというように働き掛けることもあるわけでありまして、これは権限に基づく影響力の行使として認められると、こう思っております。

井上哲士君

 新聞報道によりますと、この鎌ケ谷市長は井上前参議院議長をおやじと呼び、前議長の方はこの鎌ケ谷市長を息子と公言をしていたというふうに言われております。ですから、言わばツーカーの仲で、電話一本で話が通じるような仲だったと思うんです。

 大体、参議院議長であるとかその秘書が口利きする際に、これに反対の質問をするとか採決で反対するとか地方自治体の補助金を削減するとか、そういうようなことを明言をしてやるというのはほとんど考えられないと思うんですね。○○の件よろしく頼むと、こういう依頼の仕方だと思うんです。

 こういう最も一般的に考えられる口利きの形態の場合は、先ほどおっしゃったような形でいいますと、この権限に基づく影響力の行使、極めて立証が困難になると思うんですが、その点いかがでしょうか。

衆議院議員(町村信孝君)

 質問をするとか反対をするとか、こういうことを明言をしなくても、権限に基づく影響力の行使と認められる場合もあろうかと思います。どういうような形でそれが行われるかということによるだろうと思います。すべてこれは具体的な証拠関係に基づく事実認定の問題ではございますけれども、あっせんを行う公職にある者の立場、先ほど議長という例をお出しになりましたが、そうした立場であるとか、あっせんの際の言動、あるいはあっせんを受けた被あっせん公務員の職務の内容、そうしたいろいろな事情を総合して判断をするということでございまして、明示的に質問をするぞとか反対するぞということを明言しなくても、これは権限に基づく影響力の行使として認められるケースもあるんだろうと思います。

 立証が難しいんじゃないかという御指摘もありましたけれども、これはすべて具体的な証拠に基づいて認定をされるべき問題でありまして、直ちに立証が困難であるということは一概には言えないのではなかろうかと思います。

井上哲士君

 しかし、事実の問題としまして、この間問題になってきましたように、この一年間、実際に立件されたのは和歌山の地方議員の例だけであります。この場合は正に質問するぞと明言をした非常に乱暴なケースでありまして、可能性はあると言われるけれども、実際には使われてこなかったというのが実態だと思うんですね。

 この間、いろんなこの権限に基づく影響力の行使の例も挙げられましたけれども、結局、委員会での質問とか採決の態度というのがベースになっております。議長は質問しませんし、閣僚経験者なども質問に立つことはまれなわけでありまして、結局、こういう人たちは影響力は非常に強いと、しかし、権限に基づく露骨な圧力というのは掛けなくなるわけですから、結局、いわゆる大物議員になればなるほどこの権限に基づく影響力の行使の認定は極めて困難になり、事実上外されていくということの、こういう仕組みだと私は思います。

 先日の土本参考人も、こういう縛りを掛けるとシンプル、簡素化、広く浅くという要請に反して、守れない法律に堕してしまう可能性がある、本罪は顔を利かせて口利き料を取るということ一般を対象として規制するということに徹するべきであろうと、こういう指摘をされております。少なくともこの部分は私はやはり修正に応ずるべきではなかったかということを指摘をしておきたいと思います。

 その上で、こういう口利き政治、口利きビジネスを正すという点で、このあっせん利得処罰法の抜本改正とともに、公共事業受注企業などからの献金の禁止ということを野党は訴えてまいりました。政治資金規正法改正案が衆議院に提出をされておりますが、いまだに審議すらされていないというのは極めて遺憾であります。

 町村提案者は、この間、公共事業以外にも国や自治体へ鉛筆一本、消しゴム、コンピューター、ビルメンテナンスなどいろんなものが納められており、日本の企業の九割九分まではそういう公的契約を持っていると、それを全部駄目ということになれば、実質的に政治献金禁止になると、こういう答弁を繰り返されております。私、大変見当違いだと思っておるんです。

 私ども日本共産党は、政治献金は個人に限るべきだとかねてから主張し、そういう法案も出してまいりました。それは、国の進路を決めるのは主権者国民であり、参政権を持っていない企業がその言わば財政力をもって政治に介入をすると必ずゆがめられるという立場からであります。

