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2010年4月15日(木)

外交防衛委員会

  • 原発頼りから再生可能エネルギーへの転換、また、長期に日本で生活し、家族もいる外国人への在留特別許可発行の人道的配慮などを求めた。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 まず、IRENA憲章に関して質問をいたします。

 日本の未活用を除く再生可能エネルギーの利用は一次エネルギーの中で三・四%、二〇〇八年でありますが、極めて低い実態でありまして、国際的にも、電力供給に占める比率ではEUを下回り、太陽光発電の導入量ではドイツに首位の座を奪われ、スペインにも抜かれました。また、風力発電は、世界的には〇九年度に非常に驚異的なアメリカ、中国など成長を記録しておりますけれども、日本はこの分野でも立ち遅れております。その理由はどこにあるとお考えでしょうか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 いろんな理由があると思いますが、まず世界的な機運の中で、再生可能エネルギーについて普及をしようという、そういった機運が高まったということ。それから、二〇〇五年のドイツのフィードインタリフを始めとしてスペイン等々でも同様の政策が取られ、一方で我が国は、これは前政権の政策でございますが、当時ありました補助金を打ち切るという、どちらかというと世界とは逆行した方向に行った結果、実はこの五年内外の間にかなり世界のシェアについては逆転をされたと。

 しかし一方で、累積導入量でいえば、日本は太陽光発電については第三位ですし、生産量は世界第二位ですし、今後、前政権の余剰電力の買取りの導入によって若干今需要が上がっておりますし、更に言えば、政権が替わりまして、固定価格買取り制度の導入等々を今経産省が検討していただいていることもあり、再生可能エネルギーの普及についてはこの政権としてはしっかりと努力をしていきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 前政権を含めて、これまでの我が国のエネルギー政策が問われていると思いますが、そもそも今回の憲章の第三条で再生可能エネルギーというのはどういうふうに定義をされているんでしょうか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 これは定義ですから、読み上げます。

 「この憲章において、「再生可能エネルギー」とは、再生することが可能な資源から持続可能な態様で生産されるあらゆる形態のエネルギーをいい、特に、次のものを含む。」となっておりまして、バイオエネルギー、地熱エネルギー、水力電気、海洋エネルギー(特に、潮汐エネルギー、波エネルギー及び海洋温度差エネルギーを含む)、さらには、太陽エネルギー、風エネルギーというふうに例示規定となっております。

井上哲士君

 つまり、今列挙されましたようないわゆる自然エネルギーは、適切に利用すれば利用する以上の速度で自然に再生をすると。ですから、将来にわたって持続的利用が可能だということから再生可能エネルギーと定義しているわけですね。

 これに対して、化石燃料やウランは埋蔵量に限りがあって数十年から百年程度で枯渇するとして、こちらは枯渇性エネルギーというふうに総称されております。ところが、我が国のエネルギー政策は、この枯渇性エネルギーを、石油、石炭、ガスなどのいわゆる化石燃料と、それから非化石燃料としてウランなどに区別をして、そして非化石燃料だということで原子力発電を推進をするという方向がありました。私はここに再生エネルギーが立ち遅れる一つの要因があると思うんです。

 原発頼みから、やはり自然エネルギーの導入に本腰を入れるという方向に転換をして、地球温暖化対策のためにも、この憲章に示されている再生可能エネルギーの利用を抜本的に高める必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。

外務副大臣(福山哲郎君)

 CO2を出さないという観点で見れば、原子力発電の排出係数がゼロであることは委員も御案内のとおりでございます。ですから、今回のこの再生可能エネルギーという定義の中でいえば、このIRENAの定義においても、原子力発電は、ウラン燃料というのは有限な資源でありますから、再処理等では再利用は可能でありますが、再生することが可能ではないから定義から外されているという認識でございます。

 しかし一方で、世界的には原子力発電のCO2排出係数ゼロということに対して注目も高まっているところでございますので、我が国としましては、このIRENA憲章における再生可能エネルギーの普及については今後積極的に対応していきたいというふうに思っております。

