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2010年3月25日(木)

外交防衛委員会

  • 国連人権A規約の高等教育の授業料無償化部分の政府側留保の撤回、高校授業料無償化法の朝鮮学校への適用を求めた。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 議題となっています法案は、必要な措置であり、賛成であります。その上で、今日は、高校無償化法案の朝鮮学校への適用に関連して、人権に関する国際条約への対応についてお聞きいたします。

 日本共産党は、高等、中等教育の無償化を定めた国連人権A規約、十三条の(b)、(c)項について留保の撤回を求めてまいりました。衆議院の予算委員会で岡田外務大臣は、予算が成立し法案がきちんと成立すれば、直ちに撤回についてそれを求めることができると答弁をされました。昨日、予算は成立をいたしまして、法案もほぼ近日中に成立する見込みであるわけですから、成立すれば直ちに留保撤回に向けての手続に入っていただきたいと思いますが、外務大臣としての御決意、今後の手順について、これは外務大臣の答弁に関することですから是非大臣からお願いいたします。

外務副大臣(福山哲郎君)

 お答えをさせていただきます。

 外務大臣からも衆議院の予算委員会で御答弁して、先ほど御紹介いただいたとおりでございますが、外務省といたしましては、高校実質無償化法案と、我が国が同規定上、いわゆる人権規約の規定上負うべき義務との関係について精査をしておりまして、今まさにその留保の撤回についてどのような形で行うかも含め検討しているところでございますが、外形上の要件が整うように今判断をしているところでございます。

井上哲士君

 確認しますけれども、つまり、この法案が通れば外形上の、言わば外交上の要件としては整った、ほかの措置をあえてする必要はないという現時点での御判断でいいんですね。

外務副大臣(福山哲郎君)

 そのことも含めまして、いわゆる規約上の負う義務との関係を精査をしているところでございます。

井上哲士君

 教育の無償化という国際水準に追い付くという点で高校教育の無償化は歓迎でありますし、是非この留保の撤回を直ちに行っていただきたいと改めて求めておきます。

 一方で、一連の国際条約から見ても問題なのが、この無償化から朝鮮高校を除外しようという動きであります。一部閣僚が拉致問題と絡めて朝鮮学校を無償化の対象から外すように求めたというのが発端であります。

 朝から別の問題で物議を醸していらっしゃるので大変残念でありますが、国連人種差別撤廃委員会が三月の十六日に日本の人種差別撤廃条約の実施状況を検証した報告書を発表しております。この中で、この動きについて、子供の教育に差別的な影響を与える行為として懸念を表明をして、その上で、教育機会の提供に一切の差別がない状態を確保するよう勧告をいたしました。

 文部科学省来ていただいておりますけれども、この勧告をどう受け止め、どう対処されるんでしょうか。

文部科学大臣政務官(高井美穂君)

 御指摘をいただきました最終見解の部分でございますけれども、該当部分、仮訳ですが申し上げますと、委員会は、次の事項を始めとする子供の教育への差別的な影響を及ぼす行為について懸念を表明するということで、その後の項におきまして、締約国において、現在国会に提案されている公立及び私立の高校、専修学校、そして高校に相当する課程を置く多様な機関の授業料を無償とする法制度変更において、北朝鮮の学校を除外することを示唆する複数の政治家の姿勢、この点が問題であるというような、正確に言うとこういう御指摘でございました。

 十六日に出されましたけれども、我々、法案審議に二月二十五日から入っておりまして、恐らく推測いたしますに、この撤廃委員会の方は、こうした国会のいろんな議論やマスコミ等に出てくるいろいろな発言等を踏まえた上でこうしたことを出されたのではないかと推測をいたしますが、この最終見解というものは御承知のように法的拘束を有するものではございませんけれども、こうした内容を改めてきちんと精査をした上で、対応をする必要があれば対応するということで、現在検討しておるところでございます。これからも検討を進めてまいりたいと思っています。

井上哲士君

 これは、勧告は是非重く受け止めて、教育機会の提供に一切の差別がないと、こういう状況を実施をしていただきたいと思うんですが。

 今年の三月の三日に国連の第十三回人権理事会で、外務省の西村政務官がステートメントに立って、我が国は本年二月には人種差別撤廃条約に基づく政府報告審査を受けたところであり、委員会からの勧告等については積極的に対応してまいりますと、こういうふうに外務政務官は述べておられます。今回の報告書を受けて外務省としてどういう積極的な対応をするのか、いかがでしょうか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 外務省としても、今文科省が答弁されましたように、関係省庁とともに適切に対処をしていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 法案自体は所管が文部科学省でありますけれども、文部科学省に対して、こうした勧告を受け止めること、そして人種差別撤廃条約を始めとした人権諸条約を守る、そういう立場でしっかり働きかけをしていただきたいと思いますけれども、その立場はありますか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 今回の高校の実質無償化の対象となる範囲については、我々としては外交上の観点等で判断するものではないというふうに思っておりまして、高等学校の課程に類する課程としての位置付け上、制度上どう担保するかという観点で文科省が判断されるものというふうに理解をしております。外務省としては、何か必要があれば意見を申し上げますが、現時点においてはその必要は感じておりません。

井上哲士君

 現に、この朝鮮学校の適用についてはもう先延ばしになっているわけですね。そして、そういう国会でのいろんな議論や動きの中でいろんなやっぱり問題が起きているんです。

 今回のこの人種差別撤廃委員会の報告書では、さらに、朝鮮学校に通う子供を含む集団に向けられた明白かつ重大な発言や行動に懸念を表して、コリアンに対する暴力行為及びこの点における当局の対応が不適切であるとする報告に懸念し、政府が当該行為を防止し、それに対処するためのより断固とした措置をとるよう勧告をしているわけですね。

