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2004 年 6 月 2 日

イラク・武力攻撃事態特別委員会
有事関連7法案・3条約
(質疑)

  • 「海上輸送規制法案」で、自衛隊が第3国の民間船舶にまで「停船検査」などを行えることについて、地理的限定がなく、逃亡された場合に先制的な船体射撃を認めていることなどを指摘。憲法にかかわる重大な問題があると厳しく批判。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 私も、この海上輸送規制法案について質問をいたします。

 今も議論になっておりましたけれども、本法案は、武力攻撃事態において、我が国の領域に、領海にとどまらず、公海上においても外国軍用品等の海上輸送を規制するというものになっております。海上自衛隊が停船検査や回航措置を行う対象になる船舶は、交戦相手国だけでなく、第三国の船舶も含むというものであります。

 今日も、交戦権に基づく臨検と本法案で言う停船検査の違いということが議論になっておりました。先日の防衛庁長官の答弁見ておりますと、まず地域が違うという答弁をされております。交戦権に基づく臨検は、中立国の領海、領域を除くすべての海域だと。一方、この停船検査は、我が国の領域又は我が国周辺の公海において、第四条の規定に基づき告示をし定める実施区域内に限られていると、こういう答弁でありますが、では、ここで、その告示をする実施区域、ここに地理上の限定というのが法律上は定められているんでしょうか。その点、どうでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 法律上は地理上の限定ということがあるわけではございません。

井上哲士君

 となりますと、例えば、いわゆる敵国の領域に隣接した公海まで進出をして停船検査する、こういうことも法的には可能だと、こういうことですね。

国務大臣(石破茂君)

 隣接をした公海までは可能ということでございます。

井上哲士君

 いや、相手国の隣接した公海までは可能だ、こういうことですね。

国務大臣(石破茂君)

 例えば、A という国等が我が国に対して武力攻撃を仕掛けてきたという場合を仮定をいたしますと、A 国の領海に隣接する公海まで可能ということでございます。

井上哲士君

 かつて自衛権の及ぶ範囲についての答弁もありますけれども、理論の問題といたしましては、数百海里ないしは数千海里と申しますか、今防衛計画の大綱で海上自衛隊が整備目標としてやっている範囲、この範囲に限られるものではないと、こういうようなことも言っているわけで、ほぼこういう考えと、ここまで広がっていくと、こういうことでよろしいでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 これを何海里というかというのは、これを数字できちんと申し上げることは適切では全くないと思っております。

 ただ、先ほど平野委員の御質問にもお答えをいたしましたが、要は必要最小限というものをどのように考えるかということでございまして、無限定ではないというのは、この必要最小限という自衛権行使の三要件の第三要件にかかわるものでございます。したがいまして、七つの海どこでもと、こういうわけではございません。必要最小限と思われるものをきちんと定め、告示をし、第三国も当然にここにおいてはそのような日本の措置がなされているのだということを了知せしむる、そういうような枠組みとなっておるわけでございます。

井上哲士君

 必要最小限と先ほど来繰り返されるわけですが、それは判断の問題でありまして、法的には、先ほどありましたように、地理的な限定はないということでありました。

 次に、この停船検査をする際に、第六条で外国軍用品等を輸送している疑いのある船舶、相当な理由のある船舶ということを認定するわけですが、この基準というものはどういうことになっておるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 それ、基準はどうなのかというお尋ねでございます。

 それは相当な理由がある場合に認められるというわけでございまして、では何をもって相当な理由なのかということを一概にこれを申し上げるということになりますと、これも必ずしも適切ではないということになるだろうと思っております。つまり、こういう場合には疑いがあるといいますよというふうに定型的に申してしまいますと、じゃ、それから外れればいいのだなと、こういうことになってしまいかねませんので、これを定型的に申し上げることは必ずしも適切ではないと申し上げているのはそういう意味でございます。

 じゃ、どういうふうにして判断をするのということになりますと、そういうふうに告示をしておるわけでございますね、ここからここまでというふうに告示をしておるわけでありまして、そこを通る船がどのような外観をしているか、どのような態様をしているか、あるいは乗組員がどのような挙動をしているか、それぞれの状況というものを見まして、本当に疑うに足りる相当な理由があるかどうかということを判断することになるわけでございます。