井上哲士君

 今回こういうのが国会に出されたわけでありますから、これに伴って思い切った再生可能エネルギーの利用へとエネルギー政策全体を転換をするべきだということを重ねて申し上げておきます。

 次に、国際移住機関協定に関連してお聞きをいたします。

 この機関の活動の一つに、新日系フィリピン人の支援の活動があります。一九八〇年代に主に興行ビザで来日をしたフィリピン女性と日本人男性の間に生まれた子供のことで、現在十万人から二十万人ぐらいいると言われております。この間、問題解決のために興行ビザは厳格化をされましたし、国籍法も改定をされて、一定の手当てがされてまいりました。一方、日本には数多くフィリピンからの移住者が居住をしておりまして、残念ながら、その中には適正な滞在資格を持たない方も存在をいたします。

 こういう皆さんに在留特別許可が下りないという場合は強制退去が実施をされるわけですが、帰国しても生活基盤がない、それからお子さんが日本で生まれて小中学校に通っているなどの事情がある中で、子供だけを残して帰国をせよというふうに迫られるような深刻なケースも起きております。昨年の三月に埼玉県の蕨市のカルデロン・ノリコさんとその両親の在留特別許可をめぐって大きな社会問題になったのも記憶に新しいことであります。

 まず、法務省にお聞きしますが、日本に滞在するフィリピン人の中でいわゆる非正規滞在者と、それから在留特別許可が下りている人数はそれぞれ幾らでしょうか。

法務大臣政務官(中村哲治君)

 まず、不法残留者の数につきましては、平成二十二年一月一日現在、フィリピン人の不法残留者数は一万二千八百四十二人となっております。一方で、在留特別許可数については、実は統計としては、韓国・朝鮮、中国が国籍又は出身地である以外はその他として計上しているところであります。そのため、フィリピン人の在留特別許可数は現在は把握をしておりません。

井上哲士君

 なかなか実態を把握するのは難しい側面もいろいろあろうかと思います。法改正も過去されまして、入管が非正規滞在者に申告を呼びかけるということもずっとやられていますが、在留特別許可をもらえると思って申請をしたけれども、実際には強制退去にされてしまうというケースもありますので、なかなか呼びかけに答えてこないという実態もあるわけですね。

 もちろん、犯罪などにかかわった悪質な非正規滞在者を退去させることは必要でありますけれども、一方、長期にわたって日本に住み、家族もいる、そして子供も学校に通っているという場合は、やはり人道的な配慮があってしかるべきだと考えますけれども、この点はいかがでしょうか。

法務大臣政務官(中村哲治君)

 在留特別許可の判断につきましては、個々の事案ごとに、在留を希望する理由、家族状況、生活状況、素行、内外の諸状況のほか、その外国人に対する人道的な配慮の必要性と我が国における他の不法残留者に及ぼす影響等、諸般の事情を総合的に判断して決定しているところでございます。

 そのような考え方の下で、人道的な配慮としては、未成年の子供の事情や病気、治療の必要性等を重要な考慮要素と考えておるところでございます。人道的な配慮の必要性については重く認識しており、今後とも個別具体的事案に即し十分に考慮して、適切に判断してまいります。

井上哲士君

 人道的配慮は重く認識しているという答弁であったわけであります。

 あるちょっと事例についてなんですが、アルマンドさんというフィリピン人夫妻とその子供さんの事例であります。

 この方は一九九〇年に、フィリピンに住む家族を支えるために日本に入国をされました。奥さん、母親の、奥さんですね、エリザベスさんは一九八七年に日本語学校に就学するために来日をされまして、日本で出会い、九六年に生まれた長男は中学校に入学をされております。

 在特許可に係るガイドラインが改訂をされておりますけれども、その中では、本邦で出生し十年以上にわたって在住し、小中学校に在学している実子の場合、他の法令違反がない場合は在留許可を認める方向で対応するというふうに明記をされておりまして、この方の場合、これに該当をすると思うんですね。日本で生まれた長男は、両親の母国のフィリピンを知りません。母国語も知りません。それを考えますと、人道的な配慮が必要とされる事例だと考えますけれども、いかがでしょうか。

