国会質問議事録

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外交防衛委員会(ウクライナ情勢に関する参考人質疑)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 今日は、三人の参考人、ありがとうございます。
 まず、河東参考人と鶴岡参考人にお聞きいたします。
 今回のロシアの侵略がこれどういう性格を持っているものなのかということなんですが、よくG7、西側対プーチンとか、自由と民主主義対専制という言い方もされますけれども、私は、国連憲章に基づく世界のこの平和の秩序そのものに対する挑戦、そういう点でいえばプーチン対この国際社会ということではないかと思うんですね。
 実際、国連総会での非難決議が百四十一か国でありましたけど、戦後、米国やロシア、ソ連などの侵略への非難決議の中で、六回ありますけど、今回含めて、最高の賛成数だったわけですね。
 国連の討論なんか見ていますと、非常に小国が、そういうやっぱりこの国際秩序の破壊への危機感を持った討論なんかをされております。こういう、まさに国際秩序への挑戦だというこの図式で、国連、まあ取り組んでいくということの重要性、そこで国連の果たす役割や日本の果たす役割についてどのようにお考えか、それぞれお願いしたいと思います。

○委員長(馬場成志君) それではまず、河東参考人からいいですか。

○参考人(河東哲夫君) この件というのは、やっぱりロシアによる国連憲章違反、もろの違反だと思います。
 しかも、ロシアというのはソ連の時代に国際連合をつくった言わば幹事国ですから、幹事が会員に暴力を振るうというのは、その会は成り立ちませんので、やっぱりその国連を改革することが必要だと思います。
 中には、国連をなくして新しい国連をつくれと、そうすればロシアの拒否権もなくなるという人もいるんですけれども、まあロシアも入っている国連があることはそれなりのメリットがあると思います。悪いことをしたときに国連が針のむしろになるので、針のむしろにはロシアを入れておいた方がいいんだろうと思います。
 その代わり、ロシアが拒否権を行使しても、行使すると安全保障理事会が麻痺しますから、安全保障理事会を棚上げして、廃止するのは無理ですから、廃止することにロシアが拒否権を行使しますから無理ですから、安全保障理事会は棚上げして、それに実質的に代わるような力を持ったボディーをつくることがいいんだろうと思います。それはもう現場の方々が考えることだと思うんですけれども、やっぱり総会の強化だと思いますよね。総会、国連総会については幹事会をつくることができるという規定もありますから、その幹事会を安全保障理事会に代わるものとして、日本もその中に必ず入るというようなことが必要だろうと思います。
 岸田総理も、国連の改革が必要だというようなことと、それから拒否権の問題、たしか言及しておられたと思いますけれども、それを更にフォローしていくことが必要だろうと思います。
 以上です。

○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
 国連の改革ということに関してはなかなか短期的な答えはないんだろうと思います。そうした中で、日本にとってやはり重要なのは、今御指摘のとおり、この今回の戦争、侵略というものはもうこの国際社会全体にとっての挑戦であると、この原理原則の部分をこれは幾ら強調しても強調し過ぎることはないということですので、日本はずっと発信し続けるということだと思います。
 その際に注意しないといけないのが、これが西側対ロシアとか米欧対ロシアなんではないと、これは国際社会全体対ロシアないしプーチン体制なんだということですね。これは、日本として、この米欧だけではないというのを声高に言う立場としては、やはりアメリカ、ヨーロッパよりも日本が言った方がその点は説得力があるということだと思います。

○井上哲士君 ありがとうございます。
 次に、グレンコ参考人にお聞きしますが、最初の意見の中で、ロシアは、このウクライナは一つの民族であって、一つの国になるべきだと、それが正義だということで今回の侵略を行っているというお話がありました。当初は、そういうこともあるので、例えば古都であるキエフなどには余り攻撃しないんじゃないかという話もあったわけですけど、おっしゃったように、今、逆に意図的に民間人を相手にしているというお話もありました。
 そうしますと、結局、同じ民族と言いながら、そこを殺害しているということがあり、その結果、非常にこのウクライナの中での反ロシア的感情も高まっているという指摘があって、出発の意図とかなり違ったことに今なっていると思うんですけど、これはどういうことだとお考えでしょうか。

