国会質問議事録

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決算委員会(男女共同参画基本計画 国連勧告の記述削除/核先制不使用/米軍核爆撃任務部隊と自衛隊の共同訓練)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 昨年の外交防衛委員会で女性差別撤廃条約の選択議定書について質問いたしました。茂木大臣からは早期批准について検討を加速するという答弁もあって、期待の声が上がっております。
 一方、先日発表されたジェンダーギャップ指数は百二十位、世界で、低いままでありますし、政治分野では百四十七位に落ち込みました。四月十日は女性参政権行使七十五周年であって、様々な取組がありましたけれども、こういう現状の解決を求める声が上がっております。
 この解決すべき課題の一つが、国連の女性差別撤廃委員会からも繰り返し勧告を受けている夫婦が同姓を義務付けている民法の規定であります。女性の九六%が結婚で姓を変えているという実態の中で、生活や仕事など、様々な問題があります。
 通称使用は拡大しているといいますけれども、やっぱり国際社会では通用しない場合が多いんですね。国連の女性差別撤廃委員である秋月弘子さんも、旧姓の秋月で立候補し、委員に当選後、国連では戸籍名しか使えないことが発覚して、家族で話し合って、離婚まで決意したと、世界の女性のために仕事をしようという思いと裏腹に、日本の法律で離婚しなければならない現実に悔しさを覚えたと。幸い、外務省が掛け合って、撤廃委員会の会議に旧姓での出席が認められて離婚は避けられたけれども、男性には想定できないだろうと語っておられます。
 国際的な経験も豊富な茂木大臣のこの選択的夫婦別姓の必要性についての御認識をまずお聞きしたいと思います。

○外務大臣(茂木敏充君) 御指摘の問題について、様々な意見あると思いますし、国際社会全体でいいますと、これは選択的夫婦別姓認めている国が大半であると、このように認識をいたしております。
 同時に、これから少子化社会を迎えるという中で、もちろん、結婚される年代、八十歳で初めて結婚される方もいらっしゃるでしょうけど、一般的には若い方が私は多いんだと思います。そういう若い方がどういう意見を持っているかというと、この選択的夫婦別姓については賛成の意見がかなり多いんじゃないかなと、こういう認識を持っております。
 いずれにしても、ジェンダー平等であったりとか女性のエンパワーメント、経済社会に多様な視点、そして新たな創意工夫をもたらし、社会の活力を生み出す大きな源であると、このように認識をいたしております。

○井上哲士君 国際的な経験も踏まえて御答弁をいただきました。
 国連の女性差別撤廃委員会は、この問題も含む女性差別撤廃条約の日本政府のフォローアップ報告に対する評価文書を二〇一八年の十二月十七日に日本政府に送っておりました。ところが、外務省は、公表もせずに、所管する内閣府の男女共同参画室にも報告していなかったということを、先日の法務委員会やODAの特別委員会で沖縄の風の高良議員が指摘をされました。
 それによりますと、高良議員が昨年九月に問い合わせた際に、外務省は、英文の公表も仮訳の予定もないという対応だったと。今年三月十五日に高良議員が外務省と内閣府を呼んで尋ねると、内閣府がやっと取り寄せた、翌日にホームページに掲載し、仮訳の作業に着手したという答弁でありました。
 なぜ外務省は、これ二年間も内閣府に報告せずに、公表も仮訳の予定もないと、こういう対応をしていたんでしょうか。外務省、いかがでしょうか。

○外務省 大臣官房審議官(赤堀毅君) お答えいたします。
 御指摘の点につきましては、当該文書が発出されました二〇一八年十二月当時に関係省庁に対し迅速に情報共有すべきであったと考えております。その時点、あるいはそれ以降、不備があったものとの報告を受けております。外務省に届いた情報を関係省庁である内閣府に対して迅速に共有すべきでございました。
 また、昨年九月当時の御指摘については、やり取りの詳細は分かりませんけれども、通常は外務省において、女子差別撤廃委員会関連文書は内閣府と協力して原文及び仮訳の掲載に努めております。
 このようなことが二度と起きないように、遅滞なく、かつしっかりとした情報発信、提供を行うよう、先般、大臣から事務方に強い指導をいただいたところでございます。事務方としましても、二度とこのようなことが起きないようにいたしたいと存じます。

