国会質問議事録

ホーム の中の 国会質問議事録 の中の 2024年・213通常国会 の中の 予算委員会(自民党裏金問題、子ども子育て支援金について)

予算委員会(自民党裏金問題、子ども子育て支援金について)

○井上哲士君 日本共産党の井上哲士です。
 自民党の裏金問題について、この間の国会の質疑の土台を壊し、国民の政治不信を更にあおるようなことが起きております。
 朝の理事懇で自民党から、キックバックをめぐる安倍派の幹部の会合が二二年四月の前の三月にも開かれていた可能性が浮かび上がったのが今回の四人の追加聴取のきっかけだと説明がありました。この可能性が浮かび上がったというのは、いつ、何によってなったんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘の点も含めて疑念が残っている、だから自民党としても追加の聞き取り調査を行っている、こうしたことであります。
 何をもって疑念が浮かび上がったか、これは国会の、おける様々なやり取り、それからマスコミ等の報道等を通じて、そうした御指摘についても疑念が示されているのだと考えます。
○井上哲士君 この問題は参議院の政倫審で取り上げられました。そのときに世耕氏は否定をしたんですね。このやり取りもきっかけの一つだということでよろしいですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほど来申し上げているように、国会でのこの弁明ですとか、この自民党のこれまでの聞き取り調査ですとか、様々な取組を通じて、国民の皆さんの中でまだ疑念の思いが残っている、こうしたことであるからして、党としても政治責任を判断する前に追加の聞き取り調査を行っている、こうしたことであります。
○井上哲士君 いやいや、朝は、具体的に、三月にも行われていたと、これが追加聴取のきっかけだと言っているんですよ。これが審議されたのは参議院の政倫審なんです。このときに否定しているんです。この発言がまさに今回の追加聴取のきっかけになったということじゃないんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 具体、個別の案件についての御指摘もありますが、これ、検察の捜査から始まって、様々なこの議員の説明、そして党の聞き取り調査、そして国会での政倫審の弁明等、こうした一連のこの取組の中でまだ国民の疑念が残っている、であるからして、党として政治責任を判断する前にいま一度追加の聞き取り調査を行う、これが今の取組の意味であります。
○井上哲士君 一般論言っているんじゃないんですよ。朝の理事懇の発言で言っているんです。この三月の会合を世耕氏は否定をいたしましたし、他の衆議院議員も四月の会合が初めてのような発言をしてきたわけですよ。これは明らかに虚偽発言じゃないですか。
 再聴取では、この問題をどういうふうにただして、どういう発言があったんですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 追加の聴取においてどんな発言があったかという御質問でありますが、これは先ほど来申し上げております。追加の聞き取り調査、今続けております。今の段階で、どんな発言が出たか、具体的に申し上げることは控えます。全体を整理した上で公表の在り方を考えます。
○井上哲士君 公表の在り方を考える。本当に公表されるんでしょうか。
 総理は政治責任を明確にするために処分をやると繰り返しておられますが、政倫審での虚偽発言したことは、その政治責任に含まれますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政倫審で虚偽発言をしたことがその政治責任に含まれるかという御質問ですが、これは、仮定に基づく質問にお答えするのは適切でないと思います。
○井上哲士君 さっきから言っているじゃないですか。三月の会合について、明らかに政倫審では世耕氏も衆議院の議員も否定しているんですよ。事実が違うことになれば虚偽発言ですよね。これについて政治責任に含まれるのかと聞いています。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 先ほども申し上げたように、追加の聞き取り調査については、今の時点で内容は申し上げません。よって、御質問については、仮定に基づく質問になります。お答えを控えます。
○井上哲士君 では、報告する際に、そういう虚偽発言が明らかになった場合にはきちっと発言に、報告に掲載すると、そういうことでよろしいですか。それなしに私は処分などないと思いますけど、いかがでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 追加の聞き取り調査は政治責任について判断するために行っております。政治責任を判断するまでのプロセスの中で、聞き取り調査の内容についても適切に公表いたします。
○井上哲士君 さらに、再聴取された安倍派の幹部の一部が、一旦中止が決まったキックバックの再開の判断には森元首相が関与していたと発言があったと報道されておりますが、再聴取の中で、誰からどういう発言があったんでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これも繰り返し申し上げておりますが、追加の聞き取り調査、今行っております。調査を引き続き今日も、今日行っているさなかでありますので、今の段階で具体的な内容について明らかにすることは控えます。
