国会質問議事録

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内閣委員会(自見英子万博担当相の政治資金問題、官報発行法案)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 自見大臣に法案の質問をする前に、大臣の資格自体も問われる政治資金の問題について聞かないわけにはいきません。
 今、自民党の派閥の政治資金パーティーで政治資金規正法に違反した裏金作りが行われていたという疑惑が底なしの大問題になっております。大臣の所属する志帥会も捜査をされております。
 自見大臣が代表を務める政治団体ひまわり会が、自民党二階派政治団体志帥会に対して、法律上の上限である百五十万を超える政治資金パーティー券代を支出していたという疑いをしんぶん赤旗日曜版が報道いたしました。ひまわり会の政治資金収支報告書に、志帥会に対して、二一年の十月七日付けで会費として二百万円を支出をしたということが明記をされているというものであります。二二年度についても志帥会に対して百九十四万円を会費の名目で支出をしていることも明らかになりました。
 この問題で、大臣は赤旗日曜版に文書で回答されています。パーティー券百枚を募ることを託されたが、あたわなかったことから、事後に相応の財政的支援をするために二百万円を寄附として納めたということでありますが、先日の予算委員会でも同様の答弁をされております。
 つまり、パーティー券百枚分、二百万円がノルマだったということでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 当時の担当者が既に退職をしているため、現在、弁護士を通じて事実関係を精査中でございますが、支払われた時期がパーティーの開催から相当期間を経過した後だったということ、また、志帥会側からはパーティー券の買取りを求められたことはなく、あくまでパーティー券の購入者を募ることを託されたにすぎないなど、これまでに確認された事実関係などを踏まえますと、現時点では、志帥会よりパーティー券百枚分の参加者を募ることを託されたものの、コロナ禍の影響もあり、十分な参加者数を募ることができなかったことから、事後に相応の財政支援をするために自発的に寄附をしたものと判断される旨の見解を弁護士からいただいているところでございます。
○井上哲士君 二二年度については、パーティー券三枚売ったので、残余百九十四万円、合計二百万円を支払っているんですね。つまり、この二百万円が毎年ノルマだったということしか見えないわけですよ。
 二百万円がノルマとしますと、パーティー券購入額の法律上の限度額は百五十万円でありますから、これ超えるわけですよね。その分が広く収支報告書に書かない裏金になっていたのではないかという重大な疑惑も出てまいります。
 そして、重大なことは、ひまわり会からの支払が、両年とも志帥会の収支報告書に収入として記載がないということなんですね。裏金として処理をされたのではないかという重大な疑惑でありますけれども、大臣は、これ、ひまわり会からの支払が志帥会の収支報告書に記載がないということをいつ認識されたのでしょうか。そして、そのことについて志帥会に事実関係を確かめて、是正を求められたんでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 志帥会の収支報告書については、お尋ねのような御指摘がある旨につきましては、メディアからの問合せがあるまで承知をしておりませんでした。いずれにいたしましても、志帥会の収支報告書につきまして、私の立場からコメントすることは差し控えたいと思ってございます。
 なお、これまでに確認された事実関係を踏まえますと、寄附に当たると判断される旨の見解を弁護士からいただいている旨は申し上げたとおりでございまして、パーティー券購入代金の上限の制限については関係しないものと考えてございます。
○井上哲士君 志帥会の問題じゃないんです。大臣が支払ったお金が書かれていないと、このことについて確かめたのかということを聞いているんですね。
 支払ったものが収入として記載されていなくて裏金作りに使われたとすれば、そのことを確認せずに放置することは大臣自身も規正法違反に関わるということになるんですよ。そういう認識あるでしょうか。改めて、事実関係を確かめたのかどうか、いつか、明確にお答えください。
○国務大臣(自見はなこ君) 一部繰り返しになって恐縮でございますが、志帥会の収支報告書の記載については、志帥会において適切に対応されるものと考えてございます。
 今後、弁護士の調査が終了し、選管などへの適切な費目の記載方法の相談が終わった時点で、私から先方にお伝えする予定としております。
○井上哲士君 適切に対応されていないから問題なんでしょう。こんだけ社会的問題になっていながら、自ら確かめないということは、大臣自身もこれに加担をしているということが厳しく問われるということを私は申し上げておきます。自ら、直ちに志帥会に事実を確認をして、事実を国民の前に明らかにするべきだと強く申し上げておきたいと思います。
 その上で法案の審議に入りますが、この法案の検討の始まりは、昨年、デジタル臨時行政調査会で、経済界から、書面廃止やデータ再利用ができないので電子官報を実現してほしいという要望があったこと、これ自体は、官報を提出すべき申請において、紙の官報のコピーではなくてインターネット版官報も指定できるように既に措置済みなわけですね。
