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2010年5月27日(木)

外交防衛委員会

  • 岡田外相は、宜野湾市長の普天間基地の県外・国外移設を求める発言を「納得できない」と答弁。私は「沖縄県民、宜野湾市民に対するひどい発言だ」と批判した。

井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 防衛省設置法の改正案は、陸海空に分かれている情報保全隊を統合して新しい自衛隊の情報保全隊をつくり、三十九人増員し、強化をするという内容であります。

 我が党は、二〇〇七年に陸上自衛隊の情報保全隊の内部文書を自衛隊関係者から入手いたしまして、当委員会でもこれをただしました。この資料では、イラク派兵反対や消費税増税に反対する活動などを含む国民のあらゆる運動や活動を対象に、写真撮影などの記録、監視を行っているということを明らかにいたしました。この法案の衆議院での質疑の際に、こういう保全隊を強化をするということは新政権として国民監視活動を容認することなのかという質問に対しまして、これは極めて有用な組織だ、デモなどの一定の写真撮影は法令に遵守してやる場合もある、国民を監視するだけのためのものではないと、言わば国民監視を堂々と認める答弁をされました。

 そこで、まずお聞きするわけでありますが、この旧政権下の自衛隊で行われてきた情報保全隊の国民監視活動の対象、そしてやり方、こういうものについて新しい政権で何らかの是正は行われたんでしょうか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 お答えをさせていただきます。

 自衛隊情報保全隊の任務は、外部からの働きかけ等に対して部隊や隊員等を保全するために必要な情報の収集、整理等を行うものであります。この点で、防衛省の所掌事務の範囲内で関係法令に従い適切な方法で行うということは今なお必要性があると考えておりまして、この点においては前政権と現政権で変更したということではございません。

井上哲士君

 外部からの働きかけというふうに言われましたけれども、当時の資料でも明らかにしましたが、医療の負担増とか年金の改悪に反対する、そういう宣伝活動なんかも全部言わば敵視して対象にしていたわけですね。当時の民主党の国会議員もその対象になっておりました。イラク派兵反対の行動をしている国会議員も含めてこれ反自衛隊活動と、こういう分類がされてきたわけですね。

 ですから、当時の国会でも、例えば自民党の、これは防衛省にもおられた山口壯委員などは、警察の活動は防衛省の範囲ではないと、これは隊員の保全じゃないと、現実に外に対する監視という全然違う意味を持っていると、これはもう逸脱だということも含めて当時批判をされたわけですね。それが何ら是正もされていないと、こういうことで確認してよろしいですか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 委員の御指摘、また過去の議論というのはそれぞれ我々としてもしっかり受け止めさせていただいておりますが、しかしその上で、先ほど申しましたように様々なケースが考えられるわけでありますが、あくまで所掌事務の範囲内において必要な情報の収集、整理を行っていくと、この点において不当な手段、方法による情報収集活動は行わないという点は改めて我々としても徹底をしているところであります。

井上哲士君

 その答弁も全然変わらないんですね。

 じゃ、確認しますけれども、今沖縄で基地被害に反対してその抗議の電話を掛けてくる人とか、それから辺野古での基地建設反対で県民大会も行われました。先日は、鳩山総理の沖縄訪問に対して超党派の県議の皆さんが県庁前で座込みもされました。こういう様々な沖縄で行われている抗議の電話とか運動というものも、これも情報保全隊の情報収集の対象となっているということでしょうか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 具体的な先ほど事例を挙げられたわけでありますが、その点についてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

井上哲士君

 こういう沖縄の例えば基地騒音に対する苦情とか様々な運動については、これは対象から外しなさいと、こういう指示をされたことはありますか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 私が知る限りは、これを外せという指示もいたしたという認識はしておりません。

井上哲士君

 ということなわけですね。ですから、前の政権下で行われていたように、現に今沖縄の皆さんがやっているような運動とか抗議の声も含めて結局対象になっているんです。

 二〇〇七年に問題にしたときに、これも当委員会で、これは民主党の議員の方が問題にされたんですが、例えばヘリの騒音の苦情電話を掛けたと、自衛隊に、これも反自衛隊活動という分類にされているんですよ。今の沖縄の皆さんのこういう声も反自衛隊活動ということでこういう情報保全活動が行われるということは、本当に私は県民の声を愚弄するものだと思います。

