国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2023年・211通常国会 の中の 内閣委員会(医療ビッグデータ法案に対する反対討論)

内閣委員会(医療ビッグデータ法案に対する反対討論)

○井上哲士君 私は、日本共産党を代表して、医療分野の研究開発に資するための匿名加工医療情報に関する法律改正案に反対の討論を行います。
 本法律は、医療機関が患者の医療情報を本人への通知のみで民間の作成事業者に提供できるものです。本人同意も得ずに個人の情報を外部提供することは許されず、特に医療情報というセンシティブな情報が重大なプライバシー侵害の危険にさらされるとして我が党は反対しました。
 実際に二〇二二年には認定事業者であるライフデータイニシアティブ及びNTTデータが、本人への通知を行わずに九万四千五百七十九人分の医療情報を提供した漏えい問題が起きています。
 その上で、本案で創設される措置の問題点を述べます。
 仮名加工医療情報は、特異な値や希少疾患名等の削除等は不要であるなど、現行の匿名加工医療情報より更に生データに近い上、対照表の削除も不要なため、他の情報と突き合わせることで容易に復元が可能な情報です。
 また、連結可能匿名加工医療情報は、本制度における主な医療情報の提供元である急性期医療など大きな病院に限らず、町の小さなクリニックや薬局など、全ての保険診療に係るデータ及び特定健診に関わるデータが含まれているNDBを始めとした様々な公的データベースと結合するものです。
 本人特定のリスクを高め、さらにプライバシー侵害の危険性を高める措置であり、反対です。
 加えて、医療情報取扱事業者に対する国の施策への協力の努力規定が設けられることも問題です。
 本案が検討されたワーキンググループでは、前述の問題を起こしたLDIの代表も検討に参加し、病院の協力を得るのが非常に大きな足かせ、最初のデータを集める部分はほぼ義務化にしてほしいと、利活用したい側の都合を優先させた発言をしています。
 実際、ワーキンググループの中間取りまとめでは、医療情報を取り扱う全ての事業者に対し、次世代医療基盤法に基づく取組に参画することが当たり前となる施策を検討することとなり、法案に国の施策への協力の努力規定が新設をされました。
 医療機関、健康保険組合、自治体等に対して医療情報提供の圧力を掛けようとするものであり、認められません。
 以上、反対理由を申し述べ、討論を終わります。

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