国会質問議事録

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予算委員会(広島・京都の自民党選挙買収疑惑と政党助成金)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 ウクライナを侵略しているロシアのプーチン大統領が核戦力特別態勢を命じたことは言語道断であります。即時撤退を求めたい。この問題は水曜日の集中審議でただしていきたいと思います。
 今日は、選挙買収と政党助成金について聞きます。
 総理、河井元法務大臣が有罪となった選挙買収事件で、買収資金を受け取りながら自民党の県議ら百人は不起訴とされましたけれども、検察審査会が三十五人を起訴相当と議決しました。県民の怒りが広がる中で、既に七人が辞任を、辞職をされております。こうした事態に対してどう認識されているでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) お尋ねの検察審査会の議決については、個別の事件に関わる、検察審査会の判断に関わる事柄であり、また、今検察による再調査、再捜査、これが行われているところでありますので、私の立場から具体的にコメントすることは控えなければならないと思いますが、いずれにせよ、国民の政治不信を招いたという批判があること、これは重く受け止めており、今後も様々な声に謙虚に耳を傾け、国民の期待に応えられるよう取り組んでいきたいと考えております。

○井上哲士君 さらに、問題は、自民党本部からの一億五千万円が買収の原資になった疑いであります。うち一億二千万円は政党助成金、国民の税金です。
 総理は昨年五月、自民党県連の会長として、当時の二階幹事長に、党として責任、説明責任を果たすことを求められました。説明責任は果たされたという認識でしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) この事件に関しましては、党から交付された資金が買収に使われたかどうか、これは大変重要な論点でありました。
 そして、御指摘のように、私自身も県連会長であったときに、党本部に対して、説明責任を果たしてもらいたい、こうした要望を行ったところであります。
 そして、その後、昨年九月ですが、当時の執行部において、河井夫妻側が作成した収支報告書について、公認会計士そして税理士が党の内規に照らして監査をし、そして、領収書等の必要書類を添付した上で、法令に基づき広島県選挙管理委員会及び総務省に提出が済んだ、こうしたことを説明したということを承知をしています。こうした形でこの説明責任を党として果たしたと認識をしております。

○井上哲士君 党本部の資金は買収に使われていないと、こういう認識なんですか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 今申し上げた手続によって、この領収書等の必要書類も添付された形でこの報告が行われている、そういった形で、この党から出た一億五千万、買収には使われていないということが説明されたと承知をしております。

○井上哲士君 しかし、判決は、河井陣営スタッフ三人に支払われた計約二百五十一万円を運動員買収だと認定して、陣営の会計担当者、お手元に調書を配っておりますが、その原資は六月十日に克行氏の自民党広島県第三支部からの案里氏の第七支部に振り込まれた四千五百万円だと言っているんですね。【配付資料220228①.pdf
 二枚目に、資料二は克行氏の支部の収支報告書でありますが、この四千五百万円は党本部からの政党助成金なんです。明らかに本部のお金が買収資金に使われているんじゃないですか。【配付資料220228②.pdf

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨年九月の党による説明では、運動員買収に当たると認定された職員三名分の給与について、この三名の給与は、第七支部、すなわち当時の支部長は河井案里氏でありますが、この第七支部の人件費に計上されているが、政党助成金からは支払われていない、このようにされていると承知をしております。

○井上哲士君 検察審査会は、この三人の運動員について、金員の受領方法が給料を装うなど手口も悪質だといって起訴相当の議決したんです。そして、自民党の広島県連の会長代行も、その自民党本部の説明に、河井夫妻側の資料をうのみにしており、ますます不信感が募る、使っていないという証拠を見せるべきだと述べているんですよ。再調査してくださいよ。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど申し上げた形で報告書が出されています。そして、御指摘の点についても、政党助成金から支払われてはいない、こうした説明が行われています。公認会計士、税理士等の監査を経てこうした報告書が出されているわけでありますので、説明が果たされていると認識をしております。

○井上哲士君 県連会長代行も、河井さんの資料をうのみにしているだけだと、不信募ると言っているんですよ。県民は全く納得しておりません。
 そして、同様の疑惑が自民党京都府連の問題です。
 国会議員が自らの選挙前に、京都府連を経由して、府議、京都市議一人当たり五十万円の交付をしてきたと報道されました。このとおりの資金の流れが収支報告書で確認をされています。
 二之湯大臣、お聞きしますが、二〇一六年の選挙の前に、あなたが代表を務める党支部や政治団体から自民党府連に対し、一五年十月と一六年四月に合計二千四百万円を寄附しております。当時の府市議四十八人に五十万円ずつという金額と一致をいたしますが、なぜこの金額を寄附したんですか。

○国家公安委員長(二之湯智君) 委員会で何遍も私は答弁をいたしておりますけれども、私はそのときに、寄附については、その時々の政治団体の収支や府連の活動状況を考慮して私がそういう額を決定をいたしました。

○井上哲士君 地方議員に配付されると承知した上で寄附されたんですか。

○国務大臣(二之湯智君) 再三答弁をいたしておりますけれども、私は自由民主党京都府連に寄附をしたわけでございまして、私の寄附は府連の財源の一部でありまして、その額を京都府の傘下の地方議員に交付するというのは私はあずかっていないということでございます。

○井上哲士君 二月十日の答弁では、国会議員も党本部から党勢拡大のために政党交付金を交付されており、地方議員にも配付して、お互い自民党のために頑張ろうということだと述べているじゃないですか。知っていたんじゃないですか。

