国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2016年・190通常国会 の中の 外交防委員会(自衛隊機貸与と安倍政権の経済外交)

外交防委員会(自衛隊機貸与と安倍政権の経済外交)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 イラン、オマーンとの投資協定に関して質問をいたします。
 投資協定は、日本の多国籍企業が海外で最大級の収益を上げるための投資促進を目的に締結をされるものであります。安倍内閣は経済政策の柱として大企業優先の成長戦略を進めてきましたが、日本再興戦略は、積極的に世界市場への展開を図っていくためとして、経済連携協定や租税条約と並んでこの投資協定の締結拡大に取り組むことを明示をしております。
 その下で、岸田大臣の今国会の外交演説では、日本外交の三本柱の一つに日本経済の成長を後押しする経済外交が強調されました。対イラン外交はその典型とも言えるわけで、先ほどもありましたように、昨年十月に同国との投資協定の締結の大筋合意をした際には、岸田大臣が経済ミッションを同行して同国を訪問をしております。
 まず、このときの同行企業数と人数、そしてこの訪問での合意された中身についてお示しいただきたいと思います。

○国務大臣(外務大臣 岸田文雄君) 昨年十月のイラン訪問には、商社、自動車、エンジニアリング、医療及びエネルギー等に関連する企業を中心に約二十社から約六十名が同行しております。

○井上哲士君 そのときの基本的合意内容についてもお願いします。

○国務大臣(岸田文雄君) そのときの合意内容、成果ですが、私自身、ザリーフ外務大臣と会談を行い、二国間関係の強化に関しては、新たに包括的共同作業計画の着実な履行を後押しするための協力、そして今回のこの日・イラン投資協定の実質合意、そして両国間の幅広い分野の協力を総覧、総括する日・イラン協力評議会の設置、こういった点について一致をしております。

○井上哲士君 こういうトップセールスは第二次安倍内閣で急増をいたしました。政府のインフラシステム輸出戦略の二〇一五年度改訂版を見ますと、総理、閣僚の外国訪問に民間企業トップも同行する等、政府一丸、官民連携によるトップセールスの精力的な展開ということが強調をされております。
 この第二次安倍内閣発足以降の民間人を同行させた総理の外遊について、昨年七月一日の衆議院での答弁では、訪問回数は十回、以下延べ数で、訪問国は二十七か国、会社数は五百二十六社、参加人数は千五百五十六人とされておりますが、それ以降、総理が民間人を同行して訪問をした時期、国、それから同行した会社数、人数、それぞれどうなっているでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 昨年七月以降ですが、昨年十月二十三日から二十七日に安倍総理はトルクメニスタン、そしてタジキスタン、ウズベキスタン、キルギス、カザフスタンを訪問していますが、その際に、企業、大学など五十団体、計三百二十名が参加しています。そして、昨年十二月十一日から十三日、総理はインドを訪問していますが、その際に、企業、大学など二十三団体、計九十二名が参加をしています。

○井上哲士君 昨年秋は野党が臨時国会の開会を求めましたが、それにもかかわらず政府は外交日程を理由に応じないという下で、憲法五十三条に基づく連名の要求書も出したわけでありますけれども、それにも応じませんでした。
 一方で総理はトップセールスにいそしんでいたわけでありますが、今のこの二回を合わせますと、経済ミッションが同行した訪問は実に十二回、延べ三十一か国、同行したのは五百九十九社、千九百六十八人という非常に大規模なものになっております。
 こうした経済ミッションを伴った外遊で、総理専用機に民間企業関係者を同乗させておりますが、こういうことは第二次安倍政権以前も行われていたんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) 安倍政権以前の総理による外国訪問でも、民間企業関係者が同行するケースはありました。しかしながら、民間企業関係者一行は総理一行とは別フライト、つまり商用便若しくはチャーター便を用意し、訪問先において合流していたと承知をしています。