 それは必ずしも、いや、必ずしもというのは取り消します。それは恣意的な判断を可能にするという意味ではございません。それ、やはり客観的にきちんとした合理的な根拠というものは必要でございますが、それはかくかくしかじか、こういうものというのを定型的に申し上げることは必ずしも適切ではないということを申し上げておるわけでございます。

井上哲士君

 現場の自衛艦の艦長が判断をするわけですね。私はもっと客観的な合理的な理由というのを示しておく必要があると思うんですね、恣意的な判断にならないように。不審船の問題とか、いろいろありますけれども、例えば漁船のはずなのに全くそういう漁業の道具がないとか、大変大きな通信施設があるとか、そんな客観的な問題というのはあろうかと思うんです。そういうものをやはり現場に向かって示しておく必要があるんじゃないでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 これ、法律用語の解説みたいなことになると恐縮でございますが、相当の理由があるというのは客観的にというものを含む概念でございます。相当のという言葉を使いますときは、恣意性を排除をいたしまして、客観性に基づく合理的なものでなければならないということが相当の理由があるということに結び付くわけでございます。

 もちろん、艦長たちが、艦長たちがといいますか、艦長が判断をいたしますときに、自分の考えでこうである、ああであるということにはなりません。それは一定の客観的な基準、こういう場合、こういう場合、こういう場合ということをきちんと示しました上で相当な理由がある、疑うに足る相当の理由があるにはこういうようなことが必要だよということは示すことになります。それがそれぞれの艦長の恣意に任せられるものではございません。それは態様でありますとか、あるいは乗組員の挙動でありますとか、あるいは外観、そういうものから導かれることになるであろう。しかし、これは、客観的にはこういうものだということは示しますが、それをすべてに向かって示すということになりますと、先ほども申し上げましたが、じゃ、それを外れればよいのだねということにもなりかねませんので、これをすべて申し上げることは必ずしも適切ではないというお答えの繰り返しになりまして恐縮でございます。

井上哲士君

 それを明らかにする必要があるんじゃないですか。それ、結局それが示されないと現場での恣意的な判断が行われると、こういうことのやはり懸念は消えないんじゃないですかね。

国務大臣(石破茂君)

 いや、仮に委員のお説のとおりだといたしまして、じゃ、どのように明確に示すのかということに、逆に立法作業としてはそういうことになるだろうと思います。

 じゃ、明確に示すというときに、じゃ、このような態様があった場合、あるいはこのような外観であった場合、先ほど委員が工作船の例をお示しになりましたが、このような外観であり、このような態様であり、このような異常な挙動があった場合には相当な理由があるものであるというような、そういうような形で示すことが必ずしも適当だとは思いません。

 要は、我が国に対するそのような武力攻撃がなされておるときにどのようにして効果的にそれを阻止し得るかということであり、繰り返して申し上げますが、この地域におきましてはこういうことをやっておりますよということをきちんとお示しをし、予測事態では行わず、武力攻撃事態が発生しなければそれを行うこともないわけでございます。そこにおいて、きちんと適法に航行しておる、そういう船に害を加えるということはございませんし、あくまでこの発動は、先ほど来の議論にありますように、極めて慎重な上にも慎重に行わねばならないものと考えております。

 先ほど、不規則発言で、日本って親切な国だねというようなことをおっしゃる方がありましたが、私どもといたしましては、これが決して濫用されることがないように、そしてきちんとした行為を行っております船舶に対しまして害を加えることがございませんように、しかしながら日本国の独立と平和というものを侵すに資するようなそういうものをきちんと阻止しますために、それを、その二つを止揚するために、アウフヘーベンという意味での止揚でございますが、相当にこのことは厳格に運用していかねばならないと考えておるわけでございます。

井上哲士君

 そういう濫用がないためにこそ、私はちゃんと示す必要があると思うんですね。といいますのは、これは三十七条の二項では武器の使用まで認められております。停船を命令したにもかかわらず抵抗、逃亡する場合には船体射撃まで可能になっているわけですね。

