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2003年5月30 日

政治倫理選挙特別委員会
公職選挙法一部改正案
質疑

  • ALS患者など、障害者の投票権の拡充を要求し、巡回投票などの実現を迫った。
  • 与党が検討している政治献金の公開基準額の引き下げについて、政治資金の不透明化を招くものだとして、試算を示し厳しく批判。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 在外選挙人の投票機会の拡大を図るために在外公館での投票や郵便投票を選挙人が選択できるようにするなど、今回の公選法の改正は憲法に保障された参政権を具体的に保障する上で、かねてからの在外邦人の要望もありまして、当然だと思っております。

 投票の意思がありながら高齢や障害のために投票に行けずに選挙権の行使ができない方々、あるいは投票ができても視覚や聴覚の障害のゆえに選挙に関する情報が著しく少ない人、こういう社会的弱者の方々に選挙権行使に当たっては改善すべき課題が山積みであります。

 まず、今も質問がありました ALS 患者の問題です。

 自分で字が書けないのを理由に郵便投票を利用できないのは選挙権を保障した憲法に違反するとして国を相手に損害賠償と違憲確認を求めた訴訟で、昨年十一月に東京地裁は、憲法に違反するものと言わざるを得ない、こういう判決を下しました。当時、福田官房長官は、どういう状況の人でも投票できるようにしなくてはいけない、投票機会の重要な課題という認識であり、その方策は今後検討したいと記者会見で述べましたが、政府は具体的にこの判決を受けてどういう検討をしてきたのか、まずお願いいたします。

政府参考人(高部正男君)

 お答え申し上げます。

 御指摘ございましたように、昨年の十一月二十八日に東京地方裁判所で言い渡されました判決におきまして、ALS 患者の方々が求めておりました損害賠償請求は棄却されたものの、その理由中で、これらの方々が選挙権を行使できるような投票制度が設けられていなかったことは憲法に違反する状態であったと言わざるを得ないとの厳しい指摘がなされたところでございます。この後、このような方々の投票機会を確保するということはかねてから重要な課題というふうに認識しているところでございまして、この判決、大変厳しい御指摘をいただいたと我々重く受け止めているわけでございます。

 どのような検討をしてきたのかということでございますが、この判決は、郵便投票の対象になっている方々のうちで、実質上、字が書けない方々が実質上投票できないじゃないか、それがおかしいということでございました。今のような制度になっております理由は、先ほど来の議論、御議論の中でもありましたように、かつての制度がいろいろ問題を抱えていたというようなことがありまして現在は自書というのを一つの、選挙の公正を確保するためということで今のような仕組みになっているわけでございます。そうなりますと、実質上、字が書けないと投票できないということになってしまうわけでございますが。

 それで、こういう判決を受けて私どもとして、一つは、どういう方々が要するに自書以外の方法で投票できる対象として考えたらいいのか。抽象的にこういう方々が書けないだろうということは分かるわけでありますが、具体的にその方々を特定するときにどういうやり方があるんだろうか、どういう、何といいますか、いろんな制度があるんだろうかというような視点が一つございます。

 それからもう一つは、現在の仕組みは自書をするということに基づいて本人からの意思だということをある程度確認するということになるわけでございますが、自書によらないということになりますと、その辺の意思の確認というものをどう考えていくのかといったようなことがあろうかと思っております。

 それからさらに、具体的な投票の方法としてどういうやり方があるのか。例えば、何か事前に届出が要るのかどうかとか、あるいは立会人はどうかといったような観点からの検討も必要だろうと思っておりまして、こういういろんな問題も含めまして我々検討を進めているというのが今の状況でございます。