○国務大臣(二之湯智君) そういう事実は知っておりますけれども、そのときに幾らを交付するかということの決定については私は参画をいたしておりません。

○井上哲士君 つまり、額は知らないけど配られるのは知っていたと。
 問題は、こういうお金がどういう性格であったかと。収支報告書に書いてあっても、そこが問題なんです。
 資料三、京都新聞配っておりますが、自民党府連の事務引継ぎ文書では、候補者がダイレクトに議員に交付すれば公職選挙法上は買収になるので、京都府連から交付することとし、言わばマネーロンダリングをすると述べております。【配付資料220228③.pdf
 警察庁、一般論で聞きますが、マネーロンダリングとは一体何ですか。

○警察庁 刑事局長(大賀眞一君) 警察では、マネーロンダリングとは、一般に、犯罪によって得た収益を、その出所や真の所有者が分からないようにして、捜査機関による収益の発見や検挙を逃れようとする行為をいうものとしております。

○井上哲士君 犯罪を隠すための行為であります。
 選挙買収になると、違法だという認識があったから府連を通したんじゃないですか、大臣。

○国務大臣(二之湯智君) 京都府連に対する寄附がマネーロンダリングだと、そういう言葉自身も私、全く頭の片隅にもありませんでした。純粋に党活動、党勢活動に使ってほしいと、こういうことで私は寄附したわけでございます。
 マネーロンダリングという言葉は、府連の事務局長がお辞めになるときの次の事務局長に何かメモ的に申した、そういう、まあこういうことに気を付けなさいよというところの中にマネーロンダリングという言葉があったわけでございまして、府連は全くこれは関与しておりません。

○井上哲士君 文書の存在は認められました。じゃ、本当に知らなかったのかと。
 自民党京都府連を解雇された元職員が二〇一七年七月に府連を相手取って裁判を起こしました。当時の府連会長は二之湯大臣ですね。

○国務大臣(二之湯智君) 私が府連会長のときにその職員は解雇しておりません。(発言する者あり)訴えた、それは私、記憶にございません。

○井上哲士君 府連会長だったかと。

○国務大臣(二之湯智君) 二千、済みません、平成でしか、古いタイプの人間で。平成何年でしょうかね。(発言する者あり)二十九年のとき、二十九年五月から令和元年九月まで府連会長の職にありましたけれども、その裁判の存在自体も知りません。

○井上哲士君 だって、府連を相手取って裁判しているんですよ。それ、会長知らなかったんですか。

○国務大臣(二之湯智君) 私は、その職員は知っておりますけれども、その職員が懲戒免職になって府連を相手取って訴訟しているという事実は知りません。

○井上哲士君 ええっと皆さんは言っていますが、にわかに信じ難いですね。
 お手元に資料四がありますが、一九年九月に行われたこの裁判の証人尋問で、二〇一四年まで在任していた元事務局長は、引継ぎ書を作ったのかと質問に、はいと述べています。後任の事務局長もその一週間前の証人尋問で、引継ぎ書を預かったと述べたんですね。【配付資料220228④.pdf
 双方とも存在を認めているわけでありますが、当然、京都府連会長としてですよ、府連が相手に、訴えられているわけでありますから、この証言を知らなかったとは思えないんですけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(二之湯智君) この引継ぎ書というようなものは、京都府連の公式なものであるかどうか、全く私知りませんし、そして、文芸春秋の記事を見て初めてそんなものがあったんだなということを知ったわけでございまして、私自身も驚いているわけでございます。そして、マネーロンダリングというような言葉がそこに出てきたことも初めて知りました。
 それは天地神明に誓って私はそのように申し上げたいと思います。

○井上哲士君 府連会長でありながら、この裁判の証言を知らないとおっしゃるんですか。

○国務大臣(二之湯智君) これ、私、もちろん裁判所で証言を求められたこともありませんし、そのお二人の新旧の事務局長が裁判所でそういう証言したということも全く知りません。

○井上哲士君 まあ、余りにも不自然だと思います。
 これは、当事者に聞く以外ありませんので、この両元事務局長の参考人招致を求めたいと思います。

○委員長(山本順三君) これは後刻理事会で協議をいたします。

○井上哲士君 今日、京都で弁護士二十名が、これは選挙買収だということで京都地検に告発をいたしました。これは、個々の政治家にとどまらず、自民党の問題でありますし、国家公安委員長が関与している問題なんですね。
 総理、これは責任持って真相解明、説明責任果たしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○内閣総理大臣(岸田文雄君) 京都府連における資金の流れについては、ただいまのやり取りもそうですが、関係者から法令に則して処理をしたという説明がされていると承知をしています。そして、必要であれば引き続き説明を尽くしていただくこと、これは大事なことであると認識をいたします。

○井上哲士君 その説明が余りにも疑わしいんですよ。
 あの河井事件で買収に使われたのは二千八百七十万円でした。この自民党府連で一回の国政選挙で大体、府市議に配られるのは二千五百万円前後なんですね。同じ規模なんです。そして、いずれの資金も政党助成金が含まれております。私たちは、政治活動は本来国民の供出する浄財で賄うべきものであって、支持しない政党への強制カンパになる政党助成金は、それは政党の堕落を生むと指摘してまいりましたけれども、そのことが示されたと思うんですね。
 先日、政党助成金廃止法案を本院に提出をいたしました。是非廃止への議論を各党に呼びかけまして、質問を終わります。

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