国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2014年・186通常国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。法案では、我が国周辺の安全保障環境が厳しさを増しているとして部隊改編を盛り込んでおります。その一つである航空戦術教導団を新編する理由は何なのか。そして、一月三日の産経新聞は、この教導団について、戦闘機と地対空誘導弾の戦闘技術を高める教導隊を集約し、北朝鮮の弾道ミサイル発射基地を念頭に敵基地攻撃能力の研究に着手すると、こういう報道をされておりますが、こういう研究をこの教導団で行うということなんでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 小野寺五典君) 新中期防においては、「我が国の防空能力の相対的低下を回避し、航空優勢を確実に維持できるよう、高度な戦術技量の一層効果的な向上のため、訓練支援機能を有する部隊を統合する。」とされております。これを受けまして、航空自衛隊において、航空総隊直轄の飛行教導隊、高射教導隊、基地警備教導隊等の訓練、演習を支援する部隊並びに電子戦関連部隊を統合し、各部隊の所在地はそのままに航空戦術教導団を新編することとしております。これにより、F15やペトリオットといった機能の異なる複数部隊を組織横断的に用いた部隊の運用方法である戦術等を継続的に調査研究するとともに、電子戦機能を含め各種機能を連携させた教導訓練により部隊運用能力を向上させ、各種事態により実効的に対処できることを目指すものであります。御指摘にありますような、報道されましたような敵基地攻撃の研究を念頭に置いた部隊ではございません。

○井上哲士君 軍事に軍事で対抗することは、周辺諸国との緊張を高め、東アジアの平和的環境づくりに逆行するものになるということを私ども指摘をしてまいりました。関連して、無人機の問題を聞きますが、中期防では、新たに自衛隊として滞空型無人機の導入を盛り込んでおります。今年度予算には調査費として二億円が計上されましたけれども、これは主にはアメリカに委託して情報収集をするという費用ということでよろしいでしょうか。

○政府参考人(防衛省 防衛政策局 局長 徳地秀士君) お答え申し上げます。新しい中期防衛力整備計画におきましては、周辺海空域における安全を確保するとともに、情報機能を強化するために、滞空型無人機三機、これを新たに導入をすることとしておるところでございます。二十六年度予算におきましては、この導入に向けた検討を更に深化、加速させる必要がありますことから、アメリカ政府と情報取得のための役務契約を締結をいたしまして、一般的には入手困難な滞空型無人機の性能などに係る情報収集あるいは導入後の運用要領などに係る検討を実施するための経費として約二億円を計上しておるところでございまして、防衛省におきましては、平成二十七年度から滞空型無人機の取得に係る経費を計上するということを目指しまして、現在、その前提となる機種選定を行うために必要な作業など、滞空型無人機の導入に向けた検討を進めておるという段階でございます。

○井上哲士君 基本的には米国政府に依頼しての情報収集ということでありますから、グローバルホークの導入が念頭に置かれているということだろうと思います。いずれにしましても、仮に導入した場合に、操縦はこれは日本国内で行うのか。また、米国のグローバルホークの場合は衛星を使っているわけですけれども、日本はどうするんでしょうか。アメリカと衛星を共有するということもあり得るんでしょうか。

○政府参考人(徳地秀士君) 先ほど申し上げたとおり、防衛省といたしましては、現在、滞空型無人機、これにつきましては導入に向けた検討を行っておるところでございますので、特定の機種、これにするということをまだ決めたわけでもございません。そして、いずれの機種が選定されるにいたしましても、こうした滞空型の無人機でございますので衛星通信というものが非常に重要な要素であると、このことは恐らくどの機種にとっても事実だろうというふうには思っておりますけれども、ではその衛星回線をどのように確保するかというようなことにつきましては、これは今後の検討にもよりますので、具体的なことは現在申し上げられるところではないわけでございます。それから、これは自衛隊が我が国の安全確保のために情報機能を強化するということでございますので、日本国内において操縦するということが大原則であるというふうに考えておるところでございます。

○井上哲士君 既に三沢基地に米軍のグローバルホークが配備をされているわけでありますが、自衛隊が保有をしたという場合には、この偵察活動について米軍との分担を行うということになっていくんでしょうか。

