国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2019年・198通常国会 の中の 議院運営委員会(歳費三法案)

議院運営委員会(歳費三法案)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 自民・公明案の出発点は、昨年強行された参議院の選挙制度の改悪であります。選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得る、こうして参議院改革協議会の下に全会派参加の選挙制度専門委員会をつくって議論を積み重ねてまいりました。
 先ほど岡田議員から議論を尽くしたと言われましたけれども、事実と違うんですね。この専門委員会の中で報告書を作って改革協に出しました。自民党は、この報告書を出した後に、専門委員会で一切提案してこなかった案を改革協議会に提示をしたわけですよ。その内容が、合区県の自民党議員候補者を救済することを目的として特定枠をつくる、そのために定数を増やすと。まさに党利党略、御都合主義の案でありました。
 我々野党は、これは専門委員会で議論してこなかったんだから、専門委員会で引き続き協議をするべきだと求めましたけれども、自民党はそれに応じずに、倫理選挙特別委員会の職権開催を繰り返した上、委員会での審議を野党の反対の中、打ち切って、そして委員会の討論も封じて強行採決をしたと、こういう結果だったわけですね。
 ですから、当時、新聞各紙も、参議院の私物化に等しい、党の事情優先、露骨なお手盛り、裏口入学と厳しく批判をしたわけであります。直後の世論調査では、いずれも国民の厳しい声が出されました。例えば毎日、この定数増の改正公選法を評価しない六七%、評価する一八%というのが結果でありました。
 こうした国民の批判が解消されたとお考えでしょうか。

○発議者参議院議員(岡田直樹君) ただいまの選挙制度改革の経緯について申し上げれば、選挙制度専門委員会、改革協議会の下に、もう回を重ねて熟議を尽くして報告書をまとめました。そして、それを参議院議長に報告すると同時に、参議院改革協議会も開いて、そこで御説明を申し上げ、そして、二度にわたってと記憶いたしますけれども、全会派入った会議でその自民党の考えた案、すなわち参議院選挙制度の専門委員会、本当に各派から丹念なヒアリングをしたり有識者から御意見を承ったりして議論を尽くしてまいりましたが、やはり選挙制度のこととなると、各党各派、大変隔たりが大きくて溝が埋まらない状況でもございました。
 そんな中で、やはり時間の制約もあり、選挙前一年というのがやはり周知期間の常識ということを考えると、去年の通常国会で成案を得なければいけないと、こういうふうにも考えまして、報告書を出した後、極めて短い期間でありましたけれども、知恵を絞って、我々は、先ほどから申し上げておりますような、一票の較差を縮小するとともに、この合区の対象となったような人口少数地域からも代表を立て得るような、あるいは現代的な多様な民意を酌み取るような、そうした選挙制度を提案し、それを、そうした各派の、議長も入った中で、参改協でまずお示しをし、その後、議長も入った中でお示しをしたというふうに思っております。
 ですから、手続的には瑕疵がない。これは、一票の較差の縮小のため、比例選挙において多様な民意の反映などの観点から行ったのであり、特定枠をつくるために定数を増やしたわけでもございません。
 こうした我々の趣旨というものは、特定枠や定数増を含む昨年の公選法改正に対する理解というものは、我々が国民に対して説明を尽くすことによって徐々にその理解は広がってきていると考えております。いかなる選挙制度についても完全無欠あるいは批判が皆無といったようなことはないと思いますけれども、やはり、より良い選挙制度を目指して、公選法改正の際の附帯決議を踏まえ、本年の通常選挙後、超党派で選挙制度改革の検討を更に進めていかなければならないと考えている次第でございます。

