国会質問議事録

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財政金融委員会(軍拡財源確保法案ー国民を欺く軍拡増税先送り、敵基地攻撃能力の保有)

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○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 先ほどの質問にもありましたけれども、政府は骨太方針に大軍拡の財源確保のための増税の開始時期について二〇二五年以降も可能になるように柔軟に判断をすると盛り込もうとしております。これまでの二四年以降からの先送りを示唆するものになると。
 先ほど大臣は、これ存じ上げていると述べられまして、ただ、これはこれまでの枠内だと答弁をされました。一方、この間の当委員会の審議では、防衛力強化資金に繰り入れる税外収入についても、令和六年度以降は現時点では具体的に見込まれるものはないとも答弁をされてきたわけですね。それ以外の財源についても具体的な答弁はされてこられませんでした。増税を一年先送りできるという具体的な見通しがあってこういうことが盛り込まれようとしているんでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 骨太の方針二〇二三につきましては、現在閣議決定に向けて詰めの調整を行っている状況で、今現在しっかり固まったものはないわけでございます。
 その上で、骨太方針におけます防衛力強化の財源確保としての税制措置の実施時期に関する箇所につきましては、先般、自民党の特命委員会から総理に対して行われた申入れの中で、令和六年以降の適切な時期とされている税制措置の開始時期について、令和七年以降のしかるべき時期とする柔軟な判断も可能とするには税制措置以外の財源を更に確保することが必要であり、この提言を踏まえ、その他の収入を含めて更なる上積みに向けた取組を政府に期待するというこの提言がなされたことを受けまして、その趣旨を踏まえて今検討をしているところであります。
 この税制措置の開始時期につきましては、昨年末の閣議決定した枠組みの下、行財政改革を含めた財源調整の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応を踏まえて、今後、与党税制調査会において判断していくこととしていることはこれまでも御説明をしているとおりでありまして、昨年末に決定した防衛力強化のための財源確保のフレームや、あるいは政府のこれまでの説明が変わるものではありません。税制措置の開始時期については、閣議決定した枠組みの下で、引き続き、政府・与党で緊密に連携し、柔軟に判断してまいりたいと考えております。
○井上哲士君 与党から期待されると言われてそうしますというだけであって、何ら具体的な見通しは今も示されませんでした。
 一方で、大軍拡の予算の執行はずっともう進められているわけですね。この財源確保の見通しも示せないまま増税の一年間の先送りだけ示すのは、私は余りにも無責任だし国民を欺くものだと思うんですね。
 大臣、もう一点聞きますが、結局、選挙が近いということも言われる中で、見通しもないのに増税先送りだけしていると言われても仕方ないと思うんですね。見解いかがでしょうか。
○国務大臣(鈴木俊一君) 防衛力の抜本強化の議論をずっとやってまいりましたけれども、そのときに、正直ですね、まあ選挙あるのかないのか分かりませんけれども、選挙を何か意識して議論をしたことはございません。そういう意味におきまして、何かこの税制措置を選挙の後に持っていこうという、そういったようなこの意図的なものというものは考えていないわけでありまして、純粋にこの防衛力を抜本強化する、その財源をどういうふうにしていくのか、そういう中でこの税制措置の開始時期も考えていくと、これは与党の税制調査会において今後検討していただくわけでありますが、そういう手順になるんだと考えております。
○井上哲士君 今この時期で突然出てきたんですよ、先送りというのは。国民は、どう見たって、これはまさに選挙目当ての先送りだと見ていますよ。こういうやり方はとんでもありませんし、そもそも、こうなりますと、この財源確保のこれまでの審議は何だったのかということになるわけですよ。私は、こんな中で質疑の終局などはあり得ないということを強く強調しておきたいと思います。
   〔委員長退席、理事大家敏志君着席〕
 国民を欺くようなやり方は敵基地攻撃能力の保有も同様だと思います。
 先日の私の質疑の答弁で井野副大臣は、この反撃能力については、あくまでも元々検討しておりましたスタンドオフ防衛能力などの自衛隊の能力を活用するものであり、反撃能力のための独自の防衛を整備するものではございませんと答弁されました。
