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井上哲士ONLINE
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2004 年 5 月 18 日

法務委員会
裁判員法案・刑事訴訟法一部改正案
(第3回目の質問・2)

  • 「証拠の目的外使用の禁止」条項について質問し、「公判審理のためなら禁止されるものではない」との答弁を引き出す。また、証拠開示について前進面が生かされる運用を求めた。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 私も昨日、仙台の地方公聴会に参加をいたしました。大変充実した公聴会になりまして、それぞれの公述人の方がこの裁判員制度への期待を述べられると同時に、是非いい制度にしてほしいということで、いろんな要望などが出されました。法案を修正しなくちゃいけないこと、それから運用にかかわること、また施行までに手当てをすべきことなど、様々なことがあったわけでありますが、公聴会でこういうことをお聞きした以上、やはりこれを生かしていくということが私どもの責任でありますから、今日、私は三回目の質問になりますけれども、是非引き続く充実した審議をお願いをしたいと思います。

 今日、やっと刑訴法の改正に入りたいと思うんですが、その前に一点だけ、裁判員制度にかかわって解任の問題について何点かお尋ねをいたします。

 裁判員等の解任という規定があるわけでありますが、理由がある場合に被告人や弁護人、検察官が解任の申立てを行えると、これは当然だと思います。さらに、法案では、裁判所の職権による解任というのを認めております。いろんな模擬裁判などをお聞きしておりますと、この裁判所による職権解任が濫用されるんじゃないかという懸念をお持ちの方がかなり多いんですね。

 そこで、何点かお聞きするんですが、まず四十一条の七号で「不公平な裁判をするおそれ」、これを職権解任の対象にしておりますけれども、これはどういうことを想定した規定なんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この法案の四十一条一項七号でございますけれども、これは、この法案に十八条の規定がございますけれども、ここでやはり「不公平な裁判をするおそれ」があるという、そういう同趣旨の規定を設けておりますけれども、これと同じ意味でございます。すなわち、特定の裁判員が第十七条の各号に掲げます事件に関する不適格事由、これに該当しない場合でありましても、これ以外の要因によって公平な裁判を期待することができない場合、これを抽象的には言うわけでございます。

 例えば、具体的に言えば、ある裁判員が担当事件の当事者と親友であったりとか、あるいは金銭的な利害関係があるというような特別な関係があるとか、そういうことから訴訟手続以外のところで既に事件について一定の判断を持っているため、その事件については公平な審判を期待できないと認められる、こういうような場合を言っているということでございます。

井上哲士君

 分かりました。

 さらに、職権解任の対象としては四十一条九号というのもあります。ここでは、裁判員又は補充裁判員が、公判廷において、裁判長が命じた事項に従わず又は暴言その他の不穏当な行動をすることによって公判手続の進行を妨げたときと規定をされております。

 先ほどもこの点についての質疑があったわけですが、先ほどのこととは逆に、裁判員が疑問に思ったり納得がいかないという場合に尋問をすることができるわけですが、これを不当に妨げるような形になるんじゃないかと、こういう疑問もあるわけですが、この点はいかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これはこの法案の中でも、あるいは証人、被告人に対して質問をする場合、裁判長に告げてその質問をすることができるということで、きちっとそこは当然できるんだよという権限を設けているわけでございます。

 ここで、今、四十一条一項九号で言っている場合は、これについて相当に暴言その他不穏当な言動をすることによってでございますので、通常に、若干、何というんですかね、ややくどく、あるいは詳細にわたって聞くという程度、これはもう大いに、間々、大いにと言っちゃおかしいですけれども、間々あるわけでございますので、その程度のことを言っているわけではございません。そこで議事の進行が余りうまくいかないということであれば、これは裁判長がある程度整理をしてお聞きをするということもできるわけでございます。

 ここで言っているのは、ただ、それにも従わずに相当な行動をするというような場合には、これはもう、なかなかもう裁判としてやっていけないという状況にもなりますので、そういう場合には解任の手続をすることができるという非常にレアケースの場合を言っているということで、通常は御心配にならずに大丈夫だということでございます。

井上哲士君

 この点で最後、大臣にお聞きをするんですが、これもよく心配の声があるのは、例えば合議体の評議で裁判官の意見に強硬に反対する少数者がいると、そういう人でなかなかまとまらないというときにこの職権解任が使われたり、そういう濫用がありますと、裁判の公正さも損なわれるし、信頼も損なわれるという懸念が出されております。そのためには、この職権による解任というのが公正で透明な手続で行われる必要があると思いますが、法案はこの点はどういうふうな手当てがされているのか、お願いします。

国務大臣(野沢太三君)