○井上哲士君 この女性差別撤廃委員会を、私、軽視したと見られても仕方がないと思うんですね。これまでの条約の政府報告や最終見解は内閣府のウエブサイトに掲載をされて、NGOなどはこのサイトを見て国連にカウンターレポートを提出をしたり意見交換などをしているわけで、知る権利ということから見ても問題だと思うんです。
 結局、そういう中で、情報共有されないままに昨年末に第五次男女共同参画基本計画が閣議決定をされました。この基本計画で、この選択的夫婦別姓について、この間の世論や議論、そして社会生活の変化を踏まえて、より前向きに記載されるんじゃないかという期待の声があったわけですが、結果は逆となりました。【配付資料210412①.pdf
 お手元に資料を配っておりますけれども、選択的夫婦別氏制度という言葉は一次から四次にわたる基本計画にそれぞれ明記をされましたし、基本計画策定に当たっての答申、そしてそれを受けた政府原案にもこの言葉がありました。ところが、その原案を受けて自民党の審査を経て閣議決定が行われましたけれども、そこからはこの選択的夫婦別氏という、制度という言葉そのものがなくなったわけですね。削られたと。
 多くの関係者からは大変失望の声が上がっておりますけれども、これ、自民党の審査は何回行われたのか。なぜこの言葉を削ったのか。自民党の審査で削られるように求められたからですか。まず、お答えいただきたいと思います。

○内閣府 大臣政務官(吉川赳君) まず、お尋ねの与党審査でございますが、第五次男女共同基本計画の策定に当たりまして、与党審査については自民党及び公明党において合計六回開催されているものと承知をしております。
 また、昨年十二月に閣議決定された第五次計画では、夫婦の氏に関する具体的な制度の在り方について更なる検討を進めるとされており、委員御指摘の選択的夫婦別姓については、この夫婦の氏に関する具体的な制度の中に含まれておるものと承知をしております。
 選択的夫婦別氏制度に関しては、これまでその導入の是非について議論をされることが多かったところでございますが、夫婦の氏に関する制度の具体的な在り方について、選択的夫婦別氏制度も含め、国会における議論の動向を注視しながら、司法の判断も踏まえ、更なる検討を進めることとなったものであり、これまでの計画が更に議論が深まったものと政府としては承知をしているところでございます。
 そしてさらに、先ほどの各党の議論の内容でございますが、それについては、本日の私の立場からお答えは差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 与党審査は六回と言われましたけど、自民党は四回行われたと報告を受けております。
 今、より踏み込んだ議論と言われ、これも含んでいるんだと、こう言われました。しかし、これ全くそんなことは通用しないですよ。
 答申を受けた政府原案には、結婚に際して九六%は女性が姓を変えており、生活で様々な支障が生じていることをですね、仕事の実績や成果が引き継がれないこと、国外では旧姓の通称使用が理解されないなど、現状が具体的に書かれているんです。そして、選択的夫婦別姓を認める世論が広がって、特に十八歳から四十九歳の女性では五割超えていると、こういうことも書いてありました。これも全部ばっさり削られているんですね。そして、選択的夫婦別氏という言葉もなくなりました。
 これ、踏み込んだ議論どころか、明らかな後退じゃないですか。いかがですか。

○大臣政務官(吉川赳君) 御指摘のとおり、文言は含まれておりませんが、先ほど答弁させていただいたとおりでございまして、国会における議論の動向を注視しながら、また司法の判断も踏まえて、更なる検討を進めるということが政府の方針でございます。

○井上哲士君 国会の議論の動向を踏まえるというならば、この間、国会には何度も議員立法出されて議論がされてきたんですよ。そして、様々な運動や訴訟も取り組まれてきたんですよ。それは、自民党内の中にも様々な議論があると今報道されていますよね。その一部の議論だけを優先をしてこの選択的夫婦別氏という言葉を削るということは、こういうこの間の国会の議論や様々な取組を切り捨てることにつながるんですよ。だから多くの皆さんから声が上がっているわけです。
 しかも、この選択的夫婦別姓に関する部分で、お手元の資料ありますように、第三次でも第四次でも、そして答申でも原案でも、国連の女性差別撤廃委員会の最終見解も踏まえ、あるいは総括所見等も考慮しなど明記されておりましたけど、この第五次計画では、閣議決定で女性差別撤廃委員会という言葉自身がなくなっているんですね。これ何でですか。これも自民党の審査の中で削るという要求が出たんですか。

