国会質問議事録

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外交防衛委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 オスプレイの問題で質問をいたします。
 一昨日、ハワイでMV22オスプレイが着陸に失敗し、一人の死亡者、二十一人の負傷者という大事故が起きました。
 午前中も議論になったわけでありますが、政府は、事故原因は究明中だとしながら、機体そのものには問題はないと、こういうアメリカの言い分をそのまま答弁をされております。何で原因が分からないのに安全なんて言えるんですか。国民の命と安全を守る立場であれば、そんなことおかしいじゃないかと、こういう立場でアメリカに迫るべきだと思いますが、外務大臣、そういう立場でいいですか。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) 今回の五月十八日のこの事故につきましては、我が国としまして、この着陸失敗の原因等の関連情報を速やかに提供すること、また安全面への最大限の配慮を行うこと、これを米側に申し入れております。そして、この原因究明あるいは再発防止の措置については、まず、これは米国の兵士がこのオスプレイに搭乗しているわけでありますので、米国においてもこれはもう大変重要な課題であり、この原因究明あるいは再発防止のための措置、しっかりとっていくものと考えております。その情報共有をしっかり我が国としては求めていかなければなりません。
 そして、今御質問の中で、米国側がこのMV22の設計に根本的な欠陥があると疑う理由はなく、これまでにMV22の通常運転を停止させるべき理由は発見されていないという説明を受けているわけですが、これは米国側としましてもこうした原因究明、調査を行う中で現状においての米国の判断であると認識をしています。
 是非、引き続き、米国側においてもこの原因究明あるいは再発防止のための措置、しっかりと確認をした上で我が国に対しまして情報を提供してくるようしっかり求めていきたいと考えております。

○井上哲士君 原因の徹底究明を求め、そして国民に全て開示をしていただきたいと思いますが、今もおっしゃいましたように、現状での判断だということであれば、原因がはっきりしていないわけですね。原因も分からずに事故を起こしたような危険なものを日本の空を飛ばすわけにいかないんですよ。
 沖縄の県知事も飛行中止を求めておりますけれども、既に沖縄と岩国に配備をされているMV22のこの飛行中止を、アメリカに求めるべきじゃありませんか、いかがですか。外務大臣、いかがですか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) このMV22の実際の運航を行っているのは米国でございます。このMV22には米国の自国の兵士が乗って、そして自国の軍人が操縦しているわけでありますが、まさに運用に携わる軍人や、また周辺のコミュニティーもあります。そういう点において、この安全性においては十分に今考慮した上で運用をされているわけでありますが、この点、米国から、本事案の調査を行っているところですけれども、このMV22のオスプレイの設計に根本的欠陥があると疑う理由はなく、またこれまでにMV22オスプレイの通常運用を停止させるべき理由は発見されていないと説明を受けたわけでございまして、同時に、米国政府はMV22の運用の安全性を確認をしており、引き続き最大限の考慮を払って運用すると言っているわけでございます。

○井上哲士君 設計に根本的欠陥にあるものなんか使うはずないんですよ、あると思っていたら。そんなことを言ったら、世界中の民間航空機の事故だってそういうことになりますよ。危ないと思ったら乗らない。しかし、乗ってみたら落ちたんですよ。原因が分からないんですよ。そんなものが日本の空飛んでいいんですか、そんなことで国民の命と安全守れますかということを言っているんですよ。とんでもない話ですね。
 そして、このMV22よりもより危険だと、事故率が高いCV22が横田基地に配備をするとアメリカからの突然の接受国通報がありまして、近隣の自治体、住民から大きな怒りと不安の声が上がりました。そのやさきの今回の事故で、例えば福生市の市長さん、受け入れられないという気持ちは変わらない、事故でますます市民に説明が付かないと、こういうことをマスコミでも言われております。
 新たな配備など論外でありますが、このアメリカからの計画というのは、どういう部隊が横田に何人配備されて、どういう施設の整備をいつまでに行うのか、そしてこの部隊は、在日米軍の中の指揮関係はどういうふうになるという説明なんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 米側からCV22の横田飛行場配備に伴い、同飛行場にCV22十機や関連要員等から構成される飛行部隊を新編する予定である旨説明を受けております。当該の新編部隊は、現在、嘉手納飛行場に所在している第三五三特殊作戦群と同様に、米空軍特殊作戦コマンドの隷下に所属をする予定であると承知をしております。
 CV22の横田配備に伴う施設整備については、米側より、米国政府の予算により格納庫の増改築やシミュレーター施設の整備等を行うこととしている旨、これらの施設整備については二〇一五年から二〇二〇年米会計年度において実施する旨の説明を受けております。したがいまして、CV22の飛行隊の配備に伴いまして、軍人及び軍属合わせて四百名が増加することとなる旨、米側から説明を受けております。

