国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2015年・189通常国会 の中の 外交防衛委員会

外交防衛委員会

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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 まず、内局と幕僚長との関係に関わる、設置法十二条の改正の問題についてお聞きいたします。
 この間、大臣は、文民統制に何ら影響を与えるものではないという旨の答弁をしてこられました。しかし、先日の参考人質疑でも、この改正と相まって行われる、運用企画局を廃止して自衛隊の実運用に係る業務を統幕に一元化することと併せて危惧が表明をされました。
 参考人は、これによって、防衛大臣が各幕僚長に対する自衛隊の運用計画の指示を起案をする役割は運用企画局長に代わって幕僚長が担うことになると、部隊の実際の運用に関して統幕が自らに対する大臣の指示を起案をするということでは、極端な場合、自己に都合の良い指示を起案をすることになりかねないと、軍令面での内局の大臣補佐機能が弱体化することは確実であって、チェック・アンド・バランスの機能が後退をすると、こういう危惧が表明されましたけれども、この点いかがでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) 今回の組織改編につきましては、部隊運用の迅速化と効率化を図るために実際の部隊運用に関する業務は統合幕僚監部に一元化をすることといたしております。
 このため、迅速性と効率性の観点から、部隊の実情を把握している統合幕僚監部が起案することが、適切な文書については統合幕僚監部が内部部局とまず協議をしながら起案することを検討しております。他方、自衛隊の行動に関する全般的、基本的な方針の立案などは引き続き内部部局が掌握をいたしまして、所要の文書の起案等を行います。
 実際の部隊運用に関する業務の統合幕僚監部への一元化は内部部局と統合幕僚監部の間の実態としての業務の重複を解消するものでありまして、文民統制の主体である防衛大臣に対して、引き続き政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐が行われる体制を確保した上で、的確かつ迅速な意思決定を行うことを可能にしたものでございまして、今般の組織改編によりまして、自衛隊の部隊運用に関し、防衛大臣に対する政策的見地からの補佐が弱まることはないと考えております。

○井上哲士君 一部起案が変わるということは今の答弁でも明らかなわけでありますが、シビリアンコントロールの関係で、昨日の衆議院の安保法制特で我が党の穀田議員がただしました、航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究について併せてお聞きしたいと思います。
 この文書について、中谷大臣は昨日、二〇〇六年に航空自衛隊の幹部学校が航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料だと認められました。この文書の序文では、自衛隊は存在する自衛隊から機能する自衛隊への脱皮が求められる、抑止を前提とした従前の考えでは新たな脅威への対応には限界があると述べた上で、様々な課題について述べております。その中には、その取扱いは慎重を期すことが必要なとわざわざした上で、防衛計画の大綱等の防衛政策を超える行動というものも書き込まれております。一つは、攻勢対航空・戦略攻撃、要するに敵基地攻撃、それから対核兵器作戦、宇宙作戦の三つを挙げております。
 大臣は昨日、研究することは問題ないとされたわけでありますが、防衛大綱等を超えるような行動の中身を実力部隊である自衛隊が内部で勝手に研究する、これ問題ないとして果たしてシビリアンコントロールなどと言えるんでしょうか。いかがでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 昨日も申し上げましたけれども、この航空自衛隊の基本ドクトリンは、航空自衛隊の隊員が任務を遂行するに際して準拠すべき事項や考え方、これを共有するために、平成二十三年三月に航空幕僚監部が部内向けに作成した文書でございます。また、航空自衛隊のドクトリン等に対する調査研究は、平成十八年に航空自衛隊の幹部学校があくまでも調査研究の目的で作成した文書であると承知をいたしております。
 これらの文書は、いずれも防衛省の見解をまとめたものではありませんが、航空自衛隊が職務を遂行する上で必要に応じて作成した資料であると認識をいたしております。

