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2004 年 5 月 13 日

法務委員会
裁判員法案・刑事訴訟法一部改正案
(第二回目の質問)


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 前回の質問で、裁判員が実質的に裁判に関与できる制度にしなくちゃならないという柱でお聞きをいたしました。今日はまずもう一つの柱、国民が参加しやすい、参加したくなるような制度にどうするのかという点をお聞きをいたします。

 ちょっと通告と順番を変えますが、まずその点で守秘義務のことについてお聞きをいたします。

 午前中、大変充実した参考人質疑をいたしましたが、その中で四宮参考人がアメリカの陪審制度の改革について紹介をされておりました。出頭率を上げる上で、刑罰を引き上げるんじゃなくて、八〇%の人が単なる義務ではなくてこれは大切な仕事だと、こういうふうに思ってもらうことが大事なんだということで改革をしたということを言われておったんですね。これは大事な仕事だと皆さんに思っていただくという点からいいますと、裁判員になった方が大いにその経験を語って、大変大事な仕事をしてきたということを語っていただくこと、そして問題があればそれに基づいて正すということが、私は制度の発展にも定着にもつながっていくんではないかというふうに思うんです。その点、まず大臣の認識をお聞きをしたいと思います。

国務大臣(野沢太三君)

 大変大事なことでございまして、意欲的に主体的に参加していただくことがこの制度を今後十分機能させるということで大変大事なことであると思います。

 そこで、裁判員を経験された皆さんが評議の秘密とかその他プライバシーとかいったことの秘密に当たらない経験談を述べることは、大いにこれは結構なことじゃないかと。むしろ、そのことによりまして、国民の皆様が関心を持っていただきまして、この裁判員制度に対する理解を深めていただくということは大変大事なことと思っております。午前中の参考人のお話もございましたが、そういった意味も含めまして、やはり十分に感想を述べていただいた上で、かつ最低限の秘密は守っていただく、こういうことになっていけば有り難いと思っております。

井上哲士君

 今も、大いに語りながら最低限の秘密は守っていただきたい、こういう答弁があったんですね。

 ところが、どうも法案の方は、最低限というよりも、かなり広範な守秘義務が課せられているんではないかと思いますが、こうした守秘義務を課しているその保護法益についてまずお聞きをいたします。

政府参考人(山崎潮君)

 ここでは、他人のプライバシーとそれから評議の秘密と、職務上知り得た秘密とそれから評議の秘密、大きくこの二つに分けているわけでございます。

 最初に申し上げましたものは他人のプライバシーの問題でございます。これが外へ出るということになりますと、本当に裁判制度としていいのかどうかという問題が問われるわけでございます。

 それからまた、評議の秘密がそのまま出るということも同じでございまして、それが出るならばもう後で自由に物が言えなくなってしまうというおそれもあるわけでございます。したがいまして、その二つを保護法益にしているということでございます。

 特に、評議における自由な発言、これを保障するということにつきましては、その裁判員が後に批判されることを恐れたりして自らの意見を開陳することを差し控えるというおそれがあるわけでございますので、それがないようにして、自由濶達に様々な意見が交換される、あるいは充実した評議が行われるようにする、これを守りたいということがその保護法益でございます。それからもちろん他人のプライバシーがそのまま外へ出てしまうということも、これも絶対守らなきゃいけないと、こういう二つの保護法益だということでございます。

 ある意味ではまた、それにそのことが外へ出てしまって公表されるということになりますと、事後的にその裁判員の方がいろいろ追及をされたり、それから報復をされたりということのおそれもあるわけでございますので、考え方によっては裁判員の方の負担を軽減するという意味もあろうかというふうに思っているわけでございます。