井上哲士君

 こうした様々な事情で投票に行けない方の問題というのは長年国会で議論になってまいりました。

 もう三十年近く前の一九七四年の衆参それぞれの委員会で全会派で、在宅投票制度については、政府は、その実施状況の推移を勘案して今後さらに拡充の方向で検討すること、こういう附帯決議もありますし、八六年、これは我が党の野間友一衆議院議員が衆議院の選挙特別委員会で、お年寄りの棄権の理由の半分が病気で投票の意思がありながら行けないという、こういう深刻な実態も示して早期改善を要求いたしました。当時、自治大臣は小沢氏でありますが、一人でも多くの人に選挙権の行使の機会を容易にしてやることは最大の務めで、真剣に検討させる、こういう答弁もあります。また九七年、この本委員会でやはり我が党の橋本委員が、具体的に調査会や検討会を改めて関係者を組織してやるぐらいの基本的な構えでやってほしいと。これに対してやはり当時の上杉大臣は、十分重く御提言を受け止めまして検討していくと。こういうことまで歴代大臣も答弁をされておりますが、今日まで実現に至っていない。

 なぜこの検討が進んでいないのか。いかがでしょうか。

政府参考人(高部正男君)

 郵便投票の対象を現行の身体障害者の一定の級の方々以外にどこまで考えていくのかというのはかねてから指摘された課題でございますし、御指摘ございましたように、寝たきり老人等の投票機会の確保というのをどう考えていくのかというのは、かねてから御指摘をいただいている重要な課題だと認識しているところでございます。

 先ほど谷委員の御質問にお答えしたところでございますけれども、実は、その対象者、かつて不正があったというような経緯もございますものですから、対象者を公正に、何といいますか、特定するような手法としてどういうことがあり得るのかということが一つ大きな課題でありまして、なおかつもう一つ難しいところがございますのは、身体障害の方々につきましては、いろんな状況変化もある場合もあろうかとは思いますが、一般的に言いますと症状が固定されておりまして、例えば身体障害者手帳も、手帳そのものの有効期限はないというような状況になっているわけでありますが、一方で、寝たきりのお年寄り、かなり寝たきり状態が続いているという方も当然多いんだろうと思いますけれども、その他、これまで身障者手帳の世界で対象とできなかった方々について言いますと、症状が固定していないためにある時点から見るとまた状況が良くなるといったようなことがありまして、そういう状況の中で対象者をどう考えていくのかというのが一つ難しい課題だということでございました。

 やり方として、個別に認定をすれば、それは個別にできれば一番対応が、幅広く対応できるということにはなるわけでございますが、なかなか選挙の、選挙管理サイドですべてそういうことはなかなか難しいということがございまして、そうすると例えば、例えば介護保険のように公的な認定制度にリンクして対象者を確保することができないだろうかということで、私どもといたしましても所管の厚生省さんの御意見等もいろいろ聞きながら、この介護保険の等級認定を選挙の方に使って一定の対象を特定するということに使えないだろうかという議論をかなりさせていただいたところでございますけれども、これを現状で申し上げますと、なかなか選挙の今の仕組みでいいますと、郵便投票の対象者は、投票所に行けない、言ってみれば歩いて投票所に行けないという視点で対象者を特定するという格好になっておりますので、それと同じような考え方で介護保険を考えた場合には、介護保険というのは、介護に要する時間、介護の手間という視点で制度が設計されているものですから、直ちに制度議論として、実態は議論するといろいろあろうかと思いますけれども、制度議論として直ちにこれにリンクさせるというのは難しいのではないかというようなところが今の状況でございます。

 ただ、かねてからの重要な課題でございますので、私ども更に、介護保険の状況等も更に勉強しなければいけないと思っておりますし、その他何らかの方法がないかということにつきましても今後とも幅広く検討させていただきたいと、かように考えているところでございます。

井上哲士君

 長年の議論がずっとあるわけでありますが、なかなか答弁は従来のものの繰り返しということになっておりまして、じゃ、聞くのですが、こういう身体などの障害で投票できない方々の数、これはどういうふうに掌握をされているんでしょうか。

政府参考人(高部正男君)