法務大臣政務官(中村哲治君)

 個別具体的な事案につきましては、当該個人のプライバシーにかかわることがありますので、改めて要求があれば別ですが、行政当局からの回答については控えさせていただきたいと考えております。

井上哲士君

 この方の場合は、家族で日本での滞在を強く望んでいたわけですけれども、結局今年の三月末に長男も一緒にフィリピンに帰国をされました。長男は、日本にいれば中学校二年生になって勉学に励むことができたはずなわけですが、新しい勉学先を今探すことを余儀なくされております。

 なぜ帰国したかといいますと、東京入国管理局から、帰国しないと母子とも収容すると、こういう通告があったわけですね。子供は収容させたくないという思いから帰国の道を選んだわけですが、こういう子供の収容を示唆する脅迫まがいのやり方で帰国の判断を促すというのは私は人道的にも許されないことだと思いますし、同じような事例で在特が出たというケースもあるわけですね。

 この在特の判断に当たっては、先ほどいろいろ挙げられましたけれども、これ非常にばらつきがあるということで、申出、いわゆる申告の呼びかけにもこたえにくいということがあるわけでありますが、その基本的な考え方ということはどうなっているんでしょうか。

法務大臣政務官(中村哲治君)

 今、井上委員のおっしゃった懸念につきましては、私たちはできるだけ在特の運用に関しては透明度を上げていこうと考えております。昨年七月にこのガイドラインを改訂して、より詳しく基準を、基準といいますか、考慮要素を明確にしたということも一つですし、今週、十三日火曜日には、千葉大臣から事案の公表についても行わせていただきました。

 議員御存じのとおり、新ガイドラインでは、当該外国人が不法滞在者であることを申告するため自ら地方入管に出頭することを積極要素としております。そういった事例を見ていただくことによって、積極要素として自ら出頭していただくと、そういうことを判断していただく方が増えることを望んでおります。

井上哲士君

 当時、法改正のとき私も法務委員会におりましたのでいろんな議論をしたわけでありますけれども、まだまだやはり不安があり、ばらつきがあるという指摘があるわけでありまして、一層透明度も高めながら、より基本的な方向をしっかり示していただきたいと思います。

 最後に、外務大臣、お聞きいたしますが、国際化の進展によって、就労資格がある外国人労働者が、日本への滞在が増えております。過去には先ほど申し上げた新日系フィリピン人という課題も残すようなことも起きました。こういう反省の上に外国人の受入れの体制や制度というものをしっかり考えていく必要があると思いますけれども、その点の御所見はいかがでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 外国人を我が国がどの程度受け入れていくかということ自身が大きなこれは政治的な決断を要する問題だというふうに思います。

 そして、受け入れる場合に、やはり受け入れた以上はきちんと日本社会の中で安定した生活ができるようにするということは、これは当然のことでありまして、私も、先ほどちょっと違う場で議論になっておりましたが、例えば日系人の方はほぼ無条件に受け入れました。しかし、現実に、地元などでも見ておりますと、子供たちの中で学校に行っていない子供たちもいる。一方で、定住化が進んでおりますから、そういう義務教育も満足に終えていない若者たちが日本社会の中でどんどん増えていくと。そういうことが本当にいいはずはないんであって、やはり日系人を受け入れるということであれば、受け入れたときのそういった子供の教育の問題など最低限のことはきちんとやっぱり体制を整える必要があると、そういうふうに思っております。

 この外国人の問題というのは各省庁にわたりますので、なかなかそういう体制が十分できないわけでありますけれども、これはしっかり政府、あるいは与党、野党ということではなくて、日本の覚悟が求められている話でもあると思いますので、議論を深めていただいてきちんとした体制をつくっていかなきゃいけないと、そういうふうに思っております。

井上哲士君

 終わります。


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