○大臣政務官(吉川赳君) まず、自民党の審査に関しては、私からお答えする立場にございません。
 その上で、委員の御質問でございますが、女性差別撤廃委員会からは、女性が婚姻前の姓を保持することできるよう夫婦の氏の選択に関する法規定を改正することとの勧告を受けているものと承知をしているところでございます。
 その上で、女性差別撤廃委員会の勧告の文言に関しましては、五次計画の策定に向けた議論を経た結果、当該文言は盛り込まれなかったものと承知をしておりますが、一方では、勧告を含めて対応をしていくものと承知をしております。

○井上哲士君 議論の結果、何で削られたのかと聞いているんですよ。繰り返し勧告も行われてきた。なぜ削ったんですか。今理由になっていないですよ。

○大臣政務官(吉川赳君) 第五次計画の中に文言は盛り込まれておりませんが、勧告の内容を十分に踏まえて対応をしていくものと承知をしております。

○井上哲士君 そんなの通用しないですよ。
 外務大臣にお聞きしますけど、事前の説明では、外務省も閣議決定された計画で削られたことは承知していたということでありますけど、これ外相も、外務大臣も御存じだったんでしょうか。わざわざ削除をしたということは、この問題で撤廃委員会の勧告を無視する姿勢だと、こう思われても仕方がないと思いますけれども、大臣、ちゃんと答えてください、じゃ。

○政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。
 第五次男女共同参画計画については、国民の間の様々な議論を踏まえて政府として決定したものでございます。閣議決定でございますので、当省としてもしっかりと関与しております。

○井上哲士君 知っていたわけですね。知った上で削ったんですよ。
 これ、既にある文言を削るということがどういう意味を持つのかと。この基本計画の検討過程の中で、外務省が、それまでの女子差別撤廃条約選択議定書の早期締結について真剣に検討を進めるという文言から早期を削るということが大問題になりました。私、これ去年の委員会で質問をしました。
 そうしますと、早期という文言を削除することで政府の取組が後退したとの印象を与えることは本意でないことから、早期の文言を維持すべきと。これ、外務省の答弁ですよ。私、これは大変いい答弁だと思うんですね。つまり、今ある文言を削るということは、そういう政府の姿勢が変わったということになると外務省は認めているんですよ。
 大臣、やっぱりこれを、この選択的、女性差別撤廃委員会、こういう言葉自身を削ったということは国際社会に間違ったメッセージを出すことになったんじゃないですか。いかがですか。

○政府参考人(赤堀毅君) お答えいたします。
 政府といたしましては、女子差別撤廃条約の誠実な履行を通じて、ジェンダー平等及び女性のエンパワーメントにつき積極的に努力していく姿勢には変わりはございません。引き続き尽力してまいります。

○井上哲士君 だから、ある、今ある文言を削ったらそうは見られないと、そういうことを外務省自身も認めていたわけじゃないですか。これ閣議決定したんですから、大臣、責任持って答えていただきたいんですが、いかがですか。

○国務大臣(茂木敏充君) 先ほど、私の基本的な考え方についてはかなり踏み込んで前向きにお答えをさせていただいたと思います。
 細かい文章よりどう結果を出すかと、これが重要で、国際社会はそういったものを見ていると思っています。

○井上哲士君 大臣のそのお考えと、結果としてこの計画がやっぱり異なっているというのは大変残念だと思いますけれども、そういう今の答弁であれば結果で示していただきたいと。本当に多くの皆さんが期待をしているわけでありまして、これまでの議論を踏まえて、取組が後退したわけじゃないと言うんであれば、結果でそれを示していただきたいということを強く大臣に求めておきたいと思います。
 内閣府の方はこれで退席で結構です。

○委員長(野村哲郎君) じゃ、吉川大臣政務官、御退席いただいて結構です。

○井上哲士君 続いて、核兵器の問題についてお聞きいたします。
 イギリスによる保有核兵器の上限の大幅引上げに対する先日の私の質問への本会議での答弁で、遺憾だという言葉もありませんでした。核増強を合理化する英国の発表内容を容認をして、NPTの完全な履行に強くコミットし、核兵器国としての責任を真剣に受け止めているという英国の見解を述べる答弁でありました。
 なぜ保有核兵器の上限を引き上げることがNPT第六条の核軍縮義務の履行にコミットしているということになるんでしょうか。