○井上哲士君 ですから、極めて異例の対応が第二次安倍内閣から行われております。
 こういう総理専用機への同乗も含めて、第二次安倍内閣は歴代政権が行わなかった大規模な経済ミッションを同行させた総理や閣僚の外遊をやっているわけでありますが、これは、どういう理由でこれまでと違うこういうことが行われているんでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、総理外遊に同行する日本企業関係者は商用機を利用して訪問先まで移動すること、これを原則としています。
 ただし、訪問地までの利便性の良い商用機がない場合、あるいは訪問地到着直後に総理とともに関係行事に出席する場合など総理日程を円滑に実施するために、経済ミッションの参加者が所定の料金を支払うことを条件に政府専用機に搭乗する場合があると承知をしています。

○井上哲士君 費用を払うのは当然のことでありますけれども、大半の同行者が乗っているというような場合もあるわけで、これまでやられなかったことを非常にやっているわけですね。
 この経済ミッションを同行させた訪問で何が行われてきているか。例えば、二〇一三年四月から五月にかけてロシア、サウジアラビア、アラブ首長国連邦、トルコに訪問をした際は三菱重工など原発メーカーが参加をしております。トルコとの原子力協定で合意をし、その後、トルコのシノップ原発を三菱重工が受注をしたわけですね。
 それから、二〇一四年のインド訪問の際には東芝、日立製作所、中部電力など原発関連企業、団体が同行しておりますが、その後、一五年十二月に、インドのモディ首相との首脳会談後にインドへの原発輸出を可能にする原子力協定の締結について原則合意をしております。福島事故がいまだ収束しない下でのこうした原発輸出、国内でも批判の声がありますし、現地でも住民の反対運動が今広がっているところであります。
 また、こうした訪問を通じて多くの国との防衛協力や防衛交流の合意もされておりまして、これは武器輸出にもつながっていくということなわけですね。
 経済界はこういう原発であるとかそれから武器輸出促進への支援を求めておりますし、経団連は、二〇一四年十二月に発表した新内閣に望むという文書でも、安倍総理の強いリーダーシップの下で、官民連携の下で幅広い産業の海外展開を支援するよう求めております。総理や閣僚を先頭としたトップセールスはこういう財界からの要望に全面的に応えたものだと、こういうことではありませんか。

○国務大臣(岸田文雄君) 日本企業の海外展開を支援すること、これは政府が推し進めている成長戦略の下でこれは重要な取組であると認識をしています。
 総理自身、このインフラシステムの輸出あるいは新興国市場への日本企業の展開を支援すべく精力的にトップセールスを進めているわけですが、これは我が国の経済成長、こうした成長戦略、これを推進する上で大変重要な取組だという認識の下にこうした取組を行っていると認識をしています。

○井上哲士君 成長戦略というふうに言われましたけれども、その下で今、日本経済がどうなってきているのかと。財界、大企業は、国内では法人税の減税や労働法制の改悪を求めてまいりました。国外では、日本の多国籍企業が多額の収益を上げれるような条件整備の投資協定や租税条約の締結を強く求めてきたと。これに応えたのが安倍政権の成長戦略だと思いますが、その下で総理がまるでセールスマンかのように振る舞うと。大企業の経常利益が大幅に増える一方で、国民生活は実質賃金が下がって消費が冷え込んだままのわけですね。
 その一方で、経団連は、会員企業の企業献金の呼びかけを再開をして、野党時代に自民党への献金は十三億円でありましたけれども、一五年には二十二億円へと急増をしているわけでありまして、私は、こういう今の経済政策の在り方、これと一体となった外交の在り方、これを転換をする必要があると思うんですね。今の政治姿勢、経済政策の在り方を大企業応援から国民の暮らし応援に抜本的に転換する必要があるということを強く求めておきたいと思います。
 その上で、次にフィリピンの海自練習機TC90の貸与の問題についてお聞きをいたします。
 まず、防衛大臣、この間のASEAN各国及びインドとの装備技術協力の現状はどのようになっているでしょうか。