○井上哲士君 職務を遂行する上で必要だと言われました。
 この文書は、さらにこう書いているんですね。これまでは政治が決定する任務や役割を受けて対応するといった受動的姿勢であったが、今後は、場合によっては、現在の任務、役割、法的な枠組みを超えて空自が主体的に議論する、そして、将来の憲法改正、集団的自衛権の解釈変更に対応する上で航空防衛力の運用に関わる基本的な考え方を開発し、明確にすることが必要であると、ここまで書いているんですよ。
 憲法を超えたようなことを検討することが職務上必要だと言うんですか。答えてください。

○国務大臣(中谷元君) この航空自衛隊の基本ドクトリンは、集団的自衛権の行使については、内閣法制局は憲法解釈上認められないとしており、歴代の内閣はその解釈を踏襲しているという記述があると承知をしておりまして、集団的自衛権の行使を先取りしたものではございません。

○井上哲士君 そうなんですよ。そのときは、まさに憲法解釈上できないと言っていると。
 だから、この文書は、さらに言っているんですよ。これまでは政治が決定したものを防衛力の役割として果たしてきたが、これからは国家意思決定者に対して統合幕僚長を通じての軍事的専門家としての助言を積極的に行うことと、こう言っているわけですよ。ですから、確かに憲法解釈上できないと言っているけれども、できるようになったらどうするんだということを自分たちが研究をして、それを統合幕僚長を通じて国家意思決定者に対して助言を積極的に行うことと、ここまで書いているんですよ。
 これが自衛隊の業務として必要なんですか。そして、こういうことを、より発言力を高めるというのが今回の十二条改正の中身なんじゃないですか。

○国務大臣(中谷元君) この航空自衛隊の幹部学校が平成十八年に作成した航空自衛隊のドクトリン等に関する調査研究は、航空自衛隊基本ドクトリンの作成に資するべく、その調査研究の目的で作成をされ、航空幕僚長に報告をされた文書であると承知をいたしております。
 したがいまして、航空幕僚長に報告をされた文書でとどまっておりまして、それ以上、上の方に来たということは、私は確認はいたしておりません。

○井上哲士君 将来の憲法改正をにらんで、その基本的考え方を開発し、明確にするということを議論をして、そのことを、政治が決定したものを後追いするんじゃなくて、国家意思決定者に積極的に助言をすると、ここまで言っているんですよ。これをより可能にする、発言力を高めていくという仕組みが今回の十二条改正になるんじゃないですかということをお聞きしているんです。

○国務大臣(中谷元君) 十二条改正におきましては、文民の代表である防衛大臣が政策遂行を行う上において助言を言って、判断をするということでございます。
 十二条の改正の目的について問われましたが、今回は統合幕僚部の改編、また防衛装備庁の新設によって防衛省の組織構成が変更されるということで、同条についてもこの新たな組織構成に適切に対応した規定とするものでございます。
 そして、具体的には、組織改編後には、統合幕僚監部が実際の部隊運用に関して対外的な連絡調整や国会答弁を伴う対外説明を行うことや、防衛装備庁が政策の立案を行うことも踏まえた上で対処するということでございまして、従来からの政策的見地からの大臣補佐と軍事専門的見地からの大臣補佐を調整、吻合が引き続き適切に行われるということを明確にしたものであります。
 この改正によって、文民統制を引き続き厳格に維持していくということは言うまでもございません。

○井上哲士君 戦前、陸軍省や海軍省において基本的に軍人だけがその構成員だったわけでありますが、戦後、保安庁が設置されるときに、文官を主体とした長官官房や各局が設けられたという経緯があるわけで、そこには軍部主導で侵略戦争に突き進んだ反省があると、このことを決して忘れてはならないということを強調しておきたいと思います。
 その上で、防衛施設装備庁の問題でお聞きをいたします。
 今回この法案は、二〇一三年八月に出された防衛省改革委員会の報告書、防衛省改革の方向性に基づいたものであります。防衛省改革については、この報告書に先立って二〇〇八年に防衛省改革会議報告書が出されて、不祥事の再発防止策なども打ち出されました。その柱の一つが、当時の守屋事務次官の供応、収賄問題だったわけですね。調達に関わる不祥事というのは、この守屋元事務次官の問題だけではありません。その前には、九八年のいわゆる防衛省調達実施本部背任事件、さらには、防衛施設庁での重大な談合事件が発生をいたしました。まさにこれは一貫した改革の課題だと思いますが、ところが、一三年の報告書の中の改革の基本的考え方と方向性にはこういう調達に関わる不祥事の対策が盛り込まれておりませんが、一体なぜでしょうか。

