国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2015年・189通常国会 の中の 我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

我が国及び国際社会の平和安全法制に関する特別委員会

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 集団的自衛権行使についてお聞きします。
 これまで憲法上行使できないと、違憲だと言われてきた集団的自衛権を、この法案では新三要件に当てはまれば行使可能と、百八十度超えるものであります。歯止めなき海外派兵につながると不安と反対の声が広がっております。
 まず、中谷大臣にお聞きします。(資料提示)
 集団的自衛権の行使について、事態対処法の第三条四項は、「存立危機事態においては、存立危機武力攻撃を排除しつつ、その速やかな終結を図らなければならない。」と集団的自衛権について書いておりますが、この日本が排除する存立危機武力攻撃とは一体何でしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) その条文における存立危機武力攻撃というのは、存立危機事態において我が国が排除し得る他国に対する武力攻撃のことであることから、どのような状況を我が国が存立危機事態として認定しているかによってその内容は異なります。
 いかなる事態が該当するかということについて、個別具体的な状況で全て情報を総合的に判断して決定するわけでございますので、一概にお答えするということは困難でありますが、その上で申し上げますと、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきております。
 このような従来からの考え方、これは新三要件の下でも、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらずに、新三要件から論理必然的に導かれるものでございます。
 したがいまして、存立危機事態における我が国による必要最小限度の武力の行使は、基本的に公海及びその上空において行われることになると考えておりまして、繰り返し答弁をいたしているとおり、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷の掃海のほかに、現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているわけではないということでございます。

○井上哲士君 問いに答えずに、まだ問うていないことまで答えられました。
 この存立危機武力攻撃というのは、事態対処法の二条にありますように、我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃であって、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があるものと法律で定義されているんですから、ちゃんとそれ答えてください。
 つまり、日本への武力攻撃じゃないんですね。他国に対する武力攻撃が行われて、それにより日本の存立危機事態となっている、その事態を速やかに終結させるために他国に対する攻撃を排除すると、こうなるわけですから、今、海外派兵は行わないと従来の答弁を繰り返されましたけれども、しかし、海外で行われているこの武力攻撃を排除するためには、自衛隊が武力攻撃を行う現場は、他国の領土、領空、領海、これ含まれるんじゃないんですか。

○国務大臣(中谷元君) 先ほどお答えをいたしましたが、武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空へ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解してきておりまして、この存立危機事態における我が国による必要最小限度の武力行使は、基本的に公海及びその上空において行われると考えておりまして、領域における武力行使はホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で具体的な活動を念頭に置いていないということでございます。

○井上哲士君 同じ答弁を繰り返さないでください、時間ないんですから。
 海外派兵は必要最小限度を超えるから憲法上許されないと繰り返されました。しかし、集団的自衛権そのものが必要最小限度を超えるからできないと言っていたじゃないですか。それを今、百八十度超えようとしているんですね。そのことが一体何をもたらすのかと。
 衆議院の参考人質疑で阪田元法制局長官がこう言われました。従来、我が国は、外国が攻めてきたときも、まさに必要最小限度の実力行使しかできないんだと。それは、その外国の侵略行為を排除するために必要最小限度なので、敵が撃ち方をやめているのに、ずっと追いかけて外国の領土、領海に入る、そして敵をせん滅する、これは許されないと述べてきた、これが必要最小限度だと。ところが、集団的自衛権が限定的であるとしても行使するとした場合には、そもそもそれは外国に行って戦うことを意味するわけですから、この交戦権との関係で、必要最小限度というのは一体何だろうと。存立危機事態を政府は速やかに終結させるということは、つまり戦争に勝っちゃうということでしかないわけで、そのためには最大限の実力行使を恐らくしなければならないんじゃないか、これが阪田法制局長官が衆議院で参考人で述べたことなんですね。
 この指摘のように、集団的自衛権の行使を容認すれば、必要最小限度という意味が変わるんじゃないですか、大臣、いかがですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは阪田長官が間違った認識をしておられるんだろうと思います。
 それは、つまりフルに集団的自衛権を認めたということであれば、そうではないかと思います。そこで、私たちはまさに三要件を付してこれを認めているわけでありまして、三要件を付すことによって必要最小限度にとどまると。そして、そこに、今委員が示されておりますように、存立危機武力攻撃ということをカテゴリーとして、だからこそ設けたわけでございます。
 言ってみれば、例えばA国が米国に対して攻撃をしたということでありますが、そこで直ちに我々は米国とともに戦うというのは、フルにこれは集団的自衛権を認めた場合でありまして、A国を、言わば阪田さんの表現によれば、降参させるまで共に戦うということになれば、これはフルな集団的自衛権であります。
 他方、私たちは三要件を付しておりますが、その三要件の中の存立危機武力攻撃は何かというと、A国がアメリカに攻撃をしたと、そして同時に、A国は日本に対して攻撃をするようなことをほのめかしている中において、例えばミサイルの警戒に当たっている米国のイージス艦に対する攻撃、これはまさに存立危機武力攻撃に当たるわけでありまして、これを排除することがまさに私どもが今回認められている武力の行使に当たる。これがまさにフルと、言わば我々が今回三要件の中で認められている武力の行使との違いでございます。