○井上哲士君 米空軍はCV22を何機所有しておって、そのうち海外ではどこの国に何機配備をされているでしょうか。

○政府参考人(防衛省防衛政策局次長 鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
 米空軍によりますれば、二〇一五年二月の時点で米軍は三十三機の現役のCV22を保有しているものと承知しております。
 これらの米軍のCV22の運用詳細含めまして、その配備場所含めて網羅的に責任を持ってお答えする立場にありませんが、その上で申し上げれば、米本土以外におけるCV22の配備といたしますれば、例えば、英国のミルデンホール空軍基地に展開している第三五二特殊作戦群に十機のCV22が配備されているものと承知しております。

○井上哲士君 ですから、米国以外では二つ目の国であって、しかも三十三機のうち、所有している中で十機が日本に配備をされるということになるわけですね。
 このCV22の任務について、米空軍の二〇一六会計年度予算書では、現在、他の航空機によって提供されない政治的に又は軍事的に敵が支配する地域への特殊作戦部隊の投入、引揚げ、補給を行うための長距離で高速の対処能力を提供するとしております。およそ日本防衛とは関係ないわけでありますが、なぜこのような特殊作戦のための部隊を在日米軍に配備をする必要があるんですか。

○国務大臣(中谷元君) 米国は、これまでも核及び通常戦力を含むあらゆる種類の軍事力による日本の安全に対するコミットメント、これを繰り返し表明をするなど、日本に対する拡大抑止の信頼性の維持向上に努めてきております。
 今般のCV22の我が国への配備は、このような米国の取組の一環として米国のアジア太平洋地域重視政策を実践するものでありまして、日米同盟に対する米国の揺るぎないコミットメントを示すものであります。また、CV22の我が国配備によりまして、我が国有事を始めとする各種事態が発生した場合に、偵察や情報収集、人質救出などの様々な任務を行う米軍特殊作戦部隊の迅速な長距離輸送、航空輸送、これが可能となります。
 さらに、米軍と自衛隊の間でCV22を利用した共同訓練が可能となるなど、日米の相互運用性の向上にも寄与するわけでございます。
 以上を踏まえますと、CV22の我が国への配備は、事態発生時の日米の両国の対応能力を向上させるのみならず、日米の高度な共同対処能力を対外的に示すことにより我が国への侵略を思いとどまらせる効果もあり、日米同盟の抑止力、対処力を向上させるものであります。
 また、我が国において首都直下型地震、南海トラフ巨大地震など大規模災害が発生した場合にも、CV22は迅速かつ広範囲にわたって人道支援、災害救援活動を行うことができ、我が国や地域における米軍の大規模災害における対処能力も大いに向上させるものでありまして、このCV22の我が国への配備は大変意義があるものだと考えております。