○国務大臣(防衛大臣 中谷元君) ASEAN諸国と我が国の防衛装備・技術協力につきましては、平成二十六年の五月、安倍総理がシンガポールのシャングリラ会合におきまして、ASEAN諸国との防衛装備協力を推進する旨表明をしたことを受けまして、各国との事務レベルでの協議を継続をしております。
 フィリピンにつきましては、平成二十八年二月に防衛装備・技術移転協定に署名、五月二日に電話会談におきまして、TC90の移転を含む防衛装備の技術協力を具体化をしていくことを確認をいたしました。
 また、マレーシア、インドネシアとの間でも協定の交渉の開始で一致をしておりまして、日・ベトナムにおきましても、こういった協力につきましての事務レベル協議の開始に合意をいたしております。
 また、インドとの協力につきましては、US2を含めて事務レベルでの協議を継続をしておりまして、昨年十二月に日印防衛装備品・技術移転協定への署名を行いました。
 このような形で、ASEAN並びにインドとの防衛装備・技術協力等につきまして意見交換を継続しているということでございます。

○井上哲士君 今も答弁ありました、五月二日にフィリピンの防衛大臣との間の電話会談で、TC90のフィリピンへの貸与が確認をされておりますが、それも含めて様々な訓練の支援ということもあるようでありますが、この確認がどういう目的で、どういう中身で行われているのか、お示しいただきたいと思います。

○国務大臣(中谷元君) 日本とフィリピンとの防衛装備協力におきましては、これは海洋安全保障分野における両国間の連携を強化をする一環として防衛装備・技術協力を推進すべく、特に人道支援、災害救援、輸送、海洋状況把握に係るフィリピンの能力向上のためにこのTC90の移転、またフィリピン海軍要員への教育訓練の支援並びにこのTC90の運用を維持していくための維持整備分野に係る支援について協力を具体化をしていくということで一致をしたわけでございます。
 この目的は、双方海洋国家でございます。我が国としましても、こういった平和と繁栄の基礎である開かれた安定した海洋の秩序を強化するということは極めて重要でありまして、海上交通の安全の確保に万全を期す必要があり、その観点からフィリピンを始めとする沿岸国自身の能力向上、これは我が国にとりましても非常に重要であると認識をいたしているわけでございます。
 また、多数の島々によって国土が成り立つフィリピンにとりまして、人道支援、災害救援、輸送、海洋状況把握に関する能力の向上、これは重要な課題であると承知をしておりまして、フィリピン自身の能力の向上は地域の安定化につながるものであるとも考えております。

○井上哲士君 フィリピンの海軍要員への教育訓練の支援も盛り込まれておりますが、どちらの国でどのような教育訓練を行うんでしょうか。

○政府参考人(防衛装備庁プロジェクト管理部長 田中聡君) お答え申し上げます。
 フィリピン海軍は、将来的にはTC90を自立して運用していきたいというふうにしておりますけれども、TC90の貸与を受けた際に直ちに運用を開始できるよう、当分の間、パイロットや整備員の教育訓練において日本側から支援を受けたいというふうに言っております。
 これらのフィリピンの要請に応えるために日本側としてどのような方法を取ることが可能か検討を重ねているところでございまして、現段階におきましては具体的な支援方法につきましては申し上げる段階にないということを御理解賜りたいと思います。

○井上哲士君 ありがとうございました。続きは午後の一般質疑で行いたいと思います。

日本・オマーン投資協定及び日本・イラン投資協定承認反対討論

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、日本・オマーン投資協定及び日本・イラン投資協定の承認に反対の立場から討論を行います。
 二つの協定は、いずれも相手国への投資を促進するために、投資設立後の投資家の権利の保護や環境整備に関するルールを定めるものであり、安倍内閣が経済政策の柱と位置付ける大企業優先の成長戦略の下、日本の多国籍企業が海外で最大限の収益を上げる投資促進のために締結されるものであります。
 日本の財界は、国内では法人税減税や労働法制の改悪を、国外では日本の多国籍企業が多額の収益を上げられるような条件整備、投資協定や租税条約の締結を強く求めています。安倍政権の日本再興戦略は、財界の強い要請と一体となって、積極的に世界市場に展開を図っていくためとして、経済連携協定や租税条約と並び、投資協定の締結拡大に取り組むことを明示しております。中東二か国を対象とする本二つの協定は、まさにこの一環であります。
 さらに、質疑で指摘したように、首相や外相を先頭に、安倍内閣の閣僚による企業の海外進出のためのトップセールスが展開をされております。こうした下で、大企業は史上最高益を上げる一方、実質賃金の低下や消費増税で景気と国民生活は悪化をしております。今求められているのは、一層の大企業支援や海外進出の後押しではなくて、国民生活支援への抜本的転換であり、格差を正し、公正な社会を実現をすることであります。
 また、二つの協定にはISDS条項が含まれております。一企業が国家を訴え、国の主権を脅かすことにつながることが懸念をされます。
 以上を指摘し、討論を終わります。

