国会質問議事録

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外交防衛委員会(新型コロナ途上国支援/辺野古軟弱地盤/反対討論)

井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。

 協定については討論で述べますが、コロナの全世界的な感染拡大の中で、経済のグローバル化、その在り方について議論が起こっております。

 一方、感染対策については国際社会が一体で取り組む必要がある。国連は三月二十五日に医療体制が脆弱な途上国などへの二十億ドル規模の世界的人道支援計画を始動させました。その後、日本として途上国支援は緊急経済対策と補正予算に盛り込まれました。

 さらに、国連は、グテーレス事務総長が七日、人道支援計画の規模を六十七億ドル、当初の三倍以上に拡大をして先進国などに緊急の拠出を求めるアピールを発表しております。新たな活動地域としてモザンビークやパキスタンなど九か国を加えて、グテーレス氏は会見で、途上国の数百万人の人々の命を守るとともに、ウイルスが世界をもう一周することを防ぐための資金が必要だと述べております。日本国内でのコロナ対策、更に強化すると同時に、こういう国際的な感染爆発を止められなければ終息はないと思います。

 日本としての途上国への一層の支援についてどのようにお考えでしょうか。

○外務大臣(茂木敏充君) 医療体制が脆弱な途上国への支援、極めてこの段階で重要だと考えております。

 五月七日に国連が発表しました新型コロナウイルスに関するグローバル人道対応計画の改訂版では、その支援資金の額、三月の二十億ドルから六十七億ドルに大幅に拡大をされたわけであります。

 新型コロナウイルス感染症対策については、医療体制が脆弱な国への支援が国際社会の大きな課題でありまして、日本としてもその重要性につき国際社会に提言をしてきているところであります。

 昨日の国際電話でもその話、私の方から提起もさせていただいたところでありますが、かかる認識に基づきまして、三月には途上国の医療従事者等への技術協力や国際機関に対する拠出金を計上するなど、日本として早い段階から国際協力を進めてまいりました。

 また、四月の三十日に成立をしました令和二年度の補正予算におきまして、無償資金協力によります医療関係機材の提供であったりJICAによる技術協力、そして、能力構築支援等の予算及び医療従事者等への技術支援や医療、保健施設への物資支援等を実施している国際機関への拠出金、合計で八百四十億五千万円、これを計上しているところでありまして、我が国としては、国際社会や各国の支援ニーズを踏まえつつ、国際社会の先頭に立って、保健システムが脆弱な国、しっかりと支援をしてまいりたいと考えております。

井上哲士君 補正予算の成立後にJICAから発表文書が届きましたけど、情けは人のためならずと申します。海外での感染を終息させなければ日本経済の完全復活もなし得ませんということで取り組むということがございました。

 今、補正のこと、第一次補正の話ありましたけど、更に一層の、国連も規模を拡大しているわけでありますから、支援の強化を求めたいと思います。

 このように、コロナ対策で国際社会が一体となって取り組んで、国内においても緊急事態宣言が出される中、国も自治体も全力を挙げるべきときであります。ところが、そのさなかの四月の二十一日に、辺野古の新基地建設の軟弱地盤の改良工事に伴う設計変更申請が沖縄県に提出をされました。

 この前日の二十日に、新型コロナ感染に伴う県独自の緊急事態宣言を発表をしたところだったんですね。そして、県や関係機関は対応や相談に忙殺をされる一方で、外出自粛も受けて、県庁職員も半分は在宅勤務を始めたと。その日の朝に、何の事前連絡もなくて、県の北部の土木事務所の窓口に防衛局が突然訪れたと。在宅勤務中の担当職員も一人急遽呼び出されると、こういう事態になりました。今後、真相を求められることになると。

 玉城デニー知事は会見で、県が求める対話に応じることなく、県民に十分な説明もしないまま、埋立工事の手続を一方的に進めることは到底納得できないと、国、県は新型コロナ対策に主眼を置くべきだと、政府の姿勢に疑問を呈さざるを得ないと強く批判をいたしました。

 この間、大臣も繰り返し、沖縄県民に寄り添うというふうに述べてこられましたけれども、こういう状況の中でこういう提出をしたということは、言っていることとやっていることが私は違うと思いますけれども、いかがでしょうか。

○防衛大臣(河野太郎君) 沖縄防衛局において、これまでも十分な検討を行った上でできるだけ早く提出したいとお答えをしているところでございます。

 一日も早い普天間飛行場の返還の実現を目指して努力してまいりたいと思います。

井上哲士君 今の大臣の答弁を聞いて、ああ、沖縄県民に寄り添ってくれているなと感じた方がどれだけいるのかと私は思います。

 地元紙の社説は、コロナ対策よりも新基地建設を優先する構図は県民の命を軽視していると言わざるを得ないと、こう指摘いたしました。こういう声が上がっています。それを受け止めるべきだということを強く申し上げたいと思います。