 しかし、衆議院に野党が提案をしているこの政治資金規正法の改正案は企業献金自身は認めるという政党も含めて出しているものでありまして、公選法の百九十九条の選挙に関する寄附規定の考えを政治活動に関する寄附について適用をしようとするものであります。

 総務省に来ていただいておりますけれども、公選法百九十九条の一項で、国又は地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は当該選挙に関し寄附をしてはならないと定めておりますが、この「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」、この概念についてお願いをします。

政府参考人(大竹邦実君)

 お答え申し上げます。

 公職選挙法の百九十九条第一項におきましては、ただいま御指摘ございましたように、国、地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者の選挙に関する寄附を禁止しているわけでございますけれども、ここに言いますところの「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」とは、まず第一に、請負契約を現に結んでいる者、次に、請負契約以外の契約で、例えば物品の納入契約でございますとか施設の使用契約等の契約でございまして、特別の利益、つまり利益の契約全体に対する割合が通常の場合と比較して特に大きい契約、又は利益の割合は通常であっても利益の総額が特に大きい契約を現に結んでいる者を指すものと解されるところでございます。

 なお、具体の事例におきまして特別の利益を伴う契約の当事者に当たるか否かにつきましては、契約内容に即しまして個々具体的に判断されるべきものと考えております。

井上哲士君

 今ありましたように、利益の額、率の特別に大きいものということが対象なわけでありまして、鉛筆一本とか消しゴム一個納入しているというのはこれに当たらないのは明確であります。しかも、国会議員の場合は国との契約者に限定をしているわけであります。

 町村さんの支部長を務める北海道第五支部の二〇〇〇年の政治献金の届出も見させていただきましたけれども、例えば、いわゆる建設業以外にも、明星自動車株式会社十万円、福山醸造株式会社十一万円、横山食品株式会社十二万円と、およそ国との契約がないと思われる企業がたくさん並んでいるわけであります。

 ですから、いわゆる公共事業請負企業など、つまり、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者からの政治献金を野党案のように禁止をしたとしましても、九割九分まで政治献金が禁止になる、実質的に企業献金禁止になる、全面禁止になる、こういう町村さんのこの間の御答弁は私は事実と違うと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

衆議院議員(町村信孝君)

 子細にお調べをいただいて大変恐縮をしております。

 企業が献金をすることの是非、これは委員のお立場ではお認めにならない、他の野党はお認めになる、いろいろ違いがあるのかもしれませんが、やっぱり私どもは、会社は自然人たる国民と同様に国や政党の特定の政策を支持、推進又は反対するなど政治的行為をなす自由を有するものであり、政治資金の寄附も正にその自由の一環であるという昭和四十五年の八幡製鉄政治献金事件最高裁判決、またこれを踏襲した二〇〇一年七月十八日の大阪地裁判決、高裁判決等々がありますので、まず、政治資金は悪ではないし、企業は社会的な存在として政治活動の自由を有するという前提でまず考えているわけであります。

 そして、九九%というのは別に厳密な計算をしたわけじゃございませんで、相当数、大部分がという意味で申し上げたわけでございますが、先ほどちょっと私も全部聞き漏らした、自動車会社、ハイヤー・タクシー会社というのは、やはり国なり自治体なりとハイヤーのチャーター契約を結ぶこともあるでしょうし、食品会社であればそれは自衛隊にビスケットやら乾パンやらを納めたりとかというようなこともあるでしょうし、そういう意味で、およそ国なり自治体なりとそうした契約関係を結ばない可能性のある企業というのはほとんどないんじゃないのかなという意味で申し上げたわけでございます。

井上哲士君

 度々、八幡製鉄の判決を持ち出されるわけでありますが、平成五年の十一月に、やはり衆議院の政治改革に関する調査特別委員会の参考人に岡原昌男元最高裁の長官が出ておられまして、この判決の問題についてお話をされております。

 当時、非常に企業献金が行き渡っていたと、それを違憲とか違反ということを言いますとこれはもう全部引っ掛かって大変なことになる、だから言わば助けた判決なんだということを最高裁長官自身が言われているわけですね。ですから、ああいう判決を出したけれども、実際にはこれは企業・団体献金の禁止の方向に向かうべきだということだと思うんです。