○政府参考人(防衛省大臣官房長 豊田硬君) 防衛省改革の方向性の中の改革の基本的考え方と方向性の項につきまして、調達の不祥事対策が盛り込まれていない理由は何かというお尋ねでございますけれども、今般の防衛省改革の検討に際しましては、平成二十五年八月に公表いたしました「防衛省改革の方向性」の中にも記述がございますけれども、第三の「改革の基本的考え方と方向性」のその直前のところでございますけれども、防衛省改革会議報告書で提言された不祥事再発防止のための取組については、これらを着実に実施することにより、一定の成果は上がっているものの、調達をめぐっては、引き続き事案が起きていることもあり、これについては、本委員会とは別に設置されていた検討の場において再発防止策の検討やその取組の確認を行っていくこととしたということでございまして、この「防衛省改革の方向性」のペーパーそのものには調達の不祥事対策を盛り込まないこととしたものでございます。

○井上哲士君 別検討会ということで、本体からは外れているわけであります。
 今、一定の成果ということが言われました。しかし、二〇〇八年報告書以降も、二〇一〇年の航空自衛隊が発注するオフィス家具などの事務用品に係る官製談合事件、それから二〇一二年には三菱電機などによる水増し請求事件、さらに陸上自衛隊の多用途ヘリコプターUH―Xの開発事業の企業選定に係る事件などが続いております。
 この二〇一〇年の官製談合事件の際に、公正取引委員会が防衛省に対して要請文を出しております。こう書いているんですね。公正取引委員会は、これまでも防衛省に対し、同省の職員が行ってきた入札業務に関する問題点を指摘し、再発防止を講じるように繰り返し求めるなどしてきたと、こう異例の指摘をいたしました。にもかかわらず、防衛省改革の本体からは外して別で検討する。調達をめぐる事件の根絶というのは改革の重要課題ではなくなっているという認識なんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 防衛省におきましては、平成十年の調達実施本部における背任事件、また平成十八年の談合事件のような不祥事が起きております。この防衛装備庁の設置に当たりましては、こうした事案の教訓、反省を真摯に受け止めた上で、不祥事が起きないような制度設計を行うことといたしております。
 具体的には、防衛装備庁における監察・監査部門の設置によりまして内部監視機能の強化を図るとともに、教育部門の充実による職員への法令遵守教育の徹底を図り、併せて防衛大臣直轄の防衛監察本部の増員により外部からの監察機能を強化するといった措置によりまして、業務の一層の透明化、公正性を確保いたしまして不祥事を防止してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 装備庁の具体的な問題は後ほど聞きますので、基本的な認識を私は聞いております。
 こういう公共調達をめぐる不正で問題になってきたのが随意契約でありました。財務大臣は、二〇〇六年に公共調達の適正化を求める大臣通知を出しまして、防衛装備品の調達も基本的には一般競争入札などに移行をしたわけですね。
 ところが、この一般競争入札になっても、先ほど挙げたような官製談合事件が発生をいたしました。この陸自のヘリ、UH―X開発事業の企業選定に関する事件では、川崎重工業が、従来、これを選ばれるように、技術研究本部に在籍していた職員数名が、競合他社では、入札で競合するほかの会社では実現できないような内容を仕様書に書き込むと、こういう作業を行うとともに、その競合する他社の文書の写しを川重に渡すと、こういうような違法行為を行って、幹部自衛官に官製談合防止法違反の罪で略式命令が出されました。
 ですから、不正の温床とされてきた随意契約を一般競争に転換をしたけれども、実態はもう随意契約と同じようなやり方で不正が行われてきたわけですね。このような事態が起きないように、更にこの癒着体質に踏み込んだ改革が求められたわけでありますが、この事件の後、川重の事件の後、一三年の十月に行われたのは、競争性のある契約方式、入札などから随意契約へと逆に見直しをしてしまいました。逆戻りをしました。これは、この一三年の報告書が出た直後なんですね。
 ですから、この調達をめぐる改革の位置付けは、低下したどころか逆行しているんじゃないですか。いかがですか。