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 午前中に続きまして、フィリピンの海軍への海上自衛隊の練習機の貸与に関連してお聞きいたします。
 冒頭、岸田外務大臣も来ていただいておりますので、フィリピンの大統領選挙の問題で一言お聞きしたいと思うんですね。
 アキノ現職大統領の後継ではないロドリゴ・ドゥテルテ氏が当選確実だというふうに報じられております。報道では、南シナ海への対応も含めて外交姿勢などに一定の変化があるのではないかというものもあるわけでありますが、現時点で外務省としてどのような認識をされているか、いかがでしょうか。

○国務大臣(岸田文雄君) まず、御指摘のように、ドゥテルテ候補が当選確実になったという報道、これは承知しております。ただ、この大統領選挙の選挙管理委員会の公式発表はまだ行われておりませんので、引き続き推移は注視していきたいと考えております。
 ただ、いずれにしましても、どの候補が当選しようともフィリピンは地域の重要な戦略的パートナーであると考えています。これまで同様、フィリピン新政権との間で戦略的パートナーシップ、一層進展させていかなければならないと考えております。こうした基本的な方針は変わらないと考えます。

○井上哲士君 ありがとうございました。
 海自練習機の貸与の問題でありますが、国是とされてきた武器の禁輸政策から武器輸出促進の新三原則に転換をいたしまして、防衛装備品の共同開発や部品の提供が行われてきました。
 ただ、今回のTC90のように、災害支援派遣のときの重機などの汎用品でない防衛装備品を外国の軍隊に直接提供したという例がこれまであったんでしょうか。

○政府参考人(防衛装備庁装備政策部長 堀地徹君) ただいまの御質問でございますけれども、重機、汎用品以外に外国の軍隊に装備品を使用した例があるかということですが、これまで防衛省といたしまして、外国の軍隊に防衛装備品を提供した例といたしましては、平成二十五年十二月、国連南スーダン共和国ミッション、UNMISSを通じ、韓国隊の隊員等の生命、身体を保護するために自衛隊の弾薬、五・五六ミリ弾でございますが、を提供しております。また、昨年の五月、米国から輸入して海上自衛隊で使っておりました掃海輸送ヘリコプターMH53Eを、用途廃止済みになったものでございますけれども、その部品等を在日米軍に売却した例がございます。

○井上哲士君 そうしますと、今、弾薬と部品というお話がありましたけれども、言わば完成品というんでしょうか、こういうものを提供したのは初めてだと、こういうことでよろしいですか。

○政府参考人(堀地徹君) そういう意味で、防衛省から完成品という形での提供というのは、先ほど申しました二例でございます。

○井上哲士君 この間、例えば海上保安庁の船とかいう提供ありましたけれども、非軍事の分野での支援、そして部品などにとどまっていたものから大きく踏み込んだものになっているわけですね。
 午前中の答弁にありましたこの目的の中に、海洋状況把握というのがありましたけれども、これはいわゆる警戒監視活動も含むということでよろしいでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) この海洋状況把握というのは、MDAといいますが、マリタイム・ドメイン・アウェアネスということで、これは、海洋安全保障、海洋安全、海洋環境保全、海洋産業振興、科学技術の発展に資する海洋に関する様々な多様な情報を集約、共有をすることによりまして、海洋の状況を効果的かつ効率的に把握することとして定義付けられているわけでございます。