 その上で、今のお話でありますが、先ほども総務省からありましたように、言わば特別な利益を与えるものでありますから、しかもその契約から一年ということでありますから全部が引っ掛かってくるということではありませんし、九九%という言わば誇大な数を持ち出して、口利き政治をなくそうという国民の皆さんの期待に私は反する発言だったと思うんです。

 改めて総務省にも聞きますが、この百九十九条一項の立法趣旨でありますが、二〇〇〇年八月七日の参議院予算委員会で我が党の緒方議員の質問に対しまして、「その契約の当事者たる地位の取得、維持または公開等を求める代償として相当額の寄附がなされた場合には、そのために選挙及びその後における政治の上に好ましからざる影響の及ぼされるのを防止しようという趣旨から設けられている」と、こういう答弁をされておりますけれども、これで間違いないですね。

政府参考人(大竹邦実君)

 公職選挙法の百九十九条第一項でございますけれども、この規定は、国や地方公共団体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者たる地位にある者が当該特定の選挙に関し寄附をなすことが、ひいては選挙の公正を害するおそれがあるということから、これを防止しようという趣旨で設けられたものと承知してございます。

 なお、選挙におきますところの公正確保がひいては選挙後におきますところの政治活動の腐敗防止に資するということは当然であろうと思いますけれども、この本条の規定につきましては、先ほど申しましたように、第一義的な目的は選挙の公正確保にあると考えております。

井上哲士君

 じゃ、改めて自民党の提案者にお聞きしますが、今ありますように、国との契約関係にある企業が選挙に関して寄附をすれば、その選挙だけでなく、その後における政治の上に好ましからざる影響が及ぶと。にもかかわらず、同じ企業が政治献金として寄附をすれば政治の上に好ましからざる影響はないと、こういうふうに皆さんはお考えなんでしょうか。

衆議院議員(町村信孝君)

 選挙と政治活動というのは、やはりきちんと分けて考えるべきものだと思います。

 選挙というのは、言うまでもないことですが、特定の候補者の当選を図ることを目的として行われる選挙運動、これに関する政治の寄附の在り方と政治活動というのは選挙以外の時期に常に行われているわけでありまして、選挙運動に対する規制と同じ規制を本来自由に行われるべきである政治活動に加えるということは、やはりそこは問題があるんだろうと、こう思います。それはやっぱり分けて考えて慎重に議論しなければいけないことだと、こう思います。

井上哲士君

 お答えになっていないと思うんですが、同じ企業が寄附しても選挙資金だったら政治に好ましからざる影響があり、政治資金だったらそれはないということになるのかとお聞きしているんです。その点はどうですか。

衆議院議員(町村信孝君)

 ですから、選挙と政治活動というのは別に考えていく。選挙というのは、かなり日本の政治、公職選挙法というのはぎちぎちに厳しく縛ってあります。それはなぜかというと、選挙の公正確保という法の目的があるから厳しく縛っているわけであります。他方、政治活動の自由というものはあるわけでありまして、しかし別途、政治活動の自由の中にあっても一定の、資金に関しては一定の制約が必要であろうということで政治資金規正法というものがあって、それはそれなりの規制があるわけであります。

 ですから、あくまでも選挙における規制とそれから通常の政治活動におけるお金に関する規制というのは、そもそも公選法と政治資金規正法が別建てになっているように、それぞれ法の目的に沿った形での規制がそれぞれあるんだというふうにお考えになって、考えるべきではなかろうかと、こう私は思います。

井上哲士君

 もちろん別の法律でありますけれども、しかしこの政治への悪影響をなくして国民の信頼を回復をするということを考えれば、私は、やはりこの政治活動への献金というものの持つ悪影響ということを見てきちっと対応するべきだと思うんです。

 大体、献金する方は、これは政治献金かとか選挙向けの献金かとかということを区別して寄附しないわけですね。受け取る方が選挙に関する寄附として届け出たけれども、後から違法性を指摘をされて慌てて政治資金になったというふうに届出を変えたというような例も多くあるわけです。実際には選挙に関する寄附であっても、受け取る側が政治献金として処理をすれば、これは選挙に関するものだということを立証しない限り罰せられないということになりますから、これも実際上、事実上は抜け道ということになっているわけです。

