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本会議で二回登壇/拉致特/フリーランス

 23.4.21 本会議.jpgふ~。あわただしい一日でした。午前中の本会議では、フリーランス新法の質問と、インフル特措法改正案の反対討論に立ち、午後は拉致問題特別委員会で質問。その後、来週のフリーランス新法の質問の準備で、芸能従事者協会、出版ネットの方とそれぞれ懇談しました。
 一回の本会議で二度登壇することはめったにありません。私は22年目で初めてのこと。与野党を超えて「お疲れさまでした」と声をかけていただきました。
 夜の懇談の後、明朝からの選挙応援のために名古屋市に向かっています。統一地方選挙後半戦の最終日。午前中は愛知県春日井市で、午後は京都府城陽市と八幡市で20時まで訴えぬきます。
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  フリーランス新法の質問を紹介します。

日本共産党の井上哲士です。会派を代表して、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律案について質問します。

本法案は、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法など、事業者間の取引を規制する取引法の一つとして、フリーランスに業務や作業を委託する事業者を対象に、優越的地位の濫用を防止するための規定や、就業環境の整備を求める規定を定め、情報量や交渉力の面で弱い立場にあるフリーランスとの取引の適正化を図るものです。 

 政府の調査では、フリーランスは年々増加し462万人と推計されています。

3年以上に及ぶコロナ禍のもと、収入減や解雇によって、インターネットのウェブサイトやスマートフォンのアプリを介して単発・短期の仕事を請け負う、ウーバー・イーツなどのいわゆるギグワーカー、クラウドワーカーも急増しています。

こうしたフリーランスの多くは、一方的な報酬カットや未払い、契約打ち切りなど、弱い立場に置かれているだけでなく、最低賃金や労働時間規制、解雇規制、労災など労働者保護法制の枠外とされています。 

昨今、労働者性が認められるべき労働者を個人事業主として就業させる「雇用偽装」とも呼ばれる状況も広がっています。我が党は、こうしたフリーランスの実態を告発し、労働法制を適用して保護することを繰り返し求めてきました。

 2018年末に閣議決定された「労働政策基本方針」は、フリーランスなど雇用によらない働き方が拡大している現状をふまえ、「法的保護の必要性を含めて中長期的に検討する」とし、厚生労働省による検討が進められていました。

しかし本法案は、その検討途上で、内閣官房によって「フリーランスの適正な拡大を図るためのルール整備を行う」との政策方向が示され、取引適正化のための法制度として提出されたものです。

一方厚労省では、「雇用類似の働き方に係る論点整理等に関する検討会」が、2019年6月に「中間整理」を公表したきり、議論が行われていません。

なぜ厚労省での検討を打ち切って取引適正化の法制度に矮小化したのですか。

 法案には、業務委託事業者に対するハラスメント対策や出産、育児、介護に対する適切な配慮など、労働政策審議会で議論されて当然の内容も含まれているにもかかわらず、なぜ、労働政策審議会での議論を行わなかったのですか。

 ギグワーカーの法的保護については、連邦労働裁判所がギグワーカーの一部を労働者として認定したドイツをはじめ、労働者性を認める方向で保護を図る流れが広がっています。

日本がこうした世界の流れから遅れていることをどう受け止めていますか。

 我が国では、労働基準監督署が、正社員から個人請負に一方的に契約変更された結果、始業時間や業務内容は正社員時代と変わらないのに労働者性を認めない、業務遂行の内容をマニュアルで指示され業務に関する許諾の自由もないのに、現場における直接の指揮命令がないため労働者性を認めないという現実があります。

 大臣は衆議院の答弁で、「労働者性の認められる方についていえば、それはどんな法律形態であろうとも、労働者として必要な保護していく」と答弁しています。そうであるなら、労働基準監督署の対応を直ちに改善させるべきではありませんか。