 私どもとして、今、先生おっしゃられたようなストレートなアプローチで調査したことはございませんので、その数は把握しておりませんが、私ども承知している範囲でいいますと、現在、郵便投票証明書を発給している数は、約五万の郵便投票、郵便投票証明書というのは発行しておりますので、これらの方々については投票に行けない方だろうというふうに思っております。

 最近、厚生省といろいろ議論しておりまして、そもそも、今の身体障害者の等級認定でこの郵便投票証明書の対象になる方々については、その五万から比べると相当大きな数が対象になり得る、なっているのではないかというような認識をしております。

 ただ、もう一つ御認識いただきたいのは、現在は、不在者投票として施設等の投票が、不在者投票がございますので、病院とかあるいは福祉施設に入所している方々で、これはすべてではございませんが、一定の規模以上の病院等に入っておられる方はそこでの投票ができるというような仕組みにはなっているところでございます。

井上哲士君

 今年の二月十一日の読売新聞は、全国三百万という数の報道もしておりました。いずれにしても、やはり投票に行けない方の数をやっぱり正確に掌握をする、このことなしに私は改善も図れないと思うんですね。ですから、実態をしっかりつかむということ、これがまず着手をすべきだと思います。

 日弁連がこの ALS のことなども受けまして、この二月に投票の機会の保障を求める意見書を発表をしております。高齢や障害等で投票所に行くことができない人、さらには、自書できない人が選挙権を行使できるよう郵便投票における選挙人の範囲を拡大するとともに、代理投票や点字投票を認め、巡回投票を創設して在宅代理投票ができるものとするなど提案をしております。

 いろんなこの間の長い議論はあるわけでありますけれども、違憲判決も出るなど、こういう局面の中で、やはり踏み込んだ検討を、是非大臣の決意も含めてお願いをしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(片山虎之助君)

 選挙部長も言っておりますように、我々はできるだけ、これは国民の基本的な権利ですから、投票できるというのは。これは、できるだけそういう機会を与える、拡大するというのはもう当然のことですね。

 しかし同時に、選挙が公正公平に行われるという、ここのはざまといいますか接点ですね。しかし、どっちが強いかというと、私はやっぱり選挙人の拡大の方が強いのかなという個人的には感じがしておりますが、技術的な議論もありますので、そこで、状況をいろいろと把握をしたり意見を聞いたりして、是非、基本的には選挙権行使の拡大の方に努力いたしたいと。とにかく、違憲状態だと言われたんですから、違憲と言われたら、これは解消せにゃいけません、当たり前のことなのでね。

 ただ、なかなかいい知恵がないんですよ。過去に大変な例があるものですから、この学習体験というのは残っていますからね。ここでどういうふうにやるのか、皆さんに納得してもらってということをいろいろ考えておりまして、野党の方も与党の方もそれぞれいろんな御検討をしていただいているようですから、そういう御検討も踏まえながら、我々も更に検討を深いものにしていきたいと、こう思っております。

井上哲士君

 拡大をする方向で検討するという答弁をお聞きをいたしました。

 その上で、更に視覚障害者の皆さんの投票権の拡大についてお聞きをします。

 今年の四月の七日に、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会から、これは大臣あてに要望書が提出をされておりますが、その中に、電子投票を実施する選挙においても点字投票を含む自書式投票と電子投票を有権者が自由に選択できるようにしてください、また、電子投票機に必ず備えなければならない機能、方式を明確にし、法制化、統一基準化してくださいと、こういう要望があります。

 既に電子投票が行われまして、視覚障害者用の投票も行われましたけれども、例えば音を聞いて投票したい人のときにボタンを押すとか、様々なやり方が行われたようでありますが、やはりばらばらであると今後拡大していくときに困るというのが皆さんの声なわけで、この点、是非前向きの検討をしていただきたいわけですが、いかがでしょうか。

政府参考人(高部正男君)

