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2004 年 3 月 16 日

法務委員会
大臣所信に対する質疑

  • 裁判員法案・刑事訴訟法案ならびに戸籍の婚外子差別の是正、性同一性障害の問題などを質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 大臣の所信の大きな柱である司法制度改革の中で、まず裁判員制度の問題について質問をいたします。

 私たちは、この制度は、長く職業裁判官が独占してきた日本の裁判に一般国民が参加をするという点で大変重要な制度だと評価をしております。そして、本当に国民の参加というものを実のあるものにするには、審議会の意見書が述べましたように、「裁判内容の決定に主体的、実質的に関与することができる」、こういう制度にする必要があります。そのために、私たちは、合議体でいいますと、裁判官一に対して裁判員は九人以上、少なくとも裁判官の数の三倍以上の裁判員が必要だということを考えております。

 大臣も、就任直後の記者会見で、裁判員の実質参加のためには数が多いことが必要だということを述べられております。ところが、今日、衆議院でも行われましたこの政府案につきまして言いますと、裁判官三、裁判員六という数となりました。これでは、市民が添え物になって、主体的、実質的な関与というのができないんではないか、こう思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(野沢太三君)

 委員御指摘のこの数の問題は、与党の中の調整におきましても最後まで議論のあったところでございます。

 合議体の構成の在り方については、まず評議の実効性の確保や、個々の裁判員が責任感と集中力を持って裁判に主体的に、実質的に関与するということを確保することが大事でございますが、合議体全体の規模にも一定の限度があるということで、議論の推移といたしましては、まず十人に至らない程度の全体の数を決めることが適当であると考えてきたわけでございます。

 次いで、この裁判員制度の対象の事件というのが法定合議事件の中でも特に重大と認められる一定の事件であることから、現行の法定合議事件と同様に、原則として裁判官三人による慎重な審判を行うということが必要であるということでその数をまず決め、そして合議体全体の規模が十人以内ということであると、残りのところで裁判員を六人ということが合理的ではないか。これで一対二ということになりますから、裁判官よりも裁判員が二倍ということに相なるわけでございまして、御提案の御趣旨等にもある程度はこれは沿っているものではないかと思うわけでございます。

 いずれにいたしましても、裁判官三、裁判員六という合議の構成は、裁判員の主体的、実質的な関与の確保と同時に、国民の感覚を最大限反映させる構成であるのではないかと考えておるわけでございます。

井上哲士君

 その国民の感覚を最大限に反映させるというためには、一般国民である裁判員が職業、プロの裁判官の前で萎縮せずに発言をできる、そういう条件が必要だと思うんです。

 そういう点でいいますと、人数とともに比率が私は大変大事だと思うんですね。九州大学が行った模擬裁判のことを去年の委員会でもちょっと紹介いたしましたけれども、裁判官と裁判員の割合が三対十という場合には、一人当たりの発言回数は、裁判官が二十回、裁判員が十三回ということでありますが、裁判官三、裁判員四、こういう数ですと、一人当たりの発言回数は、裁判官が三十七回、裁判員十七回と、ぐっと裁判員の数が減ります。ですから、裁判員の比率が少ないと、裁判官に対して、一人頭でいいますと半分以下の発言しかしなくなる、こういうことが出ているわけですね。

 ですから、本当にやっぱり裁判員が萎縮せずに発言をできるためには、こういうしっかりやっぱり比率を確保するということが、私は三倍以上が必要だと思うんですが、こういう比率という問題はどう議論され反映をされているんでしょうか、事務局長。

政府参考人(山崎潮君)

 そういう実験が行われたと、そのことは承知はしておりますけれども、ただこれは、問題はその人数いかんというよりも、裁判官がいかにその裁判員の方に意見を表明してもらえるか、そういうような指揮をするかというところにも絡んでくるわけでございまして、必ずしも人員が何倍かということが決め手になるわけではないというふうに理解をしております。

