国会質問議事録

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国家安全保障に関する特別委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 本法案で大きな問題になっているのが特定秘密を取り扱う者への適性調査であります。そこで、現在自衛隊で行われている秘密を扱う隊員に対しての秘密取扱適格性確認制度についてお聞きいたします。
 まず、防衛大臣、これはどういう制度なんでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省におきましては、政府としての方針でありますカウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針を踏まえ、秘密取扱者適格性確認制度について必要な事項を定め、実行しております。

○井上哲士君 中身がさっぱり分かりませんが。
 この秘密取扱適格性確認制度で、対象者に身上明細書というのを提出をさせております。陸上と海上自衛隊のそれぞれのものが我が党の赤嶺衆議院議員のところに内部告発で寄せられまして、これを基に衆議院で質疑をいたしました。この度、航空自衛隊の身上明細書についても寄せられまして、その中には、資料は空自のものです、現役自衛官なので個人情報は出せません、御容赦くださいと、こういうメモも入っておりました。この陸海と空自を比較しますと、基本的な同じ中身ですので、この三つの告発が真実のものだと一層確かなものになりました。
 この身上明細書を見ますと、十九項目にわたって個人情報を記入する欄があります。本人だけではなくて、家族や親族、同居人、友人、外国人交友者の名前や住所、職業、勤務先などを詳細に書き込むようになっております。また、薬物や精神面、アルコールなどを原因とする治療又はカウンセリングの有無、それから負債なども項目が並んでおります。さらに、所属団体については、政治、経済、宗教等の団体を過去に遡って記入をするということになっておりまして、思想、信条など洗いざらいのプライバシーを調査をするものになっております。
 防衛大臣、明らかにこれは人権侵害に当たるのではないでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 今委員が御指摘の、あるいは赤嶺委員が御指摘、過去されました身上明細書としている文書は、防衛省として対外的に明らかにした文書ではないことから、その真贋を含め、当該文書についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 昨日の新聞報道で、関東地方の駐屯地に勤める五十代の佐官が登場しております。出すか否かは自由というが、出さないと資格がもらえず、出世や配転に響くという声を寄せて、外国人妻がいる同僚や宗教団体に入っている部下が不適性とされる事例を幾つも見てきたと、こういうふうに述べておられます。
 陸海空それぞれから私どものところに寄せられたというのは、今でもこれだけの問題があるのに、このまま新しい法律になったらどうなるかという危機感から出されているんですね。あるいは、衆議院でも聞きました、もう報道もされているわけですから、きちんと答えていただきたいと思うんです。
 この、新しい内部告発の中には、身上明細書及びその記入要領とともに、適格性の確認にかかわる関係書類の作成等についてという制度の対象者に向けた書類作成の手順を述べた文書も付いておりました。それによりますと、まず、適格性有効期限の十二か月前ぐらいから作成準備期に入って、身上明細書を日付、押印なしに鉛筆書きをして、戸籍謄本などを役所から取り寄せることとしておりますけれども、なぜこの有効期限の一年も前からこういう準備を始める必要があるんでしょうか、お答えください。

○国務大臣(小野寺五典君) 委員が御指摘されております身上明細書としている文書は、防衛省として対外的に明らかにした文書ではないことから、その真贋も含め、当該文書についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 手順について聞いているんですよ。一年前から調査の準備を始めるということになっているんじゃないんですか。

○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘の身上明細書としている文書は、防衛省として対外的に明らかにした文書ではないことから、その真贋も含め、当該文書についてお答えすることは差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 今から秘密だらけで、一体新しい制度になったらどうなるのかと、本当に国民の危惧があるわけですね。何で一年も前から準備をする必要があるのかと。
 その次の手順が、情報保全隊による事前点検時と、こうなっているんですね。つまり、情報保全隊が事前点検をする。鉛筆書きの身上明細書の写しや配偶者が外国人の隊員の場合の外国人登録証の写しなど、関係書類を提出をするとしておりますけれども、情報保全隊というのはどういう事前点検をするんでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 御指摘の点については、防衛省における秘密取扱者適格性確認制度の具体的運用にかかわる事項であり、これを明らかにすることにより、他国情報機関等から対抗・妨害措置を講じられ、防衛省の情報保全に支障が生じるおそれ、ひいては国の安全が害されるおそれがあるため、お答えを差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 さっぱり分からないですね。これで何もかにも全部秘密にしているんですよ。
 今日、じゃ、参考人にも来ていただいていますから聞きますが、二〇〇九年七月二十九日の防衛省訓令を見ますと、カウンターインテリジェンスに資する情報に係る隊務を行うという旨が指摘をされております。
 情報保全隊がこの秘密取扱適格性確認制度にかかわるというのは、これは間違いないということでよろしいですね。

○政府参考人(徳地秀士君) お答え申し上げます。
 まず、情報保全隊についてでございますけれども、我が国の平和と独立を守り、国の安全を確保するという自衛隊の任務を適切かつ円滑に遂行するためには、隊員が特定の個人や団体の影響を受けて規律違反等を行ったりすることがないよう未然に防止する必要がございます。このような観点から、情報保全隊では、外部からの働きかけ等に対しまして部隊や隊員等を保全するために必要な資料、情報の収集、整理を行うことを任務としているものでございます。