○井上哲士君 つまり、警戒監視活動、いわゆる警戒監視活動は含まれると、排除されていないと、そういうことでよろしいですね。

○国務大臣(中谷元君) 一般的に、その活動、活用分野の中に海洋監視等がありまして、事態への対処、未然防止、情報収集、警戒監視、偵察等がございます。

○井上哲士君 この練習機であるTC90には武器も警戒監視レーダーも搭載をされておりません。ただ、貸与後にフィリピン側が例えば武器を搭載するであるとか、それからレーダーを搭載をすると、これは可能なんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) フィリピンとの話合いにおきまして、フィリピン海軍というのはTC90を人道支援、災害救援、輸送及び海洋状況把握のために使用する予定であり、武器を搭載するということは想定していないと承知をしております。
 また、これは日本・フィリピン防衛装備品・技術移転協定、これを結んでおりまして、この第三条に、いずれの一方の締約国政府も、該当防衛装備品及び技術を他の目的のために転用してはならないとされておりまして、これで、貸与後のTC90につきましても、フィリピン側においてレーダー等を搭載することは使用目的に合致する限りにおいて可能となるわけでございますが、このレーダー等を搭載するかということの詳細につきましては現時点で何ら決まっておりませんが、日本・フィリピン防衛装備品・技術移転協定に基づいて適正に対応していく考えでございます。武器を搭載するということは想定していないということでございます。

○井上哲士君 報道では、アメリカがレーダーの搭載を支援をすると、こういうものもありました。
 今、協定等で目的外使用とかが禁じられているというお話がありましたが、第三国移転も含めて、そういうものをしっかりとチェックをする体制というものはどのようになっているでしょうか。

○政府参考人(堀地徹君) 装備移転三原則に定めますNSCの決定等に基づきまして、適切に関係省庁、防衛省においては防衛装備庁、また経済産業省、外務省と連携しながらチェックをしていくということになります。

○井上哲士君 フィリピン側にそういうのを受け入れていく体制があるのかということも含めて、疑問を呈する報道もされているわけでありまして、今後注視をしていかなくちゃいけないと思うんですが、フィリピンの方は無償貸与を求めたけれども、財政法は、国有財産については無償又は適正な価格なくして譲渡してはならないとしている関係で有償の貸与となったというふうに報道されておりますが、こういう事実関係なのかということ。それから、今後、貸与価格はどのように決めていかれるんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 現行の法制におきまして、国の財産である防衛装備品を他国に譲渡するためには、適正な対価を得る必要があるとされております。これに伴いまして、防衛省の中で今後の検討ということで有識者の検討会を開催をしていただきまして、その報告書の中には、不用となった中古装備品、部品について、能力構築支援に必要なものも含めて相手国のニーズに応じて無償又は低価で移転することも可能とする制度を整備する必要があると指摘をいただきました。
 防衛省といたしましては、この提言を踏まえて情報収集を行っているところでございますが、今後、不用となった中古品の防衛装備品を無償、低価で移転する制度を創設すべきか否かを含めまして、検討をしていく必要があると考えております。

○井上哲士君 ちょっと今のは次の通告の答弁になるんですが、今お聞きしたのは、今のこのフィリピンに対する貸与、有償貸与についてどのように、つまりこれは適正価格で貸与するということになるわけですね、現行法の下では。それはどのようにして今後決めていくのかということであります。