○井上哲士君 総理は法律に書いていないことばかり述べるんですよ。我々は今法律の議論をしているんです。
 いいですか、この法律では、存立危機事態を速やかに終結を図らなければならないと書いているんですね。この存立危機事態というのを生み出した存立危機武力攻撃は、他国において起きているんですよ。それを海外派兵をしなくてどうやって排除をするのかと、そのことをお聞きしているので、大臣、いかがですか。

○国務大臣(中谷元君) 確かに、法律上、速やかな終結を図らなければならないと書いておりますが、ただし、存立危機武力攻撃を排除するに当たっては、武力の行使は、事態に応じて合理的に必要と判断される限度、すなわち必要最小限度においてされなければならないというふうに条文にも書かれております。

○井上哲士君 今、事態に応じて合理的に必要と判断される限度だと書いてありました。その条文が海外派兵はできないと、そういう意味だと、こういうことですか。

○国務大臣(中谷元君) 武力の行使、これは事態に応じて合理的に必要と判断される限度においてなされなければならないということでございまして、その点は、従来から武力行使の目的を持って武装した部隊を他国の領土、領海、領空、これへ派遣するいわゆる海外派兵、これは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないということを解しておりまして、それに加えて新三要件というものがございますので、それに従って対応するということでございます。

○井上哲士君 つまり、海外派兵はできないと繰り返して言われますけれども、そのこと自身は法律のどこにも条文はないと、こういうことでよろしいですね。

○国務大臣(中谷元君) 武力行使の目的を持って武装した部隊、これを他国の領海、領土、領空に派遣する海外派兵、いわゆるこれは一般に自衛のための必要最小限度を超えるものであって、憲法上許されないと解しておりますが、ただし、従来から、他国の領域における武力行動であって、自衛権発動の三要件、これを満たすものがあれば、憲法上の理論としてはそのような行動を取ることは許されないわけではないと解しておりまして、このような従来からの考え方は、新三要件の下、集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらずに、新三要件から論理必然的に導かれるものでございます。
 総理が累次にわたって答弁をされているように、外国の領域における武力行使については、ホルムズ海峡での機雷掃海のほかに現時点で個別具体的な活動を念頭に置いているわけではないということでございます。

○井上哲士君 もう一回整理しましょう。
 海外派兵はできないということは法文には書いていないですね。書いてあるんなら条文を示してください。確認なんだから言ってくださいよ。

○政府特別補佐人(内閣法制局長官 横畠裕介君) 条文についてのお尋ねですのでお答えいたします。
 これまでの旧三要件におきましても必要最小限度という限定がございまして、それによって海外派兵は一般的に禁止されているというふうに解しておりました。
 それの条文上の根拠でございますけれども、自衛隊法の八十八条というのがございます。これは防衛出動を命ぜられた自衛隊の権限を規定している規定でございますけれども、八十八条第二項におきまして「事態に応じ合理的に必要と判断される限度をこえてはならない」という規定がございまして、これがまさにその必要最小限度を表している規定であるというふうに理解しておりまして、先ほど大臣からお答え申し上げました対処法の三条四項、御指摘のありました三条四項のただし書も同じ全く表現であるということで、その点が担保されていると理解しております。