○井上哲士君 偵察とか災害とか言われましたけれども、CV22というのは様々な特殊作戦に投入されてきたんですね。例えば、米軍の準機関紙「星条旗」、今年の五月十六日付けを見ますと、米軍の特殊部隊が、金曜日、つまり五月十五日の夜、シリア国内での襲撃でIS幹部を殺害したと。さらに、国防当局者がAP通信に明らかにしたことによればとして、オスプレイとブラックホークヘリコプターに搭乗してイラクから移動した米陸軍デルタフォース部隊は、白兵戦を含むかなり激しい銃撃戦を行った、襲撃で戦闘員約十二名を殺害したと。こういうのが現に「星条旗」に出ているんですよ。
 ですから、まさに横田基地がこういう地球的規模でのアメリカの特殊作戦部隊の出撃地となるということなわけですね。
 政府の説明文書によりますと、この横田に配備されるCV22は、アジア太平洋地域に所在する米軍特殊作戦部隊等を輸送する任務を持つとしておりますが、この特殊作戦部隊というのはどこに所在をしているんでしょうか。

○政府参考人(鈴木敦夫君) お答え申し上げます。
 横田に配備されるCV22が輸送する予定の米特殊作戦部隊といたしましては、このアジア太平洋地域でございますが、沖縄のトリイ通信施設に所在する陸軍第一特殊部隊群第一大隊、それから同じく沖縄嘉手納飛行場に所在する空軍第三五三特殊作戦群、それからグアム海軍基地に所在いたします第一海軍特殊部隊などがございます。
 また、なお、このCV22の輸送対象はこれらの部隊に限られず、アジア太平洋地域以外から来援した部隊の輸送を行うこともある旨、説明を受けております。

○井上哲士君 じゃ、そのCV22はどこでどのような訓練を行うんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) CV22は、各種事態における米特殊作戦部隊の迅速な長距離輸送を行うという主たる任務を達成するために、通常の飛行訓練に加えて低空飛行訓練、夜間飛行訓練等を実施することになると承知しています。また、輸送対象となる米特殊作戦部隊と共同で訓練を実施することになる旨、米側から説明を受けております。CV22の国内における訓練場所につきましては、主に米軍施設・区域のほか、自衛隊の訓練区域等を予定をしている旨、米側から説明を受けております。
 なお、米側は、CV22の日本国内における飛行運用に際しては、地元の住民に十分配慮し、最大限の安全対策を取るとしており、MV22に関する日米合同委員会合意を含む既存の全ての日米間の合意を遵守する旨、明言をいたしております。
 政府といたしましては、引き続き、米政府に更なる情報提供を求めて、得られた情報について関係自治体へ丁寧に誠意を持って説明してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 先ほど、IS幹部の殺害作戦、夜にやったということが報道されているように、これ特殊作戦ですから、夜間訓練が必ず必要になってくるわけですね。MVのように日米合意を守ると言われていますが、全く守られていないということは沖縄県が繰り返し指摘をしております。
 米空軍の指示、二〇一一年十一月九日付けのCV22の作戦手順というのがありますが、この空中戦闘演習の項には、敵の攻撃を回避する演習について、航空機モードで、最も高い障害物から二百フィート、約六十メートル、ここで開始をし、回避演習を行う間、最低高度の二百フィートを維持すると。転換モードでの回避演習の最低高度は、最も高い障害物から百フィート、約三十メーターですね、こういう訓練を行うということを明記されているんです。
 ですから、日本の航空法の住宅地での、人口密集地での最低高度三百メートルよりよっぽど低いところでやるわけですね。こういう訓練はどこでやるんですか。嘉手納やトリイの部隊とともに、沖縄でもやることになるんじゃないんですか。

