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2004 年 3 月 26 日

予算委員会
締めくくり総括(対総理質疑)

  • 経団連の献金再開問題・国民政治協会の違法献金問題などについて質問。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 まず、総理にお聞きをいたします。

 一昨日の二十四日、三菱自動車の大型車タイヤの脱落事故で、同社の大型車部門が分社してできた三菱ふそうが設計ミスを認めて国土交通省にリコールを届けました。

 この事故は、二〇〇二年の一月に横浜市内で起きたものであります。走行中の三菱自動車製の大型トレーラーからホイールごと外れた百四十キロのタイヤが、四歳の長男の手を引いて一歳の子供をベビーカーに乗せていたお母さんの背中を直撃し、亡くなられたという本当に痛ましい事件であります。

 当時、三菱自動車は、これはリコールに当たる構造上の欠陥でない、整備不良が原因だとしてきました。政府もこの言い分を認めておりました。ところが、一転、今回、会社が設計上の欠陥を認めてリコールを届け出たと。この問題での政府としての責任というのはどのように認識をされていますか。総理、総理、総理。

国務大臣(石原伸晃君)

 ただいまの委員が御指摘になりました横浜の事故を始め、痛ましい事故が再三再四発生したことに関しましては大変心を痛めているところでもございますが、このいわゆる車輪と軸との間のハブというものに起因すると言われる事故につきまして、三菱に対しましては再三にわたりまして報告聴取や立入検査などを行って、原因究明と再発防止に努めてきたところでございます。

 しかし、その過程の中で、かなりの年限がたっている中で、これまで会社側の説明は、ハブの破損はいわゆる不適切な整備や使用によるものであり、リコールには該当しないと、こういう説明をずっとしてきたわけですが、今回の社長が自ら行った会見等々はこれまでの説明と異なるものでございます。リコールに判断するまでの期間が長期間を要しておりまして、安全上極めてこの問題につきましては国土交通省として遺憾と言わざるを得ないと考えております。

 現在、鋭意、なぜこういうように説明に変化があったのか、あるいは詳細に行われているこの報告が適切に行われていたのか、こういうことにつきまして、今厳しく調査をしているところでございます。

井上哲士君

 三菱自動車に一番の責任があるのは当然です。しかし、今のお話は、会社の説明が変わったということで、政府の責任について明確でありませんでした。

 同社は、九二年に東京でも保冷車が同様の事故を起こしております。九二年以降、三菱自動車以外でハブの破損による大型車のタイヤ脱落の事件というのはどうなっているでしょうか。

政府参考人(峰久幸義君)

 国土交通省におきまして自動車メーカー四社の大型車の前輪ハブ破損事故の発生状況を調べましたところ、確認できたところでは、九九年一月以降でございますが、三菱製自動車以外の発生はしておりません。

井上哲士君

 じゃ、三菱自動車からはどのように報告されていますか。この横浜の事件の前後で分けて答えてください。

政府参考人(峰久幸義君)

 三菱自動車製の前輪ハブの破損事故につきましては、九二年の最初の事故から二〇〇二年の横浜での事故が起きるこの前まででございますが、三十八件発生していると報告を受けております。

 それから、二〇〇二年一月の横浜で発生した事故を含めまして、昨年五月十五日までに十九件発生しております。

井上哲士君

 ですから、ほかの会社ではゼロ、三菱だけは五十七件と、異常な数が出ているんです。ところが、三菱自動車側は、これすべて整備不良だと言ってきたんですね。要するにユーザーが悪いと、こういうことを言ってきたわけです。

 しかし、三菱自動車のユーザーだけが整備をちゃんとしていないと、こんな話はだれが聞いてもおかしいと思うわけです。当然、監督官庁である国土交通省としては、こんな言い分は認めずに、構造上、設計上の問題があるんではないかと、こういう立場で、リコールの命令権とか勧告、立入監督権があるわけですから、これを行使すべきだったと思うんですね。

 ところが、この事件の後の二〇〇二年の五月の衆議院の委員会で我が党の瀬古議員の質問にこう答えております。適切な点検整備の問題があったとした上で、「設計または製作の過程に原因があるというふうに判断するのは困難でございまして、現時点ではリコールには該当しないというふうに判断しております。」、こういう答弁をしているんです。これは立入検査を、調査をした上での判断だったんですか。大臣、どうですか。大臣。

政府参考人(峰久幸義君)