○外務省 大臣官房参事官(河津邦彦君) お答え申し上げます。
 英国は、今回の変更の背景として、一部の国において核兵器の著しい増強、多様化が進められ、新たな技術の開発や核ドクトリンの脅威が高まっているなど、安全保障環境が変化しているとの認識を示しているところでございます。
 一方で、同時に、英国は、核兵器のない世界という長期的な目標に引き続きコミットしている旨を明らかにしており、核軍縮を含むあらゆる側面においてNPTの完全な履行に強くコミットしており、核兵器国としての責任を真剣に受け止めていると述べているところでございます。
 我が国といたしましては、これまで述べているとおり、NPTの規定に従って関係国に対して一層の核軍縮努力を促してまいります。

○井上哲士君 いや、そういう本会議の答弁だったから、それ踏まえて聞いているのに、繰り返しちゃ駄目ですよ。
 何で自国核兵器の上限の引上げがNPTの第六条の核軍縮の義務の履行にコミットすることになるんですかと、逆行じゃないですかと聞いているんです。ちゃんと答えてください。

○外務省 総合外交政策局 軍縮不拡散・科学部長(本清耕造君) お答え申し上げます。
 NPT第六条においては、核兵器の核軍縮交渉義務が明記されているところでございます。一九九六年以降のNPT運用検討会議の最終文書においても、例えば、二〇〇〇年の運用検討会議において核兵器の全面廃絶に対する核兵器国の明確な約束は確認されましたが、全面廃絶に至るプロセスについては合意は形成されていないという、こういう状況でございます。
 英国は、先ほど、核兵器のない世界を長期的な目標として引き続きコミットしている旨明らかにしております。核軍縮に含むあらゆる側面においてNPTの完全な履行に強くコミットしているということでございますので、核兵器国としての責任を真剣に受け止めていると、このように我々は考えております。
 我が国としては、これまで述べているとおり、NPTの規定に従って関係国に対して一層の核軍縮を努力をお願いしていく、促していくということかと思います。

○井上哲士君 さっぱり分かりませんね。何で上限、核の上限の引上げが核軍縮義務の履行にコミットしているのか。
 長期目標として核のない世界を掲げさえすれば核軍拡を容認するということになれば、もう際限ない悪循環に歯止め掛からなくなるんですよ。そんなことを唯一の戦争被爆国が言ってはならないと思うんですね。
 しかも、更に問われるのが、アメリカの核兵器先制不使用宣言への対応であります。【配付資料210412②.pdf】お手元に資料配っておりますけれども、オバマ政権時代にアメリカが打ち出そうとしたときに、日本が反対をしたと。当時、アメリカ国内で報道がありましたけれども、先日、アメリカの当事者であったトーマス・カントリーマン元国務次官補が発言をされて、日本が、宣言は同盟国を守るアメリカの決意について、中国に間違ったサインを送ると懸念を示したと説明をし、これが宣言を断念をした理由だったと、こう述べられております。
 大変具体的な表現でありますけれども、こういう発言を日本がしたということは事実でしょうか。

