国会質問議事録

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外交防衛委員会(米軍岩国基地の空中給油機増強計画/岩国、横田での米軍兵たん増強計画)


○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 在日米軍基地の増強について聞きます。
 山梨県の甲府市周辺上空で三月二十三日に行われた米軍機の空中給油訓練について、二度にわたり質問いたしました。陸地上空では空中給油訓練を行わないという日米間の確認に反したものであり、その訓練の写真を堂々と米軍がサイトで公開していることも指摘をいたしました。
 米軍に確認中ということでありましたけれども、どういう返事があったんでしょうか。

○防衛省 地方協力局長(岡真臣君) お答え申し上げます。
 御指摘の点につきましては、引き続き在日米軍司令部との間でやり取りを行いながら確認を行っているところでございますけれども、現時点でその事実関係についてアメリカ側からの回答は得られておりません。
 他方で、米軍の空中給油訓練に関しましては、過去に日米間で協議を重ねた結果として、陸地から離れた海域の上空で行うという認識を日米間で確認しているところでございます。アメリカ側に対しましては、このような認識も示しながら事実関係の確認を行っているところでございます。

○井上哲士君 もう二か月近くたっているんですね。
 今もありましたように、この日米間の確認は、二〇一六年の沖縄での空中給油中の事故によるオスプレイの墜落事故を受けて、当時の地方協力局長と在日米軍の副司令官との間で緊密なやり取りをして、かつ実務レベルでも継続的に協議を重ねる中で確認をされたものと防衛省も答弁してきました。そして、当時、稲田防衛大臣が、アメリカ側と確認しているとはっきり答弁されているんですね。
 それに明白に反する訓練が行われて、写真まで米側が公開していると。にもかかわらず、アメリカから返事がないと言って抗議もしていないわけですよ。これ、事実上、日米の確認をほごにして、陸地上空での空中給油訓練を容認しているに等しいと思いますが、大臣、いかがですか。

○岸防衛大臣(岸信夫君) 米軍の空中給油訓練に関しましては、陸地から離れた海域の上空で行うという認識を過去に日米間で確認をしています。
 防衛省としては、このような認識を示しつつ、米側に事実関係の確認を行っているところであります。したがって、陸地上空での空中給油訓練を容認しているとの御指摘には当たらないものと考えております。

○井上哲士君 二か月たっているのに抗議もしていないじゃないですか。
 大体、この間、例えば首都上空における米軍ヘリの低空飛行訓練を始め、日米間の合意に反する様々な訓練がこの委員会でも問題になってきました。いずれも、アメリカに確認していると、確認できないと、この繰り返しなんですよ。結局、これまでの政府の姿勢からも大きく後退しているということを言わなきゃなりません。主権国家としての対応が問われていると私は思います。
 そして、これ放置しますと、こういう訓練は更に拡大をするおそれがある。甲府市の周辺の上空でこのF35B戦闘機に対するこの空中給油訓練を行ったのは、米軍の岩国基地所属のKC130空中給油機でした。
 先日、アメリカの海兵隊が二〇二二海兵航空計画を三年ぶりに公表いたしました。この中に、岩国基地に十五機配備されているKC130が二〇二三年三月までに十七機に増強されるということが明記をされております。空中給油で部隊をより遠方に迅速に展開させる狙いだとされていますが、KC130は、沖縄の負担軽減として普天間基地所属の十五機が岩国基地に移駐をされて、二〇一四年に移駐は完了しているんですね。
 にもかかわらず、なぜこれ追加配備なんでしょうか。政府としてはこれを了解をしておるんでしょうか。

○政府参考人(岡真臣君) 御指摘の二〇二二海兵航空計画における記載、これにつきましては私どもも承知をいたしておりますけれども、米軍KC130の岩国飛行場における配備機数の変更につきまして、防衛省としては承知をいたしておりません。

○井上哲士君 説明がないということですか。

○政府参考人(岡真臣君) 防衛省としては、先ほど申し上げたように承知しておりません。
 先ほど申し上げました海兵航空計画につきましては、海兵隊の報告用資料として作成されたものであって、米国防省の公式な立場を反映したものではないというふうに承知しているところでございます。

○井上哲士君 これ、日本にある基地であって、日本の空で訓練をする、住民に直接関わる問題なんですね。
 岩国基地は、この間、極東最大級の基地へと増強されて、周辺や訓練区域での騒音被害が拡大をしています。市民団体からは、空中給油機の増強で更に拠点化が進む、岩国上空でも危険な空中給油の訓練がされるかもしれない、断じて容認できないと、こういう声が上がっております。
 アメリカが勝手に決めて押し付けるようなことはあってはならないと思いますが、大臣の地元であります。大臣、いかがですか。

○国務大臣(岸信夫君) 米軍とは平素から様々な情報交換を行っているところでございます。米軍の運用に関してのこの空中給油の部分については、引き続き確認をしてまいります。