○政府参考人(防衛省大臣官房審議官 吉田正一君) 先生の今の御指摘でございますが、UH―Xの事案につきましては、先生御指摘のような事案というふうなことで、先ほども御説明いたしましたが、事業者との接触の適正化でございますとか事業者の仕様書作成におけるプロセスの適正性、こういった措置を講じているというふうなところでございますが、他方、先ほども荒木委員の方からも御指摘ございましたように、十八年に公共調達の適正化というふうなことで一般競争を原則とするというふうな指示が出されたのは御指摘のとおりでございまして、それを受けて、防衛省としても、原則一般競争に移行を試みたというところでございます。
 他方、実態は、先ほども御説明しておりますように、部門によっては、特定の事業者でしか供給できない、こういったものがあるとか、それから事業法の制約とかによって供給事業者が限られるものがあるとか、そういった特性を脇に置いておいて、何が何でも一般競争というような形で一度大きくかじを切ったと。それが結果として形式的な一般競争入札になっていると、それが防衛省にとっても事業者にとってもマイナスの面があると。
 そういったところをきちんと精査した上で、どうしても競争性が見込めないものについては、あらかじめ随意契約ができ得るものを類型化して、それでなおかつ常続的監視にさらすことによって透明性を確保した上で随意契約というふうなものを結んでいくというふうなことを検討し実施に移したという経緯でございまして、先生のようなことで逆の方向にというふうなことでは必ずしもないというふうに思ってございます。

○井上哲士君 いよいよ財務省からも指摘をされて一般競争入札にした、しかしうまくいかなかったと。結局そうやって、もう防衛調達の特殊性とか、これやむを得ないということで、例えば、実際に事件を起こして、そして契約、取引停止にしても、やむを得ないということで、ほとんど実際は契約をしている、およそペナルティーにもなっていないと。こういうことを続けてきているということが私は一番の大きな問題だと思うんですね。
 こういう流れの中で今回の防衛装備庁の設置となりました。これまで不祥事のたびに、調本を廃止をして、防衛施設庁も廃止をいたしました。これ自体は組織いじりにとどまって不祥事の根を絶つものではなかったわけですが、しかし、やっぱり調達に絡む大きな権限を持つ組織をつくるということは、やはり不祥事の可能性を大きくするということだと思うんですね。
 今度は装備本部を統合した大きな権限を持つ防衛装備庁をつくるわけでありますが、先ほど大臣からは監察の増員なども行うということを言われましたけれども、監察官は何人から何人に増やすんですか。

○政府参考人(吉田正一君) 済みません、防衛装備庁の中に設置する監察評価、監察官、同部署につきましては二十五名の体制で考えておるところでございまして、これに加えまして、大臣直属の防衛監察本部につきましては、従来の定員に二名を増員する予定というふうなことで考えてございます。

○井上哲士君 全体のは二名を増員をするだけ、そして内部に監察をつくるわけでありますが、それが内部の問題で果たして機能するのかということは後ほど少し触れたいと思うんですね。
 私たちは、不祥事のたびに、組織いじりではなくて防衛省と防衛産業の癒着構造を正すことが必要だと繰り返し指摘をしてまいりました。過去の事件でも、天下りをした職員と現役職員の結び付きによるものが多発をしております。
 そこで、昨年の防衛調達上位十社に対する天下りの実態はどうなっているでしょうか、明らかにしてください。

○政府参考人(防衛省人事教育局 局長 真部朗君) お答え申し上げます。
 平成二十五年度の中央調達の契約高上位十社、こちらへの再就職につきまして、平成二十六年に防衛大臣が行った承認件数が二十八件でございます。また、防衛大臣の委任を受けた者が行った同様の承認は三十六件でございます。合計いたしますと六十四件ということになります。