以上、後藤大臣に答弁を求めます。

 フリーランスの労働者性が認められないのは、1985年の労働基準法研究会報告「労働基準法の『労働者』の判断基準について」が、今日の働き方の実態に合わなくなっているからです。

この基準を実態に即したものに見直すべきではありませんか。

また、厚労省で中断されている検討を直ちに再開するべきではありませんか。以上、加藤厚労大臣、お答えください。

 後藤大臣に法案について伺います。

通常、業務委託では、募集、契約、発注という流れになります。一方、本法案は、第12条で募集時の的確な情報表示、第3条で発注時の給付の内容、報酬の額、支払期日等の明示義務を定めているものの、業務委託契約締結時の条件明示義務がありません。

これでは、募集時より発注時の報酬額が減額されていても、フリーランスは応じざるを得ず、不利益を被るケースが避けられません。契約時の条件明示を義務化するべきではありませんか。

 法案は、従業員又は役員のいる特定業務委託事業者に対し、契約内容の明示や60日以内の報酬支払期日等の義務規定を設けています。しかし、従業員又は役員のいない業務委託事業者には契約内容の明示以外の規定がありません。なぜこのような違いを設けるのですか。

さらに特定業務委託事業者に課される給付の受領拒否や返品、報酬減額、著しく低い報酬額の設定の禁止、育児・介護との両立支援への配慮、契約の中途解除の予告義務は、業務委託が継続的である場合に限られています。

短期・単発の業務委託は、報酬減額や著しく低い報酬額が設定されてもかまわないのですか。

 業務委託が継続的であるとする期間は、「政令で定める期間以上」とされていますが、どのくらいの期間を想定しているのですか。

 フリーランスの取引では、元委託者から委託を受けた個人事業者が、特定受託事業者に再委託するなど、ブローカー的フリーランスが数多く存在し、取引に介在している実態があります。

また、デジタルプラットフォームを通じて、業務の委託と受託を媒介するプラットフォームビジネスでは、不当な手数料設定や一方的な損失負担の強制、過剰なペナルティ、一方的な契約変更など、優越的地位の濫用が問題となっている事例が数多く生まれています。

このような仲介事業者は、本法案でどのように規制されるのですか。

 最低報酬規制について伺います。

法案では、特定業務委託事業者に対し、特定受託事業者への継続的な発注に関し、著しく低い報酬を定めることを禁止しています。

条文は、「通常支払われる対価に比し著しく低い報酬の額」としていますが、「通常支払われる対価」をどのように判断するのですか。

 再委託のように仲介事業者が介在する取引では、仲介事業者が利益を確保するため、フリーランスの報酬が切り下げられる恐れがあります。

 2018年に、在宅ワークの実態等を踏まえて改正された厚生労働省の「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」は「最低賃金を一つの参考として自営型テレワーカーの報酬を決定することも考えられる」としています。

これをフリーランスにも適用することについて、大臣は衆議院で、事業者間取引における契約自由の観点から、「事業者に対する行政の介入は最小限にとどまるべき」と答弁し、最低賃金を参考にした最低報酬規制を否定しました。

年収300万円未満という低い報酬で働かされているフリーランスの実態を放置するつもりですか。

 フリーランスの業務には労働時間の規制が及ばず、何日も徹夜で作業しなければ間に合わないような短期間の納期設定や、過大な業務量を委託事業者から要求されるケースも多数あります。

自営型テレワークの「ガイドライン」が、成果物の納期は、「自営型テレワーカーの作業時間が長時間に及び健康を害することがないように設定すること」「通常の労働者の一日の所定労働時間の上限(8時間)を作業時間の上限の目安とすること」としているように、フリーランスの長時間労働を是正するためのルールを定めるべきではありませんか。

 以上、フリーランスの働き方を保護するためには、取引関係を適正化するだけでは不十分であり、労働法による保護の仕組みを可能な限り広げることが不可欠です。そのことを重ねて強調し質問を終わります。

 

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