 これは、相手が武器を使用していなくてもこちらが先に武器を使用すると、こういうことも認められているわけですね。

国務大臣(石破茂君)

 それは、お答えから申し上げますと、自衛隊の方から先に船体射撃を行うことはできます。

 それはなぜなのかと申しますと、先ほど来申し上げておりますが、これは自衛権の行使に伴う措置として行うわけでございます。それは三要件を掛けておりまして、そういうような物資、そういうものが運ばれている、疑うに足る相当な理由がありますときに、それを見逃すということは我が国の独立と平和、国民の生命と財産、それを守るためには決してプラスにならないというふうに考えて行う措置なのでございます。そうしますと、この実効性というものはきちんと確保をしなければなりません。

 それは、もうお考えをいただければお分かりになるかと思いますが、何度も何度も止まりなさい、止まりなさいというふうに命じるわけですね。にもかかわらず非常にその疑いの濃い船が止まりませんという場合にどうなるかといいますと、海上保安庁法第二十条というのを委員御案内かと思いますが、この武器使用の規定ぶりに倣いまして、相手が武器を使用していない場合であっても、この法案三十七条に定めるところによりまして、船体の進行を停止させるために、いいですか、船体の進行を停止をさせるためにという目的をもちまして、合理的に必要な限度におきまして、私どもの方から武器を使用することはあり得るということでございます。

井上哲士君

 海上保安庁の行動というのは、基本的に我が国領海内で、まあ追っ掛けていくことはありますよ。しかし、これはあくまでも公海上の第三国ということなわけですね。

 今、合理的に必要と判断される範囲内というお話がありました。先制的に使うこともあるんだということは認められました。そうしますと、この合理的に必要とされる範囲というのはどこまでなのか。例えば、武器を使用した結果、相手が沈没してしまったと。そうなりますと、これは合理的に必要な範囲を超えたことになるんですかね。

国務大臣(石破茂君)

 それは、何が合理的に必要なのか、範囲なのかということを明示的にお示しするということは極めて難しいことだと思っています。それは起こるケースがそれぞれ違いますので、事前に定型的に、はいはい、これが合理的に必要な限度でございますということを申し上げることは、非常に技術上も困難であるということであります。

 ただ、先ほど私が、停止をさせるためにということを強調して申し上げましたのは、船体射撃を行います場合でも、例えばスクリューをねらって、あるいはかじをねらってということで、その船を止めるためにはどうすればいいのかということについて、必要にして合理的な範囲ということは定まることになるだろうというふうに思っております。

 先生が今、沈めた場合にはどうなのだということをおっしゃいましたけれども、これは結果的にそうなることが全面的に排除をされるわけではございませんが、現場を御視察をいただければ分かりますけれども、海上保安庁にいたしましても私ども海上自衛隊にいたしましても、いかに正確に当てるかということ、そしてまた、それに足りる武器というものはきちんとそろえ、そしてまた整備をし、訓練も行ってきております。ですから、船体に当てるというよりも、むしろスクリューでありますとかかじでありますとか、そういうものをねらって船体の、ごめんなさい、船の進行を阻止するという目的を成就させ、そして検査を行うという段取りになるのでございます。

井上哲士君

 いろいろ言われましたけれども、しかし結果としてその相手の船舶が沈没するというようなことも、そういう形の武器使用も結果としてはあり得るんだということでありました。先ほど海上保安庁のことも言われましたけれども、実際、自衛艦の艦船の武器装備に照らしますと、言わば武力行使とみなし得るようなことが可能になってくるわけですね。問題は、こうした行動が一体何によって裏付けられているのかと。

 周辺事態法のときにも船舶検査法というのがありましたけれども、あれは安保理決議又は旗国の同意に基づきということになっておりました。本法ではこの安保理決議、旗国の同意、これは必要になっているんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 自衛権の行使に伴うものでございますので、それがマストというものではございません。必要だというふうには判断をいたしておりません。