○政府参考人(徳地秀士君) お答えを申し上げます。アメリカのグローバルホークの三沢への一時展開につきましては、これはアジア太平洋地域における米軍の抑止力の維持向上につながり、我が国の安全保障それから地域の安定にも寄与する、日米両国にとって極めて重要な取組であると考えておるところでございます。それから、また一般的な話でございますけれども、これまでもこの地域における警戒監視活動などにつきまして日米間の協力を深めるために様々なレベルにおいて議論をしてきておるところでございまして、日米間のいわゆる2プラス2の共同発表などにおきましても、日本とアメリカとの間で共同の警戒監視活動などの進展といったものについては検討を進めていくということとしておるところでございます。それから、自衛隊の滞空型無人機、これにつきましては、先ほど来申し上げておるように、特定の機種というものが決まったわけではありませんけれども、情報収集、警戒監視といった分野につきましては、先ほど来申し上げておるとおり、日米間の協力というものは大変重要なことであるというふうに考えておりますので、こうした情報収集、警戒監視活動につきましても、アメリカとの協力関係といったようなことをこれから具体的に検討をしていく必要があるんだろうと考えておる、そういう段階でございます。

○井上哲士君 この分野でも米軍との一体化がより進展をするという方向が今出されたわけであります。一層地域の緊張を激化させるものにほかならないということを指摘したいと思います。続いて、集団的自衛権についてお聞きしますが、二十九日の当委員会で総理は、集団的自衛権行使の容認について、年末までの日米ガイドラインの改定に間に合わせたいという意向を示されました。政府は、仮にこの行使容認の憲法解釈へと憲法解釈を変えた場合には、ガイドラインにはどのような内容が盛り込まれることになるとお考えでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) ガイドラインの見直しにつきましては、厳しさを増す安全保障環境において、自衛隊、米軍の役割分担を見直し、更なる連携強化を図ることにより日米同盟の抑止力及び対処力を強化していくことが必要という考えの下で、本年末までに見直し作業を完了させるということが昨年の2プラス2合意で確認をされました。日米当局におきまして作業を進めているところであります。また、先般の日米首脳会談におきましても、本年末までにガイドラインの見直しをするということが両国間で確認をされたということであります。一方、集団的自衛権等につきましては、現在与党協議が進められているところでありまして、その結果に基づき政府としての対応を検討していくこととなりますので、現時点でお尋ねについて予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思いますが、いずれにしても、今後新しい観点に立って安全保障政策を構築することが可能となれば、それを踏まえてガイドラインの見直し作業に反映をさせていくことになると考えております。

○井上哲士君 この間、日米首脳会談も行われておりますし、先日は総理が米の海軍制服組のトップのグリナート米海軍の作戦部長と面談をしております。こういうような場を通じて、米国側からはこの日本の集団的自衛権行使容認とガイドライン見直しの関係についてはどのような求めがされているんでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) 先日、五月二十七日ですが、安倍総理がグリナート米海軍作戦部長の表敬を受けた際には、総理より、我が国が積極的平和主義の立場から集団的自衛権等と憲法との関係に係る検討を含む様々な取組を推進していることを説明し、地域と世界の平和と安定にこれまで以上に貢献する旨述べられたと承知をしております。これに対し、グリナート作戦部長から、北東アジアにおける安全保障の鍵である強固な同盟国との間でより効果的な運用上の協力を行う観点からも、日本における集団的自衛権の行使に係る憲法解釈の見直しの議論を歓迎し、支持する旨述べられたとの報告を受けております。また、日米防衛協力のための指針、ガイドラインの見直しに関しては、双方は引き続き年末までのガイドライン見直し等を通じ、日米同盟の抑止力、対処力の強化に努めることで一致したということは承知をしております。

○井上哲士君 今、グリナート部長と総理との会談の中身が御紹介ありました。ただ、このグリナート氏は、それに先立つ五月の十九日にワシントンで行った講演ではもっとストレートに述べております。集団的自衛権の容認は海上自衛隊を空母打撃群やミサイル防衛パトロールに統合することが可能になり、自衛も含めた任務のほとんどの局面で実際に一つの部隊として共に作戦を行うことが可能になると、こういうふうにワシントンで述べておりますが、このように、米国からは集団的自衛権行使によって自衛隊が統合されて米軍と一つの部隊になって行動すると、こういうことを強く求められているというのが実際ではないでしょうか。

