国会質問議事録

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外交防衛委員会(米国のパリ協定離脱問題、南スーダンPKO日報隠蔽)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 スロバキア、チェコとの社会保障協定については賛成であります。
 そこで、今日はアメリカのパリ協定離脱の問題についてまずお聞きいたします。
 温室効果ガスの排出量が世界第二位のアメリカの離脱は、地球全体の温暖化対策にとっても大変大きな後退につながる重大問題であります。米国内からも、そして世界からも厳しい批判の声が上がっているわけであります。
 トランプ大統領は、今月一日の演説で、離脱宣言とともに再交渉を行う考えも示して、その演説後にドイツ、フランス、カナダ、英国の首脳に電話で方針を伝えたとされておりますが、安倍総理には電話はあったんでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) パリ協定を含む気候変動問題につきましては、我が国は米国を含む各国との間で緊密にやり取りを行っておりますが、詳細については控えたいと思います。
 なお、私、外務大臣のレベルにおいては、ティラソン国務長官との間においてやり取りを行い、我が国としてこの脱退の表明については残念に思うということを伝え、そして、今後、日米が共に協力していく方法を探求していきたい、こういった旨を述べ、探求を行うことで一致をしている、こういったやり取りは行っております。
○井上哲士君 詳細ではなくてですね、報道でもう既にドイツ、フランス、カナダ、イギリスの首脳には電話で方針を伝えたということになっていますので、その電話があったのかどうかをお聞きしているわけですが、どうでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 首脳間でのやり取りについては控えております。ただ、様々なレベルでやり取りを行っております。その中で外相レベルのやり取りについて紹介させていただきました。
○井上哲士君 ドイツ、フランス、イタリアの三国の首脳は共同声明をその後発表しまして、協定の再交渉は断固できないという宣言をしておりますし、ほかの国々も首脳が批判のコメントを出しておりますけれども、安倍総理からのコメントというのが明確に出されていないと思いますが、これはなぜでしょうか。
○国務大臣(岸田文雄君) 米国が脱退表明しましたのは六月二日でありましたが、我が国としては同日、この同じ日に政府としてのステートメントを発出をしております。パリ協定の枠内で米国と協力を重ねたいと考えていたところ、今般の脱退表明は残念であるということ。また、気候変動問題に対処するために米国と協力していく方法を引き続き探求するとともに、パリ協定の締約国と同協定の着実な実施を進めることを通じ、この問題に積極的に取り組んでいく。こういったことをステートメントとして発出をしています。
 安倍総理も、五日の国会審議等において政府としてのこの考え方、これを明らかにしております。
○井上哲士君 私は、やっぱり他国が非常に明確な首脳のコメントを出していることと比べますと、国会答弁ということを言われましたが、かなりトーンが低いなという印象を持っておりまして、先日も、離脱断念を繰り返し求めたTPPと比べて、このパリ協定の場合は政府の姿勢が低いんじゃないかということを申し上げました。
 日本は世界第五位の排出国でありまして、地球温暖化対策にも大きな責任を持っているわけでありまして、もっとやはり強くアメリカに働きかけるとともに、日本自身の削減目標の引上げや対策を強化をして、締約国としてパリ協定の目標達成に全力を挙げるということが求められているということを述べておきたいと思います。
 その上で、次に日報問題について稲田大臣にお聞きいたします。
 先日の委員会で、日報隠蔽問題で三月十七日から行われています特別監察の中間報告についての質問に対して、できるだけ早く監察結果を報告するよう指示をしているとしながら、調査の過程でその断片的な内容等を対外的に明らかにすることは監察そのものに支障を来すおそれもあるということで、中間報告については消極的な答弁を繰り返されました。しかし、三月二十一日の記者会見のときには、国会の中で中間報告を求める要請もありますので、その点は適宜適切に何らかの報告をするということも検討していきたいと述べておられました。
 国会の要請は引き続き強いわけでありますけれども、こういう要請に応えるべきだと思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 三月十七日以降、特別、防衛特別監察が日報の問題の事実関係、これを解明するために徹底的に調査をしております。国民に対して責任を持って説明を行うということ、これは国民からの防衛省・自衛隊への信頼という観点から非常に重要だと認識をしておりますが、今委員も御指摘いただいたように、調査の過程でその断片的な内容等を対外的に明らかにすることは監察そのものに支障を来すおそれがあると思います。
 国会での御議論を踏まえながら、できるだけ早く監察結果、報告するように指示をいたしております。正確かつ公平な調査による徹底的な事実の解明が重要であることから、それらの点も踏まえた上で報告の在り方を適宜適切に検討しているということも委員会で申し上げたところです。
 今御指摘の三月二十一日の会見についてでございますが、会見の中で、国会の中で中間報告を求める要請もあることも踏まえつつ、報告の在り方を検討する旨申し述べたところでございます。
 しっかりとした徹底的な事実調査、そして国民に対する説明ということを実現してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 我々も、別に断片的なものを出せと言っているんじゃないんですね。中間報告というものは必要だと。
 もう国会は、これ会期閉じるわけですね。やはり、この国会中に大変大きな問題になった問題でありますし、きちっとやはり国会の中で一定のものは、やっぱり議論ができるということで、出すことはどうしても必要だと思います。