○井上哲士君 お手元に企業ごとの人数を書いてあります。
 例えば、トップの三菱重工は、大臣承認で四人、それから委任を受けた者の承認で二十四人、合計二十八人でありますが、三菱重工の場合、二〇一二年は合計二十人、二〇一三年は合計二十一人と、大体二十人台で毎年同じような天下りをしております。
 さらに、三菱電機、ここは、先ほど言いましたように水増し請求で事件を起こしました。ですから、二〇一二年の三菱電機への天下りはゼロなんですね。ところが、二〇一三年は三十人になっております。この年は合わせて十人と。ですから、減った分は翌年にどっとやってつじつまを合わせているんですよ。
 これは川重も一緒でありまして、川重の場合は二〇一二年が三人、二〇一三年は先ほど言ったUHXをめぐる問題で天下りができなかった。ゼロになります。そうすると、今年は合わせて五人ということになるわけですよ。ですから、採らなかった分はその次の年にカバーをする。
 こうやって、もう事実上天下り枠のような形でずっとつくられてきた構造があるわけです。こういうものを調達をめぐる事件の温床になってきたということから見れば、私はこの癒着構造にメスを入れるべきだと思うんですね。
 調達本部の背任事件も天下り先確保と結び付いた事件でありましたし、防衛施設庁の談合事件もやはり同じようなことでありました。ここにしっかりメスを入れるべきだと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 自衛隊員が、離職後二年間に、その離職前の五年間に防衛省と密接な関係にある営利企業体へ再就職をしようとする場合におきましては、自衛隊法第六十二条の規定に基づきまして、事前に防衛大臣等の承認を受けなければならないという制度になっております。
 また、本年十月にも一般職の国家公務員に準じた新たな再就職等の規制を導入を予定いたしておりまして、防衛装備庁における自衛隊員も含めて、再就職のあっせん、在職中の利害関係企業への求職活動及びOBによる働きかけが規制され、不正な行為に対しては罰則を科すということといたしております。
 さらに、こうした規制に関しては、自衛隊員としての前歴を有しない学識経験者から成る監視機関において厳格な監視を行いまして、再就職に関する国民の疑念を払拭してまいりたいと考えております。

○井上哲士君 今までも様々法律に基づいてということも言われ、対策が取られてきました。しかし、やはり事件はとどまらないわけですね。
 二〇一〇年に発覚した航空自衛隊が発注する事務用品に関わる官製談合事件、このときも、結局随意契約のときと同じようなシェアを入札についても維持をしようとした。結局、その随契のときのシェアというのは、天下りの人数によってシェアを決めていたということなんですね。これは公正取引委員会の指摘でも、航空自衛隊退職者の在籍状況等を考慮して、あらかじめ調達要求目標を定めるという事実も認められた。もうここまで指摘されているんですね。天下りの人数に比して調達目標を決めて、それで官製談合をやると、こういうことが起きているわけですよ。ですから、私は、現状の対応では不祥事はなくせないということを示していると思います。
 そして、これを正す上でも政治の在り方が問われると思うんですが、今回の改正で防衛省の所掌事務として国際協力に関することが加わって装備庁にもそれが盛り込まれましたけれども、この理由はどういうことでしょうか。

○政府参考人(吉田正一君) これが盛り込まれた規定でございますが、防衛省では、昨年四月の防衛装備移転三原則の策定に伴って、防衛装備の国際共同開発・生産とか海外移転とか、こういったものに取り組んでおるところでございますが、こういった取組の中で、例えば防衛省が開発した防衛装備品の海外移転でございまして、防衛省自身が行う調達等ではなく他国が行う調達等を支援するようなケース、例えばインドのUS2でございますとか、今後、豪州の件とかあるかもしれませんが、必ずしも防衛省自身が行う調達には結び付かないもの、こういったものについて、これまではそれを行う根拠というのが明示されていたわけではなかったわけでございますが、そういった中で、そういった協力案件について、所掌に係る国際協力というふうなことで業務を実施するという観点から盛り込まれたわけだと認識してございます。