○外務省大臣官房参事官(有馬裕君) お答え申し上げます。
 日米両国間では、日頃から日米安全保障、防衛協力に関連する様々な事項について緊密かつ幅広く意見交換を行っております。核抑止政策についても、オバマ政権時代を含め、日米間で緊密な意思疎通を行ってきているところでございます。
 こうしたやり取りの詳細につきましては、まさに我が国の安全保障にも関わるという事柄の性質もあり、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 この問題、私、去年の十一月に本会議でも大臣にお聞きいたしました。その際に、全ての核兵器国が検証可能な形で同時に行わなければ有意義でないと、こういうことを言われましたし、この間もそういう答弁を繰り返されております。
 しかし、九三年に南アフリカが、自ら核兵器を解体をしたことを宣言しました。これがその後、アフリカ大陸の非核地帯につながっていったんですね。そして、二〇〇九年には、政府が主導してオーストラリアと共同でつくられた核不拡散・核軍縮に関する国際委員会、これ川口順子元外務大臣が共同議長を務められましたけれども、この中では、全ての核武装国は可能な限り早期に、遅くとも二五年までに明確な先制不使用宣言を行うべきだとしております。そして同時に、特にアメリカに関しては、核兵器の役割低減の取組が単独でも世界の核軍縮に非常に重要な起爆剤となると、こう指摘しているんですよ。
 ですから、もちろん、全ての核兵器国が一斉にやれば、それはいいですよ。そうならなくても、アメリカがやることは起爆剤になると、過去こういうことも言ってきたわけですから、私は、やっぱりアメリカの核先制不使用宣言というのはそういう世界核軍縮の起爆剤になると、当時のこの提言からいってもそういうことになるんじゃないかと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(茂木敏充君) どの国が大きい、どの国が小さいと言うつもりはありませんけれど、筒井康隆の小説に出ているようなことが実際の安全保障でどう機能するかというと、それはやっぱり違っているんじゃないかなと思います。
 全ての核兵器国と言いますけど、大体、何というか、どういう国を想定しているかはお分かりいただけると思うんですけど、そういった国の間で検証可能な形で同時に行われなければ実際にはそういうところは起こらないと、そんなふうに考えておりまして、当事国の意図に関して何らの検証の方途と、これがない核の先制不使用の考え方に依存して我が国の安全保障に十全を期することは、私はできないと考えております。

○井上哲士君 イギリスは、核の、保有核兵器の上限を示すと、増やすということについては、結局理解を示すと。一方で、その核不使用宣言については、先制不使用宣言については全体でやらなければ駄目だと。こうなりますと、結局、一方通行、核のこの増強だけが広がっていくということに私なると思うんですね。
 やはり保有国が具体的なことをやって迫っていくということが私は必要だと思っておりますし、結局、先制不使用も反対をするということは、使用を容認をすると、広島、長崎のような惨禍が再び起きるということを容認をすることでありますから、本来、核兵器の非人道性を最も知っている被爆国日本の政府がそのような態度を取ることは許されないということを指摘しておきたいと思います。
 その上で、防衛大臣にお聞きいたしますが、防衛省にまずお聞きしますが、更に重大なのは、この日本の自衛隊と米軍による核兵器使用の作戦との関係であります。
 アメリカのB52戦略爆撃機と航空自衛隊の共同訓練というのはいつから始まったのか、その後の実績も含めてお示しいただきたいと思います。

○防衛省 防衛政策局長(岡真臣君) お答え申し上げます。
 航空自衛隊は、米空軍の戦略爆撃機が我が国周辺に飛来する機会を捉えて共同訓練を実施してきているところでございますけれども、これらのうち、今委員から御質問のございましたB52爆撃機との共同訓練につきましては、防衛省の公表実績で申し上げますと平成三十年七月から行っておりまして、現在までに計五回となっております。

○井上哲士君 二〇一七、八年の七月二十七日からだと思いますけれども、お手元に配付している資料は、計五回のうち、二〇二〇年の二月四日に米軍のB52爆撃機とF16戦闘機、そして航空自衛隊のF2、F4戦闘機が行った訓練の写真であります。【配付資料210412③.pdf
 B52は、日本が憲法上持てない、すなわち、性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のために用いられるいわゆる攻撃的兵器だと、日本は憲法上持てないということを繰り返し答弁をされております。こういう長距離爆撃機であり、しかも、米軍保有の約六割は核兵器を搭載可能だとされております。
 専守防衛のはずの自衛隊が、何のためにこの核搭載可能なB52戦略爆撃機と訓練をしているんでしょうか。

○防衛大臣(岸信夫君) まず、専守防衛という考え方は、これは憲法の精神にのっとった受動的な防衛戦略の姿勢をいうものでございまして、我が国の防衛の基本的な方針でございます。
 防衛省・自衛隊は、専守防衛の下で我が国の防衛を任務する組織でありますから、この任務を全うするために、各自衛隊は平素から様々な訓練を実施をしております。
 米軍のB52爆撃機との共同訓練はこのような訓練の一つであって、戦術技量の向上や米軍との連携強化を図るために実施をしているものではございますし、そのような訓練の実施は専守防衛に反するものではございません。