 二点御質問ございました。

 まず一点目の、点字投票もできるようにしてほしいと、失礼しました、機械の投票と、それから紙の投票を両方してほしいという御質問がございました。

 現行の制度は、点字のできる方は、電子投票を導入している団体でありましても点字投票を選択して紙で点字による投票はできるという仕組みになっておりまして、その意味では、選択の自由は保たれているような制度に既になっているところでございます。

 ただ、私ども、お聞きした範囲で言いますと、目が多少不自由で、点字じゃなくて、投票用紙に点字じゃなくて書いて投票するようにできないだろうかというような御意見もあるようでございます。また、一般論として、電子投票という、いわゆる電子投票を導入しても機械の投票以外に紙の投票の併用はどうかというような議論はあるところでございますが、現在の制度は、電子投票もできますし紙もできますということになりますと、どちらもできるということになれば、紙の投票を皆さんがやられることを前提にしていろんな体制を組んでいかなきゃいけないというようなことになりますし、開票の体制についても同じようなことを用意しなきゃいけないということで、開票の迅速化といったような電子投票の主たる目的が達成できないということで、一般的に言いますと、選択を認めないというふうな制度に組んでいるところでございます。

 重ねて申し上げますけれども、目の不自由な方々が点字投票をしたいということは選択できるようには現行制度ではなっているところでございます。

 それから、二点目でございますが、バリアフリーについて基準を統一してほしいということでございますが、まだ実は、具体的な投票を実施した団体は、委員御案内かと思いますけれども、昨年の岡山県新見、それから広島市、今年になっての広島市、それから統一選挙で宮城県の白石と、実は三団体やっているところでございます。

 まだまだ、いわゆる電子投票の機械というのは、各開発メーカーがいろんな知恵を絞りながら、どういうやり方がいいのかということをいろいろ工夫しているといったような状況でございます。このバリアフリーに限らず、機器の統一化というものをどう考えていくのかというのは、我々、今の法律をお通しいただくときにも検討させていただいたところなんですが、いずれにしても、技術の進歩が非常に激しいというような状況の中で、ある時点で固定してこうだというのがどうかというような議論もございました。

 それからもう一つは、ある意味では地方公共団体の本格選挙に導入するものではありますけれども、各地方団体において、ある意味ではトライアル的にいろいろ工夫をしていってもらって、その成果を生かすというような色彩、要素もございましたものですから、現在はそのような基準を定めるのはどうかなということで定めていないという状況になっております。

 ただ、委員御指摘ございましたように、将来を考えましたときに、ある意味での機器の統一、使いやすさ、選挙人の方々も住所移転等ございますので、そういう課題もあろうかと思いますので、そういう状況を見ながらの検討課題というふうにさせていただけたらと思っているところでございます。

井上哲士君

 今後広がっていくわけでありますのですから、是非総務省としての積極的に役割を果たしていただきたいと思います。

 投票権の行使の条件を拡大をして投票率を上げ、政治参加を促進をしていく。重要でありますけれども、同時に、やはり根本は政治に対する国民の信頼を回復をするということでありますし、最大の問題は政治と金をめぐる問題であります。

 今日、大臣自身の政治資金管理団体のこと等についてお聞きをするんですが、我が党の富樫議員が二〇〇一年の三月三十日の当委員会で、大臣の地元の岡山県岡山市から談合などで指名停止処分を受けた企業四社から大臣の政治資金管理団体が三年、九七年から九九年の三年間に合計百三十万円の政治献金をもらっていたと、こういう指摘をいたしました。当時大臣は調査をしてみましょうと、こういう答弁を当委員会でされたわけでありますが、調査した結果はその後いかがだったでしょうか。

国務大臣(片山虎之助君)

 そういえばそういう御質問があったような気もしますし、大分前ですから、調査もしましたけれども、もう忘れましたね。そういうことをちゃんとあるんなら御通告ください。そうすれば調査の結果は報告するんですけれども、通告がないから、また私よく知りません。

