国会質問議事録

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外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。  まず、京都府京丹後市の経ケ岬への米軍Xバンドレーダーの建設についてお聞きいたします。  基地建設による影響に住民の不安が広がっておりますが、一方で強引に進められております。この間、京丹後の市議会で副市長が、防衛省のボーリング調査の結果、地質が悪いと評価をされ、工事期間が長くなるだろうという情報まで聞いている旨の発言をされておりますが、実際このボーリング調査の結果はどういうことだったんでしょうか、明らかにしていただきたいと思います。

○政府参考人(防衛省防衛政策局次長 真部朗君) お答え申し上げます。  今議員御指摘のボーリング調査につきましては、米軍が、昨年八月から九月にかけまして、米軍の施設候補地の敷地内におきまして、米軍施設機材の詳細な配置等を決定するために実施したものというふうに承知をいたしております。同調査の結果につきましては、特段今御指摘のように地盤等に問題があったというふうには聞いておりません。それで、現在、米側においてこういったボーリング調査の結果を踏まえて米軍施設の詳細な配置の検討を行っているところというふうに承知をいたしております。

○井上哲士君 米軍の調査ということでありますが、是非住民に対して中身をきちっと公表させていただきたいと思うんですね。  こういう不安が広がる中で、二月から防衛省による騒音や電波の調査が行われておりますが、この調査で基地設置による環境への影響をあらかじめ予測することができると、そういう中身なんでしょうか。

○政府参考人(防衛省地方協力局局長 山内正和君) お答え申し上げます。  防衛省におきましては、地元自治体からの要望も踏まえ、TPY2レーダー配備に伴います周辺環境への影響を比較検証するために、周辺地域への騒音調査、海上における電波の影響調査、海への排水による影響を図るための水質調査などをレーダーの設置前後に実施し、比較検証をすることといたしております。  具体的には、周辺地域への騒音調査につきましては、騒音計を用いて陸上三か所において二十四時間騒音を計測するものであり、まず、レーダー設置前の現状を確認するため、本年二月二十五日から二十六日にかけて調査を行ったところでございます。また、海上におきます電波の影響調査については、計測器を用いてレーダー設置予定前面海域などにおいて電波強度を計測するものであり、また、海水への排水による影響を図るための調査としては、米軍基地の前面海域の水質調査などを行うこととしております。  これによりまして、言わばレーダーの設置の前後におきます影響というものが把握できるというふうに考えておるところでございます。

○井上哲士君 つまり、レーダー設置の前と後の数字を取ってどういう変化があるかということを比較できるようにするものであって、こういう変化があるという予測はするものではないということで確認してよろしいですね。

○政府参考人(山内正和君) お答え申し上げます。  私どもで実施しております調査は、地元自治体からの要望を踏まえまして、設置前、設置後の状況について把握するということで実施させていただくものでございます。

○井上哲士君 およそ住民の皆さんの不安に応える予測調査でないということは明らかになりました。  それで、米軍は、在日米軍の施設について、JEGS、日本環境管理基準を適用するということにしております。私、この問題で質問主意書を出したときの答弁では、この日本環境管理基準について、「在日米軍が作成し、運用しているものであることから、お尋ねについては、政府としてお答えする立場にない」としつつ、「政府としては、米側が環境保護及び安全への取組を適切に実施するよう働きかけてまいりたい。」というのが答弁書でありました。  この日本環境管理基準による調査をどのように米側に働きかけてきたのか、そしていつ実施されることになっているのか。いかがでしょうか。

○政府参考人(真部朗君) お答えいたします。  今、JEGSにつきましてはその政府の答弁書どおりでございますが、私ども防衛省といたしましては、米国に対しまして、地元からの様々な環境に関する御要望あるいは御懸念、そういったものをきちんと聞き取りをさせていただきまして、それについて、TPY2レーダーの配備に当たって、そういったことを様々踏まえて米側がそのレーダー配備等を行っていくようにと、そういうふうに申入れを様々な機会にいたしておるところでございまして、今後ともそれは続けていきたいと思っております。  これまでのところ、米側からもその点については基本的な理解を得ているものというふうに認識いたしております。

○井上哲士君 JEGSについては答えられないというのは私はおかしいと思うんですね。  この間の所信質疑の際に、私、地位協定の環境補足協定について質問いたしました。その際に、日米の共同発表で、在日米軍は日本環境管理基準、JEGSを適用するとこの共同発表に明記しているわけですね。岸田外務大臣は、私がこの文書に米側の責任が何も書いていないと質問しますと、JEGSを適用することになっているという答弁をされました。つまり、米側の責任だという認識を持っているはずなんですよ。そうであるならば、これちゃんとやらせていただきたいと思うんですね。きちんとこの日本環境管理基準による調査を行って公開しなさいということを当然米側に求めるべきじゃないですか。それなしに着工はないということを明言していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○政府参考人(真部朗君) 繰り返しになって恐縮ですが、JEGSそのものは米軍が自らの基準としてそれを実施するということにされておるところでございまして、私どもとしては、それは期待すべきだと思いますけれど、他方、いずれにいたしましても、私ども、TPY2レーダーの配備に当たりまして、地元からの環境に関する御要望等をきちんと実現できるように米側との関係で必要な交渉等をしてまいりたいというふうに思っているところでございます。

