国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2016年・190通常国会 の中の 予算委員会公聴会(外交・安全保障)

予算委員会公聴会(外交・安全保障)

○予算委員長(岸宏一君) それでは引き続き、公述人の方々から御意見を伺います。
 この際、公述の先生方お二人に一言御挨拶を申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 本日は、平成二十八年度総予算三案につきましてお二人から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。なお、御発言は着席のままで結構です。
 それでは、外交・安全保障について、公述人元統合幕僚会議議長・公益社団法人隊友会会長西元徹也君及び慶應義塾大学名誉教授・弁護士小林節君から順次御意見を伺います。
 まず、西元公述人にお願いいたします。西元公述人。

○公述人(元統合幕僚会議議長・公益社団法人隊友会会長 西元徹也君) ありがとうございます。
 ただいま御指名をいただいた西元でございます。
 参議院予算委員会という我が国の国政上極めて重要な場に公述人として陳述する機会を頂戴いたしまして、誠に光栄に存じております。
 小生は、平成二十八年度の防衛関係費の概算要求について詳しく承知しているわけではございませんけれども、過去の経験を踏まえながら私が知る限りにおいて意見を述べさせていただきたいと思います。何とぞよろしくお願い申し上げます。
 まず最初に、平成二十八年度防衛関係費概算要求に御配慮をいただいている主要な事項について申し述べさせていただきます。
 第一は、防衛関係費。平成二十八年度は要求額でございますが、これの四年連続の増額と初の五兆円超えということであります。
 平成二十八年度の防衛関係費の概算要求は、二六防衛計画の大綱、現中期防衛力整備計画に基づく防衛力整備の三年度目として、統合防衛力の構築に向け引き続き防衛力整備を着実に実施するという基本的な考えの下に、かつてない現下の厳しい安全保障環境を勘案され、防衛関係費の概算要求額は平成二十五年度から四年間連続しての増加となり、しかもSACO関係費、それから米軍再編関係費などを含み、初めて五兆円を超え、南西地域の防衛態勢の強化及び日米同盟の強化に重点を置く予算案となっていると考えております。これは誠に時宜を得たものと考えます。
 しかしながら、ここには幾つかの問題もあることを私は認識いたしております。この点について後ほどまた申し上げたいと思います。
 第二は、南西諸島方面の防衛態勢の強化についての配慮でございます。
 現下の諸情勢から最も重要な戦略正面と考えられます南西地域の防衛態勢強化のため、陸海空自衛隊の編成、装備の充実強化、この細部は後ほど申し上げます。配備の空白を埋めるための新たな部隊配備の準備、例えば沖縄本島を始め、西南端の与那国島、そして石垣島、さらには奄美といったようなところがこれに該当します。また、統合運用体制及び日米共同運用体制の強化などを重視されたのは時宜を得たものと考えておりまして、日米同盟の強化や、あるいは抑止力の一層の強化に資するものと確信いたしております。
 第三は、効率化、合理化についての御配慮であります。
 現下の自衛隊は、御案内のとおり、大きな改革の途次にあります。このような中にあって、格段に厳しさを増す財政事情を勘案されて、長期契約による取組や従来複数年で調達していたものを一括調達するなどの措置を通じて単価を抑制し、一層の効率化、合理化を徹底されているのは、財政事情に配慮した取組として評価すべきであると考えております。
 代表的な一例を挙げますと、もう十分御案内のことだと思いますけれども、海上自衛隊の対潜水艦探知能力や攻撃能力の向上した哨戒ヘリコプター、SH60K十七機の取得に際し、航空自衛隊のUH60J八機との長期契約によって、一括調達により所要の機数を確実に確保するとともに調達コストを縮減するといったような措置をなされているのがその大きな例であります。
 次に、先ほど申し上げました今後より一層の御配慮を期待する主要事項について申し上げます。
 ほとんどは次年度以降の問題になるかと思いますが、第一は活動経費の圧迫への配慮であります。
 一般物件費と言われます陸海空自衛隊の平素の活動経費は、さきに申し述べました喫緊の課題である南西地域の防衛態勢強化のため、我慢をせざるを得ません。したがって、平素の隊務運営に影響を及ぼすことが懸念されますので、次年度以降、活動経費の増額については特段の配慮をお願いいたしたいと考えております。
 特に、活動経費のうち、装備品などの修理費、整備費と言ってもいいと思いますが、これの伸び率を見ますと、ほかのに比べて僅か〇・三%でございます。このままでは装備品の可動率が低下する可能性は否定できません。すなわち使えない装備が出てくる可能性を否定できないということでございます。そうなれば、必然的に戦力の低下につながるおそれがあります。このような状況に鑑み、活動経費の増額とともに修理費、整備費でありますが、この増額を図る必要があるものと考えております。
 第二は、後年度負担の影響への配慮でございます。
 現下の我が国を取り巻く安全保障環境の悪化に対応するため、島嶼部に対する攻撃への対処や弾道ミサイル攻撃への対処など、必要な多くの装備品、例えば水陸両用車AAV7、それから機動戦闘車、ティルトローター機、潜水艦、哨戒ヘリコプター、最新鋭の戦闘機F35、新早期警戒機などの充実強化が不可欠となっております。また、イージス艦用能力向上型迎撃ミサイルの日米共同開発の推進も必要となっております。
 格段に厳しさを増す財政事情の中でこのことを実現するためには、どうしてもパイの大きさから後年度負担に頼らざるを得ないといったのが実情でございまして、このことは来年度以降の予算編成に苦慮することが予想されます。特に、前項で申し述べました活動経費の確保には特に苦慮するものと思われますので、次年度以降の防衛関係費の増額については、ここで申し上げるのは不適当かもしれませんが、特段の御配慮をお願いしたいと考えております。
 第三は、自衛隊員の処遇に関する配慮であります。
 平和安全保障法制の制定をまつまでもなく、今後の自衛隊の活動は、アジア太平洋地域の安定化への対応、グローバルな安全保障課題への対応など、その活動範囲が拡大していることが予想され、自衛隊員の士気の高揚は従来以上に重要な問題になるものと考えております。そのために、単に形而下の処遇、例えば自衛隊員の任務、職務の特性を考慮した自衛官独特の給与制度の新設や若年定年制への配慮、それだけではなくて、形而上の処遇、特に隊員の使命感を醸成し得る地位の明確化や栄典などについて特段の配慮を一OBとしてお願いをいたしたいと思います。
 第四は、人員の増加に対する配慮でございます。
 防衛力の規模が一般的に縮減される傾向にある中で、陸海空自衛隊は、本来任務の増大、任務の多様化、国際化により人員、装備に大きな負担が掛かっている反面、平成十九年度と平成二十七年度の自衛官の現員を比較してみますと、約一万五千名の減員となっております。このことはどういうことを意味するかというと、陸海空自衛隊共に自らの骨身を削りつつ対応しているのが実情ではないかと認識しているところでございます。
 是非とも、定員、実員共に、特に任務の多様化、国際化や装備品の高性能化を踏まえて、幹部、准尉、曹の階級を優先して充実していただきたいと切望するものでございます。
 最後に、第五は、国内基盤の強化についての配慮でございます。
 防衛産業技術基盤は、防衛装備品の研究開発、生産、運用、維持整備などを通じて防衛力を支える重要かつ不可欠の要素であるということはもう言うまでもございません。このような国内基盤を強化することは、潜在的な抑止力及び対外的なバーゲニングパワーの維持向上にも寄与するものと考えております。
 したがって、コストダウンに取り組む企業などの調達における随意契約の活用、あるいは企業の将来予見性を高め得る更なる長期契約などに対し、これを実際に動かす場合には特段の配慮をお願いいたしたいと考えております。
 いずれにいたしましても、結びに代えまして申し上げておきますのは、我が国の外交、安全保障に対する意思を示し、日米同盟をより一層強化し抑止効果を高めること、さらに、現場においては、今後における予算執行計画の作成、諸計画の策定、さらに教育訓練の準備など、この予算がお認めいただいた後にはそのような多くの業務が残っております。したがいまして、できれば一日も早い御承認をお願いして、小生の陳述に代えさせていただきます。
 ありがとうございました。