 また、二倍で足りない、三倍でなければならないという、こういう公式はどこからも出てこないわけでございまして、私どもはその評議の実効性、こちらの方が重要だというふうに思いまして、余り多数ですと本当にしゃべらない方が出てくる、これでは何のための評議かということになりますので、そちらをまず重要視をする。それで、最大限、多数の考え方の意見が反映されるようにその六人ということを選んだ、こういうことでございますので、御理解賜りたいと思います。

井上哲士君

 評議の実効性のためには十人以内が必要なんだというのが先ほどの大臣の答弁にもありました。結局、十人という枠があって、裁判官は従来どおり三人だと。先ほど大臣は残りという言い方をされましたけれども、そういう結局枠があって裁判官は三だと、こういう議論が先行しているから私はこの三対六という数になってしまったと思うんですね。

 結局、三人という従来の裁判の体制にどう国民を付け足すか、こういう発想がやはり大本にある。これでは本来の裁判員制度の在り方とは私は違うんではないか。そういう従来の裁判にどう付け足すかということではなくて、国民参加の新しい制度として制度設計を考えるべきだと思いますけれども、その点、もう一度大臣いかがでしょうか。

国務大臣(野沢太三君)

 この人数に関しては、私は分かりやすく今お話を申し上げたのでああいう表現になりましたが、法曹にかかわる例えば最高裁判所あるいは弁護士会の御意見、あるいは各党それぞれの御意見、これらをすべて集約した形で最も妥当な案として今回の案を決定させていただいておりますので、必ずしも付け足しでということではございません。あくまで国民の皆様の常識が正しく反映されるということで決定されたと、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

井上哲士君

 野党も、そしてまたいろんな市民団体もこの数ではやはり不十分だということを言っているわけでありますから、この点は今後法案審議の中でも再度議論をしていきたいと思います。

 この裁判員制度の導入に伴って刑事司法の手続を改善をしていくということが求められておりますけれども、結局、長らく批判のあった代用監獄の廃止、取調べの可視化、それから証拠の全面開示、これらは全部見送られました。

 その一方で、刑事訴訟法の改正案が出されているわけですが、この中には被告人の防御活動や弁護活動に不当な制約をもたらす、こういう中身も含まれておることは大変重大だと思います。

 今日は開示された証拠の目的外使用禁止の問題をお聞きしたいんですが、被告人及び弁護人は開示された証拠の複製その他、その内容の全部又は一部をそのまま記録したもの又は書面を当該被告事件の審理の準備以外の目的で使用してはならないと、こういう規定が入りまして、被告人については罰則まで付けております。

 憲法は八十二条で裁判の公開主義を定めておりますが、その趣旨は、公判手続を公開をすることで国民の批判にこたえる裁判がなされる、これによって公平な裁判がなされると、こういうことだと思います。私は、この開示された証拠の目的外使用ということはこの憲法の公判の、裁判の公開主義に反すると思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(野沢太三君)

 今回、刑事訴訟法等の一部を改正する法律案では、検察官が開示した証拠の複製等を被告人側が当該被告事件の審理の準備等の目的以外の目的で使用することを禁止することにしております。

 しかしながら、刑事裁判の審理が公開の法廷で行われるということには変わりはございませんで、そのように開示証拠の複製等の目的外使用を禁止するものとしても裁判公開の原則に反するものではないと考えておるところでございます。

井上哲士君

 今回、それでは今回この開示された証拠の目的外使用を禁止する、その趣旨、目的は何なんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この証拠の開示は何のために行われるかということでございますけれども、今回、かなり被告人の防御のために証拠が開示されるように、そういうような法律を用意しているわけでございますけれども、すなわちは、証拠調べの実施前に争点整理が十分に行われるようにと、こういうために証拠を開示するわけでございます。

 こうなりますと、何のためということは、やっぱり被告事件の被告人の防御のためということになるわけでございまして、被告人の事件から離れてそれ以外の目的で使用がされるということになると、その中に関係者の名誉、プライバシー、こういうものもあるわけでございまして、こういうものの侵害になる、場合によってはその中から証人の威迫等が行われる可能性もあるということでございまして、そういう弊害が生ずるおそれがあるということから、それを防止するためにこの規定を設けたということでございます。