○井上哲士君 経ケ岬は日本の国土なんですよ。そこに造られるんですよ。だから住民の皆さんはちゃんとやってくれと言っているんですよ。そして、岸田外務大臣も、この間はこれはやることになっていると言われたわけですね。だからやれと言っているんですよ。何でできないんですか。  防衛大臣、お聞きしますけど、このXバンドレーダーに関するアメリカの二〇一四会計年度の予算書を見ますと、この京丹後の基地について千五百万ドルの予算を付けております。この予算書の中で、大統領令一二一四四号、つまり海外におけるアメリカの行動の環境についての大統領令ありますが、これで定められる連邦政府の主要な行動に関する域外影響調査の全ての要件は工事開始前に完了すると、これ米側の予算書に書いてあるんですから、これはもうJEGSの影響なしに私は工事開始はあり得ないと思います。  この点、はっきりと明言をしていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) 京都府知事、そしてまた京丹後市長ともお会いをし、この問題についての地元の御意見ということを賜り、防衛省としては地元の御理解が得られるよう今後とも努力をしていきたいと思っております。  今委員のお話がありました日本環境管理基準のことについてでありますが、繰り返しになりますが、防衛省としては、米国に対して、日米間の様々な協議ややり取りの中でTPY2レーダー配備に当たって周辺環境や住民への安全に十分配慮するように申し入れており、米国からも理解を得ているものと認識をしております。

○井上哲士君 それでは住民の皆さんの不安は解消されません。  そもそも、このXバンドレーダーはアメリカのミサイル防衛計画の一環であって、アメリカが防衛の盾を持つことによって反撃のおそれなく先制攻撃も可能になるというものでありまして、北東アジアの緊張を激化させるものにほかなりません。平和的、外交的努力こそ必要であって、この計画は中止すべきだということを改めて強く申し上げたいと思います。  続いて、防衛調達についてお聞きをいたします。  九八年の調本事件や〇八年の山田洋行の事件など、様々な重大問題が発生をしてきました。防衛産業から防衛省への水増し請求は約千二百八十三億円にも及んでおります。その温床の一つが随意契約でした。二〇〇六年に公共調達適正化に関する財務省通達が出されて、防衛省でも一般競争入札を広く導入をいたしました。  ところが、この一般競争入札の下でも官製談合事件が相次いでおります。まず、陸上自衛隊の次期多用途ヘリコプター、UHXの納入をめぐる官製談合事件について、その概要について述べていただきたいと思います。

○政府参考人(防衛省審議官 吉田正一君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘のございました事案は、平成二十三年度から行っていた陸上自衛隊新多用途ヘリコプター、UHXと呼んでございますが、この開発事業の企業選定におきまして、川崎重工業が選ばれるよう、技術研究本部に在籍していた職員数名が競合他社では実現困難と見込まれる内容を仕様書等に盛り込む作業を行い、競合他社が作成した文書の写しを川崎重工業に渡すなど違法な行為を行っていたものでございます。  二十四年九月、防衛省は東京地方検察庁に刑事告発し、同年十二月、東京簡易裁判所から幹部自衛官二名に官製談合防止法違反の罪で略式命令が科されたものでございます。

○井上哲士君 二〇一〇年には航空自衛隊が発注する事務用品をめぐっての官製談合事件がありました。これは随契のときと同じような、メーカー各社のシェアを競争入札になっても維持をするという典型的な官製談合が行われました。  この川重の問題は、今答弁にもありましたけれども、ヘリ開発事業で初めて採用された企画競争入札方式を悪用したものなんですね。これは、防衛省が要求性能などを示して公募し、企業が性能や価格などを提出し、それを公募前に定めた基準書に基づいて採点をするという形で行うものでありました。  今答弁ありましたように、富士重工と争っていた川崎重工が有利になるように、あらかじめ防衛省の職員がこの基準などを富士重工がクリアできないような中身にしようじゃないかと。私ども、公募前に防衛省と川重、そしてエンジンを担当する三菱重工が秘密会合を行ったその議事録を赤旗新聞が入手いたしましたけれども、その中で、防衛省側の方から富士重工が企画競争に対応できないようなアイデアを出しなさいということを川重に求めていたと。もう驚くべき肩入れをした事件でありますが、絶対あってはならないことが起きたわけであります。  これ再発防止の取組はどうなっているんでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 委員が御指摘されましたように、決してあってはならないことだと私どもも思っております。  本事案において不正が行われた動機、背景を踏まえまして、防衛省では昨年七月に、事業者との接触を適正化をするということ、それからIPT、プロジェクトマネジャーを採用し、プロジェクトマネジャー制度によりまして一元的な事業管理を行うということ、それから仕様書等の作成においての適正性の確保を行うということ、技本、技術本部の、技本内の業務プロセスの改善、それから指名停止措置要領への反映、このような再発防止策を取りまとめまして、これまでに関連規則の制定やプロジェクト管理グループの設置等の措置を行ってまいりました。