○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。
 次に、小林公述人にお願いいたします。小林公述人。

○公述人(慶應義塾大学名誉教授・弁護士 小林節君) 私は、西元将軍のような自衛隊高官出身者ではありませんで、御存じのとおり憲法学者、つまり政治の法学の観点からお話を申し上げます。
 全ての前提問題として、防衛予算というものはある意味で聖域という言葉で言われますが、であると私は思っております。つまり、自由だ、人権だ、民主主義だといっても国がなくなっては始まらないわけでありますから、そういう意味では、真っ当な防衛費は、まず、仮に苦しくても先に出さなきゃならないものであるということは私は認めております。ただ、もちろんその内容が正当性があるかどうかの議論はさせていただきます。
 レジュメのとおりに参りますが、先ほどの御指摘にもありましたように、四年連続防衛費増加であります。私は、昨年の安全保障法制論議でも強調させていただきましたけれども、政府・自民党がずっと守ってきた専守防衛というこの政策は、私は正しかったと思っております。だからこそ、今こうやって我々は平和な独立国家に暮らしておれるわけですから。ですから、専守防衛に掛かる費用というのは、とにかく当然出してしかるべきである。
 それから、最近はこういう科学技術が進歩した時代ですから、情報収集衛星の充実という予算が組まれておりますけれども、要するに危険を事前に察知するということは大変良いことでありまして、これも極めて専守防衛の一環として良きことであると思っております。
 ただし、毎度のことで恐縮でございますが、昨年議論になりました新安保法制、私はそれを戦争法と呼ばせていただいておりますが、あの法律について衆議院と参議院とそれから参議院公聴会と三回呼ばれて発言させていただきましたけど、一度も私自身が納得させられる御返答をいただいていないものですから、納得しておりません。
 そういう意味で、元々憲法九条二項が軍隊と交戦権を否定している以上、海外で戦争する道具立てが我が国にはないわけですから、そもそも戦争法自体が御無体であると。である以上、政策的配慮は別にして、憲政の常道として憲法違反というのはそもそも踏み込んではいけない領域でありますから、その費用は私は不当支出であると思います。
 そしてさらに、日米同盟の強化というのは私は基本的に異論はないんですけれども、だけど、先ほどの西元将軍のお話にもありましたけど、国際化とかグローバル化として日本の防衛責任が世界に伸びていくことについては憲法が予定していない。安倍総理が論及されたそうですが、ならば憲法改正論議をちゃんとして国民の承認を得てやるのが筋である、手続的にも内容的にも私は間違っていると思います。
 ですから、そして、あのときも申し上げましたけれども、米軍の友軍として世界に展開することは、ある意味では九百年の背景のある十字軍戦争のようなものがいまだに続いているわけですから、言わば我々が志願してキリスト教の二軍になりに行くわけでありまして、きちょうめんなイスラム原理主義者の反撃を食らう危険について、私はそれを受ける理由がない、つまりお金を使って危険を招く、全く意味がないといまだに思っております。お教えいただけたら有り難いと思っております。
 それから、辺野古の基地の建設の問題は、日米安保も大事だと思います。でも、だからといって、あの沖縄に七五%もの駐留米軍の負担を押し付けておくことは歴史的背景を考えても大変失礼なことであって、憲法の九十五条は、国策として特別の負担を特別の一自治体に負わせるときは拒否権があると読める趣旨の条文がありまして、これはある意味では民主主義の基本でありまして、これはアメリカやフランスの常識でありまして、ですから、そういう意味では、あの建設を強行する予算があるというのは基本的には憲法違反ではないかという思いがあります。
 それから、在日米軍のための思いやり予算につきましては、私はこれは必要経費だと思っております。だけれども、そのことを政府は国内外にきちんと説明し得ていないと思います。アメリカの有力な政治家が日本は日米安保にただ乗りしているなどと堂々と言えてしまうというのは、認識させ方がまずいと思います。
 確かに、アメリカが日本に与えた、これは私が言っているんではなくてアメリカ政府高官が私に言ったことですけど、アメリカが日本に与えた憲法の制約で日本が海外に派兵できないから相互的に軍事出動をする安保条約は結べないけれども、その代わり、日本は、主権を放棄するがごとくに国土を割愛して、地位協定を付けて米軍に世界戦略のために必要な基地を貸しているわけでありまして、その費用まで持っている。このことはきちんと国内的にも、そして何よりもアメリカの人たちにきちんと説明する責任がある。これをただ乗りなどと言わせていることは政府の怠慢であると思います。