○井上哲士君 いやいや、日本が、こういうB52というのは専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる兵器、こう言っているんですよ。しかも、核兵器搭載なんですね、可能なわけですね。そういう爆撃機と専守防衛の日本の自衛隊が一緒になって共同訓練をする、専守防衛にやはり反するんじゃないですか。

○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
 委員が御指摘の、まさに憲法上保有することができる装備についての考え方、これは従来から政府が申し上げていることであろうかと思いますけれども、他方、今回の、今回のと申しますか、こうした航空自衛隊とB52、米軍のB52爆撃機との共同訓練につきましては、先ほど大臣からも答弁がございましたとおり、戦術技量の向上や米軍との連携強化を図るために実施しているものでありまして、あくまでそういう目的で行っているものでございまして、専守防衛に反するものではないというふうに考えております。

○井上哲士君 一般的な米軍戦闘機との訓練ではないんですね。戦略爆撃機なんです。専ら相手国の国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、そういう爆撃機なんですよ。しかも、核兵器搭載可能なんですね。
 アメリカは、長距離爆撃機、大陸間弾道ミサイル、それから潜水艦発射弾道ミサイル、これを核の三本柱としております。アメリカ戦略軍の広報部の二〇二〇年二月二十日付けの記事では、この三本柱の各支柱の訓練を行うために、複数の地理的区域を越えて戦闘集団及び構成部隊とのイベントの調整を図ったとしております。具体的には、二〇二〇年の二月三日から十二日にかけて実施をされて、爆撃任務部隊によるB52ストラトフォートレス長距離爆撃機等の飛行とICBM及びSLBMの試験発射が行われたと、こういうふうに発表をしております。
 先ほどの写真にあるこの二〇年二月の自衛隊と米軍の共同訓練に参加をした米軍のB52は、この核の三本柱の訓練に参加をしたものなんですね。まさにアメリカの核攻撃のための訓練に日本の自衛隊が一緒になってやる、参加をすると、こういうことが許されるんでしょうか、大臣。

○国務大臣(岸信夫君) 先ほどからの答弁の繰り返しになりますけれども、B52との共同訓練というのは、戦術技量の向上、米軍との連携強化ということを図っているものでありまして、核攻撃のための訓練ということではございません。

○井上哲士君 じゃ、確認いたしますけれども、アメリカが核攻撃のために行う訓練に自衛隊が参加することはないと、できないということでよろしいですか。

○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
 一般論で申し上げますけれども、核兵器については様々な特殊性がございますので、核兵器を搭載した米軍戦略爆撃機と自衛隊機が共同訓練を実施するといったようなことは、現状においては想定されないと考えております。

○井上哲士君 いや、アメリカは、この爆撃機や艦船に核兵器が搭載しているということを明らかにしないんですよ。そういう政策ですね。
 じゃ、自衛隊は、訓練、B52と訓練するたびに核兵器積んでいませんねということを米軍と確認をしているんですか。

○政府参考人(岡真臣君) お答え申し上げます。
 米軍との間で共同訓練を実施する際には様々な調整を行っているところでございますけれども、その調整の詳細につきましては、相手国との関係もございますのでお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

○井上哲士君 じゃ、相手国がどう言っているかという問題なんですね。
 先ほどの米戦略軍の記事では、核の三本柱の訓練を実施をしたと。そして、米軍はその一部を日本の自衛隊と行った、共同の取組はインド太平洋地域の安全と安定を下支えする決定的な同盟と継続的な協力の重要性を強調するものと、こう明記しているんですよ。相手国であるアメリカは、日米共同訓練、B52と日本の航空自衛隊との訓練は核の三本柱の訓練の一部だったとはっきり述べているんですよ。今のお話と違うんじゃないですか。

○政府参考人(岡真臣君) 先ほど来の答弁の繰り返しになる部分もございますけれども、私どもとしては、あくまで戦術技量の向上、そして米軍との連携の強化ということを念頭に訓練を行っているところでございます。