井上哲士君

 もちろん、被告人や関係者のプライバシーに配慮をしなくてはならないのは当然であります。

 しかし、現行法でも訴訟記録等の閲覧を行った者はプライバシーなどへの配慮から様々な制限を課しておりますけれども、刑事罰はありません。不当な利用については弁護士倫理であるとか民訴法で対応し、それから名誉毀損とか恐喝などは刑法で対応するなど、現行は極めて抑制的だと思うんですね。なぜ一律に、かつ刑事罰を科すほどの厳しい制限を新たに付けなくてはならないのか、この点いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この点に関しましては、現在の刑事訴訟法の中でも、開示された証拠の扱いに関するルール、これが明確ではないわけでございます。

 そういう中で、かなりいろんな問題が起こっておりまして、例えば暴力団関係者にそのコピーが出てしまうということもございましたし、場合によってはインターネットで公開される、あるいは雑誌に掲載される、こういうような乱用事例がかなり目に付くわけでございます。

 このたび、今、国会に提出している刑事訴訟法等の一部を改正する法律案、この中で、従来より開示される証拠がかなり広がる、範囲が広がっていくという手続を設けているわけでございます。そうなりますと、今まで以上にいろいろな証拠が開示されるということになりますと、やはりこの辺をきちっと押さえないと今まで以上に乱用の事例が出てくるおそれがございます。そこをやはりきちっと防止をしなければならないということから手当てをしていると、こういうふうに理解をしていただきたいと思います。

井上哲士君

 乱用されたものについては別途手当てをすることはあると思うんですね。しかし、実際にはこれまで、共犯事件とか、それから例えば痴漢冤罪とか、関連するいろんな事件などの場合に、それぞれの弁護人、それから被告人も一緒になる場合もあります、開示された証拠をお互いに検討、協議をする、そういう弁護団会議であるとかそれから事例研究会、こういうことは広く行われてきましたし、松川事件のように、多くの国民が公開された訴訟記録などをよく検討して真実を訴えて、公正な裁判を求めることによって正しい裁判が実現をした、こういう歴史もあるわけです。こうした活動が目的外使用からはみ出すということで制限をされるということになるんじゃないですか。

政府参考人(山崎潮君)

 例えば、弁護団でいろいろ会議をするという場合は、その被告人の事件の関係であれば、その弁護団の中でそのコピーでその協議をするということは構わないわけでございます。また、共犯者との関係で行う場合は、共犯者は共犯者で、もしその証拠が必要であればその手続で自分の方でもらえるわけでございます。それが仮にもらえないとしても、その内容を伝えて、そこで協議を行うということはできるわけでございます。そういう意味でそこの支障はないであろうというふうに私どもは思っているわけでございます。

 それから、一般的な検証の御質問でございますけれども、これは別途、例えば確定事件であれば確定記録法ですか、こういうことに基づいてその閲覧等、それをすることができるわけでございます。そういう手続で経たものを御利用いただきたいということでございますし、また、そういうものでその研究をする場合に、そのものを使うということではなくて、その趣旨を明らかにして協議をいただく、あるいは研究をいただくということで足りるというふうに私どもは思っております。

井上哲士君

 支障はないとおっしゃいましたけれども、やはり現に弁護士団体を始めとして、こういう規定が入りますと被告人の防御権や弁護人の弁護活動に重大な影響を与えると、こういういろんなやっぱり危惧の声が出ているわけです。

 現在でも犯罪被害者等の保護を図る関連の法律で、不当に関係人の名誉や生活の平穏を害し、又は捜査や公判に支障を生じさせることのないように注意しなくてはならないということを閲覧等で規定をしているわけで、一律と禁止とせずにこういう不当な行為などを具体的に禁止すると、こういうことで事足りるんじゃないでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 不当な行為、これ全部をどうやって拾い上げるかという問題でございまして、閲覧なら閲覧というところに限ってやるならいいんですけれども、これはいったんその証拠が渡りますと、後どういう対応でどのようになっていくかということを、これを全部克明に書き出すことは非常に難しいわけでございます。そういうことから包括的にその目的外使用について禁止し罰則を設けていると、こういうことでございます。