井上哲士君

 自分自身の問題でありますし、この指名停止処分を受けている企業からの献金というのは、この間も様々な問題があったわけです。そのことについて委員会の場で、しかもこういう問題を統括をする大臣に対して質問をされて、これで覚えていないというのでは、これは私は責任が果たせないと思うんですよ。

 で、調査したことは事実ですか。その点はどうですか、調査したこと自体は。

国務大臣(片山虎之助君)

 いや、そのときは調査すると言ったら調査したんですよ。何年か前でしょう、二年か三年か。しかもそれは指名停止というけれども、指名停止もいろいろあるんですよ。十日間の指名停止も、二週間のものもあるし一か月もあるし、いろんな議論があるんですよ。だから、そういうことをあなたの党のどなたかが質問されたら、調べますと言ったら調べているんですよ。

 通告されれば、あなたが今日のこの委員会で、それはその結果を私の方からお話しできたと思いますけれども、通告せずに質問され、前のことを、私がやっているわけでもないし覚えているわけがないでしょう、神様でもあるまいし。是非それはそういうふうにしてください。これが委員会のルールですから。

井上哲士君

 いや、新たに調べなくちゃいけない問題じゃないんですよ。この場で調査をすると答弁されたことについてどうですかと聞いているわけでありますから、しかも二年前の問題でありまして、それは私は大変無責任な答弁だと思います。

 この指名停止を受ける業者からの献金、特に公共事業での談合にかかわった献金なんですね。公共事業の談合というのは、落札額を引き上げまして税金の無駄遣いになる。そこからもらえる、もらうということは結局還流だということで、この間いろんな問題になりました。ですから、小泉総理とか森元総理、鈴木宗男氏など、談合などを行って入札停止の処分を受けている企業からの献金というのは、これは返還しているんですね。しかし、こういう重大な問題を指摘をされても覚えてもいないというのは、私は非常に無責任だと思います。

 しかも、この富樫議員が質問をしたときに、指名停止を受けたということで指摘をいたしましたこのアイサワ工場というのがありますが、工業、その後、二〇〇一年の十月二十二日から十二月二十一日の二か月間においても指名停止処分を受けております。ところが、あなたが代表者を務めます自由民主党岡山県参議院選挙区第二支部の収支報告を見ますと、このアイサワ工業から引き続き三万円ずつ合計三十万円の献金をこの指名停止期間中も含めて受けているわけですね。さらに、岡山市から二〇〇一年に二回、計二か月間指名停止をされている三宅建設、ここからも十二万円、期間中に受けて、含めて受けております。

 一度やはり委員会で指摘をされても、引き続きこの指名停止を受けている業者から献金を受けている。このことについてのやはり道義的な責任ということについてはどうお考えでしょうか。

国務大臣(片山虎之助君)

 いや、私は事実を知らないんですよ。だから、そのとき調べますと言って、富樫議員ですか、富樫委員から言われたことは調べたと思いますので、それはあなたね、通告しないと。何にも通告しないで突然質問をして、どこに何をねらっているのか知りませんけれども、そういうことは一つもフェアじゃないですよ。通告をすれば堂々と答えていますよ。そういうことであります。

井上哲士君

 私どもは公開をされている政治資金規正法の届出に基づいてお尋ねをしておりまして、私が聞いていますのは、こういう企業が現に献金をしているということは出されているわけですから、そういう指名停止などを受けている、特に談合にかかわっている企業から政治献金をもらうということについての道義的、政治的責任ということをどう考えているかという、そのお立場をお聞きしております。

国務大臣(片山虎之助君)