井上哲士君

 大きく他人のプライバシーと、そして自由な意見表明のこの二つが挙げられましたが、やはり法案の守秘義務の範囲はこれを超えていると私は思うんですね。

 幾つか具体的に聞いてまいりますが、まず今回衆議院で法案が修正をされました。評議の秘密のうちから評議の経過というのが、経過の漏えいが罰金刑に落ちましたので、この区別は非常に大事になっておりますが、個人を特定していない意見というのはこの評議の経過に入るのか、それとも裁判官、裁判員の意見の方に入るのか、これはどうでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 たしか、評議の秘密が、意見とそれから評議の経過というふうに大きく分かれるわけでございます。ここで言われています意見ということでございますけれども、これは当該個人が特定されていない場合であっても、その意見の内容を明らかにするということにほかならないわけでございますので、これは評議の経過ではなくて裁判官及び裁判員の意見、これを明らかにする場合に該当するという考えでございます。

井上哲士君

 それでは、評議でこういうことがテーマになった、この点は評議の経過に入ってくるんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 評議でこういうことが議論された、テーマになったということは、評議の経過でございます。

井上哲士君

 そうしますと、これは秘密漏えいに掛かってくるわけですが、ただ、そのテーマについて明らかにしても、各人の発言には直結しないわけですから、別に自由な発言を阻害することにはなりませんし、どういうテーマが評議で行われるかということは大体公判を見ていれば、の当事者の活動からも明らかになることでありまして、結果としてこのテーマも経過として秘密漏えいにしてしまいますと、公判で明らかになったようなことすらしゃべれなくなるということに結果としてはなるんじゃないでしょうか。その点、どうでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは評議の秘密でございますので、公判で行われたこと、これに関しましては皆見ているわけでございまして、聞いているわけでございます。その公の場で行われていることでございますし、あるいは判決に書かれたこと、これも判決も外に明らかになるわけでございますので、これについてはそれについての限りで物を言うということはこれは自由でございます。問題は、その評議でどういう論点についてどういう順番で何が行われたかということですね、これについては守っていただきたいと、こういうことを言っておるわけでございます。

井上哲士君

 ですから、その多くがダブってくるわけですから、これは大変、やはり分かりにくいことになっていくと思うんですね。結果としてやはり秘密秘密ということに流れとしてなっていくんじゃないかと思うんです。

 じゃ、もう一つ聞きますが、この評議の方法、それから評議の進行の状況、これも評議の経過ということに入るんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これもどういう評議の方法でやったか、それから順番ですね、そういう点についても全部その評議の経過に入るということでございます。

井上哲士君

 裁判官における評議の進行の在り方とか、そういうことはどうですか。

政府参考人(山崎潮君)

 進行のその方法ですね、どういう具体的にやっていくかという手順の問題もありますし、それから項目の取り上げ方、こういうこと全部含まれるわけでございます。

井上哲士君

 そうしますと、これも特に各人の発言には直結しないわけですから、自由な発言の阻害に当たるものではないと思うんですね。

 それから、六十六条で、裁判長の評議における配慮義務というのが規定をされておりますが、ちゃんとそういう配慮が行われたかという検証の道が閉ざされてしまうと思うんですね。おとついの答弁の中で、評議での議論しやすい環境整備は重要だということも認められまして、今後の検討課題だということも答弁がありましたけれども、そういう、制度を良くしていく、評議を本当にふさわしくしていくということになりますと、どういう方法や進行がやられたかということを大いに検証していくということが必要だと思うんですね。そうしなければ改善方法も出てきませんし、仮に強引なやり方が行われたとすれば、それを正すこともできないということになるので、これをも協議の経過として秘密にしてしまっては、これはやはり問題だと思うんですけれども、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 それは、評議の順番、事項、これが全部明るみに出ますと、どういう点が問題になって、どういう流れになって、どういう結論になったかということをおのずと示すようなことになるわけでございまして、そうなりますと、そういうことが全部オープンになるということになると、こんな議論もしていたのかということになるわけでございまして、そうなりますと、裁判員の方によっては、そういうことが明るみに出るならばもう自分はしゃべらない方がいいということにもなりかねないわけでございまして、これは例えば、ある裁判員の方が話をしたと、その人の問題じゃなくて、他の裁判員の方、その考え方等もそれが明るみに出てしまうということになればその方が迷惑をするわけでございまして、それは自分だけの問題ではないということでございます。