○井上哲士君 同じく、この米軍の広報のあれで言いますと、米国のミノット空軍基地から来た米空軍B52Hは、日本の三沢基地周辺で、合同爆撃任務部隊及び継続的爆撃プレゼンス任務の一つとして、グアムのアンダーセン空軍基地から来たB52Hと合流をして、そして、日本周辺で航空自衛隊所属のF2戦闘機十三機、F4戦闘機及び米空軍所属のF16戦闘機六機とともに二国間共同訓練を実施したと。核の三本柱の訓練の一つである爆撃任務の一つとしてこういう訓練をやったということをアメリカ側が言っているんですよ。
 こういう位置付けの訓練であったということは全くアメリカは知らさないままに日本の航空自衛隊が参加をしたという、そういうことなんですか。

○政府参考人(岡真臣君) 米側とは当然その共同訓練を行うに当たりまして様々な調整を行った上で行っているものでございますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては、戦術技量の向上、また連携の強化といった観点から訓練を行っているというところでございます。

○井上哲士君 アメリカ戦略軍は、二〇一四年以降、この様々な統合軍の作戦及び能力を統合し、同期させるとともに、抑止力、保証及び集団安全保障に対するアメリカのコミットメントを示すときに定期的に爆撃任務部隊の任務を実施してきたと、こういうふうに書いてあるんですね。その一環として、核の三本柱のこの訓練の一つである爆撃任務でやってきて、やったとはっきり言っているんですよ。
 じゃ、もう一回聞きますけれども、そういう核の三本柱の訓練に参加をした、その一部であったということはアメリカからは何も言われないままに日本の自衛隊は参加をしたと。もし、逆に言えば、聞けばですね、そういうものだと聞かされていたら日本の自衛隊は参加をしないということでいいでしょうか。

○政府参考人(岡真臣君) 先ほど来御答弁していることの繰り返しになりますけれども、私どもとしては、米軍と様々な調整を行った上でこうした共同訓練を行っておりますが、その調整の内容につきましては、相手国との関係もございますので控えさせていただきたいと思っております。
 いずれにいたしましても、私どもとしては、こうした訓練は我々の戦術技量の向上であるとか米軍との連携の強化ということに資するものと考えて行っているところでございます。

○井上哲士君 アメリカと様々な調整を行っていると今おっしゃいました。
 この間、政府は、アメリカは我が国の非核三原則に係る立場をよく理解をしていると、だから、そういう例えば核兵器に関わるような訓練、実際にはないんだということを繰り返し答弁してきましたよ。しかし、実際には、先ほど来繰り返していますように、核の三本柱のそういう訓練を実施をして、その一部を日本の自衛隊とやったと言っているんですよ。アメリカは日本の立場を理解しているからあり得ないと言いながら実際にはやっているということは、私、国民を欺くものだと思いますよ。
 違うと言うんであれば、事実関係をしっかり調査をして明らかにしていただきたいと思いますけれども、大臣、いかがですか。

○国務大臣(岸信夫君) 自衛隊と米軍との間で様々な訓練、共同訓練を行っておるところでございますけれども、この委員のおっしゃるB52との共同訓練については、我々の目的としてはっきりしておりますのは、戦術技量の向上、そして米軍との連携強化、これを図るために実施をしていると、こういうことであります。

○井上哲士君 核搭載した、ことができるB52爆撃機、専らその相手国に壊滅的な破壊のために使われるような、そういう爆撃機と一緒の技能を向上するというどういう必要性が日本の自衛隊にあるのか。結局、アメリカのこういう核作戦の一部に組み込まれているということになるんじゃありませんか。いかがですか。

○国務大臣(岸信夫君) この米軍との共同訓練ということについては、まさに日米同盟の抑止力、対処力の強化、こういうことに資するわけでございます。そして、地域の平和と安定、こうしたものに資する共同訓練という位置付けで考えております。

○井上哲士君 一般的な訓練じゃないんです。B52という核兵器を搭載できるその爆撃機が核の三本柱の訓練に参加をした、その一部に日本の航空自衛隊が参加をしていると、そのことを問題にしているんですね。
 唯一の戦争被爆国でありながら、イギリスの核増強を容認する、核軍縮の起爆剤になり得る先制不使用にいつも反対をする、そして、あろうことか、この米軍の核攻撃のための訓練の一部に参加するということは、絶対あってはならないことであります。
 今、核兵器禁止条約を求める、参加を求める地方議会の意見書は五百五十六に達しました。全地方議会の三割ですよ。ここにしっかり参加をして、核廃絶の先頭に立つこと自身が日本がやるべき役割だということを、最後、強調いたしまして、質問を終わります。

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