○井上哲士君 関係ないことを述べないでください、時間ありませんから。私は国民の批判が解消されたと考えるかということを聞いたのでありますが、解消されつつあるという、何の根拠も示さずに言われました。しかし、そんな話はどこにもありませんよ。
 大体、今回の自公、無所属クラブ、当初の法案は、こうした国民的な批判をかわすために、定数増による経費分の参議院議員の歳費を削減するというのが案でありました。しかし、衆参で歳費が異なるのは、国民の代表である国会議員が平等の地位を有するのにおかしいと、憲法違反だと、こういう批判の声が広がる中で撤回を余儀なくされ、自主返納案を提出をし直したと。徹頭徹尾、党利党略だと思うんですね。
 五月二十四日の毎日の社説はこう書きました。昨年の公選法改正について、自民党の自己都合というほかないとした上で、いざ選挙が近づくと批判が怖くなり、歳費返納で何とかごまかそうとしているわけだと、こう書きました。
 こういう批判についてはどう受け止めていらっしゃるでしょうか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 先ほども申し上げましたが、この人口の減少によって国政に代表を送ることができなくなった人口少数県を始め地方からは、本当にこの合区を解消してほしいと、都道府県から一人は代表を送るような制度にしてほしいという、そういう意見が大変強く沸き起こっていることも事実でありまして、そうした現代社会の民意を、人口少数を含めた少数民意というものを国政に反映できるような趣旨で導入した点で、我々は何ら自己都合とか党利党略ということには当たらないというふうに確信をいたしております。現職救済ということでもありません。それは地域の、あえて言えば、合区対象になったような本当に人口が少なくて厳しい状況に置かれている地域を救う、そうした制度というふうに考えております。
 そして、その法律の改正の当初から、こうした選挙制度を更に見直していく、あるいは経費の節減を図っていくという附帯決議は付けられているわけですから、今突然、選挙が迫って、ごまかしのためにこうした法案を提出しているわけでは毛頭ございません。そうした自己都合とかごまかしといった批判は全く当たらないものと考えております。

○井上哲士君 いや、自民党というのは本当に国民世論から懸け離れているなと今の答弁を見て思いました。多くの皆さんが、これはまさに合区の自民党の議員、候補を救済するためのそういう制度だと、そのために定数増したと。だからこそ、直後の世論調査でも厳しい声が示されたわけですよ。それを全然受け止めていないということを改めて私は驚きました。
 その上で、皆さんの提出法案では、この経費の削減について検討すると第三項で書いておりますけど、先ほど来ありましたように、国民の代表としての国会が十分に責任果たしながらも、特権的経費や不合理な経費を見直すと、これは定数とは無関係に日常不断に取り組むべきだと思いますけれども、その点いかがでしょうか。

○発議者参議院議員(西田実仁君) 国会の経費の節減につきましては、確かに定数増とは関係なく、業務改善、事務改革等の一環としてふだんから取り組むべき課題であると考えております。
 この点につきましては、本年五月十日から四度にわたり開催をいたしました参議院幹事長級の会議におきましても認識の共有化が図られたものと考えておりまして、これを踏まえまして、歳費法改正附則第三項において、引き続き、参議院に係る経費の節減のための検討を更に進め、措置を講じていくことを規定しているところでございます。
 今後とも、各会派が参加して協議を行うことにより、ペーパーレス化など、議員活動やその周辺に関わる様々な業務や資料の提供、その方法の見直し、削減について幅広く取り組んでまいりたいと考えております。

○井上哲士君 定数増による経費増をどう賄うかと、その角度から議論をしますから、できることもできていないというのが実態なわけですよ。
 ペーパーレス化、いろんな課題があります。しかし、少なくとも衆議院でも質問主意書のペーパーレス化については、これはもう各会派、合意をしたわけですね。今後、例えばこれも参議院でやるということになったら、本来いつでもできるのに、これは定数増の部分を賄うためだと、こういう宣伝のために使うわけでしょう。これもまた私は党利党略を重ねるものだと言いたいわけですね。結局、これと一体でやろうとするからそういう事態が起きているということも指摘をしておきたいと思います。
 先ほど、選挙執行経費のお話も出てまいりました。選挙執行経費というのは有権者が参政権を行使するための費用でありますから、本来これは定数とは全く関係のない話なんですね。ましてや選挙期間を短くするということは、有権者の参政権に深く関わる問題であります。
 昨年、国民に分かりやすい政見放送にするためということで、ビデオ持込み方式を可能とする法律が通りました。これで予算は六億三千万円が計上をされております。しかし、当時、定数が増えて経費が増えているんだから、こんな新たな経費増はやめるべきだと、こんな議論はどこでもありませんでした。これ別の問題なんですね。あくまでもやっぱり有権者の参政権の行使のためには必要な経費であったら出すというのが、我々は判断したわけですよ、国会としては。
 ですから、私は、この選挙期間を始めとした選挙執行経費は、こういう定数問題などとは切り離して、国民の参政権をどう保障していくかという観点で議論されるべきだと思いますけれども、その点どうでしょうか。