 したがいまして、評議の秘密としてそれは保護しなければならない。ただ、それについて、先ほど千葉先生の方からも御質問がございましたけれども、それが評議の秘密にかかわるものであればそれは駄目だということになりますけれども、そこにかかわらないものであるならば、それは一種の裁判員制度の感想ということで行われていく、許されていくということになろうかというふうに思います。

井上哲士君

 裁判官がどういうふうに評議を進めたかということがなぜ個々の裁判員の発言が明らかになることにつながっていくのかというのは、私はどうも幾ら聞いてもよく理解できないんですね。

 もう一個聞きます。

 裁判長が法律解釈とか、それから訴訟手続、こういうことについてこういうふうに判断をしたと、これについてはやはり評議の経過に入るんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この法律解釈あるいはその訴訟手続上の判断、これは裁判官のみで行うということになっておりますけれども、これはやはりそういうものであっても、その合議体で裁判員の方が一緒になってその議論を聞いていく、聞くということも可能でございますし、最終的にそれがなくても、裁判官の方でこういう解釈で行うということを言われて、それもやっぱり裁判官の意見というよりも評議の審理経過の一つに含まれるわけでございまして、その評議の経過に含まれるというふうに考えております。

井上哲士君

 私は、これも各人の自由な意見の表明の阻害にもならないし、プライバシー侵害にもならないと思うんですね。裁判長の説明というのは言わば評議の土台にもなっていくわけですね。前回のときに、例えば公判の場で裁判長が基本的な説明をするべきだということを言いましたけれども、それも否定をされました。そうしますと、公開の場でやはり検証をできるものがなくなっていくということになりますから、私は、やはり裁判への本当の意味での信頼性という点からいっても、できる限り本当に守秘、プライバシーとかいうものに限った守秘義務に絞るべきだということを思うんです。

 もう一つ、しかも、裁判員と裁判官の違いというのがあるんですね。法案は裁判員が裁判が終了しても当該判決に対しての当否を述べるということを禁止をしておりますけれども、感想は述べてもらっても構わないと言いますけれども、当否を述べることが禁止されますと事実上感想も述べれなくなるんじゃないでしょうか、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 私申し上げておるのは、職務上知り得た秘密、他人の例えばプライバシーとかそれから評議にかかわる秘密でございまして、そこにかかわらない感想は言っても構わないと言っているわけでございまして、公判廷で行われていること、判決に書かれたこと、それ以外にも、物すごく疲れたなとか、いろんな感想はあると思うんですよね。分かりにくかったというようなこともあるかもしれません。そういうことについては構わないわけでございます。

 したがいまして、そこと、要するに秘密とそれ以外のものを、これを分けなければならないわけでございますが、じゃ、秘密についてそれは将来の役に立てるからもう少ししゃべってもいいようにすべきじゃないかということになりますと、これは裁判そのもの、これが裁判制度として成り立つかどうか、一つのかなめの制度でございますので、これについてはやっぱり、最低限やっぱり評議の秘密ということについてはお守りをいただきたいと、こういうことでございます。

井上哲士君

 秘密を漏らせと言っているんじゃないですね。そこまで秘密にする必要があるんだろうかということを言っているわけなんです。

 裁判の判決に対する当否というのはこれは述べれないことになっているかと思いますが、裁判官の場合は、判決に対しての当否を述べることや、そして秘密漏えいということはどういうふうになっているんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 裁判官も裁判員と同じでございまして、評議の秘密とそれから職務上知り得た秘密、これを守る義務を負っております。

 評議の秘密の方は、ちょっと具体的に言いますと、裁判所法の中に規定がございます。それから、職務上知り得た秘密につきましては、裁判官の場合、国家公務員法の適用が直接今ございませんので、いろんな規定の関係で、大変古いわけでございますけれども、官務服務紀律というのが明治二十年の七月三十日という、勅令というものがございまして、この適用を受けているというのが一般的な解釈でございます。ここでやっぱり職務上知り得た秘密を漏らしてはならないと、こういうことになっております。