 裁判所の職権による裁判員の解任につきましては、解任の判断の公正さに疑念が抱かれることのないようにすることが必要であると考えておるところでございます。

 そこで、法案第四十三条におきましては、合議体を構成する裁判官が判断しても、その判断の公正さに疑念を抱かれるおそれがないと認められる客観的な解任事由、例えば出頭義務に違反したことや、裁判員となる資格がないことが判明したことなどについてのみ合議体を構成する裁判官が直接解任の判断を行うことができることとしておるわけでございます。

 そして、それ以外の解任事由につきましては、解任事由に該当すると疑うに足りる相当な理由があるときには、裁判長がその所属する地方裁判所に対してその理由を示して通知を行うこととし、その通知を受けた地方裁判所におきまして別の裁判官によって新たな合議体を構成することとして、改めて解任すべきかどうかの判断を行うこととしております。

 客観的にその点が取り運ばれると、こういうことでございます。

井上哲士君

 ちょっと確認しますけれども、そういうことは、この決定には構成裁判所は関与をしないと、こういうことでよろしいわけですね。

政府参考人(山崎潮君)

 大臣が申し上げたのはそういう趣旨でございます。

井上哲士君

 じゃ次に、刑事訴訟法の改正について質問をいたします。

 先日の裁判員法の質疑のときにも、刑事司法制度のどこを改革するのかと、この現状への評価なしにこの法案の審議はできないということを申し上げました。今回の法案で言いますと、刑事訴訟法で言いますと、様々指摘をされてこられた、いわゆる自白偏重、そして人質司法とも言われる長期勾留の問題、ここに改革の手が入っていないということを言わざるを得ないわけです。それで、そういった問題を議論をまずしたいわけですが、今日は修正案の提案者にも来ていただいておりまして、様々な事情もありますようですので、まず先にこの目的外使用の問題についてお聞きをしたいと思います。

 先ほど申し上げましたようないろんな現状の問題が放置をされる一方で、被告人の防御権を侵しかねない問題を含んでいるということを大変重大だと思っております。開示証拠の目的外使用の禁止ということが盛り込まれているわけですが、この二百八十一条の四で、この手続又はその準備に使用する以外禁止と、こうなっているわけですね。この手続又はその準備に使用というのはどこまでが含まれるのかということをまずお聞きするんですが、実質的に弁護活動や訴訟活動のために使用するのであれば、その開示証拠に触れる人物が当該事件の被告人や弁護人の範囲を超えていてもこれは構わないのか、それとも被告人、弁護人の範囲を超えれば目的外使用になってしまうのかと、こういうことなんです。

 これが駄目だということになりますと、例えば弁護人の側が開示された証拠の鑑定を専門家に依頼するいわゆる私的鑑定など、こういうものが不可能になってくるわけで、この点はどのように考えているんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ただいま御指摘のその弁護人が自ら鑑定を依頼した鑑定人に開示証拠のコピーを渡すというような場合だろうと思いますけれども、これにつきましては、その鑑定が当該事件における検察官の主張事実のその真実性ですね、これを調査することを目的とするということなど、自ら担当する被告事件の審理の準備のためであるという場合には、その鑑定のための資料として開示証拠のコピーを交付すること、これは禁止されるものではないということでございます。

井上哲士君

 分かりました。その上で修正案の提案者についてお聞きをいたします。

 この目的外使用の禁止につきましては、衆議院で修正が加えられました。前項の規定に違反した場合の措置については、被告人の防御権を踏まえてとした上で、「その取調べの方法その他の事情を考慮するものとする。」という条項が追加をされたんですが、ここで言う「前項の規定に違反した場合の措置」、この「措置」というのは、例えばどういうことを言われているのか。いかがでしょうか。

衆議院議員(漆原良夫君)

 この「措置」というのは、刑事訴訟法第二百八十一条の四第一項の規定に違反する違反行為に対して取られる法的措置のことでありまして、例えば具体的には、弁護士が同項の規定に違反する行為に及んだことを理由に弁護士の品位を失うべき非行があったものとしてなされる弁護士法上の懲戒処分、あるいは被告人等が刑事訴訟法二百八十一条の四第一項の禁止規定に違反する行為に及んだことによって損害を受けた者による民法上の損害賠償請求権、そういうものがこれに当たるというふうに考えております。

井上哲士君

 この目的外使用の禁止については、被告人の防御権を不当に侵すものだとか弁護活動を困難にするという様々な批判の声がありました。その中で、衆議院でも様々な議論も行われ、また院外での議論もあります。その議論の中で、これ、被告人の防御のために必要な開示証拠の使用というのは審理の準備だけには限定されないではないかとか、それから関係人の名誉等を害さない場合には実質的には違法性がない場合もあるんじゃないかとか、また、公開の法廷で取り調べられた証拠についてまで目的外使用を禁止すべきでないなどなど様々な議論がありましたが、今回の修正はこういう議論を踏まえたものなのか、そしてどういうことを期待されたものなのか、その点お願いします。