 しかし、これまでスタンドオフミサイルの整備について、私も外交防衛委員会ずっとおりましたけど、敵基地攻撃能力の保有につながるものじゃないかと質問しますと、それを目的としたものではないと、能力を否定する答弁を繰り返してきたわけですね。
 つまり、実際には敵基地攻撃能力への転用を想定をして整備を進めてきたと、こういうことでしょうか。
○副大臣(井野俊郎君) スタンドオフミサイルは、島嶼部を含む我が国への侵攻を試みる艦艇や着上陸部隊等に対して、自衛隊員の安全を確保しつつ、脅威圏の外から対処を行うことを目的として整備を進めているものであります。
 昨年十二月に、国家安全保障戦略等においてスタンドオフ防衛能力等を反撃能力に活用するとの方針が決定されましたけども、この前後を問わず、スタンドオフミサイルの整備目的には変更はございませんで、反撃能力への転用を想定して整備を進めてきたということではございません。
○井上哲士君 ずうっとそういうことを言われてきたんですけど、例えば去年の四月ですね、自民党の安全保障調査会の主催した非公開の会合の席上、防衛省は、敵基地攻撃能力の転用も可能なSSM改良型の早期実現化に向けた予算確保などを求めて、射程を更に延ばすことも想定していると述べたということが報道されました。私、当時、岸防衛大臣に質問しましたけども、これは敵基地攻撃能力保有の先取りではないかとただしますと、非公開なので答えは差し控えると述べるだけであって、そのことは否定をされなかったわけですよ。実際には国民に隠して敵基地の攻撃能力の転用を念頭に装備を進めてきたのではないかということなわけですね。
 さらに、政府は、相手国まで届く兵器を保有するだけでは敵基地攻撃能力の保有にならないんだということで、お手元に私の質疑の議事録配っておりますけれども、敵基地攻撃能力の保有のためには四つのオペレーションが要るんだと繰り返し答弁をされてきました。
 第一は、他国の領域において、移動式ミサイル発射機の位置をリアルタイムに把握するとともに、地下に隠蔽されたミサイル基地の正確な位置を把握すること、二つ目には、防空用のレーダーや対空ミサイルを攻撃して無力化し、相手国の領空における制空権を一時的に確保すること、三つ目には、その上でミサイルの発射機やミサイル基地を破壊して能力を無力化し、さらに四つ目に、それを把握した上で更なる攻撃を行うと。この四つのオペレーションということを政府は繰り返し答弁をしてこられました。
 今回、敵基地攻撃能力の保有を決めたということは、今度の防衛力整備計画によってこの四つのオペレーションが可能となる装備を保有するということなんですか。
○副大臣(井野俊郎君) 御指摘の河野大臣答弁についてでございますけれども、いわゆる敵基地攻撃について具体的な装備体系を検討しているわけではないことを前提として、一般論として、いわゆる敵基地攻撃能力の行われる可能性のある一連のオペレーションを例示したものであると認識しております。あくまでも一例を示したものであり、これに限られるものではないというふうに認識しております。
 その上で、昨年十二月に策定した国家防衛戦略等において、反撃能力にはスタンドオフ防衛能力等を活用することとしておりますが、防衛省としては、必ずしも御指摘のオペレーションを実施することを想定しているわけではなく、防衛力整備計画との対応関係については一概にお答えすることは困難でございます。
○井上哲士君 あくまで一つの例と言われますけど、国会でこれ以外の例を答弁したことないんです、何度聞いたって。つい一年半前の予算委員会でもこのことを答弁をされたんですね。
 聞きますけど、例えばこの一つ目のオペレーション、移動式ミサイルの発射の位置の把握や地下に隠蔽された基地の正確な位置の把握、これはスタンドオフミサイルを活用した場合でも必須だと思うんですけれども、この実施する能力の保有は防衛力整備計画にはどのように盛り込まれているんでしょうか。
○副大臣(井野俊郎君) 反撃能力はあくまでもスタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用するものであり、反撃能力のための独自の整備方針があるわけではございません。お尋ねの移動式発射台や地下基地の正確な位置の把握のための防衛力整備を行っているものではございません。
 その上で、防衛力整備計画においては、スタンドオフ防衛能力の運用に必要となる目標情報を一層効果的に収集するといった観点から、衛星コンステレーションを活用した画像情報等の取得などにより、情報収集、そして分析機能及び指揮統制機能を強化することとしております。
 反撃能力については、こうした我が国自身の取組を活用しつつ、情報収集を含め、日米共同でその能力をより効果的に発揮する協力体制を構築しているところでございます。
○井上哲士君 それによって地下や移動式の発射台基地が把握できるようになると、今の答弁で、そういうことでいいんですか。
○政府参考人(増田和夫君) お答え申し上げます。