○井上哲士君 つまり、海外派兵はできないとはどこにも書いていないけれども、事態に応じ合理的に判断される限度においてと、これが意味するものだと、こういう答弁でありますが、じゃ、これを判断するのは誰なんですか、大臣。

○国務大臣(中谷元君) いわゆる三要件は全て法律に明記されているということでございます。対応の判断等につきましては、政府として状況を鑑みまして判断をするということでございます。

○井上哲士君 要するに、時の多数派の政府の判断次第だということなんですね。
 中谷大臣は一昨日の委員会で、他国の領域における武力行動であっても、自衛権発動の三要件を満たすものがあるとすれば、憲法の理論としてはそのような行動を取ることが許されないわけではないと、こういうふうに明確に述べられました。これは新三要件の場合でも一緒だと。新三要件を満たすと判断すれば、他国領域での武力行為は法理論上可能だと。おとついの答弁を確認しますが、それでよろしいですね。イエス、ノーだけです、イエス、ノーだけです。

○国務大臣(中谷元君) 満たせば可能ということでございますが、これは、現在の個別的自衛権の武力攻撃事態、これにおいても、例えば座して死を待つようなことはないということで、相手国の敵の陣地に対する攻撃、これは法理論としてはあるということでございます。

○井上哲士君 つまり、法理論では可能だと確認しました。しかし、政府は、一般には認められないけれども例外はあるというふうに繰り返してこられたんですね。
 じゃ、その海外派兵が例外として認められるのかどうか、必要最小限の範囲内か、これ、判断する基準は何なんですか。

○国務大臣(中谷元君) これは、先ほどもお答えをしたとおり、いわゆる海外派兵は一般に自衛のための必要最小限度を超えるもので許されないと。ただし、他国の領域における武力行動であって、自衛権の発動の三要件、これを満たすものがあるとすれば、法律上の理論としてはそのような行動を取ることは許されないわけではないと解しておりますが、この新三要件、これは集団的自衛権を行使する場合であっても全く変わらないということで、新三要件から論理的、必然的に導かれるものでございます。

○井上哲士君 新三要件によって一般には認められないと言っているわけでしょう。その中に例外はあるというわけですから、その例外を判断する基準は何なんですかと。受動的、限定的と言われていますけれども、これだけですか、判断基準は。ほかにもあるんですか。述べてください。

○国務大臣(中谷元君) この法律の整備といたしましては、存立危機事態に至ったときは、政府は、事態対処法の第九条に基づいて、事態の経緯、事態が存立危機事態であることの認定及び当該認定の前提となった事実、そして、我が国の存立を全うして、国民を守るために他に適当な手段がなく、事態に対処するための武力の行使が必要であると認められる理由、こういうものを記載した対処基本方針、これを閣議決定をするわけでございますので、こういったことが、きちんと閣議決定をいたしまして、それに加えて国会の承認を求めるわけでございます。国会の承認が求められない場合は対応できないわけでございますので、それなりの状況に基づいて判断をしていくということでございます。

○井上哲士君 それじゃ、結局、時の政権がこの海外派兵は事態に応じて合理的な、必要と判断される限度だと判断すれば、何でもできることになるわけですよ。明確な基準が私は示される必要が、必要であります。
 例外を判断するときの基準、この見解を出してもらうように、委員長、求めたいと思います。

○委員長(鴻池祥肇君) 先に、安倍総理大臣。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) まさにこの必要最小限度というこの範囲、一般に海外派兵はこれは認められないということは申し上げているとおりであります。そして、なぜホルムズがこの例外に当たるかといえば、先ほど委員が質問されたように、受動的、限定的であるからでありまして、つまり、現在においては受動的、限定であるこのホルムズ海峡の対応しか念頭にはないと、こういうことでございます。

○井上哲士君 ですから、総理が念頭にないと言われますけれども、総理の頭の中は私はどうでもいいんです。法律にどう定められているかなんですよ。そして、時の政権の判断でどんどんどんどん例外拡大しちゃいけないと。
 是非、統一基準を示していただきたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