 我々は、政治資金規正法等法律に基づいて適法な手続でそれぞれ政治献金を受け取り処理しているんですよ。適法であれば、それはそれでいいんです。

井上哲士君

 いや、適法であればという問題じゃないんですよね。

 適法にこうして公開することによって国民が一体どういう政治資金が行われているかと見るんです。小泉総理や森元総理が談合関係企業からいただいた献金を返したというのも、法的な問題じゃない、やっぱり政治的、道義的な責任があるということで返還したんですよ。そういうことをやっぱり国民が見えるようにしておくということが大事なんですね。私は、この問題での責任者である総務大臣のそういう態度では、この問題の、金権政治の問題というのは解決がおぼつかないということを改めて思いました。

 現行の政治資金規正法が献金者の公表基準を五万円まで下げたわけでありますが、五月二十八日付けの時事通信の記事によりますと、与党三党の幹事長・国対委員長会談で、自民党が献金者名の公開基準を現行の年五万円超から二十四万円超に引き上げるように主張したと報道をされております。

 こういうときに、様々な金権政治への国民の疑惑が高いときに透明性を引き下げるような制度を作ることは、私は許されないと思いますが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

国務大臣(片山虎之助君)

 各党が各党でいろんな議論をしているんで、それは各党の自由ですよ。それは、その結果を見て、あと国会でどういう御議論をされるか知りませんけれども、それは各党でどうぞ御自由におやりください、そういうことであります。

井上哲士君

 大臣が、こういうこの問題の統括をする省の責任者としての大臣の見解を聞いているんです。

 今年の三月の予算委員会でも、この五万円に下げた、当時、下げたということについて、私は政党中心の政治資金制度になり、透明性は上がったと思いますというふうに評価をされているんですね。

 そうしますと、今行われているような議論は政党中心の政治資金制度を崩し、透明性を逆にするものじゃありませんか。そこの大臣としての見解をお聞きしているんです。

国務大臣(片山虎之助君)

 この問題は毎回国会で議論されておりますけれども、民主主義のコストをだれがどう負担するかという問題なんですよ。様々な考え方、様々な意見があるんですよ。それを集約して私は各党各会派でまとめていただければ大変有り難いと、これが基本的な立場ですよ。

 それは、党が全部丸抱えするようなところもありますしね、そうでないところもあるし、自分で集めるところもあるし、それはいろんなやり方があるし考え方もあるんですよ。そういうことの中で集約していただくというのが民主主義であります。一つの意見で押し付けるのはどこかの国であります。

井上哲士君

 全然問題の本質が分かってないんで、私あきれ果てました。どこから集めるかという問題じゃないんですよ。集めたものをどうやって透明性を確保するかということなんでしょう。

 我々は企業・団体献金は禁止しようと言っていますけれども、そこはいろいろな立場があるでしょう。しかし、もらったものについては国民が監視できるように透明性を確保すべきだということで五万になったわけですよ。それを今引き上げようということに対して、今全然全く違う答弁をされました。

 もしこれが、公開基準が今自民党などが主張するように二十四万ということになるとどうなるかを、大臣自身の参議院選挙区第二支部の二〇〇一年の収支報告で私ちょっと試算をしてみました。公開基準が五万円以下ということになりますと、この年の収支報告書で、法人その他の団体からの寄附、いわゆる企業・団体献金に当たる部分では、百三十五法人、五千二百七万四千五百八十円分については献金者名を明らかにして報告がなされておりますが、これが二十四万円以下になりますと、驚くべきことに二十九法人、二千六百二十四万円しか献金者を明らかにして報告がなされなくなります。百三十五法人が二十九法人になると。

 これでは正に不透明になるわけでありまして、先ほど指摘をいたしました例えば四社五件の指名停止業者からの献金を指摘しましたけれども、これなども二社三件しか指摘できなくなると、こういうことになるんですよ。そうしたら、正に国民の目から見ればいろんな問題も見えなくなってしまう。今、この間、昨年のムネオ疑惑に続きまして、今度の国会でも木村厚生副大臣とか上野官房副長官の問題とか出てきていますけれども、こういうときに透明性を下げてしまうということは国民の期待に全く反するものだと、こういうことは許されないということを指摘をいたしまして、質問を終わります。


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