○国務大臣(中谷元君) ただいまお話ししたように、財政法によりまして、法律に基づくほかは適正な対価なくして譲渡若しくは貸付けを行ってはならないということにされておりまして、具体的な貸付料につきましては、この財政法の規定を十分踏まえまして、現在の価値を民間の専門家によって鑑定した上で、フィリピン政府との今後の協議によって決定をしたいと考えております。
 現在、フィリピン政府と協議を行っているところでありますので、現在の価格等につきましてはまだ協議中ということで、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 先ほどの答弁で、有識者検討会の報告書に盛り込まれた、不用な中古装備品を無償、低価格で移転できる制度が必要ということについていろんな検討をしていると、こういうお話がありました。
 実際、ASEAN加盟国を含む新興国から自衛隊が使用する装備の提供を求める声が高いという報道もあるわけですね。そうしますと、これは法律上の問題になってくるわけですが、武器輸出を財政法の例外扱いにする法案を作って、一七年以降の国会提出を検討していると、こういう報道もありましたけれども、こういうことなんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) このフィリピンのケースは無償で供与を希望されているわけでございますが、それができないということでございまして、現在は有償貸付けという方向で協議をしております。
 先ほどお話がありましたけれども、有識者会議の報告などを踏まえて、こういった不要となった防衛装備品を他国から求められた際に、防衛装備品を無償又は低価で移転する制度につきまして創設すべきであるか否か、これは検討をしていく必要があるということでございますので、今般のフィリピンの要望につきましては、今後の検討の際の考慮要素の一つであると考えておりますが、防衛省といたしましては、平和国家といたしまして、防衛装備移転三原則に基づきまして、防衛装備・技術移転に対して厳正に対応していくということは当然のことであると考えております。

○井上哲士君 中古品の無償貸与などが広がりますと、際限なく武器輸出が、武器輸出といいますか提供が広がるんではないかと懸念を持つんですが、こういう検討や、また、今回の貸与がこの地域での自衛隊の活動の拡大と一体となっております。
 去年の十一月に、日米首脳会談で安倍総理は、南シナ海における自衛隊活動を、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討すると、こういうふうに発言をされております。昨年、米国が発表しているアジア太平洋海洋安全保障戦略によりますと、この地域での領有権問題は中立の立場を取りつつも、米軍の優位性を堅持する方針が示されて、具体的には、他国軍との共同訓練、演習、それから寄港、航行の自由作戦と、こういうものが示されております。
 今年四月に入って、非常に自衛隊のこの地域での活動が活発になっておりまして、四月の三日に海自の潜水艦が十五年ぶりにフィリピンのスービック基地に寄港し、その後、十二日にベトナムのカムラン港に護衛艦が初寄港すると。そして、同じく十二から十六日にインドネシアの多国間訓練に海自艦が参加をし、そして二十六日には海自最大級の護衛艦「いせ」が同じくスービックに寄港していると、こういうことが続いているわけでありますが、この間の動きは、昨年の首脳会談で言われているような南シナ海における自衛隊活動を、情勢が日本の安全保障に与える影響を注視しつつ検討した、その結果としてこういう四月の大きな動きになっているということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(中谷元君) 基本的に日本は海洋国家でありますので、この南シナ海も我が国のシーレーンの一部でございますので、この海域の安全、そして安定航行というのは大事なことであります。その上で、この海域の平和と繁栄の基礎におきましては、開かれた安定した海洋の秩序、これを強化するということは重要でありまして、海上安全の確保に万全を期する必要がございます。
 この観点から、まずフィリピンを始めとする沿岸国自身の能力向上は我が国にとっても非常に重要でありまして、こういったフィリピン自身の能力向上は地域の安定化になるものと考えておりますし、また、米軍との共同訓練等におきましても、こういった各種訓練等につきましても、非常に我が国にとりまして必要なものというふうに認識をいたしておりまして、このフィリピン近海におきましても、練習航海や、またASEAN諸国等を始めとする共同訓練等の内容としてコモドという共同訓練が開かれました、インドネシア海軍主催の。
 こういったものに護衛艦の「いせ」が参加をいたしたり、こういった防衛協力交流を促進、強化することを通じまして、地域の海洋安全保障に資するこういう行動、行為に参画をしているということでございます。

○井上哲士君 私たちも中国による一方的な現状変更や軍事的緊張を強める行動の中止は求めてまいりました。
 ただ、今盛んに地域の安定と言われますが、日本が軍事的関与を強めることがこの地域の紛争問題の解決につながるのかどうかと、我々はやはり、これは外交交渉による平和的解決に徹するということが必要でありますし、対話によるそういう解決にこそ日本が役割を果たすべきだということを強調いたしまして、質問を終わります。

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