 それから、ODAの増額、様々な無駄な支出、それは相手国のシステムやレベルの問題があって、いろいろ出ますけれども、やはり国連の第二のスポンサーであるような大国日本にとって、国際責任、しかもやはり戦争責任をいまだに引きずっている日本にとっては、ODAというのは大変大事な支出であると私は思います。
 でありますが、最近そのルールが改正されまして、他国の軍隊関連の支援もできるということは、憲法九条が現存している限り、それから敗戦国で出直した日本としては筋が通らないのではないかと。私が常々申し上げているように、自民党は正直にこの九条論議を堂々となさるべきであると私はずっと言ってきたんですけれども、もう最近は飽きてしまいましたけれども。その上で、国策をまとめて、まとまれば進めるし、まとまらないときに勝手に進むというのは民主的でもないし立憲的でもないと私は思います。
 つまり、我が国はやはり平和国家としてのブランドが確立されていると思うんですね。これは、逆に、戸締まりをきちんとした上で平和国家としてのブランドを維持すれば安全が守られると思うんです。
 今回のことで、アフガンでかんがいの指導をしているお医者さんがいますよね。ああいう方たちが、とうとう日本が武器を持ってやってくるという認識がイスラム社会に広がることによって自分たちが危険になると訴えておられましたけど、それはデマではないと思うんですね。現実にああいう方たちが殺されたり撤退してからでは遅い。ですから、海外で軍事的なことに日本国がコミットメントするということは、本当にきちんと国内的合意を得てやるべきことであって、何か政府は数の力で押し切っている感じがいたします。
 去年、私が戦争法と呼ぶ法律が成立した後、総理は国連に行って、そういう国際的な責任を果たすことを条件に安全保障理事会に入りたいとはっきり宣言なさいました。だけれども、今の体制でいく以上、二つに分かれて軍事的ににらみ合っている世界で、どちらかの仲間にくみして安全保障理事会に入れるとどうして考えられるのか。拒否権がある以上不可能なわけでありまして、むしろ、世界史上異例、異形な平和大国日本という、これは歴史上ほかにありません、この立場で、仲裁者の立場で安全保障理事会、安全保障理事会ですから、追求するのがむしろ日本的でいいと私は本当に思うんですけれども、今そのちょうど境目に来ていて、心配であります。
 あと一つ、原発立地自治体に対する対策交付金が減額、これは、今たくさん止まっているから使いようがないから減るんですけれども、これはすなわち、実際にそういうお金をもらって動いていた自治体にとっては今不自由があるわけで、お金が増えれば自由が回復するわけで、つい再稼働に向けてという、これは動機付けにはなるんですけれども。
 ただ、福島のあの騒ぎで我々見てしまったと思うんですね。原発はまず安全でない、安くもない、そしてあれが誤作動した場合には人類のDNAと自然環境に不可逆的な被害を与える。これは、だから、我々としては、科学技術の能力として造り得たけれども、使ってはいけない禁じ手の類いであって、そういう意味では遅まきながら気付いた小泉総理は私は正しいと思うんですけれども、なぜあのお考えが世の中に広がらないか私分からないんですけど。そういう意味で、頑張って原発の再稼働に向かっていく政府にも、私はおかしいと思います。
 それとの関連でいえば、あの戦争法を制定する際に、中国の脅威と北朝鮮の脅威を途中から立法事実に加えました。最初はホルムズ海峡でと、もう一つは朝鮮半島から逃げてくる日本人の母子、それがなくなった後は中国の脅威と北朝鮮の脅威を加えましたけれども。北朝鮮の脅威が本当にあるのならば、なぜ日本海沿岸にたくさんあるあの原子力発電所をパトリオットで守らないのか。全く無防備ということは敵が攻めてこないと承知なのではないかと。となると、これは架空の立法事実になっちゃうんですよね。
 だから、そういうところが何か自民党は傲慢ではないかと言われてしまうんだと私は思います。大変残念です。これは、きちんと事実を詰めていけば、正義はちょうど中間辺りにあると思うんです。今ではまだオール・オア・ナッシングのバトンの投げ合いのような状態になっておりますが、これをきちんと、やはり大きい方の自民党が余裕を持って歩み寄って議論をきちんとかみ合わせるべきではないかと私は思います。
 少し早いですが、以上で冒頭陳述を終わります。