○国務大臣(小野寺五典君) そのような報道について私はつまびらかに承知をしておりませんし、その場面にもいたわけではありませんが、少なくても、例えばヘーゲル国防長官と私どもの会談の中では、あくまでも今の議論というのは日本国内で日本が行うことでありまして、そのような議論をされていることについては、これは歓迎する、支持するというような発言はありますが、決して米側から求められているわけではなく、これは私ども、安全保障の中で何が重要かということを真摯な議論が今行われているというふうに承知をしております。

○井上哲士君 米海軍の制服組トップがワシントンでしゃべった中身でありまして、私はアメリカ側の思い、狙いというのを非常に明確に示しているんだろうと思います。アメリカと一体となって海外で武力行使をしていくという道、私は、その方向が、今、安保法制懇報告を受けて行われている与党協議でも非常に浮き彫りになってきていると思います。今週、武力行使の一体化に関する新しい四条件が政府から提示をされております。現に戦闘行為を行っている他国部隊への支援、戦闘行為に直接使用する物品役務の提供、三つ目、他国部隊の戦闘現場での支援、四つ目、戦闘行為の密接な関係と。この四条件全てに当てはまる場合以外は戦闘地域での支援がオーケーだと、こういうことが提起をされたわけでありますが、なぜ、これまでの四条件を変える、その必要があるんでしょうか。

○政府参考人(内閣審議官 武藤義哉君) 安全保障環境が大きく変化をする中、国際協調主義に基づく積極的平和主義の立場から、例えば、国際の平和及び安全が脅かされ、国際社会が一致団結して対応するときに、自衛隊が幅広い後方支援活動等で十分に貢献できるような法整備をすることが必要でございます。また、後方支援活動等を今まで以上に支障なくできるようにすることは、我が国の安全の確保の観点からも極めて重要でございます。これまで、我が国による後方支援に際しては、我が国による後方支援が他国の軍隊の武力の行使と一体化することがないことを制度的に担保するための一つの仕組みとして、個別の法律において、自衛隊の活動地域は非戦闘地域あるいは後方地域に限るといった仕組みを採用してまいりました。政府といたしましては、武力の行使との一体化の考え方をもはや取らないとする安保法制懇の報告書の提言、これをそのまま採用することは、従来の政府の立場に照らして難しいと考えてございます。他方、従来から政府が示してきた判断基準をより精緻なものとして、具体的に何が武力の行使と一体化をする行為なのかを明確にして、どのような後方支援が可能であるか検討することは課題の一つと認識をしております。また、従来から、非戦闘地域、後方地域という概念については様々な議論もございまして、この点も含めた検討が必要ではないかと考えているところでございます。三日の与党協議会では、このような問題意識の下、政府として対応を検討していくに際しての考え方について御説明したところでございますけれども、いずれにしましても、今現在、与党協議が進められているところでございますので、具体的な結論を得ているわけではございません。

○井上哲士君 元々、後方支援というのは武力行使と本来同一とみなされるものでありますが、いわゆる一体化論で、憲法九条の下で自衛隊の海外派兵をするためにこういう議論がつくられてきました。つまり、武力行使と一体でない後方支援があるということでつくられてきたわけですが、実際は、名古屋高裁判決が憲法違反と断じたように、戦闘地域の行動も行われてきましたけれども、先ほど、一体とならないための担保という言葉がありましたけれども、より精緻にするといいながらこれを大幅に広げるということは、まさに自衛隊が戦闘地域の最前線まで行って行動を共にすることになると思うんですね。具体的にお聞きしますが、この四条件全てが当てはまらなければ一体とみなされない、支援が可能ということでありますが、逆に言えば、その四項目の一つ一つは全てできるということになります。この中にある、戦闘行為に直接使用する物品役務というのは一体何でしょうか。

○政府参考人(武藤義哉君) 三日の与党協議会では、政府としての対応を検討していくに際しての現時点での考え方等について、与党の求めに応じまして御説明をしたところでございますけれども、いずれにしましても、現在、与党協議が進められているところでございまして、具体的な結論を得ているわけではございません。  いずれにしましても、政府としては、現在、具体的事例に即して進められている与党協議の結果に基づいて政府としての対応を検討していくということとしておりまして、現時点において与党協議の結果を予断するというようなことを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思っております。

○井上哲士君 いや、別に与党協議に出したものだと分かっていますよ。結果の予断でなくて、そこにあっている言葉の定義を聞いているんですね。戦闘行為に直接使用する物品役務というのが示されているわけですから、この定義をお聞きしているんです。