○委員長(鴻池祥肇君) この件につきましては、後の理事会で諮ります。

○井上哲士君 結局、事態に応じて合理的に必要とされる限度だと、こう言いますけれども、これがどうなるのかと。
 礒崎総理補佐官は、法的安定性なんて関係ないと言った上で、国際情勢の変化に伴って必要最小限度の内容が変わるということは、今まで何度も政府としても私個人としても言ってきたと言っているんですよ。ですから、必要最小限度を超えるから海外派兵はできないと幾ら言われても、その基準が国際情勢が変わったら変わるんだと礒崎さんは言っているんですね。
 ですから、総理の念頭にないからじゃなくて、将来にわたってこの法律では海外派兵の例外は拡大しないと、その担保どこにあるんですか。言ってください。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、先ほども申し上げましたように、ホルムズ海峡における機雷掃海のように他国の領域において武力行動を取ることも法理論上あり得るわけでありますが、これは、限定的であり受動的であるという中において必要最小限度の中にこれはとどまるということでございますが、他方、実際にどのような場合にどのような武力行使がどの程度許されるかは、実際に発生した事態の個別的な状況に照らして総合的に判断する必要がありますので、すなわち、新三要件の具体的当てはめの、具体的当てはめのこれは問題でありますので、法律にこれを規定することは困難であると、このように考えております。
 また、このようなことは個別的自衛権の場合も同様でありまして、個別的自衛権におきましても、この必要最小限度ということについて、従来の法制においてもかかる規定は設けられていなかったものであります。

○井上哲士君 先ほど阪田長官の発言を引きましたけれども、個別自衛権の場合は、我が国に来た攻撃を排除すると、追いかけてまでいかないと、必要最小限度性が非常に明確なんですよ。
 しかし、他国に対する攻撃を排除する集団的自衛権行使のときには、これが、この必要最小限度というものが変わってくると、こう言っているわけです。だから私は聞いているんですね。結局、今の答弁で言いますと、何が必要最小限かというのは事態に応じて時の政権の判断に委ねると。例外をどんどんどんどん拡大をして、海外派兵することに何の法律的な歯止めもないということが私は浮き彫りになったと思います。
 そして、これ単なる法理上の問題じゃないんですね。現実に自衛隊がどういう訓練を行っているのか。(資料提示※井上質問(安保特委7月30日)パネル③.pdf
 パネルはアメリカ陸軍のホームページにあるニュースでありまして、昨年、陸上自衛隊がアメリカのカリフォルニア州の米陸軍戦闘訓練センターで初めて米軍との共同訓練を行ったのを報じたものですね。防衛省は、自衛隊がアジアの国として初めてここでの訓練に参加をしたと、米国からも韓国等アジア諸国からも注目されているとしております。
 まず、中谷大臣にお聞きしますが、昨年の一月十三日から二月九日に行われたこの訓練に参加をした自衛隊と米軍のそれぞれの部隊名、人員、主要装備は何ですか。

○国務大臣(中谷元君) 陸上自衛隊は、平成二十六年一月十三日から二月九日までの間、米国カリフォルニア州フォートアーウィンに所在する米陸軍戦闘訓練センターにおきまして日米共同訓練を実施をいたしました。
 この訓練には、日本側から富士学校部隊訓練評価隊等の約百八十名が、米側から米陸軍第三、第二ストライカー旅団戦闘団等の約四千名、これが参加をいたしました。
 使用した装備品につきましては、陸上自衛隊が、八九式五・五六ミリ小銃、十二・七ミリ重機関銃、八十四ミリ無反動、八七式対戦車誘導弾、七四式戦車、九六式装輪装甲車等で、米側は、五・五六ミリ小銃、八十一ミリ迫撃砲、ストライカー、戦車、戦闘車等でございます。