 国土交通省におきましては、ハブの破損の重要性にかんがみまして、三菱自動車に対して再三原因究明と再発防止を指示しているわけでございますが、その整備上の問題だけでなくて、設計上の問題も含めてどういう原因があったということは報告求めてきているところでございます。その間に三菱自動車の方では整備不良が原因だという形で説明してきたということでございます。

 それで、立入検査の件でございますけれども、そういうのを事故直後、いろいろな指示、報告聴取、そういうことをやっておりましたけれども、立入調査は二〇〇二年の、その年の六月二十七、二十八日に、二十七、二十八日に行っております。

井上哲士君

 六月に立入調査ですから、この五月の答弁の時点では立入調査してないんです。なぜ立入調査もせずにリコールに値しないということを判断できるんですか。大臣、答えてください、大臣。おかしいじゃないですか。大臣。

政府参考人(峰久幸義君)

 それは、先ほども答弁申し上げましたけれども、整備上の問題でなくて、設計上の問題も含めてどういう原因があったのだということ、それから再発の防止に努めろということで、そのことを厳しく指示していたわけでございますが、その間、三菱の方では、整備不良等によるハブの異常摩耗が原因で、適正な整備と使用が行っていればハブの破損は生じないという説明がされてきたわけでございます。

 国土交通省としては、再発防止ということが非常に重要でございますので、そういう中で、三菱自動車によります自主点検を、点検、改修を促進するということ、あるいはユーザーによる的確な点検整備の促進に努めていたところでございます。

井上哲士君

 ですから、そういうメーカーの言い分をうのみにして設計の原因があるふうに判断できないということを言ったわけでしょう。なぜこんなことが言えるかと聞いている。これ、大臣、答えてください。

国務大臣(石原伸晃君)

 政府参考人から御答弁させていただきましたように、三菱側は、適正な整備と使用を行えばハブは破損しないということを資料をもってこちらに提出してきたわけですね。その資料をもって作ったものがそうであるということで、そうじゃないんじゃないかということでこちらは再三再四、設計上の問題も含めてあるんじゃないのかということを再三再四言いましたけれども、彼らは、そうではなくて、使用上ちゃんとやっていればハブは壊れないんだという資料をもって提供して私どもに説明してきたということでございます。

井上哲士君

 ですから、そういう資料をうのみにするんじゃなくて、なぜ立入調査をしなかったのかと、そのことを聞いているんですよ。もう一回答弁してください。

国務大臣(石原伸晃君)

 ですから、何度も申しましていますように、あんたが信じたのがいけないんだと言われればそれまででございますけれども、示されているものを中心に調査をして、ただし、事態の重大性にかんがみて設計上の問題も含めてちゃんともう少し説明しろということを再三再四求めてきたわけでございます。

井上哲士君

 結果は、メーカーの言い分をうのみにしているんですよ。

 二〇〇二年の二月には国土交通省自動車交通局長の名前で通達出されていますけれども、最近のこうした脱落事故の防止はホイールナットの締め付けやトルクの不良等の保守管理上の問題に起因してみると。ですから、ちゃんと保守管理しなさい、こういう通達出しているんですよ。全くメーカーの言い分をうのみにしているだけじゃないですか。その責任、どう考えるんですか。

政府参考人(峰久幸義君)

 それは、一月の事故以来、先ほども申しましたけれども、原因究明と再発防止の指示する中で、整備上の問題でなく、設計上の問題も含めてどういうことなんだということをいろいろ、事実解明に努めて、努めろということだったわけでございますが、そういう中で三菱自の説明としましては、やはり整備不良が原因だということで、資料も提出されて、それ説明していたということでございます。

 そういう中で、やはり安全の、再発防止を優先しまして、優先しますというか、再発防止の観点から対策を講ずることも必要だということで、自主的な点検、回収を三菱においても進めるということでございますので、そういうところを、その回収を促進すると同時に、ユーザーによる点検、的確な点検整備の促進も図るべきだということでやっているわけでございます。

井上哲士君

 要するに、メーカーの言い分をうのみにして結局整備の問題だということでやってきたんですよ。

 総理、聞きますけれども、今ありましたように、当時、立入調査もせずにリコール該当しないという判断を示しているんです。大体、先ほどもありましたように、九二年の東京の事件以来、横浜の事件までに三十八件も起きているんですね。このときにきちんと立入りも含めて調査も含めて対応をしていれば、この横浜の事件も起きていないし、横浜の事件以降ももう三十二件起きているんです。人の命奪われているんですから、今の国土交通省の対応を聞いて、総理、どうですか。これで適切だったと言えますか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 事故発生からリコールまで、かなり長期間たったということは遺憾なことだと思います。今までの対応の点についても今後よく点検して、反省すべき点は反省し、事故防止、安全対策に一層力を入れるべきだと思います。