 しかも、情報保全隊がやったのは国民監視活動だけにとどまりません。自衛隊の立川宿舎にビラを配った市民団体のメンバーが逮捕、起訴された立川のビラ弾圧事件というのがありました。このときに、陸上自衛隊の東部方面情報保全隊が作成した立川自衛隊監視テント村構成員の逮捕という、これはA4判十七枚の文書を私どもの赤旗新聞が入手して当時報道をいたしました。これによりますと、逮捕の二か月前に立川署から自衛隊側に現行犯逮捕の協力依頼というのがされております。その依頼の内容は、ビラを配布、投入している者を見たら一一〇番をしてください、それから、ビラを配布、投入され困っているという形で自衛隊側から被害届を出してくれと、こういう依頼をされております。そして、この依頼の一週間後に情報保全隊と立川署で立川宿舎の実況見分しているんですよ。つまり、この現行犯逮捕のための準備をしていたんではないかという私は疑いを持っておるんですけれども。

 この事件は、国民のビラ配布への弾圧として、表現の自由への弾圧だといういろんな批判の声がありました。これに自衛隊の情報保全隊が警察と一体となって加担をしていたということになるわけでありますが、こういうような活動も含めて、保全隊は問題ない、これからも続ける、こういう立場でしょうか。

防衛大臣政務官(楠田大蔵君)

 我が省といたしましては、先ほどるる委員から御指摘ありましたが、この文書自体も確認をしていないということもありますし、また、様々、個別具体について今の時点でお答えをすることはかなわない、差し控えさせていただきたいと、そうした思いであります。

井上哲士君

 安保政策いろんな違いはありましても、当時、私たちが提起をした資料ではあったけれども、民主党の議員の皆さんもこれは問題であるということで当委員会でもいろんな質疑があったわけですね。ですから、やっぱり国民の自由とか権利に権力が介入をしていくということについては、いろんな政策の立場を超えてこれは正すという姿勢があったと思うんですけれども、どうも今の答弁を聞いておりますと、何も違いがありません、前の政権のときの答弁と。私は本当に残念な思いがしております。

 北海道でイラク派兵の差止めの訴訟がありました。これは二〇〇七年に判決が下ったんですが、札幌地裁は、この自衛隊の情報保全隊が、イラク派兵強行の前後に平和運動を監視をしていたということについて判決で触れております。こう言っているんですね。国民一般に対する情報収集活動が行われていたことがうかがわれ、ゆゆしき問題と言わざるを得ないと。こういう司法の判決も出ております。

 私は、情報保全隊の活動について、その対象とかやり方なども含めて総点検をするべきだと思いますけれども、これ大臣、是非お答えをいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

防衛大臣(北澤俊美君)

 この問題については、井上委員は再三にわたって御質問をいただいておりますが、今回も、この質問に対して、防衛省としていろいろ過去の事例等も検討しながら、今、楠田政務官が答弁をしたわけでありますが、私は、もし行き過ぎなことがあれば、それは本来の自衛隊情報保安隊の任務を逸脱しているようなことがあるとすれば、それはきちんと正さなきゃいけませんので、先ほど言われましたことについて、もう一度省内でしっかり検討をしながら対応していきたいと、こういうふうに思っております。

井上哲士君

 国民のプライバシーや権利を侵すような行動は絶対あってはならないと、そういうことを改めて申し上げておきたいと思います。

 その上で、普天間の問題でありますけれども、総理が連休中に沖縄を訪問された。これが県民の怒りに火に油を注いだ形になりました。そして、今回の地元の頭越しのアメリカとの合意ということであります。

 総理は、地元、アメリカ、そして連立での合意ということを明言をされていたわけでありますが、今回は地元の反対のままアメリカとの合意を優先をしたということでありますが、これ自体にまた沖縄の皆さんは怒っていらっしゃるわけですね。知事は、裏切られたという思いが非常に強いと言われ、県議会の議長は、県民の頭越しに政府案が決められ、それを前提に日米協議が進められる、民主主義国家として果たしていいのかと、こういうことも言われております。

 私たちはSACO合意にも当初から反対をしておりましたけれども、当時は県知事も県議会の中のかなりの部分もこれは認めておられました。しかし、結局、県内たらい回しに対する県民の反発の中で、十四年間、辺野古沖にはできなかったわけですね。

 今回は首長も、そして議会も県民も一つになって反対を今しているんです。にもかかわらず、アメリカとの約束を先行させると、県民よりもアメリカを優先すると、これが鳩山政権の姿勢ということなんでしょうか。防衛大臣、いかがでしょうか。

防衛大臣(北澤俊美君)

 普天間の危険性を除去するというのがこれが出発点でありまして、それをさらに鳩山総理は、県外で解決をしたいと、こういう強い思いを表明したわけでありまして、いささか時間を取ったわけでありますけれども、先ほど来質疑がありますように、五月四日に沖縄を訪問して、沖縄で一部負担をしていただきたいということをお願いを申し上げて、一日も早くその原点である普天間飛行場の危険性の除去にこれから努めてまいりたいというのが、鳩山政権としての基本的な考え方であります。