 ただ、これに伴う罰則は両方ともないと、こういう状況でございます。

井上哲士君

 判決の当否を述べる、判決に対する当否を述べることはどうなっていますか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、裁判官は、裁判所法四十九条でございまして、罰則はございませんけれども、判決の当否を述べた場合、その具体的な事情いかんによってはその裁判官の品位を辱める行状があったということに当たる場合があり得ますので、これは裁判所法四十九条でその規定がございまして、裁判官は職務上の義務に違反し、若しくはその職務を怠り、又は品位を辱める行状があったときは別に法律で定めるところにより裁判によって懲戒されるということでございまして、別の裁判というのが、いわゆる弾劾裁判、あるいは分限裁判ということを意味するわけでございます。

井上哲士君

 今ありましたように、裁判員の場合は刑罰付きでありますけれども、裁判官の場合は守秘義務はあっても刑罰はありません。しかも、判決に対する当否を述べることは、今ありましたように確かに在籍中は懲戒理由になりますけれども、逆に言いますと、裁判員を辞めた後はこれは掛からないわけです、裁判官を辞めた後はそういう懲戒というのは掛からないわけですね。

 これはやっぱり、今日の午前中もありましたけれども、参加をしてもらおうと思ったら国民を信頼をするということが大事だと思うんですが、同じ裁判をやっても、裁判員に対しては刑罰付きで、しかも辞めた後も当否を述べちゃいけない、裁判官の方は刑罰ない、辞めた後は当否を述べること、それ自体は懲戒理由にならない、できないと。これは私はおかしいと思うんですね。やはり裁判員も裁判官に準じて扱うべきじゃないでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは、裁判員の方はその事件ごとに選任されるということになりますので、他に担保措置が考えられないことから刑事罰を、刑事の罰則を設けるということになるわけでございますけれども、裁判官の場合は別の担保措置がございまして、分限だとか、いわゆる懲戒ですね、分限、弾劾、こういうものがあるわけでございますので、これによって担保をされるということになります。じゃ、退職後はどうかという問題でございますけれども、これは長年高い倫理観で培われてきたということから一般的には守られていくという形で考えているわけでございます。

 これは余分なことかもしれませんけれども、裁判官だけの問題ではなくて、特別公務員の方についてはすべていったん国家公務員法の適用から外されておりまして、そういう意味では特別公務員の方全体にかかわる問題でございます。

 それからもう一つは、裁判官の、裁判員裁判だけにかかわる問題ではございませんで、民事、家事、そのほかのいろんなものございます。それ全体の問題であるということでありますし、裁判官のみの問題ではないということでございますので、そこのところは御理解を賜りたいというふうに思います。

井上哲士君

 過去に、私、幾つか持ってきましたけれども、これは八海事件の担当した裁判官が本を出しておられます。それから、財田川事件を担当した裁判官、この人は裁判官を辞して、そしてこういう本を出しておられますし、それから、松川事件の再審を担当された、差戻し審を担当された方もいろいろ語っておられるのがありますし、最近は徳島ラジオ商殺人事件にかかわられた当時の裁判官も「裁判官はなぜ誤るのか」というような新書も出されております。それぞれに、こういうことを明らかにするのがやはり冤罪もなくし、いろんな意味で裁判の信頼をむしろ高めていくことになるという思いから出されていると思うんですね。

 現に、こういうことが、中には現職のときにも、そして退職をされた裁判官の方が出されていると。一方で、裁判が終わっても裁判員にはやはりずっと一生涯罰則が付くと。これはやっぱり明らかに私はアンバランスだと思うんですけれども、改めていかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 私、今御指摘されました本を全部読んでおるわけではございませんけれども、そういうものがあるということは承知はしております。

 これは正に自己判断で行われていることだろうというふうに私は理解をいたしますけれども、その取上げ方について、それぞれやっぱり法律の専門家としてある程度抽象化して物を言っているところがあろうと思うんですね。そういう意味で、その内容についてストレートに全部外に話をするのか、あるいはそれを抽象的に丸めて話をするのかということによっても大分違うわけでございますけれども、いずれにしましてもそれは自己判断で行われているということでございまして、私はそれについてとやかく言うつもりはございません。