○井上哲士君 このパネルの写真が日本が持っていった七四式の戦車がありますが、この米軍側のストライカー旅団というのは、八輪タイヤ付きの装甲車、ストライカーで構成する部隊で、全世界に九十六時間以内に展開する機動性を持った部隊であります。そして、日本が一緒に演習したこの第三戦闘旅団は、イラクへ三回、アフガニスタンへ一回展開した、ストライカー旅団の中でも最も展開をした経験を持ち、歴史の次の段階に備えていると米軍のニュースが書いております。
 この米軍部隊と自衛隊がどういう訓練を行ったのかと防衛省に資料を求めました。(※井上質問(安保特委7月30日)パネル②.pdf
 総合訓練のこれが日程でありますけれども、全期間を通して戦地と同様の規律で実施したとされまして、五日間、機能別訓練というものが行われておりますが、日米共同で攻撃訓練、総合戦闘射撃などを行います。そして、九日間、対抗訓練というのが行われておりますが、攻撃、防御、反撃と、これに区分して行われているわけですね。
 訓練内容を見せてくれと、私、防衛省に資料を求めましたけれども、出てきたのはこれ全部黒塗りですよ、真っ黒。
 この対抗訓練というのは一体どういう中身なんですか。

○国務大臣(中谷元君) この訓練で実施した対抗訓練といたしましては、陸上自衛隊の富士学校にあります部隊訓練評価隊、これが米軍の部隊と共同をして機動、防御、攻撃といった一連の活動を実施して、米軍の専門の対抗部隊との間で、交戦訓練装置、これを用いた訓練を実施をいたしました。
 訓練実施部隊である富士学校の部隊訓練評価隊、これは陸上自衛隊の富士訓練センターで専門の対抗部隊として多くの部隊と対抗訓練を実施をし、陸上自衛隊の一般的な練度、これを把握する部隊でありまして、同部隊を派遣をして実践的な環境の下においてこのような訓練を行うことにより、現在の陸上自衛隊の練度、これを確認することができたと考えております。
 この訓練部隊におきましては、一般的に戦闘訓練として想定で行うのではなくて、実際にこのセンターに参りますと、実際の状況で、それが成功であるのか失敗であるのか、そういうことを評価、判定できるような部隊でありまして、この部隊が米国へ行ってこういった訓練をしたということでございます。

○井上哲士君 今聞いてもさっぱり分からないですよね。結局、この真っ黒塗りの資料と同じ。しゃべっていますけど、中身は黒塗りと一緒なんですよ。なぜこれを出せないのか。
 米軍のニュースは書いています。この訓練は決定的行動訓練環境で行われたとして、戦闘旅団の兵士に、ゲリラ部隊、反乱勢力、犯罪分子及び通常部隊と同等の部隊が対決するなど課題が与えられて、そして百八十人の陸上自衛隊はストライカー戦闘旅団とパートナーを組んでこの訓練に完全に組み込まれると、こういうふうになっております。まさに米軍のこういう報道どおりの訓練が行われたと思うんですね。
 この訓練が行われたナショナルトレーニングセンターというのは、七十キロと五十キロという広大な砂漠地帯に五つの射撃区域、十五の市街地訓練施設を設置したもので、本土最大級の鳥取砂丘の九十倍の広さですよ。もちろん島嶼部にこのような広い砂漠はないと。およそ日本有事のためなどと考えられたものとは思えないんですね。何のために、どういう想定でこういう訓練所を使って訓練したんですか。

○国務大臣(中谷元君) この訓練は、部隊の練度、これを確認して、同時に日米が相互連携要領、これを演練し、また相互運用性の向上を図ることを目的として実施したものでございまして、あくまでも陸上自衛隊の練度の確認及び日米の相互運用性の向上を目的としたものでございます。
 このような目的を達成するために、実戦的な訓練環境を有して米国の専門の対抗部隊が所在する米陸軍戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施することが最も適切かつ効率的と考えたわけで、日本では広い演習場、余りありません。非常に混雑して、十分に思い切った訓練もできないわけでございますが、米国が所有する訓練センター、ここにおいて共同訓練を実施したということでございます。

○井上哲士君 単に広いだけじゃないんですね。
 これは、アメリカのニュース・トリビューン社の記者によりますと、この訓練の設定というのは、アトロピアという国と侵略国ドローピアという仮想の国家を想定して、アトロピアに進撃してきたドローピアに対して米軍と自衛隊が反撃すると、こういう設定だそうであります。
 そして、この雑誌「軍事研究」のレポートによりますと、この訓練場内には大小二十か所の集落があって、アフガニスタンやイラクとおぼしきたたずまいで巨大なモスクもあると。訓練期間中はアラブ系の俳優が住民に扮して実際に生活をして、その住民の中に紛れたテロリスト役もいたと。これほど用意周到にやっているわけですね。
 なぜこんな砂漠の地帯で、なぜこんな中東を模したところで日本が訓練をアメリカと一緒にすることが、アメリカに組み込まれてすることが日本の防衛に関わるんですか。結局、相互運用性の向上といいますけれども、まさに中東などを想定した米国との軍事行動ができるようにすると、そのための相互運用性の向上じゃないんですか。