井上哲士君

 五月末決着というのは県民が求めたのではなくて総理自らが明言をされたんですね。我々、これを先送りしろということは言いません。一刻も早く解決をすべき問題ですが、問題は中身なんですね。結局、自ら言った期日が迫ってきたということで、言わば延命のためだけに形だけの決着を付けて、県民無視でアメリカとの合意を交わすと、こういう県民頭越しのやり方が一層今怒りを広げているわけですね。私は、辺野古沖建設でアメリカの合意ってしても、県民の合意が得られる現実性は全くないと思います。むしろ、この間の一連のやり方が一層県民の怒りを広げて、そして団結を固めていると、一層困難に陥れていると思いますが、そういうことになっているという自覚は政府としてはおありでしょうか、外務大臣。

外務大臣(岡田克也君)

 さきの県民大会の様子など、沖縄の県民の皆さんのこの問題に対する関心の高まりということは十分に理解をしているところでございます。だからこそ、そういったことも含めて、米国側とかなり長い意見のやり取りを行って日米合意ということになりました。この日米合意が明らかになった段階で、率直に沖縄の皆さんに対して説明をし、そして理解をいただく、そのための努力を政府を挙げて行っていかなくてはならないというふうに考えております。

井上哲士君

 その日米合意を優先させるやり方がまさに沖縄の怒りを広げているんだということなわけですね。これをどう受け止めるかと、私はやっぱり歴史を考える必要があると思っております。

 一九六九年に沖縄の施政権の返還で合意をしたわけでありますが、当時、沖縄と本土のいろんな世論、闘いがありました。サンフランシスコ条約三条では不可能なことを当時、日米間は決断をしたわけですね。この間、情報公開をされた当時のアメリカの国務省と国防総省そして在日大使館が交わした文書も明らかにされております。これを見ますと、非常にその三者で激しいやり取りしているんですね。そして、ポイント・オブ・ノーリターンという言葉が出てまいります。つまり、国務省側が沖縄の情勢を見てもう後戻りができない情勢だと、こういう判断をして決断をし返還に至ったと。私は、今の沖縄の、とりわけ四・二五の集会以降の状況というのは、こういうポイント・オブ・ノーリターンと、当時と同じような歴史的な岐路に立っていると思います。

 宜野湾市長は、もしも県内移設を強行するならば沖縄からすべての米軍基地の撤去を求めることになるだろうと、こういうふうに言われました。嘉手納町長さんというのは保守の方でありますけれども、日米安保条約の是非そのものを考えなくてはいけないと、こういう発言もされております。

 ですから、県民の怒りというのがそこまで来ている、沸騰点を超えているということをやはり直視をして、そしてそういうこと自身をアメリカにしっかり伝える。私は、沖縄の人を説得するのではなくて、これをぶっつけて、沖縄県民の合意は絶対に得られないと、そういうことをしっかり伝えて正面から交渉するしか私はこの解決の道はないと考えますけれども、政府としてはこの沖縄県民の声をどう認識し、どうアメリカに伝えてやってきているんでしょうか。

外務大臣(岡田克也君)

 沖縄県内の今の状況というものはもちろん米国政府も十分に認識をしておりますが、この日米合意をつくるに当たって様々伝え、そしてそういう下で沖縄の負担を減らすと、そのためにどうすればいいかということを真剣に議論した結果としての日米合意でございます。これは是非、明らかになった段階で御覧いただきたいというふうに思っております。

 いろいろな県民の皆さんの声、あるいは知事や市長の声、それぞれあることは十分承知をしております。ただ、私は、宜野湾市長には昨年の秋の段階で申し上げたわけでありますが、普天間基地のある宜野湾市、その普天間の危険性の除去ということで政府を挙げて努力をしているわけでありますから、その当該地元である市長が、いや、沖縄県内移設は駄目だとか、海外だとか、あるいは元々アメリカはグアムに持っていくつもりなんだとか、いろいろおっしゃるのは私自身納得できないものを感じております。

井上哲士君

 それは沖縄の県民や宜野湾の市民の皆さんに対する本当にひどい発言だと思いますよ。

 沖縄の県民の皆さんは、自分たちが痛みに思っているものは、ほかに行っても危険だし痛みなんだと、だからそういうやり方ではないということで宜野湾の市長さんも言われているわけであります。私は、そういう声を無視したような日米合意というものが仮につくられてもこれは決してうまくいかないと、本当にやっぱり県民の声に立った交渉こそやるべきだということを強く申し上げまして、質問を終わります。


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