○参考人(グレンコ・アンドリー君) ロシアはその同じ民族だという論理で侵略を実行しています。それは間違いないんですね。では、じゃ、何で、彼らから見ると同じ民族にもかかわらず、民間人を意図的に攻撃したり、こんな蛮行に踏み込むのか、なぜ、彼らから、考えからいうと同胞、同胞を攻撃するのかというと、それは、論理は彼らは何だっていいんですね。例えば、抵抗している人たちが裏切り者と考えたりとか、あるいは、実際にロシアは民間人の攻撃しない、あれはウクライナの裏切り者の自作自演だとか、そういうことは幾らでもつくれるんですね。目的はウクライナの完全な支配であって、その後は手段なんですね。
 それで、ちなみに、プーチン大統領から見ると、じゃ、ロシア人自身の命が尊いかというと、全然そんなことないんですね。プーチン大統領は今まで何度もロシア人自身を大量に死に追いやっているんですね。現に、今回の侵略戦争で多くのロシア人も当然死ぬわけですね。攻撃してくるわけで、戦争になって、死ぬし、今までチェチェン戦争だったりとか多くの戦争でロシア人自身を死なせているんですね。
 そもそも、プーチン政権ができた経緯でいうと、どこから、どうやってできたかというと、それは一九九一年に、プーチン当時首相になって、首相になってすぐ、プーチンの指示でロシアで四か所で民間マンションが爆破されたんですね。それ、あの当時、かなり有名な事件だったんですけど、モスクワとブイナクスク市とヴォルゴドンスク市で合計四か所のマンションが爆破されたんですね。それはプーチンが、プーチンの指示で行われたんですけど、ロシアの国営テレビのプロパガンダで、それはチェチェンのテロリストがやったとして、それでチェチェンをやっつけるぞという狂気にロシア社会が駆られて第二次チェチェン戦争が始まったんですね。
 つまり、こんな残虐なことをプーチン大統領はロシア人自身に対して平気でやるんですね。なので、彼にとっても自国民の命や他国民の命は別にどうでもいいんです。だから、彼の思想で、同じ民族なんだけど、じゃ、逆らう、同じ民族ならそれを殺さないかというと、そんなことは全くないんです。彼らの価値観においては、ロシア人だろうがほかの国の人だろうが、一般人の命は価値がないという独裁的な考え方なので、これは何も驚くことではありません。

○井上哲士君 続いて河東参考人と鶴岡参考人にお聞きしますが、今回のウクライナへの侵攻で、先ほどありましたようなNATOの拡大、NATOの脅威に対抗するということと、もう一つは、ウクライナの、彼らの言うところのナチ政権が問題なんだと、こういう言い方をしています。
 プーチン大統領は、二〇一四年のいわゆるマイダン革命もアメリカの支援を受けた極右民族主義とネオナチの仕業だと、こういう言い方もし、そして今、このナチ政権が和平合意を守らずに東部ロシア系住民を集団殺りくをしている、これを守るためにナチ政権を打倒する、で、平和を取り戻すんだと、こういう言い方をしているわけですね。
 他国の政権気に入らないからといって侵略をするような権利は国連憲章で全くないわけで、そもそも成り立たない話だと思うんですが、ただ、こういう今一連のそのウクライナ政権に対して行っている批判について、事実関係どのように把握をされて評価されているか、それぞれお願いをしたいと思います。

○参考人(河東哲夫君) NATO拡大については、プーチンさんの言い分にも一分の理があると、まあ真理があると思います。
 ただ、NATO拡大の場合、さっきグレンコさんもおっしゃったように、それはそのNATOに入れられる国自身の希望であったわけですよね、切なる希望であったわけですよね。そこをロシアは見ていないと。ロシアは、それはアメリカが強引にバルト諸国を入れたんだと、力でねじ伏せて、そう見ているわけなんですけれども、真実は逆であるわけですよね。
 それから、ウクライナにナチがいる云々の話なんですけれども、それはいます。テレビで実際に出てくるわけだから。たいまつ行進なんかはネオナチがやりますよね、毎年。彼らがハリコフとかそれからマリウポリを主として守っているわけなんだけれども、それはウクライナの国内問題ではないかと思います。
 それだからといって、その一番の問題というのは、ロシアが二〇一四年に武力で東ウクライナに攻め込んで、今でも制圧しているということが一番の根っこにあるわけですから、そこにそのウクライナ人の、ネオナチであろうがリベラルであろうが、取り返そうと思って何で悪いと、そっちの方が国連憲章にかなっていることで、ロシアがやったことは国連憲章に違反しているんだと思います。