○井上哲士君 安倍派の幹部からこのような発言があったことを否定できますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 内容について申し上げることは控えます。
○井上哲士君 何にも答えていないですよ。国民は納得しませんよね。
 総理は、昨日の集中審議の答弁でも、いつからこのシステムが始まったか、国民からまだ疑念の目を注がれていると発言、答弁しました。
 キックバックシステムを始めたということも政治責任の一つに含まれると。よろしいですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 御指摘のような疑念の声もある、これは承知をしています。
 そうしたものも含めて、疑念の声に対して、いま一度この政治責任を明らかにする前に聞き取り調査を行う、これが今行われている聞き取り調査の意味であります。
○井上哲士君 キックバックの開始の政治責任を明らかにする上で、森元総理の聴取、欠かせないと思いますけれども、いかがですか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 政治責任を判断する上で必要な聞き取り調査を行います。対象あるいは内容について、今明らかにすることは行っておりません。
○井上哲士君 これだけ森総理の関与の疑いが明らかになっているんですよ。それを明言しないということはますます国民の政治不信を強めるだけだということを強く指摘しておきたいと思います。
 政倫審での安倍派幹部の発言は虚偽発言だった疑いが濃厚であります。安倍派幹部や森総理の証人喚問、必須だと思います。
 委員長、お取り計らいをお願いします。
○委員長(櫻井充君) 後刻理事会で協議させていただきます。
○井上哲士君 次に続きますが、日本世論調査会が十六日にまとめた世論調査では、岸田政権による異次元の少子化対策に期待しない、余り期待しないと答えた人は七三%であります。どう受け止めていますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 世論調査の結果、これは政府としても受け止めますが、加速化プランの取組、これは我が国の未来にとって大変重要な取組であります。社会全体の意識改革と併せて進めることによって、少子高齢化に対して強力に立ち向かっていきたいと考えています。
 これをスピード感を持って、国民に御理解いただけるよう努力を続けていきたいと考えます。
○井上哲士君 私は、結婚や子育てに希望が持てる働き方改革であるとか大学の学費の負担軽減も無策ですよ。ですから、先ほど何か異次元にも程があるという発言もありましたが、それに値しないから国民は期待を持てておりません。
 そして、財源として医療保険に上乗せして子育て支援金を徴収しますが、総理が述べてきた実質的に負担増にならないという説明に、毎日の世論調査では八一%が納得できないと答えています。総理、なぜだと考えますか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) これは、先ほどもお答えさせていただきましたが、少子高齢化、そして人口減少の状況、これは我が国の未来にとって危機的な状況であり、今強い危機感を持って臨まなければいけない。
 三・六兆円規模に基づくこの対策を用意したわけでありますが、その財源、当然必要となります。その財源を借金やあるいは増税に求めるのではなくして、まずは歳出改革に求めるべきだという考え方、これは大変重要であると考えております。
 歳出改革の努力をする、これは当然のことでありますが、しかし単なる精神論であってはならないということで、社会保障負担率、具体的なメルクマールを設けてその歳出努力をしっかりと国民の皆さんに示していかなければならない。
 社会保障負担の軽減を図り、その範囲内で支援金を用意する、結果として社会保障負担率は上がらない、こうしたことを説明させていただきます。そうしたことで新たな負担を求めないということを申し上げております。これを丁寧に引き続き説明していきたいと考えています。
○井上哲士君 その説明繰り返してきたけれども、納得できないのが八一%なんです。率じゃないんですよ。一体どんな負担になるのかと国民は思っています。
 子育て支援金は、加入する保険者の違いで、収入が低い人の方が高い支援金を払う逆転現象が起こるんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) まず、支援金、これ医療保険料と併せて徴収するものであります。上乗せ等ではないということを申し上げた上で、この支援金制度の賦課方法は基本的には医療保険に準じた取扱いになり、御指摘のような逆転現象、これは現状の医療保険制度でも見られるものであります。
 そして、支援金制度の具体的な拠出額については、加入する医療保険制度、所得の多寡、あるいは世帯単位か個人単位かによって異なりますが、いずれの場合においても、拠出額が多い場合は基本的に歳出改革による保険料軽減効果も併せて大きくなる、この点に留意することは重要であります。
 それに加えて、国民健康保険については、低所得者への保険料軽減措置等、公費を他の制度よりも手厚く投入するなどの措置が講じられています。支援金についてもこれに準じた措置を講ずることとしております。加入者一人当たりの平均で見れば、国民健康保険の加入者の拠出額は被保険者保険の加入者の拠出額を下回ることになると考えております。
