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2004 年 11 月 19 日

答弁書第五号

内閣参質一六一第五号
  平成十六年十一月十九日

内閣総理大臣 小泉純一郎

参議院議長 扇  千 景 殿

参議院議員井上哲士君提出ミズナラなどのナラ枯れ被害に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。


参議院議員井上哲士君提出ミズナラなどのナラ枯れ被害に関する質問に対する答弁書

一について

 森林病害虫による森林被害の実態については、林野庁において「森林被害報告について」(昭和五十三年五月十八日付け五十三林野保第二百三十五号林野庁長官通知)を発出し、都道府県知事又は森林管理局長が行った調査結果の報告を毎年度受けているところである。この報告によれば、平成十五年度におけるカシノナガキクイムシによるナラ類の枯死(以下「ナラ枯れ」という。)の被害状況は、十二府県で被害が発生し、その被害面積は合計で約千四十一ヘクタールとなっている。今後とも、引き続きナラ枯れ被害の実態を把握していく考えである。

二の1及び2について

 ナラ枯れによる昆虫類及びツキノワグマへの影響については不明であるが、環境庁が平成六年から平成十年にかけて実施した第五回自然環境保全基礎調査によれば、ミズナラ林は国土の約五・三パーセントを占め、野生動植物の生息・生育の場として一定の機能を果たしており、生物多様性を確保する上で適切に保全することが必要と考えている。

二の3について

 ミズナラの集団枯死によって土砂災害が引き起こされた事例については承知していないが、一般に、森林の有する水源のかん養、土砂の流出又は崩壊の防備等の機能は、樹木が集団して生育していることによって十分に発揮されるものであり、枯死木が相当程度発生した場合には、森林の有するこのような機能が低下することがあるものと考えられる。

三について

 ナラ枯れの発生に地球温暖化等の社会的要因が影響しているか否かは不明であるが、平成十四年度からカシノナガキクイムシの防除対策を講じているところであり、今後ともナラ枯れ被害の防止に努めてまいりたい。

四の1について

 カシノナガキクイムシの防除対策としては、被害木への薬剤注入により、カシノナガキクイムシをくん蒸処理する駆除事業を平成十四年度から実施するとともに、当該駆除事業との一体的実施により、より大きな効果が期待される予防的手法として、ナラ類の樹幹に薬剤を混ぜた粘着剤を塗布することによりカシノナガキクイムシを捕殺する手法等の実用化に向けた実証事業を平成十六年度から実施しているところである。

四の2について

 独立行政法人森林総合研究所において、現在、カシノナガキクイムシが集まるフェロモン物質について、その特定を行うとともに、放射線によるカシノナガキクイムシの不妊処置の実用化に必要な雄の飼育技術の研究を行っているところであり、今後とも、カシノナガキクイムシが集まるフェロモン物質、放射線による不妊処置等を用いた防除技術の研究を進めてまいりたい。

四の3について

 一について、四の1について及び四の2についてで述べたとおり、ナラ枯れ被害に関する実態の把握、カシノナガキクイムシの防除技術の研究等を行っているところであり、今後とも他の研究機関等の研究成果も活用しつつ、カシノナガキクイムシの防除対策を進めてまいりたい。


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