 また、今、委員が今、武力の行使になるじゃないかという御指摘をいただきましたが、私ども、逆にお教えをいただきたいのですが、なぜ、どういう場合が武力の行使に当たり得るというふうに御判断になり、御主張になるのか、ちょっと私、分かりかねますので、御教示をいただければ幸いに存じます。

井上哲士君

 現実に海上自衛隊が公海まで行って相手が、沈没させるような行為までやるということに対して我々は言っているわけであります。

 今、結局これまでの中で、敵国の領域に隣接した公海まで進出をすることができる、しかもこちら側から武器を使用することもある、相手を沈没させることもあり得ると、こういうものが停船検査の内容として含まれているということであるわけですね。しかも、船舶検査法のような安保理決議も旗国の同意も必要でないと。じゃ、一体なぜこの公海上にある第三国の外国船舶を検査し、規制できるか。その法的根拠というのはどこにあるんでしょうか。

国務大臣(石破茂君)

 それは先生、るる申し上げておりますように、自衛権に基づくものでございます。それは、我が国に対する武力攻撃があって、再三再四停船を命じても止まらず、疑うに足りる相当の理由がある船舶が全速力で逃走しているような場合に、それを放置することが本当に我が国の国益にかなうかという実態論から考えてみましても、こういうことを行うなという御主張がちょっと私にはよく理解をいたしかねるところでございます。

 そして、それを沈めるということを目的にして射撃を行うことはございません。それは船体、その船体の進行を止めるために射撃を行うのでございまして、撃沈をするために行うものではございません。そういう場合に、これを放置し看過することが、我が国に対して武力攻撃が加えられ、そして何回止まれ止まれと申しましても止まらず、非常に疑いの強い船が全速力で逃走する、それを看過するということが、私は、なぜ適当だというふうに御主張になるのか私にはよく分からないところでございます。

井上哲士君

 公海上における第三国の行為なわけですね。それに対してこうした武力、武器の使用も伴うようなことをやる以上はきちっとしたやはり法的な根拠が必要だと思うんですね。

 自衛権に伴うものだと言われますけれども、しかし、その第三国の輸送している船舶それ自体が日本に対して武力行使をしているわけではないわけですね。なぜそれが自衛権行使の対象になるのか、そこをお願いします。

国務大臣(石破茂君)

 それは何度も答弁を申し上げておりますが、その第三国に対して自衛権を行使しておるわけではございません。私どもは自衛権の行使に伴う措置を実行しておるのであり、第三国の立場というのは何かといえば、我が国の自衛権に、行使に伴う措置というものを受忍すべき立場にいるということになります。つまり、権利と義務という関係に必ずしも立っておるわけではございません。私どもは、自衛権の行使に伴う措置を合法に行っておるわけでございますし、第三国船舶とすれば、それを受忍すべきものという関係に立っておるわけでございます。

 そして、我が国に対して武力攻撃が行使を、武力攻撃が行われている、そしてそのことを行うほかに手段がないという第二要件を満たし、そして必要最小限度にとどまるべきこと、この三つを満たしました場合に、これは自衛権行使の態様といたしまして船舶検査、停船措置というものができるということになるわけでございます。

 ですから、これは本当にきちんと確認をしておく必要があると思いますが、私どもは自衛権の行使に伴う措置を行っているのであり、第三国はそれを受忍すべきもの、こういうような関係に立っております。

井上哲士君

 今、自衛権行使の三要件を挙げられたわけですね。

 そうなりますと、この第三国による軍事用品、軍事輸送というものが急迫不正の侵害をそれ自体構成をしていると、こういう判断ですか。

国務大臣(石破茂君)

 そうではございません。第三国に対して自衛権を行使するわけではございません。

井上哲士君

 いや、しかし、第三国のその船舶に対して行使するわけですね。それは、先ほど来ありましたように、この自衛権行使の三要件に当てはまるのだということになりますと、急迫不正の侵害があるという一つ目の要件にこの船舶がやっている行為が当てはまると、こういうことじゃないんですか。

国務大臣(石破茂君)

