本文へジャンプ
井上哲士ONLINE
日本共産党 中央委員会へのリンク
2004 年 5 月 12 日

議院運営委員会
秘書制度問題について質問


井上哲士君

 時間をいただきまして、秘書給与法案について質問をいたします。

 今回の改正の目的は、辻元清美、山本譲司、田中眞紀子、佐藤観樹氏と、一連の秘書給与流用や詐欺事件などを受けて、その再発を防止しようということにあると思います。

 昨年九月に、衆議院に国会議員の秘書に関する調査会が設けられまして、答申が出されております。その中でも、「秘書に支払われるべき給与が、秘書業務等に従事していない、もしくはほとんど秘書としての勤務実態のない者に支払われ、さらにはその支払われた給与が別の用途に流用されていることが露見し、大きな社会問題となっている。」、こう指摘をしております。

 秘書給与流用事件の一番の問題は、こうした勤務実態のない公設秘書の名義借りで給与を詐取する、ここにあると思います。そうであれば、改正はこの名義借りができないようにするということを中心にするべきでありますし、日本共産党は、そのために、公設秘書の氏名や勤務先を公表し、国民が監視しやすいようにすること、もう一つは、不正の温床にもなってきた近親者の秘書採用を禁止するなどの改正をすべきだと主張してまいりました。結果、法案には盛り込まれませんでしたけれども、衆参での議員秘書の氏名等の公表に係る申合せで院の指定する閲覧場所において行うということになりました。

 ただ、この法改正の目的、趣旨から考えますと、国民が簡単に情報を得ることができるように院のホームページ等で公開をするということが必要かと思うわけですが、この点、提案者の御意見をまずお伺いをいたします。

衆議院議員(小坂憲次君)

 井上議員にお答え申し上げます。

 御指摘のように、院が直接、議員秘書の氏名等という、この内容についての公表にかかわるということは、氏名等という中にはプライバシーにかかわる情報も関与する可能性があることから、院が直接関与するよりは、会派がそれぞれにおいて行うことが適切である、このように考えておるわけでございまして、様々な方法を検討いたしましたわけでございますが、公表事項や様式を各派共通のものとして、国民に対して分かりやすい形で情報提供することが適切かと考えまして、その意味で、御指摘の公開場所につきましては、各会派ごとに別々に公表するのではなく、国会議員の資産等報告書が公開されている場所においてすべての会派の情報を一か所に集めて公開することが、より国民が情報に容易にアクセスできるという点において適切であろうと、そのように考え、予定しているところでございます。

 したがいまして、御指摘の院のホームページ等における公表ということは、先ほど申し上げた理由によりましてこれを行わず、むしろホームページでの公開は、今回の議員秘書氏名等の公表は各会派の責任において行うものであることを考えれば、まず各会派において検討すべき課題であると考えるところでございます。

井上哲士君

 先ほどの理事会でも是非ホームページで公開をすべきだということを申し上げましたが、是非各会派も積極的な御検討をお願いしたいと思います。

 法案自体についてお聞きをいたします。

 法案作成の衆議院での協議の過程で、与党からは、公設の議員秘書が当該国会議員の資金管理団体又は当該国会議員が所属する政党に対しての寄附を禁止する、こういう案が提示もされました。この案を作成した考え方についてお聞きをいたします。

 秘書が政党や議員等に対して行う寄附について、先ほどのこの答申では、本来、寄附は法律にのっとり自由に行うことができるもので、特別な法規をもって禁止できるものではないと、こうしております。国民一人一人の行う寄附というのは、憲法十五条の参政権と同様、国民の基本的な権利の一つと言ってよいものだと思います。公設秘書であれだれであれ、各人の意思に基づく寄附は国民の政治参加の権利行使であり、秘書の当該国会議員の資金管理団体や所属政党への寄附を禁止する、このことは憲法に違反をするものではないかと、こう考えますけれども、これは法制局にお伺いをいたします。

衆議院法制局参事(郡山芳一君)

 衆議院法制局でございます。

 先生御指摘の点でございますが、これは衆議院での法案作成協議の途中段階で各党から提示された案の中身に関してのことでございますので、今ここで私どもの方からお答え申し上げることは適当ではないと考えております。

 ただ、そのことはそのこととしまして、政治団体に対する寄附の禁止についてどう考えるかという御質問としてお答えをさせていただきますと、先生御承知のように、政治団体に対する寄附は憲法上保障された国民の政治活動の自由の重要な要素であるということでありまして、したがって、仮にこれを制限するとすれば、問題を解決するために必要な最小限度の合理的な制限でなければならない。また、逆に申し上げますれば、その範囲内ならば規制をすることもまた可能であるということになります。

 したがいまして、今回起きております公設秘書についての問題の状況や、それに関して国民が抱いていると思われます疑惑なり疑念なりの範囲や程度に対する先生方の御認識や御判断によって憲法上許容される規制の範囲や程度についての御認識が異なってくることがあるんだろうと、このように理解をしているところでございます。

井上哲士君

 改正案は、この公設秘書のする政党その他の政治団体に対する寄附それ自体は禁止をしておりません。ところが、二十一条の三で秘書に対して寄附の勧誘や要求を禁止している、こういうことになっておりますが、この立法目的はどういうことになるでしょうか。

衆議院議員(小坂憲次君)

 井上議員が先ほど来御指摘になりましたような秘書給与にかかわる事案は、税金によって賄われている秘書給与の一部が当該議員の資金管理団体や政党に還流し流用される等の問題が発生し、国民から厳しい批判を受けているところであります。