井上哲士君

 繰り返しますが、現在でも様々な形で不当なものについてはこういう禁止の規定があるわけですから、そういうことで対応すべきだと思いますが、これもまた法案の際にじっくりと議論をさせていただきたいと思います。

 もう一つ、これ裁判員制度に戻るわけでありますが、守秘義務のことも大変議論になっております。

 衆議院の議論を見ておりましても、この点については行き過ぎた守秘義務を課すことは裁判員に非常に負担になるし、国民から裁判員制度を遠ざけることになると、こういう批判が出ておりました。これに対して、評議の秘密にかかわらないもの、例えば感想とかこの程度なら許される、その区別を明らかにするための方策を考えると、こういうこともありました。

 しかし、感想はいいけれども意見は駄目と、こういうことになるわけで、やはり当事者が、裁判が終わった後、それに関する自分の意見を表明するとか、この裁判員制度に在り方についての意見を表明するとか、ここまでも禁じる必要はないんじゃないでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 確かに感想は述べていいということでございますが、この裁判員制度に対する将来の提言、これも言っていただいてもそれは構わないだろうと思います。問題は、それが評議の秘密とか個人のプライバシー、こういうものに触れる場合は禁止をするということを言っているわけでございますので、そこに触れない範囲で制度に対する提言等をいただいてもこれは問題はないというふうに考えております。

井上哲士君

 本人の、自分の評議に対する意見、これも含めて今禁止になっている。これは外す必要があるんじゃないかと、こういうことを言っているんです。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、私どもはそれは外すべきではないというふうに思っております。個人が、自分はこう考えた、ああ考えたということ、これを全部表明すれば各人が表明をしてもいいということになるわけでございまして、各人が全部そろえば評議の秘密は全部現れてしまうということにもなりかねないということでございます。

 それからまた、意見を公表していない裁判員の意見も内容的には推測されるという状況にもなるわけでございますので、これは厳に慎んでいただきたいというふうに考えております。

井上哲士君

 もちろん、他人の意見等やまた秘密については、それは守秘義務を課すべきだと思いますが、私は、自分自身の意見について裁判が終了後まで課すのはこれはやはり行き過ぎだと思います。この点も今後法案の質疑の中で議論をしていきたいわけですけれども、やはり過度のこうした規制を置くことはこの裁判員制度を国民から遠ざけることになってしまうと、このことだけ指摘をしておきます。

 次に、戸籍の問題で幾つかお話、質問をいたしますが、婚外子のプライバシーの侵害だという判決を受けまして戸籍の記載を変えるという方向を大臣が打ち出されました。これは大変歓迎をしております。時期と方法はどのようにされるのか。

 それから、この問題の根本には、いわゆる相続における差別という問題があります。これは国際機関でもいろんな指摘がありまして、国連の社会権規約委員会でも、婚外子に対する法的、社会的及び制度的差別が存続していることについて、特に相続及び国籍に関する権利が制限されていることに関し懸念を有するということが日本に対して指摘されていますが、こうした国際的な指摘をどう受け止めて取り組もうとされているのか、大臣のお考えをお聞きします。

国務大臣(野沢太三君)

 お尋ねの戸籍の続柄欄における現行の取扱いでは、嫡出児についてはその出生の順に、例えば長男、次男あるいは長女、次女と記載して、非嫡出児については男又は女と記載することになっております。

 三月二日の東京地裁判決においては、非嫡出児であることが強調されることがないようにすべきである旨の判示がされたことでありますが、これを真摯に受け止めまして、法務省としましては、非嫡出児についても嫡出児と同様に長男、次男あるいは長女、次女と記載するようにその記載の方法を改善する方向で戸籍法の施行規則、これは法務省令でございますが、その改正で処理をするべく検討中でございます。