○委員以外の議員(西田実仁君) この参議院に係る経費の節減の一環として、参議院選挙の執行経費の節減についても検討していくことも必要ではないかと私どもは考えております。
 お尋ねの参議院選挙の選挙期間の短縮については、倫理選挙特別委員会での議論の中でも提起されているものであり、参議院選挙の執行経費の節減に関する選択肢の一つとなり得るとも考えておりますが、他方で、有権者の選択、他の選挙とのバランスなどの問題もございます。それらのことも考慮しつつ検討していかなければならない課題であると考えております。

○井上哲士君 あくまでも有権者の参政権をどう保障していくのかということで考えるべきだということを重ねて申し上げておきたいと思います。
 続いて、歳費の在り方についてお聞きいたします。
 議員歳費というのは、諸外国でも歴史的に、普通選挙の下で政治参加の機会を全ての者に対して実質的に保障する、そのものとして国庫支出が行われるようになりました。日本において、議員歳費は、憲法四十四条や四十九条に立脚をして、国会法三十五条で原則を定めております。
 この歳費を議論するには、国会議員とは何か、歳費とは何かという根本問題から衆議院を含めて各党会派の参加の下で丁寧に行う必要があると思います。
 憲法四十四条は、国会議員の資格を財産や収入等で差別してはならないと明記をし、四十九条は、「両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受ける。」と定めております。これは、労働者など資力のない国民も国民の代表として活動することを保障したものでありまして、これを踏まえて、議員が国民の代表として活動するにふさわしい額は何かということを、手当などを含めた議員の処遇全体を思慮に入れて議論をすべきだと考えております。
 そこで、維新、立憲、それぞれの提案者にお聞きいたしますが、この維新案の二割削減、それから立憲案の七万七千円の削減というのは、何をもって憲法四十九条の定める相当額に当たると、こう判断されたんでしょうか。

○発議者参議院議員(藤巻健史君) 憲法四十九条は、両議院の議員につき相当額の歳費を受け取ることを保障しており、この相当額については、例えば職務を遂行し、その地位にふさわしい生活を維持するために必要な額などと解釈されており、それなりに幅のある総体的なものであると考えられるところであります。
 これまでは、先ほど舟山議員のところで議員歳費の削減の経緯を申し上げましたけれども、そこで申し上げた、平成二十四年十二月一日から平成二十六年四月三十日までの間、歳費月額及び期末手当の二割を減額した例があります。
 それについては、憲法第四十九条の相当額に相当するとそのときにも判断されたというふうに考えられまして、それをもって考えますと、私どもの本法案は憲法四十九条に反することはないというふうに考えております。

○発議者参議院議員(難波奨二君) お答えいたします。
 憲法四十九条の定める相当額でございますが、議員たる職務に相当する額といった意味であると承知をしているところでございます。この判断に当たりましては、国政に対する国民の信頼の状況等を踏まえることも排除されていないと解されるところでございまして、本法律案は、党利党略と言うべき昨年の参議院議員定数六増法による国民の政治不信の高まりなど、現下の政治状況等を踏まえまして、定数増に伴う当該額を減じたものを相当額として判断したところでございます。

○井上哲士君 御答弁ありましたけど、私は、やっぱり議員が国民の代表として活動するにふさわしい額は何なのかという角度から十分な根拠が示されたとは言えないと思います。
 更に聞きますけど、国会法三十五条は、議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額よりも少なくない歳費を受けると定めておりますけれども、この立法趣旨はどういうことでしょうか。