○政府参考人(武藤義哉君) 与党の求めに応じて、三日の与党協議会で現時点での考え方等について説明したところでございますけれども、いずれにしても、与党の協議が進められているところでございますので、その内容の詳細を申し上げることも含め、差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 それはおかしいでしょう。別に協議の中身を言えなんて言っているんじゃないんですよ。これ、政府が示したんでしょう。与党に説明しているんでしょう。その中身を、既に全部報道もされているわけですから、戦闘行為に直接使用する物品役務とは何か、示した以上、その定義、中身ぐらいは言えるでしょう。なぜ言えないんですか。

○政府参考人(武藤義哉君) 繰り返しになりますけれども、今現在、与党の求めに応じて現時点での政府の考え方等について御説明したところではございますけれども、与党協議がまさに進められているところでございますので、具体的な結論も得ておりませんし、その議論の詳細については控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 そんな国会に説明できないような与党協議をしているんですか。防衛大臣、そんなことでいいんですか。いかがですか。+*

○国務大臣(小野寺五典君) 今の議論は内閣官房がお答えすることが適切だと思っております。私どもとしては、内閣官房の方からのお答えが必要かと思っています。

○井上哲士君 大臣からも内閣官房からのお答えが必要だと言っていますよ。これ、定義なんですから。協議の中身聞いているんじゃないんですから。政府が出した以上、その定義ぐらい、元々こういう言葉は過去のいろんな協議の中で使われている言葉じゃないですか。別に特殊な言葉じゃないんですよ。こんなことで止めないでくださいよ。答弁してください。

○政府参考人(武藤義哉君) 先ほど申し上げましたとおり、政府としては、武力行使との一体化という考え方をもはや取らないという安保法制懇の報告書の提言をそのまま採用することは従来の政府の立場に照らして難しいと考えておりますけれども、他方、従来からの政府が示してきた判断基準をより精緻なものとして具体的に何が武力の行使と一体化する行為なのかを明確にし、どのような後方支援が可能であるか検討することは一つの課題と認識しております。そういう中で、与党協議会の中で与党の求めがありましたものですから、現時点での考え方等について御説明をしたところでございますけれども、その内容を含めまして、いずれにしても、現在、与党協議が進められているところでございますので、詳細を明らかにすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 国会で説明もできないような中身を与党協議でやっているということですか。おかしいですよ、それは。この四条件でいいますと、結局、この戦闘行為に直接使用する物品役務、武器弾薬、医療部隊の派遣ということだと言われておりますけれども、戦闘に直接用いられない場合であれば、食料や水、医療であれば現に戦闘行為を行っている他国部隊の支援も可能だということになりますし、現に戦闘行為を行っていなければ戦闘地域まで行って武器弾薬の提供も可能だということでありますから、丸ごと後方支援を前線まで行ってやって、そうなれば相手国の攻撃対象になります。結局、日本が戦闘に加わることになると、こういう方向を進むということは絶対に許されないし、まともな答弁をしていただきたいと改めて強く求めまして、時間ですので終わります。

○委員長(末松信介君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、防衛省設置法等の一部を改正する法律案に反対の立場から討論を行います。本法案は、安倍内閣が昨年末に閣議決定を行った国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防の具体化を図るものであり、容認できません。防衛大綱に盛り込まれた敵基地攻撃能力の保有の検討は、憲法に係る従来の政府見解に照らしても許されるものではありません。北朝鮮の核問題は軍事によらない平和的手段で解決するべきであり、そうした方向での国際社会の努力とも相入れません。軍事に軍事をもって対抗することは、周辺諸国との緊張をますます高めるだけです。国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防を撤回するとともに、東アジアに平和的環境をつくるための外交努力を政府に強く求めるものであります。法案に盛り込まれた水陸機動団の新編のための準備隊をつくり、検討を本格化させようとしておりますが、アメリカ海兵隊のような強襲揚陸能力の保有につながるものであります。また、内部部局の自衛官ポストの定員化は、文官から成る内部部局に自衛官を制度的に組み入れることによって、自衛隊の意向をよりストレートに反映させる軍事行政機構をつくろうとするものにほかなりません。さらに、防衛審議官の新設は、米軍などの諸外国との軍事当局間の連携協力を強化し、海外での日本の軍事的役割の拡大と武器輸出を推進するものであり、容認できません。以上、理由を申し述べまして、反対討論を終わります。

 

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