24ヵ国訪問記

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中東見聞録

ゴラン高原の兵力引き離し地域へ

 朝ホテルを出て、ゴラン高原に向かいました。ここは、もともとシリア領ですがその多くをイスラエルが占領しています。

 国連による停戦ラインが引かれ、国連PKO(UNDOF)が28年にわたってイスラエル・シリア間の停戦を監視し、両国の兵力引離ししに関する取り決め事項の履行状況を監視しています。国会で大議論の末、96年以降、日本の自衛隊からも輸送隊が派遣されています。

 ダマスカスから車で一時間余りで、UNDOF司令部に到着。ランケル司令官から説明を受けました。ゴラン高原は軍事上の要所であると同時に水もあり、農業に適した場所も多くありますが、一方で。一番高いところは8mもの積雪があり、一番低いところは海抜マイナス47mで、気温は70度にもなることがあるとのこと。

 日本隊も視察した後、クネイトラに向かいました。ここは、国連監視下の非武装地域内にある都市で。67年にいったんイスラエルに占領され、74年にシリアが取り返しますが、イスラエルが撤退する際に建物を徹底的に破壊しました。シリア政府は、イスラエルの残虐行為の記録としてその地域をそのまま保存しています。

 あたり一面は、つぶれた建物ばかり。ゴラン病院(写真)だった建物には壁じゅうが銃弾の跡で崩れかけています。この建物の屋上から、ゴラン高原の一番高い位置にあるイスラエルの軍事施設が見えます。ここを押さえ、常時、上からシリアを監視しているわけです。

 イスラエル側に向かっての写真撮影は禁止。向こう側からは超望遠で監視しており、写真撮影をすればすぐ抗議があるそうです。戦争を肌で感じた視察でした。

 シリア大使の公邸で昼食をとり、午後からは陸路、国境を越え、レバノンのベイルートへ向かいました。

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