 この時期につきましては、なるべく早く所要の戸籍法改正、戸籍法の施行規則の改正が行えるように考えております。年を越さない程度ということで努力をしておりますが、もう一つの課題である相続の問題につきましては、なかなかこれは各方面の御意見もございまして、国民各層の御意見を伺い、また国会における議論等も私ども十分参酌しながら、国際的動向等も含め慎重に対応してまいりたいと考えております。

井上哲士君

 国際的動向と比較をして後れているということで指摘をされているわけでありますから、是非お願いをしたいと思います。

 この戸籍をめぐっては、昨年の通常国会で性同一性障害者の特例法を本委員会の委員長提案という形で全会一致で成立をさせました。七月から施行されるわけでありますが、今裁判所に性別変更の審判を求める際に提出をする必要がある医師の診断書の記載事項についての省令案が厚生労働省が作っておりまして、パブリックコメントを求めている最中ですが、この省令案と同時に通知が出される。記載に当たっての留意事項に関するものですが、その検討途上のものがいろいろ広がっておりまして、その内容をめぐっていろんな不安の声が出ております。

 省令案では、現在の戸籍と違う性ですね、要するに他の性別としての身体的適合状況や社会的適合状況について診断書に記載することになっていますが、その留意点として、この診断を行った医師が必ず診断を受けた者の友人、知人や同僚等の第三者から直接聞き取った供述を示すことと、こういうことがありまして、これでは強制的カミングアウトになるじゃないかと、こういう声が関係者、当事者から出ております。

 こういう第三者の供述を必ず求めるということはやめるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 性同一性障害特例法の施行準備を現在進めておりますが、家庭裁判所への性別変更の請求に際して必要となる医師の診断書の記載事項につきまして、厚生労働省で定めるべく、三月一日からパブリックコメントをしているところでございます。また、省令案と併せまして、記載事項の細目を定める記載要領についても現在検討を進めているところでございます。

 ただいま委員の御指摘の点につきましては、御指摘も踏まえまして、記載要領におきまして第三者からの意見聴取を必須としない方向で検討していきたいと考えております。

井上哲士君

 さらに省令案では、医療機関における診断受診歴並びに治療の結果、経過及び結果という項目があります。その記載の留意点として、治療の妥当性、正当性というのがあります。これについても非常に不安の声がありまして、当事者の中には様々な事情で海外での性適合手術を受けられた方もいらっしゃるわけで、正当性が強調されますとそういう方々が排除されるんじゃないかと、こういう不安がありますが、そんなことはあってはならないと思うんですが、その点どうでしょうか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 性同一性障害当事者の方々の中には、国内で治療が行われる前から、海外において性別適合手術を含む治療を受けた方々がたくさんおられるということは承知しているところでございます。

 委員の御指摘にありましたように、海外でそういった手術を受けられた方が不利益がないよう、「性同一性障害に関する診断と治療のガイドライン」というのがございますが、その第二版の内容を踏まえまして、今後検討してまいりたいと考えております。

井上哲士君

 この法律は、大変当事者の皆さんの熱い思いがあり、そして全会派の一致でできた法律でありますが、制定の過程でも、一人一人が自分らしく生きる、そのことを保障するためにできるだけ広く認定をしようということがありました。そのことを踏まえて、こうした省令やそして留意点にかかわる通知が、当事者の実態に合った内容にする必要があると思います。

 いろんな今不安の声が上がっていることを紹介いたしましたけれども、やはり早く通知の案も公表をして、そして当事者の皆さんの意見を幅広く聞くと、こういう場を持つことが必要だと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

政府参考人(塩田幸雄君)

 御指摘がありましたように、できるだけ早い機会に当事者の御意見を聞く機会を設けたいと思います。

井上哲士君

 是非、七月からの施行に向けて、幅広い皆さんが自分の心に合ったそういう戸籍を持てるように御努力をお願いをしたいと思います。

 終わります。

委員長(山本保君)

 本日の調査はこの程度にとどめます。


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