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被爆者が世界を動かす

 

 「核兵器批准条約批准が50か国に達し、来年一月二十二日発効へ」――新幹線の燕三条駅前のホテルで日曜6:30にパソコンを開いたら、飛び込んできたのがこのニュースでした。「やった!」思わず声を上げてガッツポーズをしました。

 三年前に国連の会議場で採択に立ち会ったときの感動がよみがえります。その瞬間、わっと歓声が上がり、長い拍手が続き、やがてみんなが立ち上がって握手し、さらにハグする姿も。日頃は冷静な外交官たちが、核大国の妨害を打ち破って条約を採択したことの喜びにあふれました。国際政治の主役が一部の大国からすべての国と市民社会に移った瞬間でもありました。

 条約を実現した最大の力は、被爆者の皆さんの訴えです。思い出したくない地獄のような被爆体験を時には自らのケロイドの写真をさらして語り、核兵器は人類と共存できない非人道的兵器だと訴えたことが国際社会を大きく動かしたのです。だからこそ、核兵器のもたらした惨禍を一番知っているはずの日本政府がこの条約に反対し続けていることが許せません。

 朝のニュースを受け、その日は、新潟県の三条市、見附市、長岡市での街頭演説や集いでしたが、一番にこの問題を訴えました。「歴史上はじめて核兵器を人道に反する兵器として禁止する条約ができました」と話すと、どこでも拍手と笑顔が。

「被爆者の訴えと皆さんの運動が世界を動かしました。力を合わせて核兵器禁止条約に参加する政府をつくりましょう」と呼びかけるとさらに大きな拍手が。

被爆二世として訴えぬきます。(しんぶん赤旗 東海北陸信越版 20.10.31付)

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