○井上哲士君 いろいろ言われましたけども、現在も逆転現象があるんだと言われました。それに上乗せすることで更にそれが拡大をすることになるわけですね。
 厚労大臣、お聞きしますが、被用者保険と国保の単身世帯では保険料の上限額を支払う人の年収は幾らになるでしょうか。
○国務大臣(武見敬三君) 委員御指摘のうち、まず、健康保険料についての保険料額が上限に到達する年収は、機械的に計算をいたしますと、二千二百四十一万円、それから、国民健康保険料につきましては、保険料額が上限に到達する年収、単身世帯を想定をして全国平均の保険料率と仮定した上で、機械的に計算いたしますと、約一千百六十万円でございます。
○井上哲士君 それ以上所得が増えても保険料は頭打ちになるわけですね。つまり、そうした支援金も同様にこの所得に応じた上限があります。所得に対しての逆進性があって、国民の中での格差を拡大することになるんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 支援金、医療保険料と併せて徴収するものであり、賦課方式も基本的には医療保険制度に準じた取扱いとなります。具体的には、支援金の拠出額については、所得に応じたものとした上で、医療保険制度と同様、賦課の上限を設けることとしています。
 これは、医療保険制度において、被保険者の保険料の納付意欲を与え、意欲に与える影響といった観点から負担に一定の限度を設けているものであり、一定の合理性があるものと思います。また、低所得者への一定の負担軽減措置等を講ずること等を通じて負担能力に応じた仕組みとすることとしている上、拠出額が大きい場合には基本的に歳出改革を伴う保険料軽減効果も併せて大きくなることに留意する必要があり、支援金の導入が格差の拡大になるというものではないと考えております。
○井上哲士君 結局、今実質賃金も下がっています。中小企業の賃上げもまともな支援策がないまま、そして高齢者は年金が下げられてきた。私は負担拡大になると思うんですね。さらに、国民の負担は支援金だけじゃありません。加速化プランの財源として、改革工程表に明記をされた医療、介護の三割負担の拡大やケアマネの有料化などの具体的な社会保障削減メニューの検討と実施が国に義務付けられております。
 総理、これは国民の利用者負担を増やすんじゃないでしょうか。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 昨年末に閣議決定された改革工程においては、サービス提供側の質の向上と効率化、例えば医療提供体制の効率化や介護分野におけるICTの活用など、幅広いメニューが列挙されています。これらは、一義的には、社会保障の持続可能性を高め、全世代型社会保障を構築する観点から盛り込まれたものであり、これは議論を続けていかなければならないと考えています。これらのメニューの中から実際に取組を検討、実施するに当たっては、必要な保障が欠けることがないよう、見直しによる、見直しによって生じる影響を考慮しながら丁寧に検討してまいります。
 いずれにせよ、支援金制度の構築に当たっては、当たって重視しているのは社会保障負担率であり、毎年度の予算編成過程で、改革工程に沿った歳出改革によって生じる保険料負担の軽減効果を積み上げ、その範囲内で支援金制度を構築すること、これを基本としています。実質的な負担が生じないことといたします。
○井上哲士君 今また率と保険料言われましたけど、実際に利用料の負担が増える、武見厚労大臣も、歳出改革を通じて一定の負担が増える世代層が出てくると衆議院で答弁をされました。これを見なくちゃ駄目だと思うんですね。
 衆議院で、我が党の高橋千鶴子議員が、子ども・子育て政策の財源について、国を挙げて取り組むといいながら何で社会保障の中だけでやりくりするのかとただしますと、社会保障関係経費以外の歳出改革で生み出された財源は防衛力強化のための財源にするからだと、こういう答弁がありました。
 結局、皆さん、総理、大軍拡と子育て支援の強化は両立しないということじゃないですか。
○委員長(櫻井充君) 時間が参りました。簡潔にお願いします。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) はい。
 少子化対策だけでなく、防衛力の抜本的強化についても我が国の喫緊の課題であると考えています。これらを安定的に支える財源を確保する、これは避けることができない重要な課題であり、財源確保に当たっては双方ともに歳出改革徹底することとしております。
 歳出改革に当たっては、防衛力強化のための財源として優先的に取り組む歳出改革については、防衛費が非社会保障関係費であることを踏まえて、社会保障関係費以外の経費を対象として財源を確保することといたしました。少子化対策のための歳出改革については社会保障関係費を対象とする、こうしたことを説明させていただいています。どちらか一方という二者選択の問題ではありません。共に必要な予算、しっかりと財源確保に取り組んでまいります。
○委員長(櫻井充君) 時間が参りました。
○井上哲士君 はい。
 時間ですので終わりますが、政府が次期戦闘機の輸出の方針を閣議決定をした、官邸前の抗議行動では、メード・イン・ジャパンの武器で他国の子供を奪うなんてことは許したくないと、こういう横断幕が掲げられました。
 子育ての皆さんにこんな思いをさせる一方で、結局異次元の中身は全くないと、こういうことは全く相入れないということを強く求めまして、質問終わります。

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