井上哲士君

 反省すべき点は反省する、事実上不適切があったことをお認めになられました。

 重大なのは、自民党が同社から毎年多額の政治献金を受け取っていることであります。三菱自動車の事件というのは今回だけじゃないんですね。二〇〇〇年にも道路運送車両法違反によって四百万円の過料処分を受けております。これ、三十年間にわたってクレームやリコールを隠ぺいしてきたと、こういうことで処分を受けました。今回も、問題を組織ぐるみ隠ぺいをしてきた。事実上の企業犯罪ですよ。ところが、このリコール隠しで処分を受けた二〇〇〇年には自民党は千五百万円、翌年は千四百万円、横浜の事件が起きた年にはやはり千五百万円献金を受けているんです。合計四千四百万円の巨額な献金であります。

 総理は、衆議院の締めくくりの質疑の中で、企業献金について堂々と使わせてもらうと、こういう答弁ありましたけれども、こういう企業犯罪を犯しているような企業からの政治献金も平気で受け取って堂々と使うと、こういうことが言えるんですか。お答えください。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、政治献金については、政治献金、これは適正に法にのっとって処理すべきだと思っております。政党活動として、多くの企業、団体から政治献金を受けて使うというのは決して私は、政党活動として許される、許されないわけではないし、また政党の活動を活発にする上においても認められていることでありますので、法に違反しているならともかく、適切に処理されているならそれで私はいいと思っております。

井上哲士君

 今の答弁を被害者の方が聞いたらどう思うかと私は思います。

 今、法的問題がなければと言われました。自民党がもらっている献金には、道義的、政治的問題にとどまらない問題があるんです。

 総務省にお聞きしますけれども、政治資金についてはどういう量的、質的規制がありますか。

政府参考人(高部正男君)

 政治資金規正法におきましては、政治活動の公正を確保するという観点から寄附の量的制限及び質的制限の規定が設けられているところでございます。

 政治資金法の寄附の量的制限に関する規定につきましては寄附、寄附をする側は個人と企業、団体等に、寄附を受ける側は政党、政治資金団体とそれ以外の政治団体とに分けてそれぞれ規制がされているところでございます。また、寄附の質的制限でございますけれども、国又は地方公共団体から補助金等を受けている会社等が政治活動に関する寄附をすること、三事業年度以上にわたり継続して資本の欠損が生じている会社が政治活動に関する寄附をすること、外国人、外国法人、主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から政治活動に関する寄附を受けること、本人の名義以外の名義又は匿名で政治活動に関する寄附をすることなどについて制限が設けられているところでございます。

井上哲士君

 総理、今の答弁については当然承知していると思いますけれども、いかがでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 今のとおりだと思います。

井上哲士君

 じゃ、自民党としてはこうした政治資金規正法違反を防止をするためにどういう対策を講じているんでしょうか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 党としては担当者がきちんと適切な献金を受けるべき、常に心していると思っております。

井上哲士君

 先ほどの質的規制の中で、規正法の二十二条、三項についてありましたけれども、もう少し詳しく御答弁願います。

政府参考人(高部正男君)

 政治資金規正法第二十二条の三第一項におきましては、国から補助金等の交付を受けた会社その他の法人は、当該補助金等が試験研究、調査又は災害復旧に係るもの、その他性質上利益を伴わないものなどである場合を除きまして、交付の決定の通知を受けた日から一年を経過する日までの間、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところでございます。

 また、同じ条の第二項におきましては、国から資本金等の出資等を受けている会社その他の法人は、政治活動に関する寄附をしてはならないとされているところでございます。

 また、同じ条の第六項におきましては、何人も、第一項又は第二項の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならないというふうにされているところでございます。

井上哲士君

 この条文を受けた趣旨はどういうことでしょうか。

政府参考人(高部正男君)

 ただいまの規定の趣旨でございますが、国から補助金等や出資等を受けている会社その他の法人との政治資金の授受が、補助金等の決定をめぐり不明朗な関係を生じさせる危険性があることなどにかんがみまして、このような会社その他の法人が行う政治活動に関する寄附について規制しようとするものであるというふうに認識しているところでございます。

井上哲士君

 じゃ、国土交通省にお聞きしますが、交通施設バリアフリー化設備整備費補助について二〇〇二年度の交付実績をお聞きします。東武、西武、京成、京王、小田急、東急、京急、名鉄、近鉄、京阪、阪急、西鉄、山陽、各私鉄事業者について明らかにしてください。