 そして、これ、やり方と同時に、申請の内容も大問題なんですね。

 手元に図をお配りをしております。【配付資料200512.pdf】防衛省の資料でありますが、C1護岸が造られる地点の地層の断面図であります。谷となった海底の基盤に土砂や粘土が堆積をしているわけでありますが、問題になっているB27ポイントというのは、この標準断面一のところでありますが、九十メーターまで、海面下、堆積をしていることが分かります。

 防衛省は、この図の濃い青い部分、Avf―c2層は非常に固い粘土層だと。だから、七十メートルより深いところの土層は非常に固い粘土層が分布するので、七十メートルまで地盤改良を行えば大丈夫だとこの間繰り返し答弁をしてこられました。しかし、このB27ポイントについては実際ボーリング調査は行われておりません。あくまでも推測で非常に固い粘土層と言っているという問題があります。

 しかも、重大なことは、この表、市民団体の皆さんがよく精査をいたしますと、Avf―c2層というのは七十メーターじゃないんですね。七十七メーターから下になるんです。つまり、七十メーターから七十七メーターは軟弱地盤が存在をしているということなんですよ。この間防衛省が繰り返し答弁をしてきた、七十メーターより深いところの層は非常に固い粘土層が分布しているというのは、この資料と照らしても違うんじゃないですか、いかがでしょうか。

国務大臣(河野太郎君) 昨年一月の報告書は、キャンプ・シュワブ北側、大浦湾側の護岸などが安定性を満足し、施工が可能であることの確認を行ったものであり、特定のポイントではなく、C1護岸周辺では、ボーリング調査等の結果を総合して、非常に固いに分類される粘土層Avf―c2層は水面下七十四メーターからと設定していました。

 昨年の通常国会等においては、C1護岸周辺において、水面下七十四メーターより深いところについて、非常に固いに分類される粘土層が存在することが推定されることを踏まえ、水面下約七十メーターより深いところでは非常に固いに分類される粘土層が分布しているといった御説明をしてきたところでございます。

 その上で、昨年九月の第一回技術検討会でお示ししたものは、沖縄防衛局において、地盤改良を含む埋立工事の設計、施工を具体的に検討するに当たり、必要な設計条件を設定するため、これまでの土質調査の結果を、土の層の三次元モデルを作成し、その面的な広がりを考慮するなど、より詳細に整理、分析したものであります。この詳細な整理、分析の結果、B27地点におけるAvf―c層とAvf―c2層の地層境界を水面下約七十七メーターと設定をしているものでございます。

 B27地点において、非常に固いに分類される粘土層の境界を水面下七十七メーターとする条件下においても、一般的で施工実績が豊富な工法によって地盤改良を行うことにより、護岸等の安定性が確保できることを確認しているところでございます。

井上哲士君 ここは過去何度も私も質問しましたし、国会で問題になってきたんですね。

 今、約七十メートルと言われましたけど、過去の議事録を見ましても、約なんか付いていないんですよ。七十メートルより深いところの土層は非常に固い粘土層が分布すると繰り返し繰り返し答弁をしてきたんですね。今、七十七メーターというのは国会で初めて言われたはずですよ。

 なぜこの七十七メーターまで軟弱地盤があるということを隠してきたのか、なぜ事実と異なる答弁を繰り返してきたのかと、こういう問題なんですが、いかがでしょうか。

国務大臣(河野太郎君) 昨年一月の報告書においては、特定のポイントではなく、C1護岸周辺では非常に固いに分類される粘土層は水面下七十四メーターと設定し、昨年の通常国会等において、水面下約七十メーターより深いところについては非常に固いに分類される粘土層が分布しているといった御説明をしてきたところでございます。

 その上で、昨年九月の技術検討会でお示ししたものは、地盤改良を含む埋立工事の設計、施工を具体的に検討するに当たり、これまでの土質調査の結果をより詳細に整理、分析したものであり、B27地点におけるAvf―c層とAvf―c2層の地層境界を水面下約七十七メーターと設定をしたところでございます。