 第三国船舶が公海上を航行しておる、非常に疑いが濃い、よって本条による措置を行うというような状況を想定をしましたときに、その公海を航行している船の行為それ自体が我が国に対する急迫不正の侵害という法的な評価を受けるものではございません。

井上哲士君

 ですから、分からないんですよね。ですから、その船の航行自身が急迫不正の侵害を構成しているというんでないのであれば、なぜそこが、それがこの自衛権に伴う行為の対象になるのか、もう一度お願いします。

国務大臣(石破茂君)

 是非御理解をいただきたいと思いますが、私どもは、自衛権の行使に伴う措置としてこれを行い、その根拠は国連憲章五十一条であり、憲法九条によって当然認められる国家固有の権利としての自衛権でございます。第三国の立場というのは、我が国が適法に行使をし得る、そのような権利、その権利の行使を受忍すべきものという関係に立っております。これはそういうような状況にあります。

 我が国に対する急迫不正の武力攻撃が行われており、例えば A という国が我が国に対して急迫不正の武力攻撃を行っておる。第三国、B の船が、B という第三国の船が A 国に向かってそのようなものを運んでいる。しかし、その運んでいる行為自体が、じゃ急迫不正の侵害なのかといえば、そうではございません。

 るる申し上げておりますように、私どもは第三国に対して自衛権を行使しているわけではありません。しかし、自衛権の行使に伴う措置としてやっておるわけでございますし、そのことは国連憲章五十一条からも、日本国憲法第九条からもこれは当然適法なものであるということを申し上げておるわけでございます。

井上哲士君

 それは全く理屈にならないと思うんですよ。現に第三国の輸送している船舶というのは日本に対しては直接の武力行使がない、急迫不正の侵害を構成していないということはお認めになった。ところが、例えば先ほどありましたように、これが船舶検査に従わずに抵抗した場合には武器使用もできる、結果として沈没することもあり得る、こういうことになるわけですね。

 先ほど来、自衛権の行使と自衛権に伴うものは違うんだと言われますけれども、じゃ、こういうふうに船舶検査に従わないで、結果として武器を使って沈没までさせた、これは自衛権の行使ということではないんですか。

国務大臣(石破茂君)

 いや、先生は先ほどから、沈没させた、沈没させたとおっしゃいますが、実際問題に、必要最小限の措置、そしてまた航行を停止するための措置として沈没をさせるということはまず考えられないということでございます。そのようなことをしても意味がございません。それを沈めないできちんと止めて検査をするというところがまさしくこの法案の意味するところでございます。

 また、こちらの方から撃つこともあり得るのだなというような御指摘で、私はあり得るというふうに申し上げました。それは、それを行わなければこの実効性が担保をされないという場合であれば、それは行わなければいけないというものでございます。実効性を担保するというのはそういうものでございます。

 私は、先生の問題意識はよく分からないのですが、そういうふうにやることが適法であり、そういうことを行うことが国民の生命、財産あるいは国の独立と平和、これを守るために必要なことであり、適法なことであるというふうに私どもは考えておる次第でございます。そして、この法案を提出をしておるわけでございますが、これが何が不都合というふうにお考えになり、そのような御指摘をなさるのか、ちょっとまだいまひとつ理解しかねますので、御指摘を、御教導をいただければと思います。

井上哲士君

 現に日本に武力を使っていない第三国の船舶に対して日本が武器も使うこともあるということは、その船舶の所属する第三国との関係もあるでしょう。何よりもやっぱり国際的なルールということが守られなくちゃならないと、こういうことを崩すことになるんじゃないかと、こういうことなんですよ。

 この法案の外国軍用品等には燃料も入っているわけですね。例えば、周辺事態法、それからテロ特措法、こういうときには、日本が行う武器や弾薬の輸送、そして燃料の提供というのは武力行使と一体のものでないということを言われました。ですから、後方支援をやっても、そうした相手の自衛権などの対象にならないんだと、こういうことをやってきたわけですね。それと矛盾するんじゃないですか。

国務大臣(石破茂君)