 加計問題なども今日出てくるようでありますけれども、これ三か月以上たつわけですね。あっ、以上じゃないです。約三か月ですよ。やはり一定のものを出して、そして国会にやはり大臣自身の責任を持った対応をするということが必要だと思うんですよ。
 いつになるか、結局、今の答弁でいいますと、いつになるか分からない。そもそも、稲田大臣の責任の下で出てきたものを検証できるのかどうかということも、甚だそうなりますと疑問になってくるわけでありますけれども、国会に対する責任を果たすという点でも一定のものをやはり出していただきたいと思いますけれども、改めていかがでしょうか。
○国務大臣(稲田朋美君) 三月十七日以降、防衛監察本部が事実を解明するために徹底的に事実関係、調査しております。その調査には、多くの関係者の聞き取り、必要な場所への立入り、様々な書類の確認等が含まれ、一定の時間が掛かり、その間の調査は独立した立場の専門家に委ねることが必要であり、そのような調査を行っているところでございます。
 何度も申しますが、早く監察結果を報告するように私も指示をいたしておりますが、正確かつ公平な調査の実施の観点も重要であることから、それらの点も踏まえつつ、報告の在り方、検討しているところでございます。
○井上哲士君 私、先日も指摘しましたけど、これ特別監察、あくまでも防衛省の中の組織なんですね。独立したものじゃないんです。そして、国会には、独自にこれを検証する任務が、責務があるわけですよ。ですから、それを結局、理由に延ばされて国会も閉じてしまうということであるならば、結局やはり隠れみのだったということに、言わざるを得なくなってくるんですね。
 この間、新しい問題も出ております。今問題になってきたのは、昨年九月三十日に開示請求をされて十二月二日に不開示になった問題ですね。
 ところが、五月の二十九日のFNNのニュースで、昨年七月のジュバでのあの大規模戦闘行為の数日後に別の情報公開請求があったと、その際に陸上自衛隊の幹部の指示によって日報の存在を隠蔽したと、こういう報道が行われました。当時の開示請求は陸上自衛隊の中央即応集団と南スーダン派遣部隊との間でのやり取りされた全ての文書の公開を求めるものであって、中央即応集団の担当者が日報のデータが残っていることを確認して上司に報告したところ、上司はばか正直に出せばいいものじゃないと叱責をして日報を開示しないよう命じて、これを受けて担当者が陸幕に対して、日報は個人保管の資料で開示すべき行政文書に該当しないと、こういう説明をして、陸幕も了承したために、昨年九月中旬に日報以外の文書だけが請求者に公開をされたと、こういう報道でありますが、確認しますけれども、昨年七月にこういう情報公開請求があったというのは事実ですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 委員が御指摘になった報道は承知をいたしております。
 現在、防衛監察本部が、様々な角度から多くの関係者の聞き取り、様々な書類の確認を行い、徹底的な事実関係の解明に向けて調査をしているところであって、報道を受けた形でその逐一について申し上げることは控えたいと思います。
 いずれにせよ、私の指示の下で、現在防衛監察本部が今回の日報に関する事実関係について徹底的に調査を行い、その結果、改善すべき体質があれば、徹底した改善に取り組むことといたしているところでございます。
○井上哲士君 いや、どういうやり取りがあったかなんか聞いていないんですよ。こういう情報公開請求はあったのかと、こういう事実について確認をしているんです。
 大臣、これ、報道を御承知なのに、そういう事実確認すら自らされていないんですか。
○国務大臣(稲田朋美君) 今申し上げたとおり、現在防衛監察本部による特別防衛監察が行われており、報道を受けた形でのその逐一について申し上げることは差し控えたいというふうに思います。
 今、防衛監察本部、これは独立性の高い立場から公正かつ中立に監察をしているところでございます。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(豊田硬君) お答え申し上げます。
 特別防衛監察の内容について逐一お答えすることは差し控えますが、一般論としまして、本件日報につきましては現地部隊から中央即応集団司令部に報告されているものでございます。
 大臣が触れました特別防衛監察計画におきましては、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係について調査をすることとしておるわけでございますが、そのために必要な調査を現在防衛監察本部において実施しているところでございまして、調査に関わる内容について報道を受けた形でお答えすることは差し控えたいと考えております。(発言する者あり)
○委員長(宇都隆史君) 速記を止めてください。
   〔速記中止〕
○委員長(宇都隆史君) 速記を起こしてください。
○政府参考人(豊田硬君) お答え申し上げます。
 繰り返しになりますが、特別防衛監察の計画におきましては、本件日報の開示決定に至るまでの一連の経緯についての事実関係についての調査をすることとしているわけでございます。
 御指摘の点も含め、そのために必要な調査を現在防衛監察本部において実施しているところでございまして、調査に影響を与える可能性のある内容については報道を受けた形でお答えすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
○井上哲士君 だから、こんなことさえ答えられないから、結局特別監察というのは事実隠しの隠れみのになっているんですよ。何にも答弁しないじゃないですか。
 これは、もしこういう事実があるんであれば、もう去年の七月の時点からあるのに、分かっていたのに隠していたということになるんですよ。重大問題なんですね。新しい事実がこれだけ出ているのに何も確認もしていない、答弁もしないと、結局、そして、国会が終わるまでに報告もしないと。
 およそこの問題の真相解明に大臣が責任持っていると私は全く言えないと思います。大臣の責任逃れの隠れみのにするようなことではなくて、国会にきちっと報告をいただきたいということを改めて強く申し上げまして、時間ですので終わります。

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