井上哲士君 全く同じことを繰り返すだけで、答えになっていないんですよ。

 七十七メーターまでAvf―c層、軟弱地盤があるということは国会で一度もこの間言ってこなかったんですね。

 私、じゃ、なぜこの七十メーターから七十七メーターまで軟弱地盤が残っていても構造物の安定を確保できると、このことは検討会、技術検討会で議論されたんでしょうか。

○防衛省 大臣官房審議官(村岡猛君) お答え申し上げます。

 構造物等の安定性は、必ずしも十分に固く安定した土の層に達する深さまで地盤改良をしなくても確保し得るものであると承知をしております。

 その上で、昨年一月の報告書は、沖縄防衛局におきまして、キャンプ・シュワブ北側、いわゆる大浦湾側でございますけれども、この護岸等が安定性を満足し、施工が可能であることを確認を行ったものであります。それまでの土質調査の結果を基に構造物等の安定性を検討した結果、水面下約七十メートルまで地盤改良を行うことによりまして、護岸や埋立て等の工事を所要の安定性を確保して行うことが可能であることが確認されました。

 沖縄防衛局におきましては、その昨年一月の報告書を踏まえつつ、地盤改良等の具体的な設計等の検討を進めまして、これまでの土質調査の結果を土の層の三次元モデルを作成しまして、その面的な広がりを考慮するなど、より詳細に整理、分析した上で、有識者の意見、知見も得ながら、より合理的な設計、施工を追求してきたところでございます。

 この中で、技術検討会においても、水面下約七十メートルまで地盤改良を行うことによりまして、護岸等の工事を所要の安定性を確保して行うということが可能であるということをお示ししてまいりました。この技術検討会でお示ししました内容につきましては、地盤等につきまして専門的な知見を有する技術検討会の委員からも、特段の異論は示されませんでした。

井上哲士君 私、議事録を読みましたよ。一言も、七十七メーターまで軟弱地盤があるなんということは報告されていませんよ。議論されていませんよ。結局、あのB27ポイント、実際には共同調査をやっていたという資料も、膨大な資料の末尾について何の説明もしなかったんですよ。都合の悪いことは全く説明をせずにこうやって進めるというやり方は絶対に許すことができません。しかもこれ、環境アセスもやり直さないというんですね。これだけの砂ぐい七万一千本を作るような大工事が行われるにもかかわらず。

 県の埋立承認撤回を取り消した国土交通省の裁決を違法として行われた訴訟の判決が十三日に那覇地裁でありましたけれども、軟弱地盤問題が実際に存在することが、政府も認め公知の事実になっていて、本来、これに伴う設計の概要変更につき沖縄県知事の承認を受ける必要があり、それに際して改めて環境影響評価が実施されるべきことと判決の中で書かれました。私は、この判決の指摘をしっかり受け止めて環境アセスもやり直すべきだと思いますけれども、いかがでしょうか。

国務大臣(河野太郎君) 環境影響評価法において、事業者は、事業に着手した後は、事業の実施による周辺環境の状況を把握するための調査を行うとともに、その結果を踏まえ、環境の保全についての適正な配慮をしていくものとされており、既に事業に着手している現在においては、環境影響評価の手続をやり直す必要はないと考えております。

 これは、本年の予算委員会で小泉環境大臣も同様の御答弁をされているものと承知しております。

井上哲士君 時間ですので終わりますけれども、これ、前から軟弱地盤が指摘をされて計画変更が必要だと言われながら、その前に土砂投入を始めて事業を進めて、要するに既成事実をつくったわけですよ。問題があるのを分かりながら、既成事実をつくっておいて、だからもう環境アセスは必要ないというのは、私は本当に制度の趣旨をゆがめるものだと思いますし、それを司法は指摘しているんだと思います。

 こういうことはやめて申請も取り下げるということも改めて求めまして、質問を終わります。

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○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、UAE、モロッコ、ヨルダン、コートジボワールとの投資協定及び日本・ASEAN包括的経済連携協定第一改正議定書の承認に反対の立場から討論を行います。
 今回の投資関連協定五本は、安倍内閣が進める大企業の利益優先の成長戦略の一環であり、日本の多国籍企業の海外転換を促進するために、相手国との間で投資を促進するために国内外にまたがる投資環境の整備を図るものです。とりわけ、UAE、モロッコ、コートジボワールとの協定は日本経団連などからの早期締結の強い要望に応えたものにほかなりません。
 政府の投資環境整備に向けたアクションプランは、二〇二〇年までに百の国・地域を対象に署名、発効することを目指すとしていますが、今回の五つの協定議定書で計七十七か国、現在交渉中の国を含めると九十四か国がカバーされることになります。
 ASEANとの改定議定書は、新規参入時点での無差別待遇を規定したいわゆる自由化型の投資ルールやサービス産業のルールを新たに盛り込むものです。ASEANとの協定は、国内の下請企業への単価切下げや産業空洞化を招くおそれがありながら、東南アジア地域内での日本企業の企業内貿易の関税負担の撤廃を図るために結ばれたものであり、さらに、今回の改定を行うことは、日本の多国籍企業の海外進出のための環境整備という協定の性格を一層強めるものであります。
 以上を指摘して、討論を終わります。

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