 全く矛盾はいたしません。

 先ほど来先生御主張のことでどうしても私は理解がいたしかねますのは、このような行為を行うことが国際的なルールなのですね。どの国もこのようなことを行うわけでございます。むしろ、そちらの方がルールなのでございまして、ただ私どもの場合に、国内法上きちんとした根拠規定がなければ、それは当然行うことができません。法治国家でございますから、これは当然のことでございます。国際的なルールに合わせるために国内法整備をしたわけでございまして、そしてまたそういうルールを作ることが必要なのではないかという御指摘ですが、ですから、そういうルールがあるわけです、国際的には。しかし、我が国は、それは自衛権の行使に伴う措置だということでそれを極めて抑制的に抑制的に考えてやっておるわけであります。

 そして、我が国はこういうことを行うのだということをきちんと定め、告知をし、第三国船舶に対してもそのようなことを行うよということをきちんと了知せしむるような、そういう仕掛けを作っておるわけでございます。

 なお、それにもかかわらず、そういうような疑うに足る相当の理由がある船舶が走っておるというときに、これを見逃すということの方が私はよっぽど害が大きいであろうし、独立主権国家としてそういうことを見逃すというようなことが正当化されるルールというものが私はこの世の中に存在しているとは考えておりません。

井上哲士君

 日本、我が国は憲法において武力の行使という問題について厳しい制限をしてきた。その下で様々な、この間のテロ特措法にしても周辺事態法にしてもあったわけですね。

 私は、これまで、今回の法律で、武力行使と後方支援を先ほど来は一体のものでないと、こう言われるわけですけれども、そうすれば、今回の第三国船舶を停船検査するやっぱり法的根拠というのは幾らお聞きしても見えてまいりませんし、正に憲法にも抵触してくる、こういう問題だということを指摘をしておきます。

 最後、若干、米軍支援法についてお聞きをしますけれども、第五条で、地方公共団体及び事業者がこの要請に応じるように努めるようにすると、こういう規定がありますけれども、なぜここで事業者を規定をしているんでしょうか。

国務大臣(井上喜一君)

 もちろん、地方公共団体だけではなしに関係する事業者にも協力をお願いをしたいということで、事業者も含めて規定をしているわけでございます。

井上哲士君

 自衛隊法の百三条では、防衛出動の際に事業者に対して物資の収用等を命じることができると、こういうふうになっておりますが、では、この防衛出動時以外に、第八十六条で「協力するもの」という規定をされていますけれども、この八十六条で規定されている「協力するもの」というのはどこになっていますでしょうか。

政府参考人(西川徹矢君)

 自衛隊法八十六条の規定でございますが、これは、防衛出動、あるいは防衛施設構築の措置、あるいは治安出動、それから自衛隊の施設等の警護出動、そのほか災害派遣も含めてでございますが、こういうものを命ぜられた自衛隊の部隊等が行動する場合における当該部隊とその当該部隊等に関係のある都道府県知事等関係機関との連絡及び協力について規定しておりまして、これらの自衛隊の部隊等と連絡協調する関係機関と申しますのは、当該部隊等に関係のある都道府県知事、市町村長、それから警察消防機関その他の国又は地方公共団体の機関とされております。

 なお、具体的にこれらの関係機関はどこまでの範囲だということにつきましては、これは個々の事態により個別に判断されるべきでございますので、ここで一概に申し上げることは困難かと存じます。

井上哲士君

 今ありましたように、自衛隊の場合は予測事態の段階では事業者に協力させる規定はないわけですね。なぜ、米軍支援に対してだけ事業者に対する協力規定を設けたのか。

国務大臣(井上喜一君)

 正に、武力攻撃事態の準備のために事業者の協力も必要であると判断したためでございます。

井上哲士君

 衆議院の議論で、国の安全自身が危機にある事態だからというような答弁もありましたけれども、それであれば自衛隊の場合にでもこういう事業者の協力規定を置くはずでありまして、私は、今回のこの有事七法案というものが全体として、アメリカに対しての本当に際限のない協力支援をするという、こういう仕組みになっていると、これは大きな問題だということを最後、指摘をいたしまして、質問を終わります。


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