○委員長(岸宏一君) ありがとうございました。
 以上で公述人の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は、お二人の公述人、貴重な御意見をありがとうございます。
 まず、防衛予算に関係してお聞きいたします。
 安保法制、私どもも戦争法と呼びましたが、この審議のさなかに、この法律によって軍拡になるのではないかと、こういうことに対して、政府は中期防の枠内でしかないんだからそうはならないということが答弁でありましたが、しかし、この間の防衛費の増額、とりわけ装備のところでいいますと、このペースをはるかに上回る状況で進んでおります。
 そこで、西元参考人にお聞きしますが、この状況や、先ほどおっしゃったような様々なことを鑑みますと、中期防の見直しということが必至になるんではないかと思うんですが、この安保法制と中期防との関係、どのようにお考えでしょうか。

○公述人(西元徹也君) お答え申し上げます。
 現在の傾向から予測する防衛関係費の今後の推移、これについては残念ながら私はまだ推計をしたことがございませんので、大変申し訳ございませんが、お答えする知識を持ち合わせておりません。
 しかしながら、問題は、今後の日本を取り巻く諸情勢、それから、日本がこれだけ多くの海外資源をいただきながら、海外の、いわゆるアジア太平洋地域はもとより国際社会の平和と安定が日本の平和と安定を支える重要な要素になっておりますので、それへの貢献といったようなことも考えますと、場合によっては、今先生のおっしゃったように、増額をせざるを得ない状態というのが起こり得るとも予想されます。このことは何とも言えませんけれども。
 しかし、もしそうなれば、私は是非そのような中期防の見直しという措置をとっていただければ有り難いと考えます。