○井上哲士君 つまり、秘密取扱適格性確認制度にかかわっているということで確認してよろしいですね。

○政府参考人(徳地秀士君) 繰り返しの答弁になって恐縮でございますけれども、情報保全隊におきましては、外部からの働きかけ等に対しまして部隊、隊員を保全するために必要な資料、情報の整理、収集を行うということを任務としているものでございまして、それ以上の事柄につきましては、事柄の性質上、お答えを差し控えさせていただきたいと考えております。

○井上哲士君 訓令に、「カウンターインテリジェンスに資する情報に係る隊務」と書いてあるんですよ。そういうことも答えられないのかと。
 そして、実は民主党政権の時代に、この情報保全隊が自衛隊OBの佐藤正久参議院議員の講演に潜入をして、現役自衛官が参加しているかどうか監視していたということが大問題になりました。当時、佐藤議員は質問主意書を出されておりますが、それは、憲法に保障されている思想、良心の自由を侵害するものだと、こういうふうに指摘されているんですね。私は、身上明細書をチェックをして情報保全隊が身辺調査をするということは、まさに思想の自由の侵害になると、こういうことだと思いますよ。
 もう一個聞きましょう。この事前点検の終了時に、次の手順が、申請に伴う防衛部情報班への提出となっております。身上明細書をこの段階でボールペン書きにして、本人署名の年月日を記入、押印して防衛部情報班に提出をするとしておりまして、さらに、誓約書についてもこの時点で日付を記入して提出をするとしております。この秘密取扱適格性確認制度で誓約書を提出するということは、情報公開でいただいております、真っ黒塗りでしたけれども。
 改めて確認しますけれども、誓約書を提出するということについては間違いないですね、衆議院でも言っていましたから。ちゃんと答えてください。

○国務大臣(小野寺五典君) 情報公開請求により誓約書については出しておりますが、中身については公表させていただいておらないということであります。

○井上哲士君 誓約書を出すということであります。その誓約書の中身についても今回改めてありました。
 この文書を自筆で書き写してそこにサインをしろというものでありますが、その中を見ますと、誓約書の中で、情報保全部署から求めがある場合には、携帯電話通話記録と自己に関する個人情報を提出するほか、保全事故が発生した場合に行われる調査や捜査に対しても、ポリグラフ検査の受検を始めとした必要な協力を行うことを併せて誓いますと、こういう誓約書ということだと思うんですが、携帯電話の通話記録なども提出させることになっているんじゃありませんか。

○国務大臣(小野寺五典君) 誓約書の中身については非公表ということになっておりますので、今委員が御指摘の内容について、真贋も含めてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 なぜ答えないんですか。問題がないと思ったら開けたらいいじゃないですか。なぜ携帯電話の通話記録やポリグラフ検査のことを明らかにするのが外国からのいろんな影響になるんですか。ちゃんと説明してください。

○国務大臣(小野寺五典君) 誓約書については情報公開請求により提出をさせていただきましたが、中身については非公表とさせていただいております。委員が御指摘の内容につきましては、真贋も含めてお答えを差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 あなた方は、外国並みの情報保全制度をつくると盛んに言われていますね。アメリカでは、こういう法令に基づくクリアランスのひな形、日本でいう身上明細書などのひな形は全部公開されています。ネットでこれ全部出ていますよ。全部、何もかも出ていますよ。
 アメリカと同じ制度をつくると言いながら、何で日本は出せないんですか。防衛大臣、答えてください。

○国務大臣(小野寺五典君) 御質問の点については、防衛省における秘密取扱者適格性確認制度の具体的運用にかかわる事項であり、これらを明らかにすることにより、他国情報機関等から対抗・妨害措置が講じられ、防衛省の情報保全に支障が生じるおそれ、ひいては国の安全が害されるおそれがあるため、お答えを差し控えさせていただきます。

○井上哲士君 じゃ、何でアメリカは全部出しているんですか。あなた方は言っているじゃないですか、外国並みの情報保全制度だと。
 これは全ての省庁にわたったものがアメリカは出ておりますけれども、森大臣にお聞きしますけれども、全ての省庁でこういうやり方が行われているはずでありますが、是非これはアメリカ並みに、諸外国並みに公開をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○国務大臣(森まさこ君) 本法における適性評価の項目については条文に記載された事項に限られますし、その内容については有識者会議でしっかりと基準を決めて公表をしてまいりたいと思います。

○井上哲士君 私、聞いていますのは、現在行われている制度について明らかにするべきだということを申し上げました。
 今のこの秘密取扱いの適格性の確認制度が一体どうなっているのか、その中で果たして人権侵害がないのか等々を明らかにしてただすことなしに、新しい制度、新しい法律なんてとんでもない話なんですよ。
 この身上明細書や出されている誓約書など、当委員会に資料として提出することを求めたいと思いますが、委員長、よろしくお願いします。

○委員長(中川雅治君) 後刻理事会で協議いたします。

○井上哲士君 必ず出していただきますように強く求めまして、質問を終わります。

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