井上哲士君

 これがけしからぬからとやかく言ってほしいということで質問しているんじゃないんですね。

 現にこういうことが行われている中で、一方でやはり裁判員だけには生涯の罰則を掛けて、そして当否も言うことができないというのは、本当に国民を信頼して司法に参加をしてもらおうというこの制度の趣旨からいっても、そしてこの守秘義務の先ほど言われた保護法益からいってもずれているんじゃないかということを指摘をしているわけでありまして、是非ここは更に私は見直しをすることが必要だということを指摘をしておきます。

 もう一つ、いわゆる請託罪のことについてお聞きをいたします。

 今も幾つかの冤罪事件についてお聞きをしましたけれども、これをいろんな形での支援運動というのが支えてまいりました。困難な被告人を支えるいろんな活動というのは、被告人の権利を守り、結果として裁判への信頼も高めてきたと思いますが、こういう裁判支援運動について大臣はどのような評価を持っていらっしゃるでしょうか。

国務大臣(野沢太三君)

 被告人が無罪を主張している事件につきまして、被告人を支援する方々が熱心に様々な活動を行われているという事例があることは十分承知をしております。

 ただ、いわゆる裁判支援運動の果たしてきた役割につきましては、個別具体の事件に現実に与えた影響の有無やその内容にかかわるものでありますので、その詳細を承知してはおりませんし、また個別具体の事件の評価にわたることにもなりかねませんので、法務大臣としてはお答えは差し控えたいと存じます。

井上哲士君

 いろんなやはり大きな役割を私は果たしてきたと思うんですね。そういうことが新しい制度の下で妨げになるということはあってはならないと思うんです。

 審理に影響を与える目的での情報提供というのが七十七条で刑事罰の対象になりますが、例えばこういう支援活動でいろんな、駅頭であるとか、場合によっては裁判所近くの公道であるとか、いろんなところで公正な裁判をしてほしいということを求めるような不特定多数に向かっての宣伝行動というのがあります。そうしますと、結果として裁判員の方にそういう宣伝物が渡るということもあり得るかとは思うんですが、こうした不特定多数に対するそうした公正な裁判等を求める宣伝活動、表現活動、これはこの処罰の対象には当たらない、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 一般論で申し上げますけれども、裁判員に対してなされたものと認められないようなもの、例えば不特定多数の人に対する一般的な活動、これはこの項の罪には該当はしないというふうに考えております。

井上哲士君

 それから、いろんな支援活動の中で、公正な裁判を求める署名を集めまして、これを裁判所に対して請願権の行使として提出をするということもいろんな支援運動で行われてきました。

 今は書記官を通じて裁判体に提出をしているわけでありますが、これもこの法律ができたといっても憲法で保障された請願権の行使として裁判長とか、そして裁判官あてにこういう要請署名などを提出をするということは今後も許される、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ただ、一般論で申し上げますけれども、特定の事件について無罪判決をすべきである旨の書面を裁判員を名あて人に含めずに裁判長あるいは裁判官あて、こういうことにしまして、裁判員も閲覧するという認識、意図、そういうのを持たずに裁判員が閲覧することのないようにして提出をするというような行為、これにつきましてはこの罪には当たらないというふうに考えております。

井上哲士君

 最後ですが、現在でも同じように関係者等の上申書を情状証拠として裁判所に提出するということもありますが、裁判員の参加する裁判において、例えば弁護人が公判の場で述べる際に、こういう要請署名が幾つ集まっているとか、こういう中身だということを述べたり、また裁判体に提示をする、こういうことについても許されるということでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 一般論としていえば、通常は弁護人の意見陳述としてなされた行為についてはこの罪には当たらないというふうに考えておるところでございます。

井上哲士君

 終わります。

委員長(山本保君)

 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。

午後三時四十六分散会


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