衆議院議員(漆原良夫君)

 正に衆議院においてもそういう議論がなされてこの修正に及んだわけでありますが、新設の刑訴法の二百八十一条の四第一項は、被告人、弁護人又はこれらであった者による開示目的の目的外使用を一般的に禁止するものであります。ただし、当然のことながら、同じく同項に違反する行為であったとしても、違反に係る複製等の内容やあるいは違反行為の目的、態様など、同条第二項に掲げたものを始めとするいろんな事情によって違反の悪質性の程度は相当に異なるものがあるというふうに思われます。

 例えば、違反に係る証拠が被害者の日記等のプライバシー性の高いものであるかどうか、あるいは営利目的によるものかどうか、さらにはインターネットで広く公開するなど不特定多数の者に対して提供をするものであるかどうかなど、事情によって悪質性の程度は大きく違うというふうに思われます。そこで、二百八十一条第二項として、被告人らが同条第一項の規定に違反した場合の措置を取るに当たっては、同条第二項に例示したものを始めとする諸事情を考慮すべきであるということを注意的に明らかにすることとしたものであります。

 したがいまして、例えば二百八十一条の四第一項に違反する行為によって関係人の名誉を害したかどうかなどを始めとする諸事情を考慮した上で、関係人の名誉が害されていないということが有利な事情の一つとして勘案し、当該違反行為に対して懲戒処分等の措置までは必要がないというふうに判断される場合が十分あり得るというふうに考えております。

井上哲士君

 ありがとうございました。

 その上で再び法務省に、推本にお聞きをいたしますが、目的外使用を禁止する証拠に係る複製等についてということの解釈でありますが、複製その他の証拠の全部又は一部をそのまま記録した物及び書面と、こうなっておりますが、これどういうものを指すんだろうかと。

 例えば供述調書のような書面の場合に、固有名詞、それから日時、これを黒塗りをするなど、こういう処理をした物というのは、この全部、一部をそのまま記録した書面ということに当たるということになるんでしょうか、いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは具体的な事案に照らして判断する必要があるというふうに考えております。ただ、一般的に言えば、開示された供述調書の記載を加工、修正した物については一部をそのまま記録した書面に該当する場合もあり得ますけれども、それ以外の場合にはその証拠の複製等には該当しないということでございまして、抽象的でちょっと分かりにくいわけでございますけれども、例えば一つ例示的に言えば、被告人の自白調書におきまして固有名詞をすべて修正、加工したとしましても、被告人以外の者が登場しないような物について、あとは被害者ぐらいですね、そういうような物については、その場面についてその供述内容がそのまま残っているような場合、そのような場合には一部をそのまま記録した書面に該当し得る場合もあるということになります。

 あと、それからもう一つ、それに当たらないというような場合につきましては、登場人物が複数ある、それから場所もいろいろ複数あったり、日時もあるということで、そこを全部墨塗り等をするということによって、その具体的なストーリーというんですかね、それがどうも分かりにくくなっているというようなことになれば、これはもう複製としてそのまま外へ出したということにはならないということになりますので、その事案事案によって具体的に判断がされるということでございます。

井上哲士君

 逆に、文章としては要約をしてあるけれども固有名詞等は残っていると、こういうこともあろうかと思うんですけれども、こういう場合はどうなるんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ここで禁止しているのは、複製がそのまま出るということを禁止しているわけでございまして、その全体を概要をまとめて出すということについては禁じているわけではないということでございます。

井上哲士君

 その場合に、固有名詞が残っている場合であっても禁じているわけでないと、こういうことでよろしいわけですね。

政府参考人(山崎潮君)

 要約している場合には、固有名詞が出てもそれは仕方がないということでございます。

井上哲士君

 再審請求などをされているいろんな支援運動の方からもこの目的外使用についてのいろんな批判の声が出ておりますが、その確定した事件の場合に、刑事確定訴訟記録法によって記録を謄写をしているという場合があります。これに基づいてこの再審請求の準備を行ったり、この記録の謄写を用いて宣伝活動をするという場合があるわけですが、こういう確定記録に含まれる開示証拠、これを目的外使用した場合というのはこの法の対象にはならないと、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 改正法案の二百八十一条の四の証拠の複製等の目的外使用の規制でございますけれども、これは検察官において被告事件の審理の準備のために開示した証拠を対象にするという、そういう趣旨でございます。

 今御指摘がございました刑事確定訴訟記録法の規定によって記録を閲覧、謄写した場合、この場合につきましては、先ほど申し上げました二百八十一条の四による目的外使用規制の禁止対象とはならないということで考えております。