 もとより、公設秘書が真に自発的な寄附を行うことは本案では何ら禁止されているものではありません。一方で、秘書と国会議員の関係から、議員の資金管理団体や議員が所属する政党に対する寄附の勧誘、要求がなされる場合には、秘書が強い圧力、プレッシャーを感じて事実上寄附せざるを得ないことが考えられるわけであります。これを利用して秘書給与の流用が行われるケースもあると思われるわけでありまして、そこで今回、国民から秘書給与が政治資金等に流用されるという疑惑を招きかねない寄附に限ってその勧誘と要求を禁止するとしたところであります。

井上哲士君

 議員と秘書の政党所属の関係は各党それぞれいろいろあります。ただ、秘書が当該議員の属する政党の構成員であるということは、一般国民と比べますとはるかにその比率は当然高いわけであります。

 党に在籍をする議員の秘書に対してその政党が寄附の勧誘、要求をするかということは本来その政党が決めることでありまして、政党の権限に属することだと思います。それを法律で禁止をするということは、自由であるべき政党の政治活動を制限することになるのではないか。それはまた結社の自由を侵害するものになるのではないかと考えますけれども、この点、法制局、いかがでしょうか。

衆議院法制局参事(郡山芳一君)

 お答えをいたします。

 先ほども御説明をさせていただきましたが、今回の改正案は、先生方の御認識、すなわち今回の問題で、税金を原資として公設秘書に支払われている秘書給与が雇主である議員の資金管理団体やその所属する政党に政治資金として言わば還流し流用されているのではないかという国民から強い疑念を抱かれているのではないかという先生方の御認識に立脚してなされたものであります。そのような先生方の御認識に立てば、今申し上げましたような疑念を持たれる可能性が高い、そういう寄附に限って勧誘、要求を禁止することには十分な合理性があると考えます。

 なお、今回の寄附勧誘、要求の禁止は、これは秘書に対する寄附の勧誘、要求の禁止でありまして、政党の構成員一般に対して寄附の勧誘、要求を禁止するものではないということからも併せ考えますと、先生御指摘のような政党の政治活動の自由及び結社の自由を不当に侵害するものとは言えないと考えております。

井上哲士君

 政党の政治活動の自由の制限にはならないということを繰り返し求めておきます。

 次に、兼職禁止規定の第二十一条の二で「他の職務に従事し、又は事業を営んではならない。」としておりますが、この規定の立法趣旨、それからその職務及び事業、この定義について述べていただきたい。例えば政党の政審の仕事、政治団体の会計責任者、それから福祉の作業所、こういったものについては職務や事業に該当するのかということも含めてお答えをいただきたいと思います。法制局。

衆議院法制局参事(郡山芳一君)

 お答えをいたします。

 本改正案で規定しております職務に従事するというのは、法人その他の団体の役職員としてその地位に応じて当該団体の事務を行うことでありまして、また事業を営むというのは自己の名義で商業、工業等の事業を経営することであります。いずれにしましても、公設秘書がその職務以外の事業又は職務に継続的又は定期的に従事する場合をいうのでございます。

 そこで、先生御指摘の政審の仕事等でございますが、これは公設秘書さんが先生方の職務遂行の補佐の一環としてあくまでも先生のお手伝い、先生の補佐ということで先生がなさっている仕事を手伝う意味から政審における政策立案作業を手伝うというような場合には、これはその仕事そのものは公設秘書の職務の一環と考えられますので、兼職というふうには評価はされないと思います。しかしながら、そうではございませんで、その秘書さんが政党職員として、言わば議員の指揮命令から、雇主である議員の指揮命令から離れた形で、要するに独立した形で政党の事務を行っている場合、政審の仕事を行っているような場合は兼職に当たるということになろうと、このように考えております。

 また、福祉作業事務所等につきましても、これは兼職に当たるということで届出をしていただくことになろうと、このように考えております。

井上哲士君

 政治団体の会計責任者という場合はいかがですか。

衆議院法制局参事(郡山芳一君)

 政治団体の会計責任者におきましても、兼職に当たるかと言われますれば、これは当該団体の仕事としてその職務を遂行するわけでございますから、一般的に言いますと兼職に当たると考えられます。

井上哲士君

 この兼職文書の公開、保存についてお聞きしますけれども、法案では任期中ということになっておりますけれども、国民のいろんな公開にこたえていくという点で言いますと、その議員が初めて当選をしてから引退するまで、議員の在任期間すべてを通して公開し保存をすべきだと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

衆議院議員(西博義君)

 お答え申し上げます。

 兼職文書の公開につきましては、当該議員秘書の退職までの間これを行うことを考えております。公開でございます。また、兼職文書の保存期間につきましては、当該議員秘書を使用する国会議員の退職までの間ということを想定しております。

 今回の兼職文書の公開の趣旨は、兼職の状況を公開することによりまして勤務実態のない議員秘書に対して公費が支払われるというようなゆゆしき事態が行われないようにということを目的としたものでございます。上記のような趣旨にかんがみれば、議員活動の節目である任期ごとに当該任期中の兼職の状況を公開して、また公開された文書を保存するということにいたしますれば、今回兼職について許可制を導入した目的は十分達成するものというふうに考えております。

委員長(宮崎秀樹君)

 時間です。

井上哲士君

 終わります。


リンクはご自由にどうぞ。各ページに掲載の画像及び記事の無断転載を禁じます。
© 2001-2005 Japanese Communist Party, Satoshi Inoue, all rights reserved.