国会質問議事録

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外交防衛委員会

shitsumon201111.jpg・グァム移転経費の問題。民主党が野党時代にグァム移転に反対したにもかかわらず、前年度より36%増の予算となっていることを問題にした。


井上哲士君

 日本共産党の井上哲士です。

 来年度予算案に計上されています在沖海兵隊のグアム移転費用の負担についてお聞きいたします。

 このグアム移転の協定に野党時代の民主党は反対をされました。昨年の十一月二十七日に、予算案の提出前ということで、岡田大臣にこの前政権下での協定の内容を検証するのかどうかということをお尋ねをいたしますと、国民の税金が無駄に使われることのないようにしっかりと検証していきたいと、こういう答弁でありました。しかし、来年度予算案に計上されておりますこのグアム移転経費というのは四百七十九億円で、前政権時代の前年度予算に比べますと三六・五%の大幅増ということになりました。

 この経費についてどのような検証をされて、前政権下と一体どこが変わったのか、お答えいただきたいと思います。

国務大臣(岡田克也君=外務大臣)

 確かに昨年十一月二十七日の質疑において、私は、国民の税金が無駄に使われることのないようしっかり検証していきたいということを申し上げました。鳩山政権としてそういう思いの中で概算要求の見直しを行い、そして最終的な予算案を作ったところでございます。

 グアムの移転予算につきましては、実施当局である防衛省において精査をした上で、内閣として平成二十二年度予算案に適切な経費を計上したところでございます。日本側の費用負担については、今後とも毎年度その内容を精査し、国会において御審議いただく、そういうふうに考えているところでございます。

井上哲士君

 今の答弁では何がどう変わったのかよく分からないんですが。

 これは反対討論がこの場で行われたわけですが、民主党の皆さんの反対討論は、グアム移転に伴う経費総額百二・七億ドルのうち日本側が約六割を負担する理由と積算根拠を明らかにすべきであるのに、まともな説明はついぞ聞かれませんでしたと、こう述べられたわけですね。

 ですから、やっぱりこの反対理由で挙げた問題がどういうふうに解消されたのか。適切に計上されたと言われましたけれども、前政権下の下の概算がそのまま計上されているのかどうなのか、そこを具体的に明らかにしていただきたいと思います。

国務大臣(岡田克也君)

 これは、今申し上げましたように、防衛省において計上されている予算であります。防衛省において適切に作業を行ったというふうに考えております。

井上哲士君

 じゃ、防衛大臣、いかがでしょうか。

国務大臣(北澤俊美君=防衛大臣)

 外務大臣のところへ質問が行くのかと思ってしっかり聞いていなくて誠に申し訳ありませんが、できますればもう一度ちょっとお願いしたいと思います。

井上哲士君

 つまり、来年度予算に前年度よりも多くの経費が計上されたわけでありますが、その際に、国民の税金が無駄に使われることのないようにしっかりと検証していきたいという答弁があったわけですから、どういう検証が行われて、前政権と何が変わっているのかということであります。

国務大臣(北澤俊美君)

 これは、この前の国会のときにも井上委員からその積み上げの資料を出せと、こういうふうに言われまして、委員長の方へ資料を提出させていただきました。

 したがいまして、日米で合意をしたもので、まあその資料にはちょっと金額までは日米の関係で出せないでおるわけでありますけれども、その合意に基づいて二十二年度行う事業を積み重ねた上で四百何がしの予算を計上したわけでありまして、おっしゃるように、一つ一つを前政権に比べて多いじゃないかというのは、これは事業の進捗の問題であるというふうに理解しております。

井上哲士君

 要するに、前政権下で概算が既にあったと思うんですが、それから変わったのかどうかということをお聞きをしているんです。

国務大臣(北澤俊美君)

 日米で合意している事案でありますから、中身において変わってはおりません。

井上哲士君

 これは先ほど、前国会での議論もありましたけれども、結局やっぱり積算根拠をしっかり明らかにしてもらうということが必要なんですね。これは前政権下のときにも個々の事業について様々な節約に努めると繰り返し言われてきたわけでありますけれども、そもそものこの積算根拠がないとそれがされたかどうかすら分からないわけでありますし、来年度予算がどうなっているかも分からないわけです。

 前国会のやり取りの際、北澤大臣からは、この積算根拠はそんなに日にちを経ずにこういう場でお示しすることができると、おおよそ御要請に沿ったような資料を出していきたいと、こういう答弁がありまして、四か月間ずっと待ったんですが、なかなか出てまいりませんで、やっと先ほどありましたように出てまいりました。

 しかし、この資料には、施設の類型名はありますけれども、一体幾つ造るのか、それから個々の、何か所建てるのか、見積りは幾らかという数字が何にもないんですね。積算というのは数字を積み上げるものでありますから、数字のない資料というのはおよそ積算根拠とは私は言えないと思います。

 おおよそ要請に従ったような資料と言われておりますが、私が要請したのはこういう資料じゃありませんので、改めて積算資料の提示を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。

国務大臣(北澤俊美君)

 最大限努力をさせていただいたわけでありますが、米側との協議の中でこれがまだコンクリートされていない部分について、要するに変化をする可能性がある中で金額まで申し上げるわけにはいかないと、こういうことで当面この資料をお出しを申し上げたわけでありまして、努力は買っていただかなきゃならぬと思いますが、さらに米側との交渉をしながら逐次資料は出します。

 私どもは出せるものを出さないでいるという姿勢は全く取っておりませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。