井上哲士君

 分かりました。

 それでは、もう一回戻りまして、この刑訴法の審議をする上で今の刑事裁判の現状ということについて議論をしたいんですが、先日は被告人、疑わしきは被告人の利益にということが本当に裁判の中で貫かれているんだろうかということを提起をいたしました。今日は、裁判手続、司法の手続がどうなっているんだろうかということについて議論をしたいんです。

 前々回に、この点で可視化の問題を質問した際に、我が国の捜査においては自白が重要な位置を占めていると、こういう答弁がありました。問題は、自白に偏重していると、こういう批判なわけですね。

 その点で、今日はまず、二〇〇〇年の五月二十六日に松山地裁で無罪判決が行われた宇和島の事件というのを例に取り上げたいんです。一九九八年に宇和島市内で発生をした事件で、窃盗や詐欺などの罪で五十一歳の男性が起訴されたものですが、まずちょっとこれ、法務省に事実関係を確認しておきますが、この裁判で検察側は自白と客観的な証拠があるとして起訴したが、現段階では男性は本件に全く関与してないことは明白で無罪判決を求めますと、こういう異例の陳述をしておりますが、検察から無罪判決を求めたと、こういう事実関係についてよろしいでしょうか。

政府参考人(樋渡利秋君)

 お尋ねは、平成十二年五月二十六日、松山地方裁判所宇和島支部において被告人に無罪判決が下された窃盗等被告事件に関するものと思いますが、そのような論告を検察官が述べたことは間違いございません。

井上哲士君

 検察が起訴しながら無罪判決を求めるという非常に異例な事件だったわけですが、これ、うその自白をしたけれども公判中に真犯人が分かったというケースなんですね。

 この宇和島支部での判決は、この自白についてこういうふうに述べております。被告人の自白は、自らの弁解が取調べに当たった警察官に信用してもらえないとのあきらめの思い、また、たとえうそでも自白をすれば家族や勤務先の会社に迷惑を掛けずに済むとの思いから、自らはしていない犯罪について、想像を交えながら真実に反する供述をしていったものと言うべきであって、被告人の自白は信用することができないと、こう判決で述べておりますけれども、最高裁、これ確認したいんですが、これで間違いないでしょうか。

最高裁判所長官代理者(大野市太郎君)

 先ほど来指摘のありました平成十二年五月二十六日の松山地裁宇和島支部の判決において、委員御指摘のような記載があるということを承知しております。

井上哲士君

 なぜこのうその自白をしてしまったのかという問題なんですね。

 報道によりますと、起訴前に検察官からは、この方は、本当はやってないんだろうと言われたというんですね。しかし、そのときは、いや、やってますと答えたと。それは、否認をすれば署に帰ってから刑事さんの取調べが厳しくなると思ったからだと、こういうふうに報道で言われているわけです。先ほどの判決は、被告人と犯人の同一性については、自白以外の証拠による裏付けを欠くというふうに述べているわけであります。

 この経過から見ますと、この自白を得ることに全力を挙げる厳しい取調べが行われて、そこからうその自白が生み出されると、そして自白が得られますと、十分な裏付け調査が行われないままになって起訴までされたと、こういう経過が浮かび上がってくるんですが、検察当局としては、この事件について具体的にどのような反省をされているんでしょうか。

政府参考人(樋渡利秋君)

 前回も申し上げましたけれども、無罪に至る理由にはいろいろとございます。

 検察当局におきましては、従来から、信用性のある供述の確保とその裏付け捜査の徹底、証拠物やその他の客観的な証拠の十分な収集及び検討に意を用いて事件の適正な捜査処理に努めておりますが、お尋ねの事件につきましては、御指摘のような事実関係で無罪になったということでございます。

 もとより、検察当局におきましては、無罪の判決が確定した事件につきましては、裁判書や訴訟記録等を精査するなどして、捜査及び公判の具体的経過に照らしながら、供述の変遷や裏付け証拠の有無等の供述の任意性、信用性に係る捜査の観点等から問題点を吟味し、これにより把握した問題点を踏まえ、更に客観証拠の収集に努めるとともに、取調べに当たっては自白の任意性や信用性の確保に努めるなど、捜査が適正に行われるように努力しているものと承知しておりまして、お尋ねの事件の判決を受けても種々検察で検討をしているものと承知しておりますが、このような事態が起こったこと自体は検察としても重く受け止めているものと思います。

井上哲士君

 検察としても重く受け止めると、こういう答弁でありました。

 一件たりとも本来起きてはならない事態だと思いますけれども、この事件だけではないんですね。例えば二〇〇〇年十月の十九日に大阪地裁で無罪判決があった、これは痴漢問題の事件でありますけれども、阪急の車内で女子高生に痴漢行為をしたということで男性が強制わいせつ罪で起訴をされますが、否認をしたために、逮捕されて保釈されるまで六十九日間の勾留がされております。無罪判決では、警察は勾留すればいずれ自白するであろうと安易に考え、被害者供述の信用性を吟味せず、裏付け捜査を尽くさなかったと、こういう判決もこの場合も出ているわけです。