○国務大臣(中谷元君) この訓練というのは、あくまでも陸上自衛隊の練度の確認と日米の相互運用性の向上を目的としたものでありまして、この目的を達成するために、実戦的な訓練環境を有して米国の専門の対抗部隊が所在する米陸軍の戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施することが最も適切かつ効率的に考えて、実施をいたしました。
 この戦闘訓練センターには、御指摘のような施設があるということは承知をいたしておりますけれども、本訓練は自衛隊が中東における活動を行うことを想定したものではございません。

○井上哲士君 何で想定もしていないのに、わざわざアメリカまで行って、この訓練、三億五千万円掛かっているんですよ。戦車まで持っていって、そしてこういう中東を模したところでアメリカと一緒に訓練をする。
 総理、集団的自衛権行使を可能にしても、イラク戦争やアフガン戦争のような戦闘に参加することはないと繰り返し答弁されてきましたよ。しかし現実には、イラクやアフガニスタンを想定した場所でアメリカと一緒に戦闘する訓練やっているじゃないですか。何でこんな訓練が必要なんですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは、日米の安保条約の第五条において、日本が侵攻を受けたときには日米で共同対処するわけであります。共同対処をする上においては、常にこうした訓練を共に行いながら、共に相手に対処していくことが必要でありまして、そのための場所として、米陸軍戦闘訓練センターにおいて日米共同訓練を実施すると。この場所が最も適切であり、かつ効率的と考え、本訓練を実施したものでございます。
 その上において、今、何で戦車というお話がございましたが、まさに日本に侵攻されたときには、まさに陸上自衛隊と米軍が共に共同対処するのは当然のことでありまして、この共同対処をする日頃の練度を高めていくことが精強性を増し、そしてそれは抑止力につながっていくと、このように考えております。

○井上哲士君 砂漠ですよ、七十キロ掛ける五十キロの。そして、そこに中東風のモスクなどもあると。なぜそこでやるのが練度を上げることになるんですか。鳥取砂丘に侵攻してきたと、それやるというんですか。それとも全然違うわけです。
 そして、たまたまなんていう言葉がありましたが、たまたまじゃないんですよ。これは、アメリカの陸軍のニュースが書いています。
 実は、この訓練の実現は八年掛かったと。これまで、米軍の地球規模での作戦進行速度のために、陸上自衛隊の部隊をこのナショナルトレーニングセンターの訓練予定に組み込むことは困難だったと。日本の軍事計画策定者が辛抱強く主張し、ついに今月、その目標が実現をしたと、こう書いてあるんですね。
 いろいろあるんじゃないんです。ここでやることが必要だということで、日本側が八年越しで実現をしたと。まさに中東などを模した米軍と一緒の軍事訓練じゃないんですか。それしか考えられないじゃないですか。

○内閣総理大臣(安倍晋三君) これは八年越しということでありますから、この法案は全くこれ関係ないということの証明でもあろうと、こう思うわけでありますし、そして、砂漠を選んで行ったんではないんですよ。この米陸軍の訓練センターがある場所でやったということでございまして、そして、まさに戦車等が走行できる場所というのは、実践に近い訓練をできる場所というのは、これは相当限られているわけでありますから、この訓練センターでやったということだけでございます。

○井上哲士君 米側はニュースで、砂漠での装甲車の隊形や戦車の構造に関して日本を指導し、行動を共にしたと、こう書いているんですね。そして、統合任務部隊として一緒に活動する大変良い演習になったと。日本側は、同じ目標達成のために米陸軍と並んで戦うことができると、こう述べたと書いているんですね。
 明らかに、まさにこういう海外での武力行使を想定した訓練が既に行われている。まさに私は、憲法違反の法案、そのための準備までされている、これは廃案しかないということを強く申し上げまして、終わります。

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