○井上哲士君 要するに、武器輸出三原則を撤廃して輸出推進に転換したことに対応したものなわけですね。
 そこで、大臣にお聞きしますが、昨年二月に経団連の防衛生産委員会が自民党の国防部会関連会合に要求書を出していると思いますが、どういう内容でしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 議員御指摘の要望書につきましては承知しておりませんが、平成二十六年二月に経団連の防衛生産委員会が防衛生産、技術基盤の現状と課題と題しまして発表を行ったと承知をいたしております。
 具体的には、諸外国の防衛生産・技術基盤戦略、制度、業界再編の動向、我が国防衛産業の現状と課題、我が国防衛産業の将来展望について発表を行ったと承知をいたしております。

○井上哲士君 報道では、武器輸出三原則の大幅緩和や、政府内に武器輸出を専門に扱う担当部局を設けるように求めたとされております。
 さらに、二〇一三年の五月には、これは経団連として防衛計画の大綱に向けた提言をしておりますが、この中で、防衛生産・技術基盤戦略の策定、国際共同開発・生産の推進、長期契約等の活用による安定的な官民のパートナーシップ、さらには防衛生産・技術基盤の基本方針の策定などなど書かれておりますが、これ、この間、様々な形で一つ一つ実現がされていっているわけですね。
 一方、二〇一三年度の防衛調達額の上位十社から自民党への献金を調べてみました。国民政治協会への献金額であります。お手元に資料を配っておりますけれども、石油業界は個別企業ではなくて業界を通じての献金でありますのでこれ除きましたが、野党時代の二〇一二年には合計八千百十万円が、二〇一三年には一億五千七十万円になっております。二〇一三年の額でいいますと、三菱重工は三千万、三菱電機千八百二十万、川崎重工業二百五十万、日本電気千五百万、IHI一千万、富士通一千万、小松製作所八百万、東芝二千八百五十万、日立製作所二千八百五十万と、こういうことになっているわけですね。ちょうどこの年の一月に、防衛産業の新年会で当時の経産副大臣が、安倍内閣として防衛産業は成長戦略の一丁目一番地と、こういう思いで取り組むという発言をいたしました。まさに防衛産業支援への見返りというふうに国民から思われても仕方がないと思いますけれども、大臣いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) 御指摘の自民党への献金につきましては防衛省としてお答えする立場にございませんが、一般的に、企業からの献金につきましては企業の独自の判断に基づいて行われるものと承知をいたしております。
 いずれにしましても、防衛調達を実施するに際しましては、防衛生産、技術基盤の維持強化に配意しつつ、企業との契約の透明性、公正性をより一層確保していくことに努めてまいりたいと考えております。

○井上哲士君 この間、安倍政権として武器輸出推進への転換であるとか、防衛産業の支援を矢継ぎ早に打ち出しました。先ほど挙げましたように、まさに経済界や防衛産業の要望に全面的に応えるものでありますし、今戦争法案が出されまして、一層の拡充の方向も出されているということなわけですね。その流れの中で、野党から与党になったら、自民党に対する防衛産業の献金は二倍に拡大をしていると。どう見ても、国民から見れば見返りにしか見えないわけですよ。
 先ほど、天下りの数に沿って様々な官製談合というのが行われてきたということを指摘をいたしました。そういう見返りでやるというようなこの構造的体質をなくすという点でいっても、私は、こういう防衛産業からの政治献金というものを受け入れていくということは、私たちは企業献金そのものをやめろと、禁止すべきだと思っていますが、これ受取、断るのは政党の決意でできるわけでありますから、防衛大臣、やはりそういう国民の目線から見たときに、少なくともこういう国の防衛調達を受けている企業からの献金というのはなくしていくと、こういう決断をするべきじゃありませんか。

○国務大臣(中谷元君) 自民党への献金につきましては防衛省としてお答えする立場にございませんが、一般的に、企業からの献金につきましては企業の独自の立場に基づいて行われるものと承知をしております。
 しかしながら、防衛省といたしましては、この調達を実施するに際しまして、企業との契約の透明性、公正性、より一層確保していくことに努めてまいりたいと思います。

○井上哲士君 それでは国民の不信は解消されないということを最後に申し上げまして、質問を終わります。

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