 このように、この自白偏重というのが長期勾留と結び付いていると。この否認事件であれば、長期間勾留をして自白を強要するということが横行しているんではないかと思うんです。これは、二〇〇一年六月十二日に東京簡裁で無罪の言渡しがされた痴漢容疑の事件というのがありますが、これは勾留は二十日間で、起訴後三日間の勾留です。それから、同じく痴漢容疑で二〇〇〇年四月十二日に東京簡裁で無罪言渡しがされた事件は、二十八日間勾留がされております。

 こういう痴漢行為は、東京都の迷惑防止条例違反ですけれども、その法定刑は五万円なんですね。五万円の法定刑なのに二十日とか二十八日間の長期勾留がなぜされなくちゃいけないか、常識的には非常に理解に苦しむわけでありますが、先ほどの大阪の地裁の判決が、勾留すればいずれ自白をするだろうと安易に考えたんじゃないかと、こういう指摘もしているわけで、自白を得んがための安易な長期勾留が行われているんではないかと、この批判についてはどうお考えでしょうか。

政府参考人(樋渡利秋君)

 捜査段階における被疑者の勾留は検察官の請求を受けて裁判官が判断することとされており、公判段階における被告人の勾留も裁判官又は裁判所の権限でありますので、お尋ねにつきましては法務当局としてお答えする立場にはないと思うのでありますが、しかしながら、被疑者の勾留につきましては検察官の請求を受けて始まるものでございますから、勾留請求について申し上げますと、勾留請求につきましては、犯罪を犯したことを疑うに足りる相当の事由があることに加え、罪証隠滅あるいは逃走が疑われる相当な理由があることなどが要件とされておりまして、検察官におきましては、個々の事件についてこれらの勾留の要件の有無を検討し勾留請求を行うかどうかを判断しているものと承知しておりまして、安易に請求しているというふうには思っておりません。

 また、起訴後勾留されている被告人につきまして保釈請求がなされた場合には、検察官におきましては、保釈の除外事由の有無を検討した上、保釈請求に対する意見を述べるなど、適切に対応しているものと承知しております。

井上哲士君

 本当に適切な対応がされているんだろうかと思うんですね。

 これ、最高裁にお聞きをいたしますが、五月の十日に東京地裁で無罪が言い渡された痴漢事件、先日の委員会でも紹介しましたけれども、これは四か月の求刑に対して五か月に及ぶ勾留となっております。

 二〇〇二年の六月五日に出ている最高裁の判決がありますが、これは痴漢行為で東京高裁で有罪が出たもので、最高裁の判決自身は有罪を維持をしたわけですけれども、この人の場合も未決勾留が九十三日間、起訴後も七十八日間の勾留がしております。最高裁判決はこの長期勾留についてはどのように判決で述べているでしょうか。

最高裁判所長官代理者(大野市太郎君)

 委員からあらかじめ御指摘がありましたのは平成十四年の六月五日の第二小法廷の決定だろうと思いますが、その決定書のうち、御要望のありました部分を読み上げさせていただきますと、改正前の前記条例による本罪の法定刑は五万円以下の罰金又は拘留若しくは科料というものであった。ところが、被告人の未決勾留期間は九十三日間、起訴後の勾留期間に限っても七十八日間に及んでいるのであり、前記の審理経過に照らすと、このような法定刑の軽微な事件について、身柄拘束の不必要な長期化を避けるための配慮が十分であったとは言えない上、上記の未決勾留期間のすべてが本件の審理にとって通常必要な期間であったとも認め難いと、このように述べております。

井上哲士君

 最高裁判決もそう述べたわけでありますが、この公訴事実を認めない場合に、この法定刑や求刑にかかわらずに勾留を請求し、そして安易に認めているんじゃないかと、こういうことが言われているわけで、やっぱりこういうやり方は改められるべきだと思いますけれども、もう一回最高裁、お願いをいたします。

最高裁判所長官代理者(大野市太郎君)

 否認をしていれば保釈を認めないといったような態度で審理に臨んでいるということはあり得ないと思いますし、またあってはならないというふうに思っております。

 現場の裁判官は、個々の具体的な事案の内容に即しまして、保釈ということであれば刑事訴訟法八十九条各号の定める保釈の制限事由があるかどうか、あった場合に、制限事由があるとしても裁量で裁判所が保釈できるのかどうかといった、そういう相当性について慎重に検討して判断しているものと思われますし、また勾留につきましても、刑事訴訟法六十条各号に定める事由があるかどうかについて慎重な検討をした上で判断しているものというふうに思っております。