 再度総務省に聞きますが、第一次選挙制度審議会の答申は国との特別の利益を伴う契約の当事者の政治献金について報告していると思いますが、どういうふうに報告をしておりますか。

政府参考人(大竹邦実君)

 請負契約、請負その他特別の利益を伴う契約の当事者の政治献金に関しまして、第一次それから第二次、第五次と選挙制度審議会はそれぞれ答申出されておるわけでございますけれども、第一次選挙制度審議会の答申におきましては、これは昭和三十六年でございますが、会社、労働組合その他の団体が選挙又は政治活動に関し寄附をすることは禁止すべきものであるという基本的考え方に立ちまして、その実施時期等については引き続き検討を加えるものとし、取りあえず次の措置を講ずることといたしまして、国又は公共企業体と請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、選挙に関するもののほか、政治活動に関しても寄附をしてはならないものとすることとされているところでございます。

 なお、第二次の選挙制度審議会の答申におきましてもこの第一次選挙制度審議会の答申の考え方がそのまま踏襲されているわけでございますけれども、昭和四十二年の第五次の選挙制度審議会の答申におきましては第一次の選挙制度審議会の答申とは異なる考え方が示されているところでございます。

井上哲士君

 この第一次、第二次で、企業団体献金は禁止をすべきだが、取りあえず特別の利益を伴う契約の当事者は選挙でも政治活動でも寄附をしてはならないというような方向が報告をされているわけであります。こういう指摘がありながら、やはり改正を怠って抜け道を残してきたというのがこの間の自民党の私は責任だと思います。

 公明党の西提案者にお聞きをいたしますが、六月五日の衆議院の倫選特で、公共事業受注企業などからの献金禁止について、今後の重大な課題として私どもまじめに取り組んでいくと、こう述べておられますが、なぜ、どういう点、まじめに取り組んでいく課題とお考えなのか、お願いいたします。

衆議院議員(西博義君)

 お答え申し上げます。

 委員御存じのように、昨今の公共事業の入札に関する不祥事、これは大変重大なことであると、こう私ども受け止めております。その上で、不当な口利き行為が入札の適切な実施を阻害することのないように環境整備をしていく、このことが何よりも重要である、こういう認識をしております。あわせて、政治資金は国民からの疑惑を持たれることがあってはならないということで、そのあるべき姿について引き続き広く検討していく必要があると、こういう認識でおります。

 公共工事受注企業からの政治献金、また公共工事の入札の在り方等について、このことを真摯に受け止めて議論する必要があると、こう私が考えて御答弁申し上げた次第でございます。

井上哲士君

 真摯に受け止めて議論をする必要があると、そういう御認識であれば、衆議院で与党として直ちに審議入りに応じるべきだと思うんです。

 さらに、保守党の提案者の西川議員に問いますが、国土交通省が今年の四月に各種建設業者の団体長あてに政治献金についての、寄附についての通達を出しております。この趣旨について扇大臣は、公共事業について、そこから献金をもらうのは厳に慎むべき、出す方も悪いけれどももらう方も悪いと、こういう答弁をされております。出す方ももらう方も悪いと、こういう認識で一致をされているんでしょうか。

衆議院議員(西川太一郎君)

 お答えを申し上げます。

 五月二十七日、御党の緒方先生のお尋ねに対しまして、扇大臣が答弁申し上げているわけでありますが、国土交通省を所管する大臣という立場でこの御答弁をされておりまして、それを読みまして私といたしましては、これは公共事業入札にかかわる不祥事を重大に受け止めまして、不当な口利き行為が入札の適正な実施を阻害することがないようにするということがまず大事であると。そして、そのようなところからの献金をいやしくも国民から疑惑を持たれるようなことを政治家はあってはならないという意味で御答弁を申し上げているというふうに思いまして、その趣旨であれば私も全く同感であるというふうにお答えをしたいと存じます。

井上哲士君

 時間が参りましたけれども、最初申し上げましたように、金と政治の問題に国会がどう自ら解決をしていくのかということが注目をされているわけであります。本当に国民の信頼を真剣に回復をするのであれば、あっせん利得処罰法の与党案を大幅にやはり修正すること、そして公共事業受注企業などの献金禁止に踏み出すべきだということを重ねて申し上げまして、質問を終わります。


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