国会質問議事録

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財政金融委員会(軍拡財源確保法案ー浪費と談合をつくり出す大軍拡の中止を)

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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 GDP比二%先にありきの大軍拡の下で、FMSによる米軍製兵器の爆買いの支払が青天井になるということを先日はただしました。
 国内ではどうかと。自衛隊に関わる調達や事業では、これまで繰り返し談合が大問題になってきました。二〇〇六年の防衛施設庁による官製談合事件では、三人の現職、元職の職員が逮捕、有罪となって、防衛施設庁そのものが解体をされました。にもかかわらず、今、軍事予算の大幅拡大の中で、談合が巧妙なシステムで復活しつつあるのではないかと今日はただしたいと思うんですね。
 防衛省は、核攻撃被害も想定して、全国二百八十三地区、約二万三千棟の自衛隊施設の強靱化計画を今年度から五年間で四兆円の予算で十年間掛けて進め始めています。
 ところが、まだ予算が成立もしていない昨年の十二月から一部のゼネコンなどを集めて意見交換会を行って、参加企業から、お手元の資料一の、三枚ありますけれども、アンケートを取っております。受注可能な数や金額、希望する発注方式などをゼネコンから聞き取るものであります。
 このアンケートの返信先は、令和四年度施設整備技術支援業務を防衛省から受注した防衛基盤整備協会になっております。全体の構図は資料二に示しております。
 しかし、この契約の仕様書には、アンケートを取ることは書いてありません。これ、防衛省の側から提案をしたのか、防衛基盤整備協会からの提案だったのか。そもそも発注前に事業者からアンケートを取るなどが過去に例があるんでしょうか。大臣、副大臣、防衛省、いかがでしょうか。
○政府参考人(杉山真人君) お答えいたします。
 安全保障環境が急速に厳しさを増す中、防衛力の持続性、強靱性の基盤となる防衛施設の十分な機能を確保することは重要であると認識しております。
 昨年十二月十六日に閣議決定された防衛力整備計画においては、施設整備に関して、武力攻撃等に対する自衛隊施設の抗堪性の向上、津波や浸水などの大規模自然災害対策、既存施設の老朽化、防護性能付与といった取組を、民間の知見を活用しつつ、集中して円滑に実施していくこととしております。
 このため、今後の施設整備を集中して円滑に実施し、一日も早く事業効果を発揮させるため、建設業に携わる民間事業者との意見交換会を実施しました。この意見交換会は、専門家とも相談し、公正性を確認しながら進めてきたものであり、これまでの意見交換会の資料は当省のホームページにも掲載しており、意見交換会に参加していない民間事業者にも広く周知しているところであります。
 集中する、実施する大規模な事業を競争性を確保しつつ円滑に進めていくためには、民間事業者の能力等を十分に把握した上で、できる限り多くの事業者が競争に参加できるよう検討を行う必要性があります。このような観点から、発注方式や発注規模に関する検討の資とするために、意見交換会において民間事業者の能力等に関してアンケート調査を実施することとしたものです。このアンケート調査は、防衛省がその内容や方法等も含め主体的に検討を実施してきたものであり、また、その内容についても、競争性を担保しつつ事業を実施していくために、事業の実施可能な規模感や効率的な実施方法等に関する、方法等を把握するためのものとなっております。
 防衛省におきましては、できる限り多くの事業者が交渉に参加できるよう、これまでも必要に応じて建設業界等と意見交換会などを行っておるところでございます。
○井上哲士君 関係ない長答弁しないでいただきたいんですが、過去に例があるかは答えられませんでした。発注前にゼネコンからアンケートを取るなど前代未聞だとゼネコンの元幹部も言っていますよ。
 これ、聞きっ放しなんですね。三月の第三回意見交換会では、業界の要望を踏まえたものとしてマスタープランの分割表、資料三も提示をされております。
 防衛施設庁談合では、ゼネコンへの発注を割り振りする表、すなわち談合表の存在が大問題になりました。当時のこの事件の調査報告書の抜粋を資料四で配っておりますが、再就職先の確保等につながることを考慮して、事前に業界のOBを通じて業界の意向を確認した上で割り振り表の原案が作成されてきたと指摘しているんですね。発注前に業界の意向を聞くのは同じなんですよ。どのゼネコンがどれだけの数や金額の受注が可能であるかということを事前に把握をすれば、これ容易に割り振り表作成に使えるわけですね。
 しかも、それと同じだけじゃありません。資料の二です、②を見ていただきたいんですが、防衛施設庁談合に関わった当時の防衛施設技術協会も解散になりました。その事業を引き継いだのが防衛基盤整備協会でありまして、今回この事業に応札したのは同協会のみで、落札率は実に九八%です。
 そして、資料二にありますように、当時の防衛施設技術協会の理事長で元防衛施設庁幹部の生沢氏、施設庁の現職幹部であった松田氏、河野氏の三人が逮捕され、有罪が確定し、松田、河野氏は懲戒免職となったんですね。ところが、驚くべきことに、この三人がこの防衛技術整備協会の役員に二〇一四年以降なっているんですよ。そして、この松田氏は協会の常勤理事であり、今回の事業の契約書を代表者として取り交わして、ゼネコンなどの連絡の窓口となっております。資料四を見ていただきますように、施設庁談合当時建設企画課長だった松田氏はゼネコンへの割り振り表を作った本人なんです。