政府参考人(丸山博君)

 ただいま先生からお話のありました各事業者に対する交付金の実績でございますが、東武に対しまして五千七百万円、西武に対しまして九千万円、京成一億七千万円、京王七千百万円、小田急三億三千八百万円、東急一億一千万円、京急一億二千六百万円、名鉄一億九百万円、近鉄二億六千七百万円、京阪三千万円、阪急一億九千五百万円、西鉄五千七百万円、山陽三千三百万円となっております。

井上哲士君

 それぞれ交付年月日がどうなっていますか。

政府参考人(丸山博君)

 今申し上げましたいずれの事業者につきましても、交付決定日は平成十四年四月十九日になっております。

井上哲士君

 じゃ次に、公共交通移動円滑化設備整備費補助について、同じく二〇〇二年度、京急、相模鉄道、阪神、山陽鉄道、岡山電気軌道について決定年月日と実績を明らかにしてください。

政府参考人(峰久幸義君)

 御質問にありました補助金でございますが、ノンステップバスの導入に対する補助でございます。これはいずれも平成十四年でございますけれども、京浜急行電鉄に対しまして五月十四日、九月三十日、十月三十一日、合わせて千五百七十万円、相模鉄道に対しまして五月十四日と九月三十日、合わせて三百七十万円、阪神電気鉄道に対しまして九月三十日、百八万円、山陽電気鉄道に対しまして六月十日、八百五十四万円、岡山電気軌道に対しまして九月三十日、三百四十三万円でございます。

井上哲士君

 じゃ、さらに、低公害車普及促進対策費補助事業の中でバス車両と TPF について二〇〇二年度の交付実績、京浜急行について、同じく年月日と実績をお願いします。

政府参考人(峰久幸義君)

 京浜急行電鉄に対します低公害車の普及促進のための補助金、まずバス車両につきましては、平成十四年十月三十一日に交付決定を行い、五百九十万円交付しております。それから、DPF とか酸化触媒のいわゆるディーゼル微粒子の除去装置でございますが、これについては、平成十四年十月九日から平成十五年二月二十一日までの間に六回交付決定を行い、合計で三千六百四十八万円を交付しております。

井上哲士君

 ちょっと資料を配付、お願いをいたします。

 〔資料配付〕

井上哲士君

 今、国土省が、国土交通省が答弁した内容をまとめたものをお配りをしております。

 補助金の総額は十七億四千八百十一万八百五十七円、各事業者ので、太字部分を二ページ以降見ていただきたいんですが、この補助金の交付事業者が自民党の政治資金団体である国民政治協会に対して寄附をした年月日と寄附額、一年以内の寄附額が実に七千六百六十九万二千円になっています。

 総理、先ほどからの答弁を聞いておられたと思いますが、明らかにこれは政治資金規正法違反じゃありませんか。いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 これは、私は捜査当局ではありませんし、法律関係者じゃありませんし、その点は、違反であるかどうか、今私がここで判断することはできません。

井上哲士君

 今何の答弁聞いていたんですか。補助金を決定以降一年以内にこういう寄附をしてはいけない。これ、全部公になっている資料から作ったものなんです。

 先ほど適切な処理をされておると言われましたけれども、明確に一年以内の、補助金を決定以内から一年以内にもらっているじゃありませんか。明確な違反じゃないですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは私が判断する材料はございません。

井上哲士君

 だから今材料を示しているんですよ。自民党などが公表しているそれから出しているんですよ。この材料を見て判断できないんですか。これは当然、判断できるでしょう。いかがですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは法解釈、私がここでしろと言ったって、それは無理ですよ。適切に党の関係者が、法に照らして、政治献金を扱っているわけですから。

井上哲士君

 適切でないからこういうことになっているわけですよ。現実に出ている、なものなんですね。いいですか、一年以内に出されているものなんですよ。

 どうですか。この表を見たら分かるんじゃないですか。もう一回、どうですか。

内閣総理大臣(小泉純一郎君)

 それは、政治資金を担当している方が法に照らして適切にやっているということであります。

井上哲士君

 結局、総理は、公共事業の受注企業からの献金の規制なども言いましたけれども、結局これについても全く手を付けませんでした。今度は補助金交付事業からの寄附というのは明確に違反だという明確な資料を示したのに、何ら責任ある態度を取ろうとしていない。これは、金権政治なくそうという国民の声から全く逆行しております。これでは、こうした政治的にも法的にも問題がある献金を受け取っている状況では国民の政治不信は解消しないと、このことを指摘しまして、質問を終わります。


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