○国務大臣(中谷元君) 先ほど説明をいたしましたが、訓練等につきましては、通常の飛行訓練に加えて低空飛行訓練を実施することになるということでございます。この低空飛行訓練は、部隊の能力の維持向上を図って、日米安全保障条約の目的達成に資する重要なものでありまして、この点、日本と米国政府の間では、低空飛行訓練を実施するに当たっては、安全面に最大限考慮を払うとともに、地元住民に与える影響を最小限にする必要があると認識をいたしております。
 米側は、低空飛行訓練を含め、我が国でのCV22の飛行運用に際しては、MV22に関する日米の合同委員会での合意、これを含む既存の全ての日米間の合意を遵守する旨、明言をいたしておりまして、この委員会の合意におきましては、地元住民に十分な配慮がされ、最大限の安全対策が取られることを両国間で合意をしているほか、低空飛行訓練についても、原則として地上から五百フィート、約百五十メートル以上の高度で飛行をするということにされております。

○井上哲士君 そういう合意が全く沖縄で守られていないのは、繰り返し言われているとおりなんですね。これは、CV22の作戦手順、米国のものでありますが、確かに原則、今言われたように、五百フィート以上と書いてあります。
 しかし、こうも書いてあるんですね。ただし、許可され調査された区域又は経路、許可された演習任務の場合、若しくは有視界気象状況の下に行われる経路調査を行う間、離着陸、作戦任務、訓練飛行においてより低高度の飛行が求められる場合はこの限りではないと。原則であって、この限りではないと、米軍の手順がこうしているんですよ。
 こういう飛行訓練は現に沖縄でMV22がやっているわけですね。こういう訓練を、じゃ、横田に配備されたCV22が横田の周辺でやるんですか、それとも沖縄でやるんですか。答えてください。

○国務大臣(中谷元君) このCV22の国内における訓練場所につきましては、主に米軍施設・区域のほか、自衛隊の訓練区域を予定しているということはお話をさせていただきました。
 我が国に配備されるCV22は、各種事態が発生した場合に初動対応を行う米軍の特殊作戦部隊を輸送することを主な任務としておりまして、沖縄にも特殊作戦部隊が所在をしていることから、CV22が沖縄に飛来することも考えられますが、現時点において沖縄における具体的な飛行運用については米側から説明を受けているわけではありません。
 政府としては、引き続き、米国政府に対してCV22に関する更なる情報提供を求めて、情報が得られた場合には関係自治体に丁寧に説明をしてまいりますが、沖縄を始めとして米軍の運用による地元の影響の軽減を常に考慮を米側もしてきていると承知をいたしておりまして、政府としても引き続き、このオスプレイの沖縄県外への訓練移転など実施をしておりますが、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでいく姿勢は堅持をしてまいります。

○井上哲士君 大臣の説明でも、このCV22が輸送対象となる米特殊作戦部隊と共同で訓練を実施するとなっているわけですから、わざわざ沖縄からやトリイから部隊を持ってくるのか。現にやっぱりそこへ行って訓練するわけですね。今、沖縄が可能性があるということを述べられました。そうなりますと、新たに沖縄で訓練が行われることになるんですよ、これまで行われなかった部隊の。沖縄の負担軽減じゃなくて、負担増加になるじゃないですか。どこが負担軽減なんですか。
 しかも、二〇〇六年の米軍再編ロードマップは、地元の負担を軽減しつつ抑止力を維持するとして、この地元負担の軽減には横田基地も入っているんですよ。しかし、横田について言いますと、これ全く新しい部隊の配置なんですね。ですから、沖縄の負担軽減にもならない。横田の負担軽減にもならない。横田も沖縄も負担増加になるじゃないですか。
 これは全くロードマップから逆行していませんか。中止すべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) CV22につきまして、現時点において沖縄における具体的な飛行運用については米側から説明を受けているわけではございませんが、米側は、沖縄を始めとして、米軍の運用による地元への影響軽減を常に考慮をしてきていると承知をいたしておりまして、政府としても引き続き、オスプレイの沖縄県外への訓練移転など、沖縄の負担軽減に全力で取り組んでまいる考えであります。

○委員長(片山さつき君) 井上哲士君、そろそろ時間でございます。

○井上哲士君 沖縄にも横田にも負担の増加になるこのような配備は中止をすべきだということを改めて求めまして、質問を終わります。

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