国会質問議事録

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財政金融委員会(軍拡財源確保法案ー少子化対策財源のための社会保障費削減やめ、大軍拡の中止を)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 一日に公表されたこども未来戦略方針案は、とても異次元とは言えないような内容にとどまりました。
 二〇三〇年までが少子化反転のラストチャンスと言いながら、予算倍増の時期は三〇年代初頭としておりまして、これではチャンスを逃すことになりかねないと思います。当面の加速化プランで大きな予算措置は、児童手当の拡充、所得制限の撤廃ぐらい、廃止ぐらいですが、骨太方針までに予算と財源の大枠を示すとしてきたにもかかわらず、これは結局年末に先送りにされました。
 一方、軍事費の方は五年後に二倍にするということで、そのための法案が今こうやって議論をされているわけであります。結局、四十三兆円もの軍事費を確保するということを優先したがために、子育て、少子化対策の財源が示せないという事態になっているんではありませんか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 少子化対策の財源については、六月一日、お示ししましたこども未来戦略方針の素案において、まずは徹底した歳出改革を先行させ、それによる公費の節減等の効果及び社会保険負担軽減効果を活用しながら、実質的に追加負担を生じさせないこと、これを目指すということ、また、経済活性化、経済成長への取組を先行させ、経済社会の基盤強化を行うということ、これらの取組を行う中で新たな枠組みを構築するという基本骨格を示し、この基本骨格に基づいて安定財源の確保に取り組む方針、これを明確にしています。
 よって、委員御指摘のように、財源確保策、これ先送りしたという指摘は当たらないと考えております。
○井上哲士君 どのマスコミも先送りしたと書きましたよ。今おっしゃったのはまさに一般論でありまして、具体的には何も決まっておりません。
 軍拡財源の確保のための歳出削減は社会保障関係以外の歳出改革によって捻出すると言いながら、実際は国立病院機構等の積立金を返納させて、本来医療体制の拡充などに使うべき財源が削減をされております。さらに、この軍事費大増税、大幅増のしわ寄せが少子化対策の財源確保のための社会保障給付費の削減や負担増になって現れていると思うんですね。全世代型社会保障の観点からの歳出確保で、改革で確保すると言われますが、この間の全世代型社会保障の名の下で行われてきたのは、高齢者に対する年金削減や医療、介護負担の押し付けにほかならないと思うんですね。昨年十月の、現役世代の保険料負担の軽減を強調して、七十五歳以上の後期高齢者医療費の窓口負担を、一定所得以上は二割に引き上げました。国の医療給付費をこれによって削減をしたわけですね。
 これと同じように、結局少子化対策の財源も、高齢者に対する給付の削減や負担増で確保しようと、そういうことなんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、先ほど、先送りの御指摘については、実質的に国民に追加負担を求めることなく少子化対策を進める、この方針をこれ明確に示したわけです。先送りという指摘は当たらないと考えております。
 そして、今の御質問についてですが、今般の少子化対策の財源確保に向けた歳出改革については、こども未来戦略方針の素案にお示ししたとおり、この全世代型社会保障を構築する観点から、歳出改革の取組、これを徹底することとしております。その歳出改革の具体的な内容については、具体的なこの改革工程表を策定する中でお示しいたします。二〇二三年度までの毎年度の予算編成過程において実施して積み上げてまいりたいと考えております。
 そして、委員の方から、こうした高齢者を始めとする方々に負担をお願いするのではないか、こういった御指摘については、この医療保険及び介護保険における改革には、これサービス提供側の質の向上と効率化、例えばこの医療提供体制の効率化、介護分野におけるITの活用など、これ幅広い取組が含まれます。こうしたものも含めて改革を進めていきたいと考えています。
○井上哲士君 五月二十五日には、日本医師会を始めとする医療・介護関係十二団体が声明を発表しております。そこでは、子供、子育て、少子化対策の財源を捻出するために、診療報酬や介護報酬の抑制、医療機関収支の適正化等を行うべきとの意見もあります。子供、子育て、少子化対策は大変重要な政策ですが、病や障害に苦しむ方々のための財源を切り崩してはなりませんと訴えておられるんですね。
 こども未来戦略方針の案は、財源については国民的理解が重要であると述べておられますが、この世代間に分断を持ち込むような、そういうこうしたやり方で少子化対策への国民の理解が得られると、総理、お考えでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、済みません、先ほど答弁の中で、二〇二八年度までの毎年度の予算編成過程と言うべきところ、二〇二三年度と言ってしまったようであります。二〇二八年度が正しい年度であります。
 その上で、今の御質問につきましては、これは、この全世代型社会保障を構築する観点から歳出改革の取組徹底すると申し上げております。そして、その取組には、様々な取組、医療提供体制の効率化、ITの活用など様々な取組が含まれます。
 その全体として、こうした歳出改革を実現することによって、子ども・子育て政策、少子化対策の財源について考えていきたいと政府は考えております。
○井上哲士君 結局、高齢者等への負担のしわ寄せになっていくわけですね。大企業の巨額な内部留保への課税であるとか、大企業、富裕層の優遇税制の見直し、総理自身が言われていた一億円の壁の解消、こういうことを道筋を否定したまま軍拡最優先で使える財源をことごとく軍事費につぎ込むと、こういうことをするから、私は、少子化対策の財源を社会保障削減で確保するという袋小路に陥っていると思います。
 こういうやり方は取るべきでないということを強く求めまして、終わります。

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