井上哲士君

 私、ごく一部の例を挙げたんですが、慎重な検討をされたものと思えないような事例がいろんな形で出ているわけで、こういう長期勾留、その下での自白の強調やそして自白偏重という現状にこそ私はメスを入れる改革が今求められていると思います。

 そこで、大臣にお聞きをしますけれども、今回の法改正で即決裁判手続が盛り込まれております。

 先ほど紹介しました二〇〇〇年四月に痴漢容疑で無罪になった事件では、報道によりますと、被告人であった方は、警察から、罰金四万でも五万でも払ったら家族や会社に言わないよと、こう言って容疑を認めるよう説得をされたと、こう言われております。

 それから、昨年の一月に千葉地裁で、これは強姦罪に問われた二十三歳の男性の公判が、判決がありましたが、これは裁判所は自白の任意性を否定して検事調書の証拠採用をしておりません。報道によりますと、取調べの際に検事が、自白したら三年、否認したら八年と書いたメモ用紙を見せて、容疑を認めたら刑が短くなるという形で自白を促したと、こういうことがこの任意性を否定した理由だと言われておりますが、この事件の場合は検事も証人として出廷して、一般論として量刑を説明したんだと、こういうことを述べてメモを示したことを認めております。

 こういう長期勾留の中での自白の強要というようなことがある中でこの即決裁判手続が行われますと、むしろ自白強要になるんじゃないかと、こういう懸念があるわけですけれども、この点、大臣の所見を伺います。

国務大臣(野沢太三君)

 まず、即決裁判手続におきましても、通常の事件と同様に、証拠によって犯罪事実が認定されなければならず、被告人の自白以外の補強証拠が必要とされるのも通常の事件と同様でございます。

 また、即決裁判手続の申立てがあった事件につきましては、必ず弁護人が選任され、弁護人が即決裁判手続によることに同意しなければ即決裁判手続の決定をすることはできないとされておるわけでございます。

 さらに、裁判所は、例えば被告人の自白の任意性や信用性に疑問がある場合など、事実認定上の問題がある場合には、即決裁判手続によることが相当ではないものとして同手続の決定を取り消すものとしています。

 このように弁護人及び裁判所によって当該事案が即決裁判手続によることが相当かどうかにつきましてチェックが行われることになっておりますので、即決裁判手続の申立てに至る過程で自白の強要が行われる危険はないと考えておるわけでございます。

井上哲士君

 様々な手当てはされているわけですが、先ほど幾つか挙げましたように、警察の取調べ段階での様々な問題があるわけで、その時点からの弁護人がきちっと付くという制度の手当てが是非私は必要だと思います。その上で、証拠の開示の問題についてお尋ねをいたします。

 まず、大臣に基本的認識をお聞きをするんですが、捜査当局が集めた証拠というのは一体だれのものなんだろうかと。で、警察、検察が集めたものなんだから、これは有罪判決のために使われるものだ、当事者主義の下にこういうことを言う考えがあるんじゃないかということが指摘をされます。本来、国民の税金を使って集められた証拠というものは、言わば有罪を得るためではなくて、真実発見のためにこそ使われるべきだと思うんですけれども、ここの基本的認識についてまず大臣にお聞きをいたします。

国務大臣(野沢太三君)

 これは大変明確でございまして、検察官が収集した証拠は、「公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現すること」ということで、これはもう刑事訴訟法第一条の大原則でございまして、この刑事訴訟の目的が的確に果たされますように用いられるべきものであると考えておるところでございます。

井上哲士君

 捜査当局が税金使って集めた証拠は正に真実発見のために使われるものであるということでいいますと、できるだけ開示する、全面的に開示することが必要だという結論に私はなると思うんですね。

 今回の法案でそれではどれだけ広がるんだろうかということをただしたいんですが、検察官の手持ち証拠の開示については一九六九年の最高裁の判例がありますが、被告人の防御のために特に重要であり、かつこれにより罪証隠滅、証人威迫等の弊害を招来するおそれがなく、相当と認めるとき、これは裁判官が訴訟指揮権に基づいてこれを開示すべきだと、こういう判例があるわけですが、今回の法案で新たに設けられるこの証拠開示手続というのは、この六九年の判例と比較してどこがどう違っているのか、まずお願いします。

政府参考人(山崎潮君)

 何点か違う点がございます。

 まず、公判前の証拠開示の拡充という点でございます。この判例では、証拠調べの段階に入った後に証拠開示の申出をすることができるということになっておりますが、今回は公判前整理手続というものを導入するわけでございますので、その段階で開示を求めることができるという点が時期的にも違うと。