井上哲士君

 ちょうど前回の審議のときに、所信のときに北澤大臣が、政権に入って初めてこれまでの政策決定過程について知った情報がたくさんあると、その反省の上にこれからはできるだけ明らかにしたいと、こういう答弁がありましたので、もっと違う資料が出てくるだろうと私は期待をしておるんですけれども、米側と積み上げてこの百二億ドルを決めたということを言ってきたわけですね。そして、まさにそれがどうその検証の中で変化をしていくのかということを国会がしっかり審議をするという上でも、私は具体的な数を出していただかなくては検証ができないと思います。改めて、いかがでしょうか。

国務大臣(北澤俊美君)

 これは御案内と思いますけれども、これから入札をし契約をしていくということでありますから、米側とすれば、それに先立って個別の、非常に細かい資料をお出し申し上げましたので、入札に予断を持たせるようなことはなかなか難しいんではないかというような要請もあって金額は載せないと、こういうことであります。

 我々とすれば、今後開示をすることのできるものは逐次この委員会には提出をしていきたいと、このように思っています。

井上哲士君

 私としては、百二億ドルの根拠になる数字の入った積算資料の提出を求めたいと思います。理事会で協議していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

委員長(田中直紀君)

 理事会にて後刻協議いたします。

井上哲士君

 今回の予算案で初めて家族住宅の整備に対して日本が行う出資者融資などに当たる日本政策金融公庫への交付金四億円が計上をされております。この問題、いろいろ議論があったわけでありますけれども、この日本の分担で整備する隊舎や家族住宅の数は、沖縄から移転する海兵隊員の定数じゃなくて実数の範囲だと、こういうことでよろしいでしょうか。

大臣政務官(楠田大蔵君)

 事実関係のことでもありますので、私からお答えをさせていただきます。

 今まで答弁もありましたように、まだまだ日本の分担する隊舎及び家族住宅の数についても、これらが必要となる具体的な時期及びその時期に必要な数などの詳細について米側と調整をした上で今後決定をしていくということになっております。あくまでも、そういう中でも在沖米海兵隊の沖縄からグアムへの移転に伴って必要な施設、インフラの整備を行うものという考えにはもちろん基づいて、定員数としての八千名の海兵隊員の移転を前提としつつ協議を通じて具体化を図ってまいりたいというのが現時点でのお答えであります。

井上哲士君

 現に沖縄にいない隊員のものまでどうして造る必要があるのかということがずっと議論になってきたわけでありますが、今の答弁は前政権下と何も変わるものではありませんでした。

 そこで、日本が負担して建設するアメリカ軍の家族住宅というのは、大体一軒七千万から八千万ぐらい掛かるという計算になるわけですね。これは、民主党議員からも、なぜこういう豪華住宅が必要なのかという質問も繰り返しあったわけであります。

 お手元に資料を配付いたしました。これは実は前政権下の予算審議のときにいったん使った資料なんですが、アメリカの国防総省は統一施設基準というのを持っておりまして、これによりますと、家族住宅というのは非常に豪華なものでありまして、階級ごとに広さが決まっております。二等兵、二等軍曹でも百二十五平米、准将クラスになりますと三百九平米、ほぼ百坪住宅ということになるわけですね。これだけじゃありませんで、住宅関連施設についても規定がありまして、テニスコートは住宅百五十戸に一つ、バスケットボールコートは百戸に一つ等々規定があります。

 日本国民の税金の使い方として到底理解が得られないと思いますが、この規定どおりの住宅を建設するということなんでしょうか。

大臣政務官(楠田大蔵君)

 この点も正式には現時点では決まっていないところでありますが、委員御指摘のとおり、統一的な米軍の基準であるUFC基準、これを踏まえて日米間の協議を通じ十分に精査することが必要だと考えております。そうした今過程の段階でありますので、先ほど申された点が具体的に建設されるかどうかまでは今の時点ではお答えができないというところであります。

井上哲士君

 アメリカ議会は、国防予算を定めた二〇一〇年会計年度国防権限法の中で、このグアム移転に関して、移転のために日本政府が資金提供をするあらゆるプロジェクトに関して国防総省の統一施設基準を最低限の基準とすることを要求すると、こういうことをこの法律で定めておりますが、今、踏まえつつとおっしゃいましたけれども、これを最低基準とすることなく、日本独自に節減するものはするという態度で臨まれるということでよろしいんでしょうか。

大臣政務官(楠田大蔵君)

 委員の御指摘ももちろんごもっともな点がありますので、我々としてはその節約に努めていくのは当然でありますが、あくまでこの点については二十八億ドルの上限というものを最低限我々は決めておるわけでありますから、この上限の中で今後協議をしていくということであります。

井上哲士君

 これは真水じゃありませんので、二十八億ドルと関係ありませんが、提出されたこの資料でいいますと、日本の真水資金で建てる施設に屋内フィットネスやプールも挙げられておりますが、こういう娯楽施設については日本の真水負担には含まないというはずだったと思うんですけれども、いかがでしょうか。

副大臣(榛葉賀津也君)

 今御指摘のあったプール等は、これは訓練施設というような位置付けになっているので、そのような結果になっております。

井上哲士君

 これは訓練施設とは到底思わないんですが、屋内フィットネス施設というのもあるわけですね。

 この間の審議の際に榛葉副大臣の答弁は、娯楽性又は収益性の高い施設については新規採択を控えるという基本的ルールがあると、こう言われました。このいただいた資料によりますと、娯楽性を有する施設で収益を生む施設は含まれないと、こうなっておりまして、この間の答弁は又はだったんですよ。この資料はかつになっているんですね。随分範囲が変わってくると思うんですけれども......

委員長(田中直紀君)

 短くお願いします。

井上哲士君

 この点最後お聞きして、いかがでしょうか。

副大臣(榛葉賀津也君)

 先生にお渡ししてある一覧表に書いてあるもののとおりでございます。

委員長(田中直紀君)

 時間です。

井上哲士君

 引き続き質問します。

 以上です。

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