 防衛施設庁の所管の公益法人である防衛基盤整備協会に施設庁談合で有罪となった三人が役員を務めて、そしてゼネコンからのアンケートの中心人物が当時割り振り表を作った本人である松田氏だと、そのことを防衛省は承知していたんですか。問題はないと思っているんですか。副大臣、いかがですか。
○副大臣(井野俊郎君) 先ほど答弁ありましたアンケート調査は、民間の事業者の能力等を十分に把握するために、防衛省がその内容や方法などを含め主体的に検討し、実施してきたものであります。
 その上で、御指摘の公益社団法人防衛基盤整備協会は、我が防衛省が発注した令和四年度施設整備技術支援業務を一般競争入札により実施したものであり、業務の中でアンケートの調査の配付や取りまとめを行ったにすぎず、アンケート調査を主体的に行ったのは我々防衛省でありますので、委員の御指摘には当たらないというふうに考えております。
○井上哲士君 いや、知っていたのかどうかと聞いているんですよ。違う答弁しないでください。
○副大臣(井野俊郎君) 当時よりホームページ等には記載があったことは承知をしております。
○井上哲士君 これ、防衛庁所管の公益法人なんですよ。そして、有罪になった人ですよ。そのために防衛施設庁は解体されたんですよ。その人が今これをやっていると。それを問題に思わないというのはどうかしていると思うんですね。
 しかも、施設庁談合の調査報告書では、施設庁にとってそれまで経験したことのないような大規模工事である岩国飛行場滑走路移転事業を契機としてこのような割り振り表が作成され始めたと書いているんですね。
 今回の意見交換会で防衛省が配付した文書では、これまで経験したことがないような規模の事業量と、同じこと書いてあるんですよ。つまり、大規模な予算を理由に事前に業界の意向を確認をするという点で同じ、今後の割り振り、談合につながるのではないか。
 当時の調査報告書は、この事件が防衛省・自衛隊に対する信頼を深く傷つけた責任を強く認識としているんですね。同じようなことを行おうとしていること、このことを問題とは思わないのでしょうか。私は個々の企業がどういう意向を持っているかということは、当然これ割り振りにつながりますから、これはもう廃棄をする、アンケートそのものを中止をする、事業そのものも抜本的に見直すべきだと思いますが、副大臣、いかがですか。
○副大臣(井野俊郎君) 先ほど、ちょっと済みません、一点だけ答弁の訂正がございました。先ほど公益社団法人と申し上げております、公益財団法人の間違いでございまして、私はその点だけちょっと訂正させていただきます。
 その上で、先生御指摘の点でございますけれども、我々、防衛施設庁談合事件以来、抜本的な対策として、建設工事を入札する手続においては原則として一般競争入札による入札を行うこととしており、また平成十八年度からは総合評価方式を導入するなどしております。そのほかにも電子競争、電子入札などを通じて、なるべく人が会わないといいましょうか、そういう場がないようにということで取り組んでいるところでございます。
 こういう取組を続けており、そういうようなことの談合とかは行われていないというふうに認識をしております。
○井上哲士君 じゃ、何で、当時談合の中心になって有罪になった人が今この事業の中心に座っているんですか。どう考えても私は国民の理解を得られないと思いますよ。
 財務大臣にお聞きしますが、防衛施設庁談合を機に、財務大臣から各省庁に公共調達の適正化が発出をされました。その中で、公共調達については競争性及び透明性を確保することが必要であり、いやしくも国民から疑念を抱かれるようなことがあってはならないとしています。
 今回の事件は明らかにこれに反すると思います。こんなことを見過ごしたら、他の省庁にも蔓延しかねないわけですね。不幸中の幸いで、まだ発注前で談合は起きておりません。財務大臣、五年間で四兆円などの巨大予算で本当にいいのかと、談合につながるやり方が行われているんじゃないか、財務省として徹底調査をして事業の抜本見直しをするべきだと思いますが、財務大臣、いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 今回、今先生から御指摘のございます民間事業者との意見交換会でございますが、これ今財務省、失礼しました、防衛省からもるる答弁がございましたが、入札手続の準備作業として実施されたものであると理解をしておりまして、公共調達の適正化の趣旨に反するものではないと、そのように考えておりますが、財務省といたしましては、防衛省・自衛隊の施設整備について、予算要求内容を精査するのみならず、執行段階においてもこの公共調達の適正化の趣旨を踏まえ適切に対応するよう防衛省に求めるとともに、個別の契約の見積りや進捗状況を含め、予算の執行状況をしっかりと確認をしていきたいと考えております。
○井上哲士君 国民からおよそ私はこれは理解されないと思います。しっかり状況を確認をしていただきたいし、そもそもこういう浪費や談合をつくり出す、五年間で四十三兆円という大軍拡そのものを見直し、中止をするべきだと、そのことを強く求めまして、質問を終わります。

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