 先ほど副大臣からも御説明しましたように、他国の領域において移動式発射台や地下基地の正確な位置の把握のための防衛力整備を行っているものではございません。この反撃能力というのは、あくまでスタンドオフ防衛能力等の自衛隊の能力を活用するものでございます。
 そこで、これ、国家防衛戦略の中に書いてございますけれども、スタンドオフ防衛能力に不可欠な、我が国に侵攻してくる艦艇や上陸部隊等に関する正確な目標情報を継続的に収集し、リアルタイムに伝達し得る指揮統制に係る能力を保有すると、対処実施後の成果の評価も含む情報分析能力や情報ネットワークの抗堪性、冗長性も併せて保有すると、こういうスタンドオフ防衛能力の中の情報の能力、これを基本として整備していくということは考えているわけでございます。そして、スタンドオフ防衛能力を反撃能力として活用するということでございます。
○井上哲士君 同じ答弁繰り返さなくていただきたいんですけどね。相手の位置を把握しなきゃ、どうやって当てるのか、さっぱり分かりません。
 そして、三文書ではスタンドオフ防衛能力等を活用した反撃能力を保有としておりますが、それに限定されるのかと。
 確認しますが、岸田総理は二月二十七日の衆議院予算委員会で、保有が可能な反撃能力にはスタンドオフ防衛能力以外もあり得ることは否定できないと答弁をされました。例えば戦闘機による爆破、上陸作戦なども排除されないということでよろしいですか。
○副大臣(井野俊郎君) 反撃能力については、現時点において、現実的な選択肢としてスタンドオフ防衛能力の活用を念頭に置いております。
 その上で、今後の自衛隊の能力や将来の技術革新の可能性などによっては、弾道ミサイル等による攻撃を防ぐためにやむを得ない必要最小限度の自衛の措置として、効果的かつ現実的な対応能力がスタンドオフ防衛能力以外にもあり得るということは否定できないものと考えております。
   〔理事大家敏志君退席、委員長着席〕
○井上哲士君 つまり、現時点だってスタンドオフ防衛能力だけにとどまらないと、上陸作戦であるとか戦闘機による爆撃とかもあり得るわけですね。そうしますと、先ほどのようなオペレーションの装備ということも必要になってくるわけですよ。
 これまで、平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器を持っているということは憲法の趣旨とすることでないという五九年の伊能防衛庁長官の答弁を曲がりなりにも堅持をしてきたわけですが、ところが今、憲法解釈踏み破って敵基地攻撃能力を持つとしたことで、この歯止めが失われるわけですよ。
 この間、例えばミサイル防衛構想についても、この案でも、結局、相手がそれによって能力を上げれば軍拡の悪循環になってむしろ緊張激化につながる、こういうことを私たちは言ってまいりました。実際のこのBMDについては、当初、整備費八千億から一兆円ということで始まったわけですけれども、今やもう三兆円ですよ、約。三倍に膨れ上がりました。そして、飽和作戦とか極超音速滑空弾などでもう迎撃は困難だといって、いよいよ敵基地攻撃能力の保有だってことを今、政府、防衛省は言ってきたわけですよね。
 結局、こうやって、軍事対軍事でやりますと歯止めのない軍拡になっていきますし、さらに、敵基地攻撃能力の保有になりますと、ミサイル防衛、ミサイル、スタンドオフミサイルだけではない、今後の状況によっては戦闘機とかあるとか、上陸もあるわけですよ。歯止めのない軍拡に進んでいく、そういう方向ではありませんか、副大臣。
○副大臣(井野俊郎君) 今回の防衛力強化の検討に際しては、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境に対峙していく中で、我々、国民の命を守り抜けるか、極めて現実的なシミュレーションを始めとする様々な検討を行い、必要となる防衛力の内容を具体化してきたものであります。これら、あくまで国民の命と平和な暮らしを守り抜くために必要なものというふうに考えております。
 その上で、反撃能力はあくまでもスタンドオフ防衛能力などの自衛隊の能力を活用するものであり、委員御指摘のように、反撃能力の保有により歯止めなき軍拡の道に突き進むというふうになるとは考えておりません。
○井上哲士君 だって、将来、状況によってはスタンドオフミサイル以外もあり得ると総理も答弁されて、先ほど認めたわけじゃないですか。だから歯止めなくと言っているんですよ。
 あの福島の地方公聴会でも、ウクライナで原発が攻撃対象になった姿を見て、やっぱり、一旦戦争になれば、仮に反撃能力持ったとしても、原爆が狙われればとてつもない被害になると、絶対戦争にしてはならないという思いが語られました。
 やるべきことは、憲法九条を生かして地域の全ての国を包摂する平和の枠組みを発展させる外交努力でありまして、軍事対軍事の悪循環に陥ってはならないということを強調して、質問終わります。

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