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本会議で防衛省設置法案反対討論/18歳選挙権

 DSC01992.JPG午前中の本会議で防衛省設置法改正案に対する反対討論を行いました。大要は以下の通りです。

 昼休みに開かれた日弁連主催の戦争法案反対の院内集会に参加。共産、民主、社民などとともに自民党の村上議員も参加して挨拶されました。

 午後は、18歳選挙権実現の公選法改正案についての参考人質疑。神奈川県教育委員会教育長・桐谷次郎、立命館宇治中学校・高等学校教諭・杉浦真理、松山市選挙管理委員会事務局長・竹村奉文、YouthCreate代表理事・原田謙介の各氏から意見をお聞きして質疑しました。

 その後、衆院の安保特別委の審議を院内テレビでみながら明日の質問準備。夜にしつこくを終えました。

●防衛省設置法改正案反対討論

日本共産党の井上哲士です。私は会派を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に、反対の立場から討論を行います。
 本法案は防衛省・自衛隊の装備取得関連部門を集約、統合し、防衛省の外局として「防衛装備庁」を新設するものです。
 安倍政権もとで今年度の防衛予算は、過去最高の額となりました。さらに歴代の内閣が維持するとしてきた「武器輸出三原則等」を撤廃して武器輸出を原則禁止から推進へと一八〇度転換する「防衛装備移転三原則」を決定し、武器の輸出を推進する道に公然と踏み出しました。 

その上で防衛省は軍需産業の育成・強化を図る「防衛生産・技術基盤戦略」を策定し、日米新ガイドラインには、日米間の防衛装備・技術協力が盛り込まれ、安全保障及び防衛協力の基盤として」発展、強化させると強調されました。 

この間、米国へのPAC2ミサイル部品の輸出、F三五戦闘機の製造への参画、英国との新たな空対空ミサイルの実現可能性に係る共同研究の開始、オーストラリアの次期潜水艦共同開発・生産国選定手続きへの参加など、武器の輸出、国際共同開発への参画が加速しています。

 本法案で新設される「防衛装備庁」は、軍需産業の要求に応えて、官民がまさに一体となって、これらをいっそう推進するものです。 

防衛装備庁は今年度から防衛省が発足させた競争的資金「安全保障技術研究推進制度」を進めることになります。今後、広く大学や研究機関から技術提案を募り、防衛装備に適用可能な基礎研究に資金を提供するとしています。

憲法九条の精神は戦後の学問研究の分野にも生かされてきました。一九四九年に創設された日本学術会議は第一回総会で、軍事研究に積極的に協力したことへの反省を込めた決議をあげて出発し、一九五〇年、六七年の総会でも「戦争目的のための科学研究を行わない声明」を出しています。 

今、国立大学では一般運営費交付金が削減され経常研究費不足に悩む状況です。そのもとで、防衛省の資金であっても背に腹は代えられないと応募してくれば、それを突破口に、徐々に軍事研究に大学を取り込むことを狙ったものであり、認められません。 

衆参での参考人質疑を通じて、このような組織づくりが、急速な軍事化を招き、軍産複合体を生み、軍需産業による国の政策への介入をもたらすことの危険性について、日本や米国の歴史に照らして「杞憂」ではないとする、厳しい警告がありました。大変重い指摘であります。

このような組織改編をおこなうことが、憲法九条の平和主義を真っ向から踏みにじるものであることは明白です。強く中止を求めます。 

さらに本法案による、官房長、局長と幕僚長との関係規定の見直しは、防衛省内で文官を自衛官よりも上位に置いてきた、いわゆる文官統制を廃止して、両者を同等に位置づけることにより、自衛官による大臣補佐をより迅速におこなうことを可能とするものです。 

 政府は一九九〇年代以降、自衛隊を海外に派遣し、米軍に対する支援活動を積み重ねてきました。本法案の自衛官による大臣への補佐の迅速化は、内局の運用企画局を廃止し自衛隊の運用を統合幕僚監部に一元化することとあいまって、米軍との共同軍事作戦を直接担う自衛隊の意向をより迅速かつ直接的に反映させる仕組みをつくることで、アメリカの戦争に直ちに協力できる機構をつくるものです。

 世界のどこでも、いつでも、アメリカが起こす戦争に自衛隊が支援、参加するための日米新ガイドラインや安保関連法制と一体の体制づくりであり、断じて容認できません。 

審議の中で、二〇〇六年に航空自衛隊が作成した「航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究」が問題になりました。この文書は、「これまでは政治が決定する任務や役割を受けて対応するといった受動的姿勢であったが、今後は、場合によっては、現在の任務、役割、法的な枠組みを超えて空自が主体的に議論」し、「将来の憲法改正、集団的自衛権の解釈変更に対応する上で航空防衛力の運用に関わる基本的な考え方を開発し、明確にすることが必要である」としています。 

さらにこの文書は「これからは国家意思決定者に対して統合幕僚長を通じての軍事的専門家としての助言を積極的に行う」と述べています。本法案の自衛官による補佐の迅速化は、このような検討すら行っている自衛官の発言力をより強化するものであり、シビリアンコントロールをも危うくするものです

憲法も現行法の枠組みも無視した検討が、組織的かつ周到に行われている恐るべき実態を示すものであり、断じて容認できません。徹底解明を求めます。 

また、本法案は航空自衛隊那覇基地のF15戦闘機部隊を二個飛行隊化し、第九航空団を新設するとしていますが、こうした軍事対応の強化は、日中関係の緊張を高めるものであり、容認できません。日中双方がこうした軍事対応の強化を厳に戒め、冷静な話し合いによる問題解決の立場に徹するべきです。 

そもそも、防衛省の組織改編は、二〇一三年の「防衛省改革の方向性」にもとづくとされるものであり、その前提には、二〇〇八年の「防衛省改革会議報告書」にもあったように、防衛調達をめぐる事務次官の供応収賄など数々の不祥事が発生し、国民の厳しい批判のなかで、その再発防止が課題とされたことがありました。 

その後も、航空自衛隊による官製談合事件、軍需企業による防衛装備品の水増し請求事件、陸上自衛隊の多用途ヘリコプター開発の企業選定に係る事件が続発しています。なぜ、そうなるのか。審議を通じて明らかになったのは、昨年、防衛調達上位十社に対する防衛省・自衛隊からの天下りは六四人にのぼり、不祥事で天下りを中止した年の翌年は一気に増えるなど、事実上「天下り枠」が固定している実態です。 

 防衛省・自衛隊と軍需産業の天下りを通じた癒着構造が問題の本質であり、ここにこそメスを入れるべきです。にもかかわらず防衛省は、調達をめぐる不祥事の抜本的な改革については「別検討」などと除外して、本法案を提出しました。本来なすべきことは一切骨抜きにしたうえで、ひらすら憲法九条の平和主義を踏みにじる施策のための組織改編に血道を上げることは、国民を欺くものであり、到底認められるものではありません。

 防衛調達上位十社から自民党に対する企業献金は野党時代の二〇一二年の八一一〇万円から、与党復帰後の二〇一三年には一億五〇七〇万円とほぼ倍加していることも明らかになりました。安倍政権は財界の要求に答え、武器輸出推進への転換や防衛予算の増額など次々と進めており、企業献金の倍化は、国民にはその見返りにしか見えないものです。このような体たらくでは、天下り受け入れの見返りに発注する官製談合を行う防衛省・自衛隊の体質をただすことなどできないことを厳しく指摘するものです。 

以上、本法案は、断固廃案にすべきことを主張して、討論を終わります。

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