 それから、その内容でございますけれども、まず検察官が取調べを請求した証人等の供述調書等、これを開示しなければならない、これが一つでございます。それから、検察官が取調べを請求した証拠の証明力を判断するために重要な一定類型の証拠、これも開示しなければならないと。それから、被告人、弁護人が明らかにした主張に関連する証拠ですね、これについても開示の必要性と弊害、これを勘案しながら開示をしなければならないというふうにしているわけでございまして、かなり開示すべきものの範囲を明確にしているということでございます。

 それからもう一つは、その開示請求のその特定性の緩和という問題でございますけれども、この判例では一定の証拠についてその申出をする必要があるというふうにされておりますけれども、ここのこの新しい今私どもの御提案している制度では、当該証拠を識別するに足りる事項、すなわちその証拠の類型及びその範囲を明らかにすれば足りるということにしておりますので、例えば犯行現場で押収された証拠物、犯行の目撃者の供述調書とか、こういうような特定で足りるということにしているわけでございます。

 それからもう一点ございますけれども、現行の制度では、裁判所に開示命令の申出をいたしまして裁判所が開示命令を発しなかったという場合も、職権発動を促したにすぎないということから不服申立てをすることができないというのが現在のものでございます。これに対しまして、今回の制度では、これに対して、検察官が開示をしなかった場合には裁判所に対して裁定を求めることができるということでございまして、裁判所がこれで裁定をしない、開示をしないということであればその不服申立てをすることができるということで、即時抗告も可能にしているということで、かなり判例上の運用でやるものとは大きく違っているということを御理解賜りたいと思います。

井上哲士君

 ただ、この三百十六条の十五第一項、それから同じく三百十六条の二十の第一項、これで証拠を開示をする要件を定めているんですが、やはり非常に厳しいと思うんですね。これで前進と評価できるんだろうかというふうに思うわけですが、これは相当やはり今回の法改正の趣旨からいいますと柔軟に解釈をしていくという運用が求められているかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 この全体の趣旨を見ていただければお分かりかと思いますけれども、開示の必要性と弊害の有無、これを双方を考えるわけでございますけれども、これ、弊害のあるものについてはそれは出せないということはあるかもしれませんけれども、その弊害のあるというもの、そう多くあるわけではございません。したがいまして、それに当たらない限りは、被告人の防御にとって重要なものであるということであればそれをお出しをしていく、それで準備のために支障がないようにと、こういうことでございますので、そこは拡大をしていく、そういうつもりで作っているということを御理解賜りたいというふうに思います。

井上哲士君

 今度の改正で概括的な開示請求で足りるという説明が先ほどありました。実際に本当にそう広がっていくかというのは正に運用次第ということになっていくと思うんですが、刑事裁判の充実、迅速化の法案が通るのに伴いまして、最高検が刑事裁判の充実・迅速化に向けた方策に関する提言というのを出しておりますが、この中でも、証拠開示については、「審理の充実・迅速化の観点から、その申出に相当の理由があり、かつ、開示による弊害のおそれが認められない限り、できるだけ柔軟に対応すべきである。」ということで去年の七月に出されているわけでありますが、なかなか、現場の話を聞きますとそう柔軟になっていないと、こういう御意見があるわけですね。ですから、今までも開示請求を申し立てますと、それでは範囲が不明確なのでより特定せよと言われているということが、果たしてこの改正で本当にそうなるんだろうかと、こういういろんな疑問があるわけですね。その点どうでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 検察の方もこの法案の趣旨を先取りしてそのようないろいろ指針を出しているということだろうと思いますけれども、これにつきましては、やはり最終的にはどういう証拠が本当に検察庁にあって何が必要かということについて、被告人として何が必要であるかということについて争いが生ずるということになれば、これは裁判所に裁定を求めることができるわけでございます。裁判所といたしましては、検察官に、どういうものを持って、一体どういう支障があるのかということから、現実にその標目でどういうものを持っているか、これを知ることもできますし、あるいは場合によってはその現物に触れて本当にそれが必要かどうかと言うことも可能であるわけでございますので、こういう制度をきちっと利用することによって必要なものは開示がされていくという運用になっていくだろうということを期待しているわけでございます。

井上哲士君

 それは弁護側が必要だといって検察の方がこれを出したら弊害があると、こういった場合に、裁判所の判断としては、要するに弊害があるということを検察の側がしっかり実証しない限り開示をすると、こういうことになるんですか。そこはどういう判断になるんですか。

政府参考人(山崎潮君)

 これはそういう要件あるかどうかきちっと裁判所は判断するわけでございますけれども、裁判所がそれについて主張だけでは分からないというような場合には、その証拠の提示命令を掛けて、その上で裁判所が客観的に判断をすると、こういうシステムになっているわけでございますので、これによって、仮に検察官が自らの意思で駄目だということであっても、客観的に判断されて必要なものは提示がされると、こういうことになるということでございます。