○井上哲士君 不正の温床とされてきた随意契約から一般競争入札に転換をしたわけですが、結局実態は随契と何も変わらないようなことが行われてきたと。不正はなくならずに官製談合が横行したわけですね。私は、やはりこれは癒着体質まで踏み込んだ改革こそが求められていると思います。  ところが、逆に、去年の十月に防衛省は随意契約の見直しを行っておりますが、これはどういう内容でしょうか。

○政府参考人(吉田正一君) お答え申し上げます。  今先生から御指摘ありましたように、防衛省では、十八年八月の財務大臣通知、公共調達の適正化に基づきまして、透明性、公平性を確保するとの観点から、防衛装備品の調達におきましても安易に随意契約を行わず、一般競争入札や公募など競争性のある契約方式に移行することとしたところでございます。しかしながら、例えば一〇式戦車のようにおよそ競争性が期待できないような分野においては、結果的にその多くが一社応募又は一社応札となるなど、手続が事実上形骸化することになりました。  このような状況を踏まえ、平成二十五年十月以降、航空機製造事業の許可やライセンス生産など、法令等の制約や事業の性格からおよそ競争性が期待できない装備品等の調達につきまして、新規参入が可能である旨を常続的に公示することを条件に随意契約の対象として類型化を行ったところでございます。

○井上哲士君 〇六年の財務省通達を受けて、真に必要なものは引き続き随意契約とするとしたはずなんですね。ところが、今回のこの見直しで随意契約が大幅に増やすということでありますから、私は逆行ではないかと思うんですね。  公正取引委員会は、一九九九年以来四回にわたって防衛省に対して入札改善要求や要請を出しております。こんな役所はほかにないんですよ。二〇一〇年のときの要請文書には、公正取引委員会は、これまでも防衛省に対し、同省の職員が行ってきた入札業務に関する問題点を指摘し、再発防止を講じるように繰り返し求めるなどしてきたと述べておりますが、にもかかわらず官製談合が発覚をして、そして一方で随契をまた逆に増やすと。私は、これは本当に公取の指摘をどう受け止めているのかが問われると思います。  防衛調達で一番求められていることは、やっぱり癒着体質の改善だと思うんですね。防衛省から川崎重工には二〇〇二年から一一年までに五十二人が天下りをしております。しかも、制服組の最高幹部である将官はほぼ毎年のように天下りをしておりまして、ある元陸将は、天下りの理由が各種ヘリコプターの改善に関する指導、助言となっているわけですね。私は、こういうことがやっぱり問題の温床になってきたと。  この一二年以降の川崎重工への防衛省からの天下りについて、年ごとにどうなっているでしょうか。

○政府参考人(防衛省人事教育局局長 豊田硬君) 二〇一二年以降、四名の隊員が、自衛隊法第六十二条等の規定に基づきまして防衛大臣等の承認を得て川崎重工業に再就職しております。暦年、暦の年では、二〇一二年に三名、二〇一三年はゼロ名、二〇一四年は一名となっております。なお、これらは全て自衛隊法第六十二条第三項の規定に基づきまして委任を受けた所属長による承認となっております。  以上でございます。

○井上哲士君 〇二年から一一年まで五十二人ですから、数は減っております。  しかし、例えば二〇〇六年に三菱電機が半年間指名停止になったときに、その間は天下りなかったんですね。ところが、その翌年には、天下りなくて年間六人でした。ところが、その翌年には十六人になって、十年間で一番多かったんですよ。ですから、ほとぼりが冷めたらまた増やしてつじつまを合わせるということが過去行われてきたんです。これだからこそ私は問題は解決できないと思うんですね。  防衛大臣、こういう翌年また増やしてつじつま合わすと、こんなことは絶対あり得ないということを明言をしていただきたいと思います。

○国務大臣(小野寺五典君) 防衛省としましては、自衛隊員の営利企業への再就職の承認に当たりましては、自衛隊法第六十二条等の規定に基づき審査をしております。自衛隊員の契約企業への再就職に関わる審査に当たっては、公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合であることを承認の要件の一つとしております。防衛省との関係で何らかの不祥事を起こした企業への再就職については、公務の公正性の確保に支障が生じると認められることから、事案に対する改善がなされるまでの間は当該企業に対する再就職の承認を防衛省として行うことはありません。

○井上哲士君 その間はと言われましたけれども、結局、翌年増やしてつじつま合わすようなことでは結局問題は解決をいたしません。私、やっぱり天下りと一体の癒着体質を変えない限り、幾ら制度や組織をいじってもなくならないと思います。  今、一方で、防衛産業の要望にも応えて武器輸出三原則を撤廃をして武器輸出の拡大を進めると。防衛費を二年連続増やして、そして契約については随意契約を中心にまた増やすことに逆戻りをすると。これではまた重大な事件を繰り返すことになると。防衛産業との癒着体質をきっぱり断つということを強く求めまして、質問を終わります。

 

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