 では、なぜこの法案が出されたのかと。先ほども法案に目的規定がないという指摘がありましたけれども、どういう目的でこの法案が出されたんでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 法令の公布等に用いられる官報を電子化することは、法制分野のデジタル化の基盤となることを始め、我が国のデジタル化にとって象徴となる取組でございます。
 具体的には、官報の電子化によって、法令の公布等が電子的に完結し、すなわちウェブサイトに官報を掲載することで法令の公布等が行われることになり、法令の公布等がされた時点が明確となるほか、ウェブサイトを通じて国民がいつでもどこでも無料で官報を閲覧することが可能となります。
 また、官報の電子化によって、今後、機械可読なデータの提供が容易となるなど、国民の利便性の向上や行政の業務効率化に資する取組が促進されることが期待されております。
○井上哲士君 いつでもどこでも閲覧可能と今言われましたけれども、条文でそうなっているのかという問題です。
 官報は、法律等の公布や公示事項を記載することで法的効果を生じさせて、国民の権利義務に影響を与え、また国民に広く周知する役割を持っております。
 ところが、法案は閲覧期間を設けております。破産公告などのプライバシー情報への配慮は当然必要ですが、それは国民への公開を原則とした上で周知に必要な期間を超えたところで非公開にすればいいと思うんですね。
 公開期間の制限を原則とすべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 官報掲載事項につきましては、法令の規定等に基づきまして一般国民に周知させるために官報に掲載されるものでありますが、プライバシー情報につきましては、官報の電子化に伴い、インターネットの特性としてこれらの情報の加工、流通や目的外利用の危険性が高まることに留意する必要があると考えてございます。このため、官報の発行におきましては、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間に限り公開することといたしました。
 その上で、法令を始めプライバシーへの配慮の観点等から支障がない官報掲載事項については、永続的に公開することとしているものであります。
 また、閲覧期間の経過後におきましても、現行と同様に国立国会図書館や都道府県立図書館において過去の官報を閲覧することができるようにするほか、今回新たな措置として国立公文書館においても過去の官報を閲覧することができるようにいたします。
 なお、現在の紙の官報の発行において、官報の掲示期間は一日であり、また、現在、国立印刷局が情報提供として公開するインターネット版官報の公開期間は九十日間であるところ、今回の官報の発行においては九十日間の閲覧期間を確保することとしており、現状と比較して国民が不利益を被ることはないと考えてございます。
○井上哲士君 いつでも閲覧できるようにするのだと答弁されるならば、永続公開を原則にしてプライバシー配慮のための規定を設ければいいと、こう思うんですね。
 この閲覧期間超過後の公開がどうなるのかという問題ですが、大臣は今も、プライバシー配慮の観点から支障はない、官報の掲載事項については永続的に公開させていただくと、こういう趣旨の答弁がありました。しかし、条文には、閲覧期間超過後も法令その他の内閣府令で定める事項を公開するとあるだけで、プライバシー上配慮の必要があるもの以外は永続公開するということに法文上はなっておりません。
 大臣答弁のこのプライバシー配慮の観点から支障のある事項というのは、具体的には何なんでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 本法案による官報の発行においては、プライバシーに配慮し、官報全体の閲覧、ダウンロードに必要かつ適当な期間、すなわち閲覧期間に限りウェブサイトで官報全体を公開することとしてございます。
 その上で、法令を始めプライバシーへの配慮の観点等から支障がない事項については、閲覧期間経過後においても永続的に公開することとしてございます。
 他方、閲覧期間経過後に公開しない事項としては、プライバシー情報を含むものとして、例えば、破産公告、帰化の公示、また行政不服審査法の規定等に基づく名宛て人の氏名、住所を表示した公示送達等が挙げられます。
○井上哲士君 一定の今例示が行われましたけれども、結局、プライバシー配慮すべき事項以外は原則公開と、こういう条文規定はありません。ですから、永続的に閲覧できる事項を政府が恣意的に選択できる余地があると思うんですね。これでは、大臣の答弁のとおりに、原則公開として運用される保証がないということを指摘しなければなりません。
 次に、原則、印刷局の掲示、販売、国立国会図書館への納本や国立図書館への提供などの種々の方法によって国民が官報を入手し、過去の官報も含めて閲覧ができる状態に置かれております。これが法律でどう変わるのかという問題であります。
 関連法の改正として、図書館法九条一項の政府による都道府県立図書館への官報提供規定を削除することとなっておりますけれども、これはなぜ削除するんでしょうか。
○政府参考人(原宏彰君) お答えをいたします。
 電子化後の官報は、インターネットを利用して、内閣府のウェブサイトに掲載されたものを閲覧することが基本となるわけでございます。
 現在、都道府県立図書館は、官報を閲覧する場所として広く国民一般に認知されております。官報の電子化後も利用者が都道府県立図書館においてもインターネットを利用して官報を閲覧することができるよう、本法律案においては、都道府県立図書館に対し必要な情報提供、情報の提供その他の支援を行うよう努める旨の規定を置くことをしております。