 外務省として、当然、関係省庁との連携や具体的な措置をとっていくことが必要かと思いますが、この勧告をどういうふうに受け止めて対応されるつもりでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 先ほど申し上げましたように、この勧告自身は法的拘束力を持つものではありませんが、その中で述べられた今委員の引用された部分というのは、これはやはり、そういったことは子供には全く罪はないわけでありまして、それに対して差別的な言葉を投げ付けるとかいろいろな嫌がらせ行為があるというようなことは、これはやはり看過し得ないことだというふうに思います。

 したがって、関係省庁ともよく連絡を取りながら、そういう事実があればきちんと対応をしていく必要があるというふうに思っております。

井上哲士君

 私は京都住まいでありますが、その南区というところに朝鮮第一初級学校というのがありまして、ここでも最近本当にひどい嫌がらせがありまして、一月に京都弁護士会の会長が声明を出されております。

 これは、授業中に正門前で、ある市民グループが拡声機で約一時間にわたって大音量で罵声を投げ付けたと。朝鮮学校、こんなものは学校でない、スパイの子供やないか、朝鮮学校を日本からたたき出せと、こういうようなことが授業中に行われたということで、これは明白な人権侵害であり一連の国際条約にも反するということで、弁護士会の声明が出されております。これは京都だけでなくて、様々この間、全国でもあるわけですね。今大臣もおっしゃいましたけれども、拉致は許し難い行為ですけれども、何の責任もないこういう子供たちが言わば報復的に人権侵害を受けるようなことは、私はあってはならないと思うんですね。

 私は、この間の一連のそういう一部閣僚の発言とか、それに基づく政府の動き、例えば、国交がないので教育内容が分からない、何かえたいの知れない学校かのような発言が出されたりしました、こういうことがむしろこういう発言や差別行動を助長しているんではないかと、こういう懸念があるわけですね。そういうことをやはり外務大臣として閣内等でも問題提起をして正していくべきじゃないかと、こう思いますが、大臣、いかがでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 そこまで行きますとちょっと、何といいますか、想像にわたる部分があるのかなというふうに思います。閣僚の発言がそういった行為を助長しているというふうには私は思いませんが、しかし、委員が今御指摘のようなことがあちこちで起きているとすると、それについては、政府としてもどういった対応ができるのかよく議論してみる必要があるというふうに思います。先ほど申し上げましたように、やっぱり子供たちに全く罪はないわけでありまして、そこについてきちんと対応していく必要があると、そういうふうに思っております。

井上哲士君

 今挙げた南区の例は昨年末のことですので、これは直接関係あるということを申し上げる気はないんですが、やはりそういう空気を醸成するようなことは慎むべきだと思うんですね。

 先ほどの答弁にありましたように、高校課程に類するかどうかということが今後の判断基準だということでありますが、子どもの権利条約は第二十九条で教育の目的というのを定めておりまして、締約国は児童の教育が次のことを指向すべきことに同意するとした上で、児童の父母、児童の文化的同一性、言語及び価値観、児童の居住国及び出身国の国民的価値観などへの尊重の育成というのを挙げているわけですね。

 まず、外務省にお聞きしますけれども、今後、この無償化適用を判断するという上で、こういう教育に関する条項が十分に配慮されるべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 先ほども申し上げましたように、このことは一義的には文科省が今検討を加えておられますし、また、いろんな検討に関してもどういった形でやるかを検討されているというふうに承っておりますので、そのことを我々としても見ながら、必要があれば意見を言っていきたいと思います。

井上哲士君

 これは、子どもの権利条約、日本が批准しているわけですから、これがしっかり生かされるべきだと思います。

 文部科学省、お聞きします。

 朝鮮学校は日本の学習指導要領に準拠したカリキュラムを取って、都道府県に教育内容も届出をしております。同時に、朝鮮史とか、それから朝鮮語の授業もあるわけですね。しかし、今、子どもの権利条約で教育の目的というところを挙げましたけれども、父母との文化的同一性や言語及び価値観、出身国の国民的価値観、これへの尊重を育成するということからいいますと、今後、この教育課程を検討し無償化の適用を判断する上で、朝鮮史や朝鮮語を学んでいるとか、こういうことが適用の妨げになってはならないと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

文部科学大臣政務官(高井美穂君)

 私どもも、御指摘のあった児童の権利条約に関しては、文部科学省の教育政策を実施する上で当然尊重すべきものであるというふうに考えた上で、先ほど来御指摘ありました件ですが、あくまでも文部科学省としては、後期中等教育に値する、類するという課程に当たるかどうかをきちんと対象として、そういう学校を対象とするということの中で、その客観性をあくまでも担保しなくてはならない、確保しなくてはならない。その位置付けが学校教育法その他制度的に担保されているものを規定する、その担保されたものに対して支払をするというふうに考えておりますので、再三、文部科学委員会や文教委員会でも大臣からも御答弁ありますけれども、外交や、またその他の問題等で決めるというのではなくて、あくまでも客観的に後期中等教育の課程に類する課程とみなされるかどうかできちんと決めたいと思っています。

 なので、中身について、何をどう教えているからどうだこうだという話ではなくて、カリキュラム等、いわゆる制度的にきちんとこの課程に類するかどうかを判断するということで今検討をしているところであります。

井上哲士君

 人種差別撤廃委員会の勧告にありますように、教育機会の提供に一切の差別がないということがちゃんと実施されますように強く求めまして、時間ですので終わります。


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