○井上哲士君 結局、空中給油も陸上でやらないよう抗議をしないままに、アメリカが勝手に増強、二機の増強を発表して、それを承知していないと。結局、住民には押し付けるだけなんですね。
 さらに、米軍は有事に備えて日本での燃料備蓄を拡大しようとしております。
 アメリカがインド太平洋地域で中国に対抗して戦力増強を図る太平洋抑止イニシアチブ、PDIに関して、アメリカ国防総省が四月までに米議会に長期計画を提出をしております。
 その中で、現代の戦域で部隊を支える兵たん体制及び能力は、とりわけ競争環境に欠ける作戦を支援するには不十分だとして、兵たん及び支援体制を要求しています。具体的な補給体制の強化に向けて、二〇二三会計年度から五年間で十・二億ドル、千三百億円を要望しており、戦時備蓄として岩国基地や横田基地でのジェット燃料の貯蔵能力の補強を提案をしております。岩国基地での貯蔵能力の補強は、インド太平洋地域における兵たんを改善して、同地域における戦略的な途中給油作戦、戦略的空輸及び戦力投射を可能にするとこの計画ではしております。
 米国が中国との武力紛争に備えての在日米軍基地の兵たん機能を具体的に増強しようとするものにほかならないと思いますが、政府としては、この長期計画に示された在日米軍の兵たん機能強化についてどのように認識をされているでしょうか。

○国務大臣(岸信夫君) 米国防省が本年四月に公表いたしましたこの太平洋抑止イニシアティブに関します予算要求資料において、インド太平洋地域における現在の米軍の兵たん体制、能力は、特に紛争下での作戦を支えるには不十分であるという旨の記載があり、在日米軍岩国基地や横田基地への燃料貯蔵タンクの調達などが予算案に含まれていると承知をしております。
 米国政府が実施する個別の事業の一つ一つについてコメントをすることはいたしませんが、一般論として申し上げますと、防衛省としても、米国が日米安保条約上の義務を果たすために、あらゆる事態に対応するための後方支援基盤をしっかりと整えておくことは重要な認識で、重要なことであると認識をしております。
 いずれにいたしましても、引き続き、いかなる状況においても切れ目のない形で日本の平和と安全を確保するため、日米間で緊密に連携をしてまいります。

○井上哲士君 在日米軍基地がこの兵たん機能を強化しようとしていることは重要であると、こういう認識が示されました。となりますと、まさに日米一体でこれが進められていくんじゃないか。
 先ほどもありました、先日の日米防衛大臣会談で、岸大臣は、国家安全保障戦略の策定を通じた日本の防衛力の抜本的強化に対する断固たる決意を述べ、そして両閣僚は双方の戦略を緊密な協議を通じて擦り合わせていくことを確認するともされております。
 こうした兵たん能力の強化についても戦略を擦り合わせていくということになるんですか。

○国務大臣(岸信夫君) 今般の日米防衛相会談では、本年一月の日米2プラス2においても確認した日米同盟の抑止力、対処力の強化に向けた取組を速やかに具体化していくことで一致するとともに、日米の緊密な協議を通じて両国の戦略を擦り合わせていくことを改めて確認したところであります。
 会談におけるこれ以上のやり取りの詳細については、まさに我が国の安全保障に関わるものであり、また米側との関係もあるためお答えできないことを御理解いただきたいと思いますが、いずれにいたしましても、引き続き、いかなる状況においても切れ目のない形で日本の平和と安全を確保するため、日米間で緊密に連携して対応していく考えであります。

○井上哲士君 これを報道した日経の英字紙、日経アジアは、台湾海峡若しくは東シナ海における軍事危機を想定したものと見られると、こういうふうに書いております。
 米軍は、PDIで新たにEABOと呼ばれる、沖縄から台湾、フィリピンに及ぶ部隊の分散配備を計画を打ち出しております。部隊を分散させれば、抗堪性は向上する一方、補給は難しくなると言われております。この長期計画を報じた今の日経アジアの記事では、アメリカ・シンクタンクのハドソン研究所の専門家が、日本などの同盟国が米軍への兵たん向上を図る必要があるという声も紹介をしております。
 在日米軍の兵たん強化にとどまらない、こういう米軍が打ち出した部隊の分散配備に合わせた兵たん支援が日本の自衛隊にも求められていると、米側から、そういうことになっているんですか。

○国務大臣(岸信夫君) 御指摘のこのPDIについては、インド太平洋地域における米国の抑止力と防衛体制の強化等を目的としたものであります。地域における米軍の戦力設計や体制を改善するための各種事業が盛り込まれているものと承知をしております。
 関連する報道の内容の一々についてコメントすることは避けたいと思いますが、その上で、日米間では、日米同盟の抑止力、対処力を一層強化するため、日米両国の戦略、体制、能力、新興技術や共同訓練といった非常に幅広い分野において、協力について平素から緊密に意見交換を行っています。
 まさに我が国の安全保障に関わる問題であり、また米側との関係もありますので、その内容の一つ一つについてお答えはできませんが、いずれにしましても、いかなる状況においても切れ目のない形で日米の平和と安全を確保するため、日米間で緊密に連携を取ってまいります。

○井上哲士君 具体的言及ありませんでしたけれども、日本がこういう米軍の兵たん支援の強化をすることについても否定をされませんでした。
 軍事対軍事の悪循環というものが最も日本を危険に陥れると思います。こういう形での兵たん支援強化というのは行うべきじゃないということを強く申し上げまして、質問を終わります。

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