○井上哲士君 この安保法制のときに、専守防衛は変わらないんだというのが政府の答弁でありました。
 一方、実際の訓練であるとか、それから装備はその枠をはるかに超えているんではないかということを私どもただしました。例えば米国のカリフォルニアで、五十キロ、七十キロという広大な砂漠で日米が、日本から戦車を持っていって共同訓練をする、共同で侵略された国を守るというような訓練をしております。これなど明らかに専守防衛をはるかに超えていると思いますし、またF35であるとか、そして先ほどありましたグローバルホーク、それから空中給油機なども、これも超えていると私は思うんですけれども、この点、今の装備や訓練がこの専守防衛の範囲を超えているのではないか。西元参考人、そして、小林参考人も海外派兵の費用は違憲だというふうに言われましたけど、こうした費用についてどうお考えか、それぞれお願いしたいと思います。

○公述人(西元徹也君) お答えいたします。
 ただいま事例として挙げられました幾つかの件が違反になるのではないかという御下問でありますが、例えば戦車のカリフォルニアの砂漠における、あるいはアラスカの射場における共同訓練というのは、日本においてそのような射撃ができないからアメリカでやっているわけでありまして、これは海外への進出を予期した訓練ではないということだけは、私の知識では、はっきりさせていただきたいと思います。
 それから、F35、グローバルホーク、空中給油機、これらの点につきましては、あくまでも我が国の防衛、特に島嶼部の防衛あるいはその情報収集のためのものでありますから、あくまでも我が国を守る今考えている専守防衛の範囲には私は収まっていると、このように理解をいたしております。
 特に空中給油機は、遠く海外へ運ぶために、これはPKOその他のものは運びますが、戦闘部隊を運んで海外で戦争するために使われているものではなくして、この空中給油機を使うことによって、スクランブルに出た戦闘機が長時間にわたって空中で待機できるというためのものだと私は理解しておりますし、また、輸送機にも空中給油装置を付けたということがその展開をするために必要なものだと、国内でですね、特に島嶼部において展開するために必要なものだと、このように理解いたしております。

○公述人(小林節君) まず、前提問題として、教育訓練に海外に行くこと自体は海外派兵ではない、これは西元将軍がおっしゃるとおりでありまして、それから、離島の奪還の訓練というのは尖閣防衛を前提に考えているわけで、これは専守防衛に矛盾しない。やはり訓練のアイテムによって問題があると思います。
 私は、砂漠での共同作戦なんということは日本の専守防衛に一切関係ないですから、それこそ砂漠に、米軍にお付き合いすることを前提に、少なくともアメリカ側はそう思っていると私はアメリカで訓練を受けた人間として承知しております。ですから、そうやって徐々に合憲の専守防衛から海外派兵の準備が広がっているのは間違いない事実だと私は思います。
 以上です。

○井上哲士君 装備についても。

○公述人(小林節君) 済みません。
 空中給油機につきましても、私は西元将軍と同じ認識を持っているんです。つまり、飛行機って飛んでいてこそ使えるものであって、上がったり下がったり止まっているときって役に立たないんですよね、狙われるだけで。だから、長いこと滞空しているために空中で給油するというのは専守防衛に資すると私は思います。

○井上哲士君 予算の土台は政治の在り方だと思います。
 私どもは、昨年の戦争法が違憲であり、そして立憲主義を破壊するものだと。これを回復するために野党が力を合わせなくちゃいけないということで、我々は政府構想も明らかにしましたし、そしてこの間様々な、五党合意ということも行われたわけですが、与党からは野合だという批判も出ておりますが、この野合批判について小林先生の御意見をお伺いしたいと思います。

○公述人(小林節君) かつて自民党と公明党が連立を組むとき、私、創価学会の偉い方に、当時、自民党が政教分離に反して違憲な存在だと公明党を批判していたことについてわびを取れと言ったんですけれども、いいよ、そこまで言わないでくれと言われて、うやむやなままに両者合体。私はこれを野合だと思っているんですけれども、権力のために原則を曲げてくっついた。それに対して、憲法を守る、少なくとも、憲法を守る、政治を軌道に戻すという点では誰も共通項、自民党と公明党は別として共通認識だと思うんですね。これを野合と言うのは言葉の本来の意味でおかしいと思います。真っ当な連立志向であると私は思います。

○井上哲士君 ありがとうございました。終わります。

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