○事務総長(郷原悟君) お答え申し上げます。
 昭和二十一年に公布されました憲法四十九条を受けまして、翌二十二年に国会法におきまして、この相当額の具体的な基準を定めるために第三十五条が定められました。
 これにつきまして、立法趣旨として、草案の検討段階におきまして、最高機関の構成員としての権威と機能を十分発揮するためとの議論があったと承知いたしております。

○井上哲士君 国権の最高機関にふさわしいものということでありますが、佐藤功先生の注釈全書「憲法」では、明治憲法下の議員の地位、待遇が官吏に及ばなかったと、これを改めて、その地位、待遇を最高機関たる国会の構成員に値するよう高めるという思想の表れだと、こういうふうに解説もしております。
 この維新案では、二割削減の結果、この一般公務員の最高額を下回ることに歳費はなるわけでありますが、この点について、法案では国会法三十五条にかかわらずとしておりますけれども、この立法趣旨は、歴史的経緯からどういう関係を考えているのでしょうか。

○委員以外の議員(藤巻健史君) 先ほど、三十五条の特例として私どもは規定したわけでございますけれども、やはり同じように先ほど舟山議員の回答に議員削減の歴史を申し上げたと思いますけれども、その最初のとき、東日本大震災の直後に五十万円、歳費月額五十万円を減額するという法案が通りました。これは全会一致でございます。
 ということは、その時点でその二割削減は特例として認めてもいいというふうに全会で納得した結果だと思っておりますので、今回もそれを規定したわけでございます。

○井上哲士君 当時、私どもはこの点についても様々な意見を申し上げましたけれども、当時の様々な国民感情とかいろんなことも考慮をしながら全会一致という結果になったと思いますが、私は、改めて今、こういうことの立法措置、趣旨、そして憲法との関係ということをしっかり議論をする必要があると思いますし、それはやはり両院の政党間の十分な協議を行って、その合意の下に行われるということが必要だと思いますし、そういう丁寧な議論が決定的に不足しているんじゃないかということを思いますけれども、いかがでしょうか、維新の提案者。

○委員以外の議員(藤巻健史君) 議論が不足しているのであれば、前々から議論をするべきだと思います。
 私ども今までも十三本のコスト削減法案を提出しておりますけれども、ことごとく取り上げていただいておりませんので、もしそういうようなことを含めて討論するべきというのであれば、是非私どもが提案した法案を審議していただきたいというふうに思います。

○井上哲士君 続いて、私、政党助成金についてお聞きしたいと思うんですが、我が党は、国会の経費や議員の待遇について言うならば、特権的な役員手当の廃止とか文書通信交通滞在費の見直しが必要であって、何よりも、総額が年間約三百二十億円の政党助成金の廃止に踏み出すべきだと主張してまいりました。
 国民は、自らの思想、政治信条に従って支持政党に寄附する自由と権利を持っております。政治資金の拠出は国民の政治参加の権利そのものであります。ところが、税金を政党に配分する政党助成金の仕組みによって、国民は自ら支持しない政党に対しても強制的に寄附をされるということになるわけですね。私たちは、こういう制度は思想、信条の自由や政党支持の自由を侵す憲法違反の制度だということを指摘をして、その創設に反対をいたしました。そして、反対をするだけではなくて、一貫してこの政党助成金の受取を拒否してまいりました。
 今、経費節減ということを言うのであれば、こういう政党助成金の廃止や見直しこそ行うべきだと思いますけれども、それぞれの法案の提案者、それぞれお願いいたします。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 政治活動に関する献金の在り方については、長年の議論を経て企業・団体献金は政党などに対するものに限定されるなど種々の改革が行われてまいりました。この井上先生今御指摘の政党助成制度についても、こうした改革に合わせて、議会制民主政治における政党の機能の重要性に鑑みて、政党の政治活動の健全な発達の促進及びその公明と公正の確保を図ることを目的として創設されたものであると考えております。議会政治や政治活動の根幹に関わる重要な意義を持っていると認識しています。
 したがって、政党助成制度については、私どもは直ちに見直しが必要とは考えておりませんし、また、その見直しについては慎重な検討が必要だろうと考えているところであります。
 政党交付金は、国民から徴収された税金その他の貴重な財源によって賄われるものでありますから、そのことは当然重く受け止める必要がございます。そうした上で、国会の経費の節減については、業務改善、事務改革等、先ほどからお話が出ておりますような様々な手法をもってふだんから取り組むべき課題であると考えておりまして、政党助成制度とは別に検討を進めるべき問題であると考えているところであります。