井上哲士君

 これはちょっと逆の問題になるわけですけれども、今度の法案でいきますと、弁護側の方もその主張に係る証拠を早い段階で開示をするということになりますが、例えば補充捜査という名目で証拠つぶしが行われるんじゃないか、こんな懸念もあるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 これは捜査機関の捜査によって弁護側の証人の証言内容が変わったりとか、あるいはその証言の信用性を減殺させる証拠が収集されるということ、こういうことが仮にそれであったとしても、それは弁護側が公判前整理手続においてその弁護側の請求証拠の開示をせず、公判の段階で開示をした場合でもこういう問題というのは起こり得る話でございまして、それが正当な捜査の結果である限りその点は問題にすべきではないのではないかと、こういうふうに考えているわけでございます。

井上哲士君

 午前中にも議論になりました三百十六条の十五第二項二号のことについてお聞きをいたします。

 被告人又は弁護人が証拠開示の請求をする場合に明らかにすべきこととして、被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由というのを挙げていますが、その前に、その他として様々な事項が書かれております。これは例示という解釈なんだと、こういう答弁が午前中ありましたが、確認ですけれども、ということは、この条文で挙げられている様々な項目をすべて挙げる必要はないんだということ、それから、この項目以外にも当然必要な理由というのはあり得るんだと、こういうことでよろしいんでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 基本的には今御指摘になった考え方でいいということになります。

 ただ、午前中、千葉委員からの御指摘でちょっとお答えをしたところで若干申し上げたい点もございまして、この中の今の二項の二号で、その後段の部分でございますけれども、「当該開示の請求に係る証拠が当該検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であることその他の被告人の防御の準備のために当該開示が必要である理由」というところでございまして、ここのところで「その他の」とございますのはこれは例示だというふうに申し上げました。

 このこと自体は変わりがないわけでございますが、ただ、その重要であるという点について、「検察官請求証拠の証明力を判断するために重要であること」というのは、これは一項にも、この条文の第一項にも同じ文言が規定をされておりまして、これは要件、開示をするための要件にもなっておりますので、少なくともこの点についてはきちっとやってもらいたい。これ以外にも、例示でございますから、それ以外の事情もあり得ると。そういうものも必要があればちゃんと述べてもらいたいと、こういうことでございますので、例示でございますのですべて言わなければならないということでもございませんし、それ以外の場合もあり得るということでございます。

井上哲士君

 もう一つ、いわゆる弁護側が私的な鑑定をする場合がありますが、手続で行うもの以外は裁判所から問題視されるようなケースもあるようですが、いわゆるこういうものについても、私的鑑定と言われるものについてもこの法律の目的の範囲と考えてよいのだろうかということですね。検察側の鑑定に対する弾劾を目的とする私的な弁護側の鑑定に用いるための証拠開示請求と、これは当然認められると、こういうことでよろしいでしょうか。

政府参考人(山崎潮君)

 ただいま御指摘のあったような、例えば被告人側は、検察官が請求した鑑定書の証明力を争って、それでこれを弾劾する目的で独自に鑑定を依頼しようというような場合があり得ると思いますけれども、これらの規定に従った上で、三百十六条の十五、二十でございますけれども、これに従った上で、その鑑定資料として用いるための証拠の開示を請求するということはこれはできるという解釈でございます。

井上哲士君

 最初にも申し上げましたけれども、我々は全面開示というものが必要かと思っておりますが、今回の法案の中では多々前進面も、今ありましたように、あります。ただ、これは正に運用に懸かっていると思うんですね。

 先ほども紹介しましたように、最高検は既に刑事裁判の充実・迅速化に向けた方策に関する提言というのを昨年の段階でも出されているわけですが、この改正案が成立した場合に、今回の立法の趣旨、できるだけ開示を広げていくと。そして、本来、証拠が真実発見にある、こういうことを徹底をするという上で、最高裁、それから法務省、それぞれどのように考えていらっしゃるのか、まず最高裁からお願いをいたします。

最高裁判所長官代理者(大野市太郎君)

 証拠開示に関する運用の問題は各裁判体の判断すべき事項、委員御指摘のとおりでありますが、そういった事柄でありますが、私どもとしましても、法の趣旨に沿った適正な運用がなされるように、その立法趣旨等の周知を図っていきたいというふうに考えております。

委員長(山本保君)

 ちょっと、大臣はいいですか。

井上哲士君

 大臣。

国務大臣(野沢太三君)

 検察官は公益の代表者でありますので、法改正により新たな証拠開示の制度が設けられれば、その趣旨、内容を十分に理解して適切に運用することを期待できるものと考えております。また、研修の機会を設けるなどといたしまして、新たな制度の趣旨が各検察官に徹底されますよう努めてまいりたいと思います。

井上哲士君

 終わります。


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