 また、図書館において紙媒体での閲覧をすることについての利用者のニーズも想定されるわけでございまして、都道府県立図書館からの求めに応じ、官報掲載事項を掲載した書面を提供する旨の規定を置くこととしております。
 このように、本法律案において図書館における官報の閲覧機会を確保するための様々な措置を規定したことを踏まえれば紙媒体の官報を二部提供するとの規定を残す意味はなくて、整備法案におきまして図書館法第九条第一項の規定から官報の提供に係る文言を削ることとしたものでございます。
○井上哲士君 意味がなくなるとおっしゃいましたけど、私は、やはり政府の責任というものを明確にしていくという点では、これを削除するのはどうなのかと思うわけです。そもそも、現行規定で発行のたびにきちんと提供はされてきたのかという問題があります。
 二〇〇八年の図書館法改正時の参議院の審議で、政府は官報などの広報刊行物を提供するものとするというこの図書館法の九条一項の規定について議論が行われました。そのときに文部科学省の局長は、「無償提供が想定されておる」と答弁をされております。その上で、本来無償で二部提供されるところ、実際は図書館が購入しているという委員会での指摘を受けて、当時の渡海文部科学大臣は、「法の趣旨にのっとって、各省庁にもきっちりと徹底するように我が方が努力をさせていただきます。」と答弁をしているわけですね。
 ところが、内閣府の資料によりますと、都道府県立図書館の五十九館のうち、二部購読しているところは一館、一部購読は四十七館、購読のなしが十一館なんですね。ですから、全ての図書館にあるわけでありません。しかも、この当時の答弁と違って、図書館が購入をしているわけですね。
 なぜこういうことになっているのか。政府答弁のとおり無償提供が行われていないんでしょうか。
○政府参考人(原宏彰君) お答えいたします。
 御指摘の図書館法第九条第一項の規定について、同法の立法当時、昭和二十五年でございますけれども、の印刷庁が独立採算制で業務を行っていることとの関係上、第九条第一項において無償と規定されなかったものというふうにされておりまして、したがって法的には有償と無償と両方あり得るものであるというふうに承知をしております。
 こうした考えの下、同規定に基づく提供については、従前から、都道府県立図書館が官報やその他の印刷局の刊行物について各地の官報販売所等において入手、すなわち購入できる状態に置くことをもって行われてきているものというふうに承知をしてございます。
○井上哲士君 先ほども紹介しましたように、文部科学大臣が、当時の文部科学省がですね、無償提供が想定されておるというのはこの九条一項に関わっての答弁だと、私、改めて確認をしたんです。ですから、そもそもこの九条一項は、図書館が国政に関わる情報を提供することを保障する規定であって、情報公開や国民の知る権利という観点からも重要なものですね。政府に責任を持たせると、提供するという主体的役割を持たせていると、こういう重要な規定だと思うんですね。
 ところが、先ほど言いましたように、実際には無償提供されておりません。いまだに法規定を履行していない政府が自らその規定を削除すると。一方で、法案では、図書館でも閲覧期間内はPC等で見られるように情報提供などに努める、求めがあれば書面官報を提供しているというだけでありまして、これでは政府の情報公開の責任や主体的役割を後退をさせてしまうのではないかと考えますが、官報の発行主体として、そういうことでいいんでしょうか。
○国務大臣(自見はなこ君) 本法案におきましては、官報を一般国民が閲覧をし、また入手し得るための措置として、内閣府のウェブサイトにおいていつでもどこでも無料で官報を閲覧することができる状態に置くことにより官報へのアクセシビリティーを向上させるとともに、インターネットを利用することができない方に対しても官報掲載事項を記載した書面の交付等の措置を行うことで、これまでの紙の官報の提供の手段と同等の周知性を確保することとしてございます。
 都道府県の図書館での官報の閲覧において申し上げれば、現状、全ての都道府県においてインターネットを利用することができる図書館が設置されており、これらの図書館において電子化後の官報を閲覧することが可能であります。
 その上で、本法律では、内閣府から都道府県の図書館に対する官報掲載事項を記載した書面の提供について規定をしてございます。そして、その上で、各図書館から求めがあった場合の当該書面の提供について内閣府に義務付けをすることによって、各図書館がこれまでと同様に、紙媒体によっても、紙媒体によっても官報の情報を利用者に提供することができるようにしてございます。
 このことから、官報の情報を国民に対し提供することに関する本法案の措置については、都道府県の図書館を通じた情報の提供を含め、政府の責任や主体的役割を後退させるとの御指摘は当たらないものと考えてございます。
○井上哲士君 いつでもどこでも閲覧可能と答弁されてきましたけれども、閲覧期間を設けた上でその後も公開する事項は政府に恣意的な選択の余地がありますし、どの情報にいつでもアクセスできるかは政府の裁量次第と。そして、今申し上げたように、政府による提供規定を削除して、過去のものも含めてどこでもアクセスできるかどうかは図書館の努力次第ということになるわけですね。
 現行憲法下で初めて官報の根拠法を設けるに当たって、デジタル化の象徴というならば、政府の責任を明確にして、国民に対する情報公開を拡大する見地から検討し、見直すべきだということを申し上げまして、質問を終わります。

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