○委員以外の議員(難波奨二君) お答えをいたします。
 御党のお考えは承知しているところでございますが、政党助成法第一条におきましては、政党交付金は、議会制民主主義における政党の機能の重要性に鑑み、政党の政治活動の健全な発展の促進を図り、もって民主政治の健全な発展に寄与することを目的として交付されているところと承知しております。
 ここで言う政党の政治活動とは、必ずしも国会での諸活動のみにとらわれないものと判断をしているところでございます。

○委員以外の議員(藤巻健史君) 適正に運営されているということが大前提でございますけれども、適正に運営されているのであるならば、政党助成金というのは、政党の政治活動の健全な発達の促進とその公明と公正の確保を図り、民主政治の健全な発展に寄与することを目的としていると考えております。
 したがいまして、政党助成金は正当性があると私どもは考えております。

○井上哲士君 政党助成金そのものについては、各党それぞれの意見があると思います。私どもの意見も申し上げました。
 しかし、この政党助成法にはそもそも施行後五年の総額見直しの規定もあるわけですね。そこでは、「政党の政治活動の状況、政党財政の状況、政治資金の個人による拠出の状況、会社、労働組合その他の団体の寄附の状況等を勘案し、その見直しを行うものとする。」と、こう書いてありますけれども、この五年後の見直しは行われておりません。
 そして、健全に運営というお話もありましたけど、この制度導入の際には提案者から税金に過度に依存しないことが必要と、こういう議論もあったわけですけれども、今、少なくない党は党本部の運営資金の相当部分を税金に依拠しているという実態もあるわけですね。
 大体、私どもは受け取っておりませんけれども、我々が受け取らない額は、全体が減るのではなくて、その分は各党の配分に上乗せをするという、こういう仕組みになっているわけですね。私どもが受け取っていない額は多分昨年でも二十数億円になると思うわけで、例えばその半額以上の十数億円は自民党に上乗せ配分ということになっているわけですね。
 こういう問題も含めて見直す必要はない、問題はないと、こういうお考えなんでしょうか。自公提案者、いかがでしょうか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 政党交付金制度は、国が政党に対し政党交付金による助成を行うことにより、政党の政治活動の健全な発達の促進及び公明と公正の確保を図ることを目的としている、先ほども述べたとおりであります。このことを前提に、政党交付金を受ける場合には届出を行うこととしていて、また、届出を行った各政党へ交付する政党交付金の額は国会議員数と得票数により算定するということになっております。
 したがって、届出のない政党について交付額を算定するということは困難なことでありまして、結果として届出のあった政党の間で政党交付金の総額が配分されることになっても、これはやむを得ないことではないかと思われます。仮に、届出のない政党についても交付額を算定し、それを国庫にとどめ置くこととする場合には、政党交付金制度の基本的な仕組みに関わることになり、これは慎重な検討が必要であると考えます。
 なお、政党交付金による対応は参議院だけにとどまるものではなく、また参議院に係る経費の節減につながるものでもないということを付言したいと思います。

○井上哲士君 今るる説明がありましたけれども、いや、あなた方がそういう仕組みをつくったんですよ。申請しなかった分は全体で上乗せをすると、そういう仕組みがおかしいんじゃないですかと、これも含めて見直す必要がないということなのかということを問うているわけでありますし、先ほど来ありますように、私は参議院の定数の分の経費を賄うためにどうかという話をしているんじゃないんです。全体としての問題として、ここにメスを入れるべきでないかということを言っているわけで、この点、今、もう一度自公から答弁いただけますか。