○参考人(鶴岡路人君) このNATO拡大の件は、もちろんロシアはそのように主張するわけですけれども、ウクライナのNATO加盟自体全く何も進んでいなかったんですね。ですから、進んでいないものに脅威を感じていたというのが実態だったんだろうと思います。そこには何らかの擦れ違いもあったということなんだと思います。
 もう一つ、そのウクライナが完璧な国家でないことは当然です。汚職も問題ですし、様々な問題を抱えている国です。ただ、だとしても、どんな問題を国内で抱えていたとしても、侵略していいということには全くならないということです。
 最後に一点、この東部でのジェノサイドというロシアの主張についてです。これについてはロシアの主張も非常にいいかげんでありまして、例えば一万四千人が殺されたという数字を出すわけですけれども、その数字というのは、二〇一四年以降のドンバスの紛争で亡くなったロシア側、ウクライナ側、軍人、民間人全てを足した数字なんですね。ですから、そういった数字を持ってきて虐殺だということには無理があるわけですし、その虐殺、ロシア系住民への虐殺がなかったということは、この国連においても、そしてOSCE、欧州安全保障協力機構においても証明されているということだと思います。

○井上哲士君 じゃ、再度お二人にお聞きしますけど、プーチン氏が核兵器の先制使用をかざして恫喝をしているということでありますけど、これまで、核兵器を保有をしていれば核兵器の使用が止められると、いわゆる核抑止力論ということが言われてきたわけですけど、自分の国の国民にどんな被害があろうともその使用もいとわないというような指導者が出たのを見たときに、この核抑止力というもの自体が問われているんではないかというふうに思うんですけれども、その点、それぞれからお考えをお願いします。

○参考人(河東哲夫君) 核抑止力は効かないときもあるかもしれないけれども、大体の場合に考慮に入れられると思います。特に北朝鮮の指導者であるとか、ロシア、中国もそうなんですけれども。
 それが効かないかどうかということは、アメリカ軍のその核装備が西太平洋では随分手薄になっていることは事実だと思うんですよね。だから、そのアメリカ本国の核兵器を使わざるを得ないから核抑止力が薄くなるというのは、それは事実だと思うんですけれども、アメリカ軍はそれがあるから、現在、西太平洋方面の核配備を強化しようとしていますよね。昔のトマホーク、核弾頭を装備したトマホークを再配備しようと今していますよね。
 それからもう一つは、今問題になっている日本に中距離核ミサイルを配備するかどうかということなんですけれども、そういったその中距離核ミサイルと、それからトマホーク両面で中間段階の核抑止力を整備しようとしているわけですよね。それにどういうふうに対処、日本が対処するかというのは別の問題ですけれども、そう思います。

○参考人(鶴岡路人君) ありがとうございます。
 核抑止については、この核兵器が実際使われていないということであれば核抑止が機能している可能性があると。これ、ただ証明はできないんですね。核兵器が使われてしまったときに核抑止が崩壊してしまったというのが分かるというだけであります。これは抑止論において常に抱えている難題だとは思います。
 ただ、今回課題になっている、問題になっているのは、恐らくロシアの限定的な核の使用ということなんだと思います。この戦略核を撃ち合うという話ではありませんで、地域紛争を抑えるために、エスカレーション抑止とロシアでは言いますけれども、この限定的な核兵器の使用と。で、それに対して、NATO側、アメリカ側で、この同じレベルでの対処手段が限られるんではないかというのが、この米欧、日本含めてですね、この専門家の間、そして政府関係者の間で対応を迫られて議論してきた問題です。これについては、まだ必ずしも答えは出ていませんけれども、やはりその国家が自らの体制の存続、そして国家自体の存続というものを重視している限りにおいては、やはり核抑止というのは効く、効果を発揮する可能性があるというところは期待が持てるんだと思います。
 ただ、他方で、最近ロシアの議論でありますように、このロシアがいない世界は存在する必要がない、存在する意味がないと、そういった議論にまでなってきますと、これはなかなか核兵器によっても抑止することができない話になってきてしまうのかなというふうな感想は持っております。

○井上哲士君 ありがとうございました。

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