○委員以外の議員(岡田直樹君) 私どもは、政党が健全な活動を行う、日本国憲法には政党という条項がなく、政党というものが位置付けられていないというふうに承知しておりますけれども、やはり国民全体でその健全な政党の活動を支えていくという仕組みがこの政党助成制度であると考えております。
 したがって、原則としては、原則としてというか、大半の政党はそれを申請をし、受けているという状況、これは何ら批判さるべきものではなくて、この政党助成法の趣旨にかなったものと思いますし、御党におかれてはその主義主張から受け取らないと、こういうことでありますけれども、これはたしか国民お一人幾らという、そういう額も定まっていて、それを全体で配分しているわけでございますから、この点については私どもは、現状の運用で差し支えないというか、特に問題はないというふうに考えておるところであります。

○井上哲士君 私は廃止をすべきだという立場でありますけれども、それが違うとしても、少なくとも他党が申請しなかった分をほかの党が上乗せして預かる、取るというようなことについては、これはおかしいということをやはり私は考えていただくべきだと思うんですね。この額だけでも、先ほど言いましたように、私たちが受けていなかったのは昨年だけでも二十億以上になるわけでありまして、自公が提案をした今回の削減案よりもはるかに大きな金額になるわけですよ。
 ですから、こういうことも含めてしっかり議論をするべきでありますし、改めてこの政党助成金廃止、見直しを強く求めまして、私の質問を終わります。

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○井上哲士君 日本共産党を代表して、まず自民、公明、無所属クラブ提出の法案について反対討論を行います。
 本法案のそもそもの出発点は、一票の較差を是正する参議院選挙制度の抜本改革とは全く無縁な、合区の県の自民党の候補を救済する目的で比例代表に特定枠をつくるために定数を増やすという、昨年強行された党利党略の公選法改定であります。これには、参議院の私物化、露骨なお手盛りと厳しい批判の声が上がりました。この批判をかわすために、定数増による経費分の参議院議員の歳費を削減するというのが当初の案でした。それに対し、国民の代表である国会議員は平等の地位を要するので衆参で歳費が異なるのは憲法違反だなどの批判が広がる中で撤回を余儀なくされ、自主返納とする案を提出し直したものであります。徹頭徹尾党利党略であり、許されません。
 歳費の問題を議論するには、国会議員とは何か、歳費とは何かという根本問題から、衆議院を含め各党会派の参加の下で丁寧に行う必要があります。国会議員は国民の代表であり、その選び方は、いかに国民の民意を正確に反映するかが問われなければなりません。そして、憲法四十四条は、国会議員の資格を、財政や収入等で差別してはならないと明記しており、憲法四十九条は、両議院の議員は、法律の定めるところにより、国庫から相当額の歳費を受けると定めています。これは、労働者など資力のない国民が国民の代表として活動することを保障したものです。また、国会法三十五条は、議員は、一般職の国家公務員の最高の給与額より少なくない歳費を受けるとしていますが、これは、明治憲法下の議員の地位、待遇が官吏に及ばなかったことを改め、その地位、待遇を最高機関にふさわしいものとするためとされています。
 これを踏まえ、歳費については、議員が国民の代表として活動するにふさわしい額とは何かという視点で、手当などを含めた議員の処遇全体を視野に入れて議論をすべきであります。
 維新の会提出法案、立憲民主党提出法案は、いずれも、こうした歳費に関する根本的な議論を衆議院も含めた各党会派参加の丁寧に行われないままに提出されたものであり、賛成できません。また、維新案は、一般職公務員の最高額より低い歳費としておりますが、国会法三十五条の規定にかかわらずとする十分な根拠は示されておりません。
 国会の経費や議員の待遇について言うならば、特権的な役員手当の廃止や文書通信交通滞在費の見直しなどが必要であり、何よりも政党助成金の廃止に踏み出すべきであり、これを含めた十分な議論が